能作文徳(能作文徳建築設計事務所)×常山未央(mnm)による品川区の自邸兼事務所「西大井のあな – 都市のワイルドエコロジー」を見学してきました。横須賀線 西大井駅、もしくは浅草線 馬込駅から徒歩10分程の場所。
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1986年竣工の鉄骨造住宅を中古で購入し、1階を自身達の設計事務所、2階を民泊、3〜4階を自宅として使う(延床面積154.8m2、事務所42.7m2)。リノベーションのために一部を業者に解体してもらい、その後生活しながら自身達で考え施工していくという。
子どもがケンケンやゴム跳びをして遊びそうな私道と、奥には横須賀線と新幹線が通る。
子どもがケンケンやゴム跳びをして遊びそうな私道と、奥には横須賀線と新幹線が通る。
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1階にはシャッターと壁があったが取り払い、事務所を2面開口とした。
左は既存の門扉のまま手付かず。外階段で2階へ上がる。
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コーナーの鉄骨はコンクリートで被覆補強した。その際型枠の内側にダンボールを貼って表情を出したが「表層の紙がうまく剥がれなかった。」と笑いながら話す能作さん。
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事務所。まだ施工中と事前に聞いていたが、想像以上に未完。しかしスタッフやインターンが仕事をしている。
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コーナーの鉄骨はコンクリートで被覆補強した。その際型枠の内側にダンボールを貼って表情を出したが「表層の紙がうまく剥がれなかった。」と笑いながら話す能作さん。
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事務所。まだ施工中と事前に聞いていたが、想像以上に未完。しかしスタッフやインターンが仕事をしている。
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左を向くと解体後そのままになっている配水管、給水管と水栓、コンセント、天井・壁裏の配線もそのままだ。
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それでも少しずつ完成に向けて作業は進んでいるそうで、例えば鉄骨を被覆しているロックウールへの飛散防止塗装、床板張り、一部断熱材施工、、
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見上げると4階まで通じており、光が落ちてきている。この「あな」を中心にこのリノベーションは形作られていく。
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2階へ。
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2階では「あな」がその全貌を現しはじめる。
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リノベーションやリフォームの現場でよく目にする壁や床と乱れた配線だが、通常と大きく異なるのは天井に穴が空き、ブレースが姿を現していることだろう。
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下は事務所とダイレクトに通じている。当然誤って足を踏み外せば落下することになるため手摺を設置する予定だが、既にこの状態で数ヶ月経過している。
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二間続きの和室はまだ既存まま。海外の友人が遊びに来た際に既に泊まってもらったそうで「面白い!」と好評だったそうだ。
いずれAirbnbで民泊にすることなどを計画。左奥(玄関入って左手)にシャワー室を設ける。
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階段を見上げると4階のトップライトが見えた。薄暗い2階に光や空気が通り抜けるという意図は良く伝わる。
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3階へ上がる途中、床の断面がよく見える。床スラブはデッキプレートにコンクリートを流したコンクリートスラブ。隙間に新聞紙(中空材の代わり?)や、二重床の施工は当時の職人の愛嬌だろうか、、、
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ここまで見て、この建物は施工中で1階の事務所のみが機能していると思ったら大間違いだ。能作・常山夫妻は完全にここで生活し仕事をしているのだ。
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4面に開口がありとても明るい。剥がした天井から配線やシーリングライト、コンセント、ブレーカーパネルまでもがぶら下がり、カーテンもないが、すっかり慣れてしまい特に不便を感じないという。
ただし、これで完成ではなく徐々に仕上げている途中だ。(いつ完成かは分からないが)
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この辺り既存では、2階同様階段に接して壁が立ち、キッチン横の床が広く、洗濯機の向かい側に水回りを仕切る壁があった。施工図がきちんと残っていたのでブレースの位置が正確に分かるためそこを狙って「あな」を空けた。
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そうして垂直方向に空間が広がり、光と空気、気配の全てが連続する開放的な空間に生まれ変わった。
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およそ居住中の住宅とは思えないカット。階段室にあった小窓からも光が注ぎ込んでいるが、既存では壁があったので光は階段室だけのものでしかなかった。
壁はALC板で比較的断熱できているそうだが、今後天井、壁共にセルロースファイバー断熱材と、内窓を取付け二重サッシュにすることで断熱性能を上げていく。
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4階寝室もすごい。こちらも4面開口で非常に明るいが同じくカーテンがないため、朝は早くに目覚めてしまうのではと思うが、二人とも慣れてしまい全く問題なく “定時” まで寝られるそうだ。
問題は4層吹き抜けのため、1階から蚊が自由に上がってくるため蚊帳だけは取り付けた。
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右手が南で電車も通る側になるが、今後の計画では、右手にサンルームを設け、洗濯乾燥室兼防音のためのバッファーとする。
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日射を遮るものがない4階と、隣家の陰になる2階では熱環境が大きく異なる。実際各階に湿温度計が取り付けてあり、訪れた際3℃以上の違いがあった。この吹き抜けに熱交換用のファン付きダクトを通し、季節によって空気を交換できるようにもする。
エアコンがロープで縛り付けられているが、もはや筆者も驚かなくなっていた。
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屋上には太陽光集熱器で温水を作り、1階事務所の熱交換器に送り、そこで温められた高効率の不凍液とペリメーターヒーターで窓際を温める。また太陽光発電も行い蓄電池に充電することなど、屋上では様々なことを計画しているが、斜線によってすぼまっているため面積が限られている。何をどのうように設置していくか悩みどころだそうだ。
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「SDレビュー2017 入選展」
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常山未央さんと能作文徳さん。「最終的にはオフグリッド(送電インフラから家を切り離す)を目指しています。お金を掛ければ一気に出来るかもしれませんが、廃材を利用したり、できるだけ環境負荷の少ない素材や設備を検討しながら進めているので、少し時間が掛かりそうです。都会でも享受できる太陽光を利用し、自分たちで実験しながら作り上げていく『都市のワイルドエコロジー』がテーマです。」
【関連記事】
・「SDレビュー2017 入選展」レポート(当作品が出展)
・「en [縁] ―ヴェネチア・ビエンナーレ帰国展」レポート
・「SDレビュー2013 入選展」レポート
・「ユメイエ展:日本の若手建築家」と「A&A展」レポート
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それでも少しずつ完成に向けて作業は進んでいるそうで、例えば鉄骨を被覆しているロックウールへの飛散防止塗装、床板張り、一部断熱材施工、、
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コーナーの開口部と打合せスペース(ベンチは仮)などがとりあえずできたので、2階から事務所機能を降ろしてきた。
筆者が立っている位置にキッチンカンターを取り付ける予定。引越後、近隣にパン屋がないことが判明し困っているので、ここでパンを焼いて販売しながら地域との接点を設けるというアイデアも温めているそうだ。
筆者が立っている位置にキッチンカンターを取り付ける予定。引越後、近隣にパン屋がないことが判明し困っているので、ここでパンを焼いて販売しながら地域との接点を設けるというアイデアも温めているそうだ。
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仕上げ用のフローロングが片隅に積んであるが、これは展示会場で使われた廃材利用。コンプレッサーも購入したので吹き付け塗装などもDIYする。
床と天井に穴が空いているが、床は既存の地下室に通じており、模型やサンプルの収納に重宝する。そして天井が「西大井のあな」だ。
床と天井に穴が空いているが、床は既存の地下室に通じており、模型やサンプルの収納に重宝する。そして天井が「西大井のあな」だ。
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見上げると4階まで通じており、光が落ちてきている。この「あな」を中心にこのリノベーションは形作られていく。
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2階へ。
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2階では「あな」がその全貌を現しはじめる。
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和室と解体痕のコントラスト。
玄関のタイルや上がり框、廊下の床板を剥がし "土間"として拡張。廊下と階段の境に壁があったが取り払い、広くなった床に「あな」を空けた。
玄関のタイルや上がり框、廊下の床板を剥がし "土間"として拡張。廊下と階段の境に壁があったが取り払い、広くなった床に「あな」を空けた。
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リノベーションやリフォームの現場でよく目にする壁や床と乱れた配線だが、通常と大きく異なるのは天井に穴が空き、ブレースが姿を現していることだろう。
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下は事務所とダイレクトに通じている。当然誤って足を踏み外せば落下することになるため手摺を設置する予定だが、既にこの状態で数ヶ月経過している。
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二間続きの和室はまだ既存まま。海外の友人が遊びに来た際に既に泊まってもらったそうで「面白い!」と好評だったそうだ。
いずれAirbnbで民泊にすることなどを計画。左奥(玄関入って左手)にシャワー室を設ける。
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階段を見上げると4階のトップライトが見えた。薄暗い2階に光や空気が通り抜けるという意図は良く伝わる。
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3階へ上がる途中、床の断面がよく見える。床スラブはデッキプレートにコンクリートを流したコンクリートスラブ。隙間に新聞紙(中空材の代わり?)や、二重床の施工は当時の職人の愛嬌だろうか、、、
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ここまで見て、この建物は施工中で1階の事務所のみが機能していると思ったら大間違いだ。能作・常山夫妻は完全にここで生活し仕事をしているのだ。
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4面に開口がありとても明るい。剥がした天井から配線やシーリングライト、コンセント、ブレーカーパネルまでもがぶら下がり、カーテンもないが、すっかり慣れてしまい特に不便を感じないという。
ただし、これで完成ではなく徐々に仕上げている途中だ。(いつ完成かは分からないが)
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この辺り既存では、2階同様階段に接して壁が立ち、キッチン横の床が広く、洗濯機の向かい側に水回りを仕切る壁があった。施工図がきちんと残っていたのでブレースの位置が正確に分かるためそこを狙って「あな」を空けた。
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そうして垂直方向に空間が広がり、光と空気、気配の全てが連続する開放的な空間に生まれ変わった。
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およそ居住中の住宅とは思えないカット。階段室にあった小窓からも光が注ぎ込んでいるが、既存では壁があったので光は階段室だけのものでしかなかった。
壁はALC板で比較的断熱できているそうだが、今後天井、壁共にセルロースファイバー断熱材と、内窓を取付け二重サッシュにすることで断熱性能を上げていく。
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4階寝室もすごい。こちらも4面開口で非常に明るいが同じくカーテンがないため、朝は早くに目覚めてしまうのではと思うが、二人とも慣れてしまい全く問題なく “定時” まで寝られるそうだ。
問題は4層吹き抜けのため、1階から蚊が自由に上がってくるため蚊帳だけは取り付けた。
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右手が南で電車も通る側になるが、今後の計画では、右手にサンルームを設け、洗濯乾燥室兼防音のためのバッファーとする。
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日射を遮るものがない4階と、隣家の陰になる2階では熱環境が大きく異なる。実際各階に湿温度計が取り付けてあり、訪れた際3℃以上の違いがあった。この吹き抜けに熱交換用のファン付きダクトを通し、季節によって空気を交換できるようにもする。
エアコンがロープで縛り付けられているが、もはや筆者も驚かなくなっていた。
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屋上には太陽光集熱器で温水を作り、1階事務所の熱交換器に送り、そこで温められた高効率の不凍液とペリメーターヒーターで窓際を温める。また太陽光発電も行い蓄電池に充電することなど、屋上では様々なことを計画しているが、斜線によってすぼまっているため面積が限られている。何をどのうように設置していくか悩みどころだそうだ。
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常山未央さんと能作文徳さん。「最終的にはオフグリッド(送電インフラから家を切り離す)を目指しています。お金を掛ければ一気に出来るかもしれませんが、廃材を利用したり、できるだけ環境負荷の少ない素材や設備を検討しながら進めているので、少し時間が掛かりそうです。都会でも享受できる太陽光を利用し、自分たちで実験しながら作り上げていく『都市のワイルドエコロジー』がテーマです。」
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