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田井幹夫/アーキテクトカフェによる「狛江の家」

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田井幹夫/アーキテクトカフェ(architect cafe / mikio tai architect & associates)による「狛江の家」の見学会に行ってきました。東京都狛江市の狛江駅から徒歩15分程の住宅街。

 敷地面積258m2、建築面積102m2、延床面積155m2。木造2階建て。

 3つのヴォリュームが廊下で繋がれており、そこからうまれる凹みに庭やテラスがリズミカルに配されている。

 玄関アプローチは飛び石、砂利、砕石、芝生などで表情が豊かだ。ファサードはレッドシダー材。

 アプローチをL字に折れると玄関ポーチ。左はガレージで、右が玄関。正面パーティションの向こうには中庭がちらりと覗く。

 玄関を入ると正面に納戸。納戸はハシゴとロフトスペースも付く。ロフトはトイレの上を利用したスペースだ。

 玄関からはスロープや段差、天井が高くなったり低くなったり、壁があったりしながら15m先まで見通せる。

 LDKに入り見返す。上下にセパレートした大開口とキャットウォークが目を引く。

 床はチーク材。階段、家具、壁面はタモ材。2階には納戸と客間。

 中庭にはオリーブが植わる。ガレージ下部には開口があり、ガレージのシャッターを開ければ表の気配をさりげなく伺うことができる。


 リビングから2段降りてダイニングとキッチン。


 キッチンの小窓からデッキが張られた裏側の中庭が見える。右の扉は水回りに通じている。

 リビングの階段から上がり、客間を通ってキャットウォークに出てみる。

 中庭側を見ると屋根には砕石が敷いてあった。FRP防水した上に5〜6cmの厚みで防水保護と意匠のために敷いたそうだ。

 1階へ戻り一番奥のボリュームへ。

 廊下にはレコード用の棚と、左に水回り、奥がトイレ、右に個室、2階にも個室。つまりこの廊下によって開いたパブリックのヴォリュームから、閉じ気味のプライベートのヴォリュームへ切り替えることができる。


 個室から廊下とLDKのヴォリュームを見る。廊下の上はテラスになっている。

 2階へ。階段室を挟んで主寝室と、子供室。

 子供室には造り付けの机と窓からは緑豊かな庭が眺められる。目を休めるのに遠くを見られるのがとても良い。
窓の右に構造合板が表れているが、鏡が埋め込まれるそうだ。





田井幹夫さん。「狛江のこの辺りは都心に比べ住宅は密集しておらず、所々緑や畑が残っています。そんな周辺の雰囲気を〈開くこと閉じること〉〈内部と外部の関係性〉をテーマにしながらこの敷地に還元してみました。」

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吉岡徳仁「クリスタライズ」展レポート

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10月3日より東京都現代美術館にて開催される吉岡徳仁の個展「クリスタライズ」内覧会に行って来ました。 (TOKUJIN YOSHIOKA - Crystallize)

 本展は吉岡さんの国内最大規模の個展。インスタレーションを含む代表作、国内初公開作品など約30点の作品が展示され、吉岡さんの作品世界を包括的に概観できる貴重な機会となっている。

 'Water Block'。 水の塊のような透明ガラスのベンチ。

 'Swan Lake'。 結晶の成長過程でチャイコフスキーの白鳥の湖を聴かせ、その曲の振動で自然結晶の形状が成長するという結晶の絵画。2007年から取り組んできたクリスタライズドプロジェクト(水槽の中で自然結晶を成長させて造形を作り出す試み)の一つ。





 半透明ストローを用いたインスタレーション'Tornade'を抜けると 'Rose'が現れた。

 'Rose'。生きているバラを結晶化させた彫刻。


 '蜘蛛の糸'。
7本の糸から生み出された結晶の椅子。



 結晶が育つ元の構造となる糸と、成長中の椅子も展示されている。

 '虹の教会'。40cmのクリスタルプリズム500本でつくられたステンドグラスが美しい七色の光を放つ。吉岡氏が20代から構想している建築プロジェクトの一部である。



 虹の教会のイメージドローイングも展示されている。

 'レインボーチェア'。虹の教会の内部空間にシンボルとして設置する椅子。

 'レイ オブ ライト'

 代表作の 'パーネチェア'と 'ハニーポップ'も。

 ミュージアムショップ脇のスペースもお見逃しなく。吉岡さんの原点と言える 'Silicon Hat'、'Ring Bag'が展示されており、イッセイミヤケのためにデザインしたこれらの作品が彼を世界的に有名にしたきっかけだ。

吉岡徳仁さん。「本展のタイトルCrystallize(クリスタライズ)は、自然のエネルギーを結晶化し作品を生み出すという意味が込められています。人間の創造を超えた造形は人の心を動かします。自然につくることをすると、建築、絵画など分野も関係なくなる。今回はそういった物作りの考え方、世界観を表現出来たと思います。」

【吉岡徳仁 ー クリスタライズ】
日時:2013年10月3日~2014年1月19日
場所:東京都現代美術館
詳細:www.mot-art-museum.jp

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アトリエ・ワン、OMA、ライゾマティクス等参加の「うさぎスマッシュ展 」レポート

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東京都現代美術館にて10月3日より開催の「うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法(デザイン)」内覧会に行って来ました。
(BUNNY SMASH design to touch the world)

 本展は現代アートと様々な分野の表現が出会うことで、新たな可能性を探求する「東京アートミーティング」の第4回として開催。デザイナー、建築家、アーティストなど世界に触れるため新しいアプローチをしている21組が選ばれた。

 'シアトル中央図書館' by OMA
リサーチした分析データを建築に応用した例として展示されている。模型の奥は'Post Occupancy'。ネット上のスナップ写真で構成されたシアトル中央図書館のバーチャルツアー。



 'EUバーコード' by AMO
AMO(OMAのシンクタンク部門)が各国の国旗の色を抽出したもので、実際に会議や街中で採用された。


 '1000年に学ぶ。戻って住む。忘れない' by アトリエ・ワン + 東京工業大学塚本研究室 + 筑波大学貝島研究室。
姫路城、ポンテベッキオなど今日に残る世界遺産から、災害や復興や新しい都市を模索するのに知性や価値のヒントはないだろうか。現代の価値観とは異なる建築と都市を描いてみた。


 Michael Leeによる様々な"個"室の図面。
左から、ハートフォード精神障害者用静養所、ニュージャージー州立刑務所、ウィキリークス本部の図面。


 'No numbers' by Richard Wilson
空間に手を加え、驚くような体験をもたらす大規模な作品。観客は一人ずつスペースに入ると、狭くなっていく通路や水面に映りこんだ天井や壁によって奥行きや上下がわからなくなり、今までにない感覚に包まれる。一見静寂の空間に思えて実際は驚異に満ちた世界(これは体感する価値あり!)


 '触れる地球' by 竹村真一 + Earth Literacy Program
インタラクティブなデジタル地球儀。世界各地のほぼリアルタイムの気象情報、渡り鳥の動き、ツイッター発言の多い地域なども表示出来る。「今の子供達は信長の時代の地図で学んでいる。すべての小学校にこういった"生きた"地球儀があってもいいと思う」と竹村氏。

 'traders' by ライゾマティクス
一般人には分かりづらい金融取引をインスタレーションとして見せ、システム形成の当事者としてデータに触れる機会を提供。


 'ムーンウォーク☆マシン、セレナの一歩' by スプツニ子!
「月面にはまだ女性の足跡がないのでハイヒールで靴あとをつけたい」という想いから出来た探査機のプロトタイプ。セレナちゃんという理系女子が主人公のストーリーの映像もある。


 実際にNASAの協力を得て作られており、確実に月面に靴あとが残るように設計されているそう。

 '丸太婦人と汚れたうさぎ' by Marnie Weber
不気味さと不合理さ、ユーモアが混在した世界。汚れたうさぎは疲れ切りながらも何か企んでいる。そして腰掛ける丸太には美しい女性の顔がある。

 'Pox Teddy' by Mikael Metthey
内部に水疱瘡ワクチンが仕込まれている玩具型の注射器で、微細で無痛の針が仕込まれたテディベアと子どもたちが遊んでいるうちに接種を済ませられるという提案作品。

 他にもwebでは紹介できない嗅覚で感じる展示や、じっくり時間を掛けて見て頂きたい作品が多数。

記者会見にて、左から長谷川祐子、藤崎圭一郎、佐藤卓、柏木博の各氏。会場入口で有料で貸し出されるbunnyの音声ガイドを宣伝する企画コアメンバー。
「うさぎを追いかけているうちに別世界に足を踏み入れてしまった不思議の国のアリスのように、まったく別の世界観に連れて行かれる体験をしてください。自分で楽しみながら入っていって、固定観念に一打(スマッシュ)を与えられ、すっきりして出てきてもらえたら嬉しいです。」


※同時開催中の吉岡徳仁の個展「クリスタライズ」展もお見逃し無く。>>レポートはコチラ

【うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法】
日時:2013年10月3日~2014年1月19日
場所:東京都現代美術館
www.mot-art-museum.jp


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塚田眞樹子による横浜の住宅「Grass Cave House」

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塚田眞樹子 (Makiko Tsukada Architects) による横浜の住宅「Grass Cave House」を見学してきました。 逆 "く"の字に曲がる変形の敷地に建っている。

 敷地面積97m2、建築面積56m2、延床面積97m2の木造2階建て。屋根にふさふさと芝生が見える。

 敷地の奥に向かって低く傾斜するガレージの屋根。2階の屋根は逆に奥に向かって高く傾斜している。外壁はモルタル下地にマジックコート吹き付け仕上げ。


 ガレージの床にも塗装が施されている。そこへ角度が付いてエントランス。通常一番左の引戸のみを開閉することになる。

 中へ入ると、薄暗く低い。土間のような空間の中央にボックス状の何か...


 右側から回り込んでみる。

 ボックスの内側は明るくなっている。右側が寝室スペース。

 ボックスの内側は洗面台と浴室だった。浴室の天井は半透明で光が差し込でいるため明るかった。実際にはもう一枚ガラスがはめ込まれる予定。

 ボックスの反対側からエントランス方向を見ると、構造合板の木目が怪しく反射し、まるで "洞窟"だ。

 トイレは一転して白く明るい。ハイサイドライトが設けてあるためだ。正面のドアは入ってきたドアでなく、敷地の横に出られる裏口。


2階へ。

 2階へ上がると洞窟はここで少し開きガレージ上の芝生が見える。

 借景の緑と連続しているのが分かる。

 振り返ると1階同様回遊式になっている。

  洞窟は最上部で空に向かって広がる。

 キッチンの後ろにあるのは浴室に光を導いていたコア。このコアは耐力壁としても重要だ。

 上からは外部が絶妙に緑しか見えない。

 キッチンの換気扇はミラー仕上げなので周囲を映し込みその存在が消えている。

 コアの中はパントリーになっている。そして上へあがるハシゴもあるので登ってみると...

 芝生! ふかふかなので寝転がるには最高。芝生の下は人工土壌が敷いてある。


 芝生への水やりはタイマーによって自動散水される。室内環境にも有効だ。因みにメンテ中の転落防止に上の写真の右上に命綱用金具が付いている。


「敷地の西側に大きな公園があるため、その延長のような緑を洞窟の上に載せてみました。洞窟は敷地をぐぐっと持ち上げてつくったすみかで、入り口は低く狭くなっているのですが、奥へ上へ進むにつれ広がりながら開放していきます。」と塚田眞樹子さん


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橋本夕紀夫「空気の茶室」展

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北青山のオリエ アート・ギャラリーにて開催中の橋本夕紀夫 (Hashimoto Yukio Design Studio Inc.) 「空気の茶室」展に行ってきました。

 本展は、日本の伝統文化のさらなる可能性を探る”伝統という未来展"である。橋本さんプロデュースで期間を2回にわけ、Part1(10/4〜16)が橋本夕紀夫さん、Part2(10/21〜29)が左官職人の久住有生さんとし、デザイナーと職人、それぞれの視点で伝統と未来が表現される。


 橋本さんが店舗のデザインとして取り入れた素材が並ぶ。七宝柄格子、天然木拭き漆、庵治石などなど。

 それぞれの素材には模型や写真が添えられわかりやすく展示されている。七宝柄格子の間仕切りを使った '八芳園 槐樹'。

 庵治石を使ったテーブルの脚や壁 'AJITO'

 西陣織を天井に使った '絹麿 × JOTARO SAITO' 

 その模型。

 中央の台に並ぶ 'MOONBIRD' (YAMAGIWA)、'YO no BI'ブランドの照明、コーヒーカップ、鉄瓶。

 ギャラリーの奥へ進むと本展のメイン作品...

 '空気の茶室'

 日本の美意識の一つ "風情"をテーマにした空間表現。 "空" が感じられるように、どこまでも曖昧で存在感があるような、ないような、おぼろげな空間を目指した。エンターテイメントの観点から"わび・さび"をやっていったらどうなるかという試み。


橋本夕紀夫さん。「日本の伝統は押し入れに入れておくのではなく、もっと様々な可能性があり、視点を変えると非常に楽しくてエンターテイメント性を持っています。そこで考えていたことを集約してお見せする機会を頂きました。私個人だけでは言いたいことが100%言えないと思い、実際、モノを作っている人の視点から左官職人の久住有生さんの展示も連続で見てもらえる構成にしました。」

【伝統という未来展 Part1:橋本夕紀夫 ー 空気の茶室】 
日時:10月4日~10月16日

【伝統という未来展 Part2: 久住有生 ー 心を土に託して 】
日時:10月21日~10月29日 

会場:オリエ アート・ギャラリー 
詳細:www.orie.co.jp

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槇文彦「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」シンポジウム レポート

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槇文彦が提言する「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」のシンポジウムに行ってきましたので会場の様子を紹介します。

 会場は国立競技場に隣接する日本青年館。
今回のシンポジウムは、JIA MAGAZINE 295号に掲載された槇氏のエッセー「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」の論考に賛同した有志の '新国立競技場を考えるシンポジウム実行委員会'によって開催された。


 委員会では、エッセーに書かれた論考を重要な問題提起として受け止めた。問題となるのは以下の3つの視点。
1、場所の歴史と都市景観の問題
2、公共建築のプログラムの問題
3、このコンペのありかたの問題

まずはこちら↓にエッセーの全文があるので(P.10~)読んで頂いたくのが良い。
http://www.jia.or.jp/resources/bulletins/000/034/0000034/file/bE2fOwgf.pdf


 開始1時間以上前にも係わらず既に長蛇の列。350用意された席には整理券まで配られた。

 立ち見でも入れない方のために、近くのJIA会館に二部屋ライブカメラによる視聴室を用意したが、そこにも入りきらず帰らざるを得ない方も多かった。

 数十人の記者やテレビカメラ10台近くが並ぶ。今回のシンポジウムへの感心の高さが伺える。


 はじめに元倉眞琴氏より「このシンポジウムは特定の個人や組織を糾弾し、反対運動を起こす為のものではない。」
「あくまでも槇氏の示した論考をここで深め、問題を前向きに解決する方法を議論する場にしたい。」と前置きがあった。


 3人のパネラーによって問題についてプレゼンテーションが行われた。
左から宮台真司(社会学者)、陣内秀信(建築史家)、大野秀敏(都市計画家)の各氏。 

 陣内氏からは、明治神宮外苑・内苑や周辺の歴史的、地理的観点から。

 宮台氏からは、建築界だけの問題ではなく社会的問題として民主主義の観点から。

 大野氏からは、建築と都市、安全性の観点から。 

 進行の古市徹雄氏から出された画像。小石川後楽園と東京ドーム。

 外苑ではこのようなことになる。右は最近、国の重要文化財に指定された聖徳記念絵画館。この巨体は建築家がそうしたのではなく、プログラムがそれを求めているからだ。

2014年7月より解体がはじまる当の本人は何を思う。

 当日の国立競技場青山門付近。この照明の高さは60mあるが、新国は最高点が75mもの建築物になるという。

 どうもピンとこないので独自にシミュレーションしてみた。こんな感じでしょうか。(筆者作)

 国立競技場の西側100m程に離れて建つ槇氏設計の東京体育館。「東京の風致地区第1号である外苑において非常に厳しい設計条件があったが、新国ではそれが無視されようとしている。 」
「このプログラムはあまりにも説明が不足しており不可解なことが多い、それはある種の情報操作が行われているように感じる。」と槇氏。

 夕日を受ける東京体育館。

「今回のエッセーを書くにあたって、地震で言ったらどの位の震度にしようかと随分考え震度6弱位にした。しかし今日こうして多くの方を見て震度7位になったと感じる。」
「先人達のやったこと、言ったことに耳を傾けて欲しい。今一度建築とは何か、考えるきっかけにして欲しい。」
「報道関係者の方、この問題について私はもう全て話しましたので、是非私以外の建築家にインタビューしてもらいたい。」


シンポジウムの様子はストリーミングで視聴できますので詳しくはコチラをご覧下さい。

新国立競技場を考えるシンポジウム実行委員会

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LOT-EKがインテリアを手掛けた千駄ヶ谷の「BAND OF OUTSIDERS」旗艦店

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ニューヨークに拠点を置く建築家ユニットLOT-EK(ローテック)がインテリアデザインを手掛けた、ファッションブランド「BAND OF OUTSIDERS(バンド オブ アウトサイダーズ)」世界初の旗艦店が10月12日東京・千駄ヶ谷にオープンした。ローカルアーキテクト:GEOGRAPH橋本幸樹氏

 ショップが入るのは3階建てビルの1階部分。フロアの中心で存在感を発揮していた太い円柱をどうするかというところからデザインをスタートさせた。

 いっそ円柱を主役にすべく、そこへ回転するリングと放射状にアームを取付け、アーミーナイフのようにしてずらしていくつか出してみたり、重ねて一束にしたり、柱を中心に多様な演出をすることを可能にするディスプレーをデザインした。




 アームにはマネキン、洋服のラック、ディスプレーケースのほか...

 フィッティングルームや、

キャッシュレジスターまで取り付けられている。


  「BAND OF OUTSIDERS」は、映画業界からファッション業界に転身した異色の経歴を持つデザイナーScott Sternberg(スコット・スタンバーグ)により、2004年LAに設立された。ブランド名もゴダールの映画『はなればなれに』の英題から付けられているだけあり、旗艦店のデザインにも映画の要素が散りばめられている。

 撮影機材などの箱からインスパイアされたというディスプレーシステムは、その名も"road case system"。

 天井には映画のセットで使うような照明。

 フィッティングルームの中は、壁とカーペットにイタリア映画のビーチのシーンをプリント。BOSEのスピーカーからは音楽が流れており、狭い空間を退屈しない仕掛けに。

 もう一つのフィッティングルームは、スターウォーズのタトゥイーン撮影場所の風景。

 またレジの一部はアイスケースなので、取り外してショップ横のスペースに持って行けば、アイスキャンディーやコーヒーと過ごす陽気なLAスタイルの完成だ。

 ショップは1階のみだが、LOT-EKはその上のショールームやオフィスまでも含め、建物全体としての存在感を発揮させるべく"着替えるファサード"を提案した。そのファサードにはブランドロゴや大海原を疾走するヨットがプリントされている(街路樹に隠れてしまっているのが残念!)

 ファサードのヨットの写真と、建物脇のスペースにある靴の植木鉢は、アーティストのFriedrich Kunathさんによるもの。

 LOT-EKのAda Tollaさん(左:アダ・トーラ)と、Giuseppe Lignanoさん(右:ジュゼッペ・リニャーノ)。
「本店舗を皮切りに今後もグローバルに展開していくBAND OF OUTSIDERSのショップデザインとして何が相応しいかを考えました。壁などは極力使わず応用が利くものにすること、そして映画を愛するデザイナースコット・スタンバーグの世界観、ブランドの持つLAらしさを細部にわたり感じ取れるような空間にしたいと思いました。日本での仕事は大好き。とても良いチームワークで出来ましたよ!」

【BAND OF OUTSIDERS】
東京都渋谷区千駄ヶ谷2-6-3 千駄ヶ谷RFビル 1F
www.bandofoutsiders.com


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岸本和彦による目黒の住宅「House-H」

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岸本和彦 (Kazuhiko Kishimoto / acaa) による目黒区の住宅「House-H」のオープンハウスに行ってきました。

 敷地面積84m2、延床面積72m2、木造2階建て。旗竿敷地の入り口にモミジが植わり、その先に細いアプローチ。

 アプローチがそのまま垂直に立ち上がったようにも見える吹き抜け空間に変わる。L字型の腰掛けが伸び、その端に家型の郵便受け(兼呼び鈴)。何かありそうだと期待させる。

 ポーチは全体が6段の階段になっていた。下足入れは階段脇なので半屋外ということになる。

見上げたところ。

 アプローチはそのまま左に折れ中庭へと連続する。腰掛けもそのまま奥に続く。 

 玄関を入ると幅1.2mを保ったまま階段、床、階段、床の、 "間"と共に台形断面の空間が上へ奥へ向かって収束していく。

 壁面にはテーパーを取った窓と収納。

 1.5階にはキッチン。

 向かい側には "食事の間"と呼ぶダイニングスペース。

 中に入ると屋外に出たかのような感じになる。 

 二面がガラス張りで中庭に浮いたダイニングだ。
左の小窓を開けるとサッシュのガラス窓が現れる。南側だが隣は駐車場なので将来的にどうなるか分からないことから閉じ気味にした。

 屋外に出た雰囲気を生んでいる要因の一つは、この鎧張りが外から中へ連続しているからだ。

 さらに上がって2階へ。

 2階には "ソファの間"と呼ばれる高さが1.8mで4畳程の広さの空間。

 そこからは中庭やダイニングを見下ろすことができる。右奥の壁にテレビを据える。

 2階から玄関方向を見る。

 もう一つの2階に座っているのは施主の奥さま。「小さな敷地でしたがこんなに表情豊かな家を設計して頂いて感動しています!」

 そのもう一つの2階にはロフトとも思える低くわずか2畳の間が設けられている。


 地下へ、と思ったが玄関へ6段上がって、また同じだけ降りるので1階へ、ということになる。階段下が収納、水回り、寝室、突き当たりにトイレ。

 浴室から。浴槽は小さめだが中庭に大きく面している。外壁の下にある開口は曇りガラス。採光や通気には大切だ。 

 寝室からは冒頭の玄関アプローチまで望める。 

 見上げると "食事の間" が見える。

玄関前はご覧のように集いの空間になるわけだ。見学に来ていた川口通正さんもしばし寛いでいた。
岸本和彦さんは、「旗竿なので実質20坪の敷地に建つ狭小住宅です。敷地に沿って立ち上げたアウトラインを半分に割り、中庭的なものを挿入。中庭に向かって突き出す3つ居場所はとてもコンパクトですが、光のコントラストと目線の違い、竹のスクリーン効果によって部分と全体の両義性を実現し、置かれる家具に対する適正な空間スケールと、伸びやかな全体性を感じることが出来ます。移ろう光と陰、コンパクトで開放的な住空間の可能性を感じて頂けると思います。」


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「5組の建築家と考える "新しい境界"とエクステリアデザイン」展

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千葉学、トラフ建築設計事務所、永山祐子、納谷建築設計事務所、マウントフジアーキテクツスタジオが出展する「5組の建築家と考える "新しい境界"とエクステリアデザイン」展に行ってきました。
10月21日〜23日まで六本木のAXISで開催される。

 SACLAB(サクラボ)とはSankyo Alumi Creative Laboratory。2013年春からスタートした三協アルミが建築家と共に新しい住空間を考えるラボラトリー。

 「まずは日本の建築界を牽引する5組の建築家と共に "新しい境界"とエクステリアデザインについて考察していく」という。

 5組の建築家それぞれが捉えた "境界"についての分析や、新しい概念の考察と構築、そして新しいデザインを、模型やイメージ、テキストなどを使って展示されている。
(※プロトタイプのモックアップは写真でお見せできないのでぼかしを入れてあります、ご了承下さい。また会場は撮影禁止ですが特別な許可を得て撮影してあります。)




 'Kaede'と 'momi'/納谷建築設計事務所
有機的なモチーフをデフォルメしたフェンス。


 'RING RING'/千葉学。
住んでいる人が関わることで出来上がるフェンス。


 '-2.6℃'/マウントフジアーキテクツスタジオ
多孔質の保水材料(発泡アルミ等)を用いた蒸散効果によって周囲の温度を低減するフェンス。

seto

 'airblock'/トラフ建築設計事務所
見通しを遮断するフェンスとオープン外構の中間に存在するフェンス。



 'mermaid'と 'Flower block' /永山祐子
伝統的なテキスタイルデザインから構築したデザインフェンス。境界に立つ塀自体が小さな庭のような演出のフェンス。


永山さんの進行中の店舗兼住宅は11月竣工予定。 
 
【5組の建築家と考える "新しい境界"とエクステリアデザイン】展
日時:2013年10月21日~10月23日
場所:AXIS シンポジア
詳細:www.axisinc.co.jp/building/eventdetail/268

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『BAR-JIA@中之島7days』レポート

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12月2日(月)〜8日(日)まで開催された『BAR-JIA@中之島7days』の4日目のイベント、DAY LADIESへ行ってきました。

近畿各地域を代表する建築家による作品発表とBARトークが7日間にわたり毎夜くり広げられました。DAY LADIESでは、堀部直子さん、阿曽芙実さん、榊原節子さん、平岡美香さん、岡田良子さんの5人の女性建築家がゲストスピーカーとしてショートレクチャー(400秒)を行い、Bartenderとしてもトークをされました。

堀部直子+Horibe Associates architect's officeの 堀部直子さん堀部さんは主に住宅を設計されていますが、今年は待望の住宅以外のプロジェクト、幼稚園の英会話教室を手がけられています。






榊原節子建築研究所 の 榊原節子さん読書と旅を趣味とし、電車に乗って本を読みながらどこまでも行ってしまうそうです。そこで訪ねた様々な都市や地域を見て実際に体験し、自身の設計に反映されています。

平岡建築デザイン の 平岡美香さん大阪と東京を基点に、病院、歯科医院、クリニック、住宅設計、ショップデザインなどの設計をされています。



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佐藤宏尚による住宅「空の続く家」

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佐藤宏尚建築デザイン事務所 (Satoh Hirotaka Architectsによる世田谷の住宅「空の続く家」の内覧会に行ってきました。

 敷地面積188m2、延床面積300m2。RC造3階建て。建物は南北に約17mの奥行きがある。


外壁は4面全てスレート。建て方が終わってから「何か面白い仕上げにしたい!」と施主の要望で急遽スレートに変更されたそうだ。 


 木製の門扉の先に玄関アプローチが伸びる。 


 玄関を入ると左に4台納まるガレージで大きなガラスで仕切られている。右奥が書斎で、左奥が上階への階段室。


 2階リビング・ダイニング。何と言っても真っ先に視線が上へ向いてしまう。


 3階の一部を吹き抜けにしトップライトを設け、壁面が合わせ鏡になっている。


 合わせ鏡の吹き抜けは2列あり、3階建ての2階でありながら大開口窓を設けずに十二分な明るさをもたらしている。


 正面と右側に造り付けの家具を予定しているが、施主は住みながらじっくり考える、とのこと。床はアッシュ材、天井は杉材。


 室内の壁は総左官仕上げ。きらきらと砂の反射が美しい。


 10畳ほどもあるキッチン。コンロの上も杉を使っているが、もちろん防炎処理された材を使用している。




 キッチンの裏手に進むと水回り。面取りをして窪ませた壁に鏡が浮いているようだ。


 浴室は「代沢の住宅」と同様ドイツ左官の壁面。床には珊瑚砂を使った。トップライトは外観から見える出っ張った位置。


 日が落ちると水回りの明かりが淡くスレートを照らし出す。


 3階へ。 


 今回もオリジナルデザインの手摺で設えた。


 3階へ上がり北側の主寝室から全体を眺める。3階の内壁はホタテの貝殻を使ったチャフウォール仕上げ。


 ドアハンドルはWESTの "WEST 3rd warm"シリーズ。


 廊下の奥は子供室。


 鏡の大きさは幅6m×高さ4m。1/3サイズの模型を作って検討した。



  子供室。チャフウォールを使うと施工時の臭いがすぐ消えるそうだ。


 佐藤宏尚さん。「2階を明るくするためにコートや大開口を設けない方法としてトップライトと鏡を組み合わせました。また今回は初めて水澤工務店に施工してもらいました。細かいところまで気を遣い非常に丁寧な仕上げで、とてもクオリティの高い住宅ができました。」

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新国立競技場コンペ審査委員 内藤廣のコメント全文

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新国立競技場について様々な批判がある中、コンペの審査委員の一人である内藤廣が批判についてのコメントを事務所HPで公開しています。その全文です。

【建築家諸氏へ】
新しく建てられる国立競技場のことを本当はどう思っているんですか。会う人ごとに聞かれます。講演をすれば、しゃべったテーマとは関係がないのに、この件に対する質問を受けます。何通ものメールもいただきました。こちらとしてはいささか食傷気味ですが、建築界としてはここしばらく例がないほどに関心が高まっているのだと思います。社会的な正義を唱える建築家たちの姿は、しばらく見かけなかったことです。これは是とすべきでしょう。

国立競技場の設計競技については、審査委員の一人である以上、結果に対しての責任は当然のことながら負っているものと思っています。ただし、審査経過とその対応については、明文化されてはいませんが一定の倫理的な守秘義務を負っているはずなので、審査委員長の発言や公式発表を越えた発言は、可能な限り控えたいと思っています。以下に述べることは、現在の全般的な状況に対するわたし個人の見解と危惧です。触れることができる範囲のことと自分の考えを述べ、以後、質問にお答えすることは控えたいと思っています。

設計競技の手続きに関して、いくつか厳しい指摘がなされていますが、短い時間の中での窮余の策であったことを考えれば、充分とはとても言えないまで も、まあまあだったのではないかと思っています。世論喚起を急ぐあまり、広告代理店による誤解を招くような事前の情報発信があったことは反省点です。設計競技全体の在り方に関しては、類似の案件が生じた場合の対応として、今後に活かす議論とすべきです。今回の事例を土台に、より良いものに改善されていくべき事柄だと思います。不備を指弾する声もありますが、普段からこの仕組みを議論の俎上に上げてこなかった自省の弁から始めるべきです。そうで なければ、設計競技なんていう面倒くさいことはやめておこう、ということになりがちだからです。
これは景観の議論にも通じることです。景観を公共財とするなんてまるで意識のないところに、赤白の縞々の住宅が出来るというので話題になったことは記憶に新しいところです。普段から問題意識がなければ、議論は後追いになるばかりです。常日頃が大切です。署名運動を繰り広げている建築家たちは、常日頃から神宮の景観を議論し、それほどまでに愛していたのでしょうか。絵画館の建物をそれほど愛していたのでしょうか。絵画館に飾られている絵画を一度でも見たことがあるのでしょうか。
設計競技でもっとも重視されるべきは、審査過程に於ける公平性であることは言うまでもありません。審査委員会に、特定の意志が外部から働くようでは、審査も何もあったものではありません。この点に関して、わたしの知る限り、外部から働きかける特定の意志は、まったくありませんでした。審査過程で意見の相違はあったにせよ、審査結果は、あくまでも審査委員の責任に於いて、委員長によって取りまとめられたものと思っています。

個性的なザハ・ハディドの案については、建築家諸氏には賛否があるはずですが、あの案の中にある生命力のようなものを高く評価することでまとまりました。最後に決する際、日本を元気づけるような案を選びたい、という委員長のとりまとめの言葉は、委員それぞれに重みのあるものと受け止められたはずです。
あの時期のことを思い出してください。大震災の記憶が生々しく人々の脳裏に残っている時期でした。三陸の復興は先がまったく見えず、福島の原発は危機的な局面が続く迷走状態でした。多くの人が漠然とした不安を心の内に抱えていたはずです。痛みや悔恨が世の中に満ちていて、未来への希望がなかったのです。オリンピックにしたところで、あの時点で東京が招致に成功するとは、ほとんどの人が思っていなかったはずです。わたし自身も招致の可否については半信半疑でした。
招致が決まった今だから言えるきれい事もあります。しかし、あの時期を思 い起こせば、ザハの案に決定して良かったと今は思っています。これは好みや建築的な主義主張の問題ではありません。あの案がオリンピック招致に果たしたであらう役割も思い出すべきです。あの思い切った形は、東京の本気度や真剣さを示すという大きな役割を果たしたはずです。

高邁な論議とは異なる次元で、おおいに危惧していることがあります。それは設計者であるザハのやる気です。建築の設計者であれば誰でも了解できることと思いますが、建物のレベルは設計者の情熱の絶対量に掛かっています。設計者がどれくらいの精神的なエネルギーを投下するのかによって、建築のレベルは大きく変わります。当選したけれど、あれこれ面倒くさいことばかりで嫌気が差し、担当者任せ、実施レベルの設計者に任せっぱなし、という状況が生じるとしたら、あの建物は規模だけ大きい二流の建物になってしまいます。ザハにしてみれば、座敷に呼ばれて出かけていったら袋叩きにあった、という気 持ちかもしれません。そうなれば、それこそ国税一千数百億を使った壮大な無駄遣いです。ザハはソウルで巨大な美術館を完成させつつあります。東京の建物はそこそこでいい、ソウルの建物こそが自分の作品だ、ということになったらこれ以上残念なことはありません。

スペイン北部の街ビルバオに、フランク・ゲーリーの設計によるグッゲンハイム美術館が出来て二年ほどした頃、近くのサンセバスチャンで会議があり、 次の日に訪ねたときのことです。夜になって、地元の建築家たちと会食になったとき、あの建物に対する印象を訪ねてみました。あの建物のことが好きか、というわたしの問いに対して、「好きなわけがないだろう。大嫌いだ」。その後に続けた言葉が面白い。皮肉っぽい笑みを浮かべて、「でも、大成功だ」、と言ったのです。知っての通りビルバオは、いまだにスペインからの独立運動が燻るバスク民族の主要都市です。ゲーリーの奇妙な建物が出来たことにより、世界中から人が来るようになり、そのことはバスクの存在を世界に発信すること になった、というのです。好き嫌いを越えた戦略的な発想だと感じました。われわれもこれに習う戦略的な賢明さを持つべきではないでしょうか。
そのためには、ザハに最高の仕事をさせねばなりません。決まった以上は最高の仕事をさせる、ザハ生涯の傑作をなんとしても造らせる、というのが座敷に客を呼んだ主人の礼儀であり、国税を使う建物としても最善の策だと思うのですが、どうでしょう。

一人の建築家として槇先生が意見を表明されたことには、全く違和感はありません。勇気ある発言に敬意を表します。審査に加わらなかったとしたら、わたしもわたしなりの考えを表明したかも知れません。しかし、ことが署名運動にまで拡がりを見せるとなると、違和感は増すばかりです。さらに、それが組織的に繰り広げられたとなると、看過できないことになります。その意味するところが変わってきます。団体名で提出された署名は、その団体の意見表明となるわけですが、その団体はこのプロジェクトに対して本気で水を差す覚悟があるのでしょうか。建築家の良識とは、その範囲のものだったのでしょうか。 ザハの案が、建築的な議論として深まっていかないことも不満です。あれほど個性的な案が選ばれたのですから、本来なら、建築とは何か、建築表現とは何か、建築には何が可能なのか、というより根源的な議論が巻き起こってしかるべきなのに、語られているのは「分かりやすい正義」ばかりです。
要望書を待つまでもなく、事務当局では規模や予算調整に動いていましたが、現在示されている縮小案は、ずいぶん小振りになり、景観的にも絵画館から見てそれほど威圧感のないものになりました。観客席の肩を流線型の形の中に治めた形態は、審査で目にした他のどの案よりも数段控えめなものになったはずです。

ザハは、東京という巨大都市のアイコンを造る、と言ったわけですから、あまり控えめになりすぎるのも心配です。わたし自身は、どうせやるのなら、この建物に合わせて東京を都市改造する、くらいの臨み方がよいと思っています。大会開催後改修して規模を小さくしたロンドンのオリンピックの会場と比較して、8 万人収容の問題も縮小案の俎上に上がっています。ロンドンには、この会場以外に 8 万人規模の収容人員を持つところが二つもあるわけですから、一概に規模だけを問題にするのは早計です。
東京という都市は、上海、香港、ソウル、シンガポールなどとコンペティテ ィブな関係にあります。新興勢力の前に負け戦が続いています。縮退は麗しい美学かも知れませんが、意欲的な改革無くして、高齢化圧力が増すばかりの東京が都市間競争の負け組になるのは明らかです。個人的な見解ですが、8 万人規模の集客が数多く生まれるような都市になるためにはどうしたらよいのか、そのような東京を造っていくのにはどうしたらよいのか、と考える方が前向きの考え方ではないでしょうか。

もともと神宮外苑は、体力の向上、心身の鍛練の場、文化芸術の普及の拠点として造営されたものです。大隈重信が明治天皇祭祀の場として、森厳な杜とすべし、と言った内苑とは対照的に、明治天皇が好まれた近代スポーツの場として、開かれた場所として造営されたことに始まります。歴史性を問うなら、その発祥は新しい文化を取り入れ育む場所だったことも思い出すべきです。時を経て、絵画館前の並木道など、緑多い都市公園として市民に親しまれてきたのも理解できます。わたしもあの場所がとても好きです。その一方で、都心に あるこの場所の活用の仕方こそが、新しい東京を造る上での成否を握っている とも言えます。

この国では、とかく縮小方向で議論をまとめていく傾向があります。無駄いをやめる、節約が美徳。そちらの方が「分かりやすい正義」になりやすいからです。新しい国立競技場は、その姿形からして目立つという点で分かりやすいターゲットの出現ですが、今現在、掲げられている錦の御旗に依拠している限り、建築の文化に資するような議論には発展していかないでしょう。異議を唱える諸氏は、振り上げた拳をどこに下ろすつもりなのでしょう。国立競技場の建設を止めさせれば満足なのですか、オリンピック招致を見送れば満足なのですか、どこまで成果が得られれば矛を収めるつもりなのですか。そう問いた い。

わたしは、あらゆる論理の手前には感情がある、と思っています。コンペの枠組みを作った官僚的な意志決定のシステムについては、震災復興で相手にされなかった憤懣が渦巻いているはずです。さらには、わたしも含めた審査委員に対する嫌悪もあるでしょう。市井の建築家なのに、権力の片棒を担いでいい気になっている。そういう気分が働いているはずです。そういう無意識に突き動かされた感情が、諸氏の言葉の裏側に貼り付いています。分かりやすい目に見えるターゲットが現れ、そこに噴出する出口を求めているかのように見えます。手前にそうした感情がある限り、批判のための理屈はいくらでも立つでし ょう。神宮の外苑の景観など、いままで一顧だにしてこなかったのに、いきなりそこに正義の根拠を求めるようになる。感情に訴え、署名を求めるには分かりやすい話です。
しかし、三陸や福島はいいのでしょうか。あそこで蠢いているのは、旧弊にとらわれた法律や制度そのものです。放射能をどのように処理するのかという答えのない問いです。分かりやすいことには過剰に反応するのに、分かりにくくより本質的な問題には黙する、というのはおかしい。もし、市民の立場に立つというのなら、良識を標榜するのなら、署名を集めるのなら、本当に怒る相手を間違えているのではないでしょうか。

オリンピックは短期間のイベントなのだから、無駄遣いをしないようにしてやり過ごした方が良い、という意見もあります。たしかにオリンピックは短期間のイベントですが、世界中の人が東京という都市を目にする機会であり、ただでも誤解されやすい日本という国の本当の姿を理解してもらうのには絶好の機会です。64 年のオリンピック時には、首都高速が造られ、青山通りが整備され、新幹線が通りました。要するに、あのイベントを通して、次の半世紀に渡る発展の下ごしらえをしたのです。自宅に客を招くことになれば、それなりに掃除をし、住まいを整えるのは当然のことです。それがわが国の生活習慣のマ ナーでもあります。これを機会に、東京を次の半世紀に向けて強するのです。 新しい国立競技場は奇異な形に見えるかも知れませんが、これを呑み込んでこそ、次のステップが見えてくるのではないかと思っています。

2013.12.09 内藤廣 


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納谷新の自邸「360°」

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納谷新 / 納谷建築設計 (NAYA Architectsによる自邸「360°」を見学してきました。場所は川崎市のよみうりランド近くの丘陵地。

 敷地面積193m2、延床面積95m2。木造 + 一部RC造2階建て。 

 モルタル仕上げの1階、芝生張りの屋根、焼き杉に黒塗装した2階のボリュームが積み重なっている。

 南側には庭と、屋根の下にはデッキを張ったテラスにする予定。庭は畑にして食べられる植物をメインに栽培するそうだ。

 玄関ポーチに戻って横に目をやると窪みにインターホンと、

 エンボス加工されたような表札。これは寺田尚樹さんによる制作。

 小さめの玄関からすぐに5段降りて室内へ。引越をされてから約2ヶ月、日常そのままの状態を取材させていただいた。

 振り返ると玄関引戸は鏡張り。その横は下足入れで扉は通気性を考慮しパンチングされたフレキシブルボードでできている。

 右に視線を動かすと薪ストーブ。右の扉から水回りへ。

 水回りは全面FRP防水されている。ステップからは前出のテラスに通じる。

 振り返ると天井に収納を発見。

 LDは吹き抜けになっており、L字の大きな開口と合わせ視線が空へ抜けていく。

 1階は地面から90cmほど掘り下げられ、地熱を利用した冷暖房の削減や、構造を減らし軽くすることもできる。全てのガラスはペアガラスで、このフロアにある床暖房以外家の暖房をまだつけたことがないそうだ。

 玄関引戸やサッシュなど風雨に当たる建具は、耐水性の高いヒバ材を使用。カーテンはテキスタイルデザイナーの安東陽子さんによる制作。

 工事中に伺ったときは、安東さんはちょうどカーテンを制作中でした。

 ダイニングテーブルは閉館した旧中原図書館からもらった机を磨き直して再利用している。左上には将来取り付けるかも知れないというプロジェクター用の開口。正面のステンレス製の工具ケースは食器棚として利用。

 キッチンでは、天井高約3mまで取ったたっぷりの収納。

 吹き抜けからは2階部分が伺える。食器棚の後ろは主寝室。主寝室の奥から階段の裏に回り込んでクローゼットがある。

 主寝室。杉板の型枠跡と本物の杉板が並んでいる。

 中2階のロフトは和室と、右にはキャンプ用具がぎっしりの収納。ステップは家具デザイナーの藤森泰司さん制作。

 2階はこどもたちのスペース。子供室2つと作業机、書棚が設えてある。


 敷地はご覧のように高台に位置する。

 キャンプが大好きな納谷家。家にいながらもできるようにと空中に庭を設けた。2階部分が小さな平屋に見える不思議な光景。

納谷新さん。「かっこつけるため、きれいにするための仕上げなど無駄なものをそぎ落として、通常クライアントには良しとされないような試みを、独立して20年の経験を積んだからこそ出来た住宅になっていると思います。」

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山口誠による集合住宅「oggi」

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山口誠 (Makoto Yamaguchi Design) による集合住宅「oggi」を内覧してきました。氏が手掛ける初の集合住宅。

 場所は文京区大塚。敷地面積212m2、延床面積378m2。RC造地上3階建て。7戸からなる集合住宅。


 近隣には殆ど集合住宅がない為いかにも集合住宅という外観を避け、外からは何人住んでいるのかなど判らない、邸宅のような佇まいをイメージしたそうだ。


 少なめの開口には、ハーフミラーやエキスパンドメタルが使われている。


 エントランスを入ると奥にレンガの壁。 


 共用部にエキスパンドメタルの扉。ここから専有部になる。


 101号室。扉を開けると部屋の前にはエントリーテラスと名付けたスペース(全ての住戸に設けている)。
「グリーンを置いたり、お茶をしたり、自転車を置いたり、このテラスを通じて住人それぞれのライフスタイルが軽やかに垣間見える街の風景のようになるかもしれない。」と山口さん。


 室内からは間口一杯にテラスが見える。


 202号室。こちらのエントリーテラスは奥行きが7m以上ある。


 玄関にはガラスの仕切り越しに居室が広がっている。


 居室には直接窓を設けず、テラス越しに窓が開いている。ウチとソトのその間があることで、オンとオフだけでないもう一段階が生まれているようだ。


 構造壁を利用して緩く二部屋に分割。手前は扉がなく奥はガラス扉になっている。


 水回り。


 キッチンは全室概ねこの仕様。この建物ではガスは一切使用しておらず、給湯もエコキュートだ。


 201号室。エントリーテラスと居室奥のバルコニーに挟まれるようなレイアウト。


 この部屋は唯一ユニットバスではなく、バルコニーと一体となった開放的なバスルーム空間となっている。


 2階共用部から3階へ。3階の2戸へはそれぞれ専用の階段でアプローチする。


 301号室の専有部。階段室には鉄板の仕切りが備わっている。 


 細長い居室と並行して広いテラス。


 設備用のダクト部を強調して細長いワンルームを、気持ち仕切るようなデザインにした。


 302号室。各住戸のテラスやバルコニーにはLED照明が設置されている。夜には空間全体が明るいライトボックスとして機能し、住居の中では間接照明のみで過ごすことも出来る。


 先に開催されたオープンハウスでは一番人気だったそう。奥にもう一部屋ある。



 プライベート感たっぷりのバルコニーからは空だけが見える。アート作品などを置いて鑑賞したい人にも良さそうだ。


 外構へ戻る。アプローチにはレンガを用いている。


山口誠さん。「この敷地は明治時代からオーナー家代々受け継がれ、かつての住宅にも一部煉瓦が使われていました。その記憶をバトンタッチさせたり、周辺環境に馴染むよう、ある種ランドスケープのように立ち現れる建築を提案しました。2014年は、タイ、ラオス、シリコンバレーのプロジェクトもいよいよ完成する予定で、日本でもオフィスプロジェクトが進行中です。」

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ご挨拶

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今年も残りわずかとなって参りました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

ジャパンアーキテクツでは2013年、待望の照明デザイナー部門をスタートすることができ、建築をはじめ、インテリア、ランドスケープと様々な分野から幅広く、デザイナーの方々や魅力的な作品を国内外へ紹介することができました。

来年も引き続き、皆さまのご活動のサポートに努め、様々な分野からアクティブに情報発信をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

※年末年始は28日から6日までお休みになります。


















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2013年注目された記事ベスト20

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2013年、japan-architectsブログに於いてアクセス数の多かった記事ベスト20。



1.OMAの重松象平による「コーチ表参道」




















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末光弘和 + 末光陽子/SUEP. による「光壺の家」

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末光弘和 + 末光陽子/SUEP. による住宅「光壺の家」を見学してきました。場所は東京都世田谷区。

敷地面積103m2、建築面積58m2、延床面積94m2。木造2階建て。密集した住宅地では、周囲に対して閉じ気味になり開口は自然と少なくなる。


しかし屋根を見ると幾つものトップライトが並んでいる。見えない側も合わせ7つ。


2013年9月、プリズミックギャラリーで行われた「SUEP.展」にて公開されていた概念模型を見返すと、それらのトップライトは7つの光の壺を構成するために設けられていることが分かる。


玄関を入ると一つ目のトップライトによりとても明るくなっており、切り抜かれたような開口の奥に螺旋階段が見える。


リビングは半分が吹き抜けだ。


アート好きの施主は絵画を飾るための大きな壁面と、美術館のような雰囲気を望んだ。


奥にはコンパクトなダイニングスペース。右はキッチンでその裏はトイレになる。




ダイニング側からリビングを見る。イームズ・ラウンジの向こうに書斎が見える。


書斎はまさに光の壺。大きな画集や図録などが置けるよう深めの書棚が天井までそびえる。


今回並んでいる本や家具は、撮影用に末光さんが用意したり借りてきたものだ。


主に南を向くトップライトから寒い季節には積極的に光(熱)を取り込み、床下に蓄熱するための壺になる。 窓には遮光スクリーン備わっており夏場に対応している。




2階寝室。ラウンジのように演出されているがベッドが置かれる予定。


トップライトの枠には角Rが取ってある。 


こちらにも職人泣かせのデザインが。手前がウォークインクローゼット、隣が水回り。


水回りに入り振り向くと光のトンネルがあった!


浴室はFRP防水の光壺。


書斎の上は1畳程のサンルーム。


末光弘和さん。「外観はとてもシンプルですが、7つの異なる壺状空間が多様な光・熱環境をつくりだし、変化に富んだ豊かな空間になっています。」


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保坂猛「Ku u so u」展

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保坂猛 (Takeshi Hosaka Architects) の個展「Ku u so u」展に行ってきました。本展は昨年チェコで開催された氏の海外初展覧会の東京巡回展で、南青山のプリズミックギャラリーにて2014年1月14日から開催される。
TAKESHI HOSAKA [Ku u so u ] in Tokyo

 プロジェクトの始まりから完成するまで数百枚のスケッチを描き続けるという保坂さん。
様々なプロジェクトの中からの数百枚が開場に吊され、保坂さんの頭の中=空想を覗くような趣向だ。



 保坂さんデザインの “ムーンチェアー” も展示されている。ゆらゆらと揺れる椅子に座りながら、揺れるスケッチを眺めるのもよい。



 自邸 “Love House” のスケッチ。



 初日の夕方からは講演会も行われた。


保坂猛さん。「天井から吊るしたスケッチは、小さな空気の動きにも敏感に反応し、時に大きく揺れ、時に微細な動きを見せます。あたかもそれは、私の考える頭の中のようであり、私の感情の様でもあり、私のいる建築という世界のようでもあります。」

TAKESHI HOSAKA [Ku u so u]in Tokyo
日時:2014年1月14日~2月18日
場所:プリズミックギャラリー
詳細:www.prismic.co.jp/gallery/works50/

藤森泰司・トネリコ・五十嵐久枝・寺田尚樹による「太い手展」

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アルミディスプレイシステムのメーカーEXTOの本社ショールームにて開催の「太い手展」に行ってきました。
本展は、藤森泰司、トネリコ、五十嵐久枝、寺田尚樹の4組のデザイナーとコラボレーションしたEXTOの新商品を使ったプロダクトデザインの展覧会である。

 2005年より「フトイ展」として開催されていたが、今回寺田尚樹さんが加わったことで、それぞれのデザイナーの頭文字がF・T・I・Tになったので「太い手展」に改められた。


 ショールームはトネリコのデザインによりリニューアルしたばかり。左の壁にはEXTOの新商品「HANGALL25/25R/75」が整然と並ぶ。今回は、これらウォールシステムを使ってプロダクトを作るというお題が各デザイナーに課された。


 THREE WAY「増殖する小間」by トネリコ
三方向のフレームとパネルで構成したパーティションのような商品を並べるための什器。LOFTの什器を手掛けているトネリコらしく、動きのある小さな空間をつくり、そこに沢山の小物を並べることを想定している。


 L「エル」by 藤森泰司
オフィスや家に持ち帰れる位の小さなスケールのプロダクトにしたもの。机やキッチン周りに置いて様々な小物をディスプレイできる。片側はHANGALL、もう一方はマグネットパネルになっている。


 chaise longue 「MARO」by 寺田尚樹
本来ディスプレイ用の棚やフックを取り付けるスリットに、ディスプレイ以外の機能を取り付けられないかという発想から生まれた長椅子。ゴムの押し出し材を製作してクッション材にしている。

 この作品でディスプレイされるのは人間。ということで自らディスプレイになる寺田さん。


 Shoku - pan / Roll - pan by 五十嵐久枝
ゆるやかに空間を仕切ることもできる飾り棚。シルバーの面は赤いアクリル板がパンに塗ったジャムのようなイメージ。

 こちらは白いパンの上のチョコチップのイメージ。


五十嵐久枝さん (Hisae Igarashi / Igarashi Design Studio)。「モチーフにしたのはパンです。普段はそれほど色を使ってデザインしてはいないのですが、今回は色彩の透過性を取り入れてみました。」


【太い手展】
会期:2014年1月16日(木)~ 6月30日(月)
場所:EXTO SHOW ROOM
   東京都千代田区岩本町2-18-12 2階
詳細:www.exto-series.com


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ギャラリー・間「内藤廣展 アタマの現場」レポート

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TOTOギャラリー・間で開催される「内藤廣展 アタマの現場」の内覧会に行ってきました。
"Hiroshi Naito: The Site of My Mind”

 1995年以来2回目となるギャラ間での個展。18年が経ち、かつ3.11を経て内藤さんのアタマの中を表現したような展覧会だ。


 3階展示室では内藤事務所の所長室の雰囲気を再現。


 進行中のプロジェクトの模型や図面。蔵書の1/3を持ってきたという書棚。内藤さんの机もそのまま持ってきた。 


 2015年竣工予定の "静岡県草薙総合運動場体育館” 。


 バスケットコート4面を取れ、東京の代々木体育館とほぼ同じ規模の体育館を木造で建てるという。大地震が予想される地域のため耐震基準は東京の1.5倍だそうだ。


 先端建設技術を3つ4つ導入しており、「今日本で動いている最も困難な建設現場ではないだろうか」と内藤さん。 


 主構造となるのは県の杉を使った集成材の柱。太さは360mm×600mmで、これを270本と..


 ..鉄骨トラス構造の屋根とが組み合わさる。


 ヤクルトのふた?で作られた模型も。


 事務所にある内藤さんの机。後ろには芸術家中川幸夫による「桜」の書。ピラネージがルネサンス時代に描いた古代ローマの平面図 "カンプスマルティウス” は、ルイス・カーンや磯崎新さんも飾っていたのに憧れたそうだ。


 机上にはメモ帳と、手描きのスケッチ。



 30年前、内藤さんが独立して初めて作ったという粘土の模型は、渋谷の “ギャラリーTOM”。



 4階展示室は事務所の模型部屋の雰囲気。左の壁には特に思い入れがある過去のプロジェクトを木製の模型にしてある。テーブルには進行中のプロジェクトで、左手前が “安曇野市本庁舎”。 


 今春竣工予定の “九州大学椎木講堂” は3,000人を収容。


 コンパクトな住宅の模型もある。


 コンペ当選案の提出資料もいくつかある。「手の内を見せてしまうことになるので展示するか迷ったが、さらに前進するためにも公開しました。」と内藤さん


 構造材のサンプル。


 棚には小さめの模型たちがずらりと並ぶ。


 明治通りを横断する “渋谷駅街区東口二階デッキ” なども。


 1999年竣工 “牧野富太郎記念館"の実施設計図は青焼きだ。


 内藤廣さん。「東京大学を退官後は建築の仕事に専念しようと考えていた。しかし丁度3.11が起き復興のために様々に携わることになった。そして建築について、建築家として何も話すことが出来なくなってしまいました。あれから3年近くが経ち、ようやく頭の中が動き出したので、今回そんな私のアタマの中(=現場)を見て頂いて、建築に迷っている方や若い建築家たちの力になれればいいな、と思います。」


2013年5月に刊行した “内藤廣の建築 1” と、今回刊行した “2” はTOTO出版から発売。

内藤廣展 アタマ現場
会期:2014年1月18日〜3月22日

場所:TOTOギャラリー・間
詳細:http://www.toto.co.jp/gallerma/ex140118/index.htm

期間限定 内藤廣による展覧会についてのつぶやき:https://twitter.com/naitohiroshi


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