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五十嵐久枝による「空間を色で着せ替えよう!展」レポート

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五十嵐久枝(Hisae Igarash / Igarashi Design Studio)によるCSデザインセンターの企画展「空間を色で着せ替えよう!展」に行ってきました。
中川ケミカルのカッティングシートが新色48色をリリースしたので、それらのみを使って空間をラッピング。3回に分けて会場を3つの空間に着せ替えるという。

 1回目の今回は「問屋街カフェ」。
中川ケミカルがある東日本橋は元々問屋街で、多くの繊維問屋が軒を連ねていた。

 江戸時代には暖簾に文様や家紋が店の看板として軒先を飾っていた、その風景をイメージした。
ちなみにCSデザインセンターのインテリアはエマニュエル・ムホーさんによる設計。

 江戸時代に和柄の多くが生まれた。「分銅繋ぎ」という縁起の良い文様を中川ケミカルの「川」の文様として引用。


 中に入ると淡い色調に包まれる。これまでビビッドな色調が多かったカッティングシートだが、かねてより要望の多かったペールトーンを発売した。


 最近原研哉さんがリニューアルを手掛けたカッティングシートの見本帖。
カラーチップの上の方に並ぶのが新色ペールトーン。

 モノトーンにも新色。同じ「白」にも幅を持たせ、ハーフマットとマットがそれぞれラインナップされた。


 会場は本当に「カフェ」になっており、紅茶、宇治抹茶ラテ、カプチーノ、ブレンド珈琲を頂くことができる(無料!)。


 会場に一番似合いそうな宇治抹茶ラテを注文。思った通りぴったり。


 五十嵐さんオリジナルデザインのペンダントライトも。


 分銅繋ぎを家紋風にあしらっている。


「新色モノトーン・ペールトーンの柔らかな雰囲気が江戸時代と現代、和と洋の掛け合いを創造させてくれました。」と五十嵐さん。
会場はこの後「オフィス」と「キッズスペース」に模様替えする予定。

【空間を色で着せ替えよう!展】
1st CAFE | 2015年8月27日(木)〜2015年10月30日(金)
2nd OFFICE | 2015年11月16日(月)〜2016年1月15日(金)
3rd KIDS SPACE | 2016年2月1日(月)〜2016年4月28日(木)
会場:CSデザインセンター

【関連記事】
太い手展(出展)


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「RICOH Future House」オープニングレポート

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神奈川県海老名市の「RICOH Future House」内覧会に行ってきました。設計はUDSによる。
本施設はリコーが運営する「人が集い、学び、成長する。そして未来を創造していく場」をコンセプトとした商業施設で、海老名駅西口3分の場所に2015年8月21日オープン。

 敷地面積1,233m2、延床面積2,433m2。S造4階建て。
各フロアに、子供たちが科学や技術を体験する学習エリア、知的好奇心に応えるイベント・セミナーエリア、 まちとともに未来を創るワーキングエリアを配し、幅広い年代の人々がそれぞれの未来を見据えて利用できる。

 デザインコンセプトは「家」。新しいまちづくりに貢献するモノ・コト・ヒトを内包する家だ。
1階にカフェ・レストランとプリントショップ。2階にイベント・レンタルホール。3階に学びの場。4階にオフィス&ラウンジ。

 1階のカフェ・レストラン「PUBLIE」はUDSが運営に携わる。UDSは設計業務だけに留まらず、飲食店やホテルなどの運営も手掛ける総合企画企業。かつて目黒区の老朽化したホテルを「CLASKA」として再生したのは有名だ。


 海老名の自然を空間イメージに取り込み、木や草花が植わり土や石が多用されたインナーガーデンがいくつもある。




 カウンター席や、造り付けソファー席の下には電源が備えてある。


 奥には個室も用意されている。設計前に行われた地域住民へのヒアリングで、「バギーで小さな子どもを連れてきても気兼ねなく飲食を楽しみたい。」といった要望に応え、子どもが騒いでも大丈夫なよう個室にでき、バギーを置きやすいようゆったりとしている。
筆者の背後には調乳・授乳室もある。

 テラス席では各席に専用のガスグリルが用意されバーベキューが楽しめる。


 プリントショップ「RICOH Ebina Creative Shop」(右)。リコーの印刷機を使って気軽にプリントや製本ができる。
とてもオープンな雰囲気のレストランPUBLIEとはシームレスに連続していて、小冊子を作るイベント等も開催される。PUBLIEの意味は「パブリック」「パブリッシュ」「イエ」からなる。

 オペレーターが操作する最新鋭機「Pro C7110S」が2台。B0までプリントできる「Pro L4160」などが導入されている。


 外には印刷や製本サンプル、リコーの複合機もありセルフで利用できる。

 2階にイベント・レンタルホール「RICOH Future Hall」と、「RICOH THETA DOME」。
ラウンジではワークショップやセミナーなどが開催可能。右側には大小4つのホールが並ぶ。


 近頃建築物の撮影にも使われている全天球撮影が可能な「RICOH THETA」が体感できる「RICOH THETA DOME」。


 中はプラネタリウムのようになっており、RICOH THETAで撮影した画像をドーム内で自由に回転させ楽しめる


 午後からのグランドオープン前、プレオープンに招待された子どもたちがワークショップに参加。


 指定の紙に思い思いにキャラクターを描き、それをスキャンすると...


 ディスプレーに映り、自分で描いたキャラクターがレースを始めたり、海の中を泳いだりする。


 3階、学びの場「コサイエ」。
「みらいのツクリテを育てる」をコンセプトに子ども向けの科学技術を体験学習できるスペース。こちらもUDSが運営し、リコー独自のプログラムや様々なパートナー団体がプログラムを提供する。

 コサイエラウンジは、こどもが放課後を過ごす場として、自分のやりたいことを見つけチャレンジする場。
月額料金を払い学童保育としての機能を有し、夕食の提供や21時まで利用もできる。

 この日は東京工芸大学とのコラボイベントも開催されていた。ロボットサッカーはテレビゲームのコントローラーで操作するので子どもでも簡単。



 迷路を作ってロボットネズミをどれだけ迷わせることができるか。


 DJ体験。
右側の外にはテラスがあり、菜園などを造り屋外活動もできるようにする。


 4階オフィス&ラウンジ「RICOH Office & Lounge Ebina」。


 ラウンジはコワーキングスペースとして利用できる。書棚にはビジネス書籍などを充実させていく。


 外縁には会議室やレンタルオフィスが並ぶ。カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が既にオフィスに入居し、近くの海老名市立図書館の運営拠点にするそうだ。


小田急、相鉄、JRが乗り入れる海老名駅の西口は田畑が広がっていたが、大規模な開発計画(141,000m2)によって急速にその風景を変えている。


【RICOH Future House】
場所:神奈川県海老名市扇町 5-7



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永山祐子による「西武渋谷店」のリニューアル

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永山祐子 (Yuko Nagayama & Associates) がインテリアデザインを手掛けた、西武渋谷店5階のファッションフロアに行ってきました。8年ぶりにリニューアルしたファッションフロアは、A館5階婦人服フロアと、B館5階紳士服フロアを永山祐子が、A館3階婦人服フロアを佐藤オオキ/nendoが担当した。

 〈A館5階婦人服フロア/モードプラス〉
テーマは「宮殿」。40〜50代をターゲットにしたエレガントな雰囲気だ。

 レースカーテンのように見えるのはきらびやかなリングメッシュ。柱や梁をさりげなく視界から消している。


 カーテン越しに見える隣の「部屋」と緩く仕切られながら連続し、床の色を変えゾーニング。



 リングメッシュは大きなドレープが出るように波形のレールに固定されている。

 構成はシンメトリー。ハンガーラックや什器も、商品の陳列もシンメトリーに揃えられ、美しい秩序でレイアウトされている。


 宮殿のシャンデリアを思わせるの照明はワーロン紙でできている。


 均質なグラデーションが表現されるよう、内部の光源は微妙に調光されている。


 壁紙はELITIS。フランスから取り寄せた。






 次にA館から渡り廊下でB館へ。渡り廊下のリニューアルも永山さんが担当した。
売り場と同じ色味を使ったフローリングがガラスルーフに反射し万華鏡のように。

 壁面のワイヤーメッシュはグラデーションに染め上げ、奥行きが出るようになっている。


 上部にはガラス作家に吹いてもらったオリジナルのペンダントライトが並ぶ。


 〈B館5階紳士服フロア〉
廊下を渡り終えると髙石優真のアート作品(商品)が出迎える。

 紳士服フロアのテーマは「博物館」。


 什器やショーケースには商品が展示物のように陳列されている。




 標本ケースのような什器。


 外縁にはアーチ型の陳列棚。


 壁面の肖像画に見えるのは、動物や鳥の「肖像画」が描かれている。
博物館の雰囲気を醸し出す商品として、インテリア雑貨や、オブジェなども多く並べられている。



 期間限定、ピニンファリーナのポップアップショップが展開。
左の自転車は240万円也。

 永山さんがセレクトしたガラス工芸作家 松村潔の精密な作品。こちらも期間限定のポップアップショップ。


 男性より女性の方が買い物時間は長いのが常だが、ここでは逆に男性の方が時間が掛かりそうだ。


 ブリーフがビーカーに入れられている。





永山祐子さん。「レディースはルーブル美術館のように、宮殿の部屋ごとに展示スペースを歩いて回るような中で、カジュアルでドレッシー、大人の女性にいつもと違う時間を体験していただけたらと思います。」
「メンズは男心を刺激するようなものを沢山並べてありますので、ゆっくりと博物館を回るように楽しんでください。どちらも時代が変わっても強く、ポップさではない長く愛着を持ってもらえるようにデザインしました。」
A館3階、nendoが手掛けたフロアも公開しますのでお楽しみに。



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日建設計のリリース「新国立競技場整備事業 公募型プロポーザルに向けて」

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日建設計のプレスリリースです。


【新国立競技場整備事業 公募型プロポーザルに向けて ザハ・ハディド事務所と設計チームを組成】

2年間に蓄積した知見を活かし、世界一のスタジアムの実現を目指す

9月1日、新国立競技場整備事業の公募が開始されました。今回は 、以前にも増して非常に厳しいスケジュールで設計と施工を遂行する必要があります。また、公募では工期とコストが優先された配点のバランスに なっていますが、日本のみならず世界中の人々から祝福される新しいスタジアムを実現するには、工期とコストを考慮した提案に加えて、優れた建築計画・デザインも必要です。

日建設計は、2013 年5月より、日建設計・梓設計・日本設計・オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ ジャパン設計共同体(以下、設計 JV)の一社(当社は設計 JV の統括、構造担当)として、新国立競技場のフレームワーク設計、基本設計、実施設計に携わりました。各段階の設計はデザイン監修者の Zaha Hadid Architects と共に進めてきました。

これまでの設計では、敷地特性の分析・把握をはじめ、多様で複雑な機能の関係性を紐解きながらアスリー ト・来場者・管理者等の使い勝手、安全性、快適性、景観などに関して関係機関との膨大な協議を積み 重ねてきました。設計の成果は 4,000 枚を超える実施設計図にまとめ、技術的には建設に着手できる内 容となっています。

今回の公募に応えるための最も有効な方法は、この 2 年間に設計者が蓄積してきた知見と経験を最大限 に活用することだと確信します。当社は、これらの知見を活用するためにデザイン監修者及び設計者は継 続して関与することが望ましいと考えています。このため、Zaha Hadid Architects と設計チームを組成し、 新たな与件の下で次世代に誇れる世界一の新国立競技場の提案と実現に積極的に寄与していく所存です。

■ザハ・ハディド氏のメッセージ(原文)
"Our team in Japan and the UK have worked closely with Nikken Sekkei to develop a design for the New National Stadium for Japan that meets the Government's core principles and it is an honour to be invited by Nikken Sekkei to progress the design together to the revised technical brief.

Building on the two years of work and knowledge in which the Japanese people have invested, Zaha Hadid Architects and Nikken Sekkei are able to quickly develop a comprehensive, fully costed design and, in partnership with a committed construction contractor, the most cost-effective delivery plan that ensures the New National Stadium is ready in good time for the preparations ahead of Tokyo 2020."

A short summary of the video presentation of the existing design can be downloaded and/or embedded at: (Japanese https://vimeo.com/137598381) and (English https://vimeo.com/137598382). 


【関連記事】
建築家からの意見:新国立競技場について
 (ザハのプレゼンテーションが読めます)


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エマニュエル・ムホーらが出展の「新宿クリエイターズ・フェスタ2015」

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新宿駅周辺で開催され、恒例になってきた「新宿クリエイターズ・フェスタ2015」に行ってきました。全ては回りきれないので、西新宿の高層ビル街の様子を一部紹介。

 〈100 colors no.6〉 エマニュエル・ムホー
新宿野村ビル 北側テラスで9月13日まで。

 2013年、2014年に続く100色のインスタレーション。

 「環境に合わせ色のかたちを変化させ、色の魅力を最大限に引き出す。一目で視界に入る100色を前身で受け、色そのもを感じてもらう。」



 灰色が多い西新宿が色の力でパッと明るくなる。




 〈100 colors no.7〉 エマニュエル・ムホー
新宿三井ビル 1階 55スクエアで9月13日まで。


 エマニュエルさんは屋内にも100色を展開。
矢印から入ると中は迷路のようになっており、途中4ヶ所の寛ぎスポットがある。


 中に入ると刻々と周囲の色が変わっていき、エマニュエルさんの色の世界に迷い込む感覚だ。


 寛ぎスポットではクッションが置いてあるので腰を沈めて色に包まれる。


 迷路を抜けると、使われている100色と同じカラーチップが壁に貼られているので、今日の気分の色にシールを貼っていく。


 最後に今後の100色展開を示唆するように〈100 colors mobile no.1〉も展示されている。


 〈単眼的風景:Gruppo del Laocoonte〉鈴木一太郎
新宿野村ビル、新宿NSビルで9月6日まで。

 ラオコーンをモチーフにしたピクセルアート。
「様々なメディアが発達した現代において、我々にとってのリアリティとは身体的体験なのか、視覚的認識なのかという疑問を、ピクセルアート(ドット絵)によって作られた彫刻を制作することで追求している。」

 〈数えられなかった星たち〉 稲葉友宏
新宿住友ビル前広場で9月6日まで。

 「作品を通して皆さんに『想像する時間の豊かさ』を感じて頂けたらと思っています。鉄線を一筆書きの星を描くように曲げて造形した羊たち。作品のモチーフ、フォルム、動き、空間での関係性をヒントに皆さんそれぞれに物語や言葉など、自由に想像を膨らませてみて下さい。」


 〈アナザーワールド : another world〉 山下裕之
ヒルトピアアートスクエア(ヒルトン東京地下1階)で9月8日まで。

 「私達が夜眠りに着く頃、街の風景は別の顔を見せはじめます。昼間の雑踏とした光景とは逆に、夜の静寂さをドラマチックに切り撮り、無機質で機能美な世界観を表現した作品。」


 〈ゴジラ〉 保坂俊彦
新宿中央公園 水の広場で9月27日まで。

 8月の中頃から、制作の様子も含めて公開されていた。


このところ雨が多いので一体どうなっているのかと近付くと、防水のコーティングが施されていた。しかし足元は雨で流され崩れ掛かっていたので今後の台風などが心配だ。

【新宿クリエイターズ・フェスタ2015】
会期:9月6日で終了ですが「アーティスト展」や「まち中アート」はまだ開催しているものもあるので公式サイトをご確認下さい。



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「nendo 1/3 ヒト モノ スキマ」展オープニングレポート

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佐藤オオキ/nendoの個展「nendo 1/3 ヒト モノ スキマ」展のオープニングに行ってきました。会場は表参道GYRE 3階の “EYE OF GYRE” 。
本展は「nendo 3/3」という3つの展覧会を3週間ごと行う、その第一弾。いずれも「モノとその周辺との関係性」から生まれたデザインをテーマにした展覧会。細かく分節されたギャラリー空間のため、3つの会場構成は展示作品に合わせるだけでなく、それぞれ異なる切り口によって空間の特徴を引き出していき、3つの展覧会を連続的に見ることによって1つのメッセージを感じ取ることができる。

 「1/3」では日本各地の職人の技術から着想したデザインを16点展示する「ヒト モノ スキマ」。


 10月31日まで開催されるミラノ万博で出展中のものが並んでいる。


 ミラノ万博での様子(photo: Daichi Ano)


 ミラノとは打って変わって展示台は白いうえに大きく蛇行し、会場を端から端までくまなく巡っている。


 展示されるのは伝統工芸とその技術を活かしnendoがデザインした、13産地、16作品。



 〈波紋によって艶が際立つ漆器〉山中漆器/石川県


 〈単純形態のカトラリー〉高岡銅器/富山県


 〈手に優しい「花」の形をした箸〉若狭塗/福井県


 〈一筋で表す江戸切子〉江戸切子/東京都


 〈カットして漆で継いだ皿〉美濃焼/岐阜県


 〈把手が中身の温度を伝える鋳物〉山型鋳物/山形県


 〈手で柄を楽しむ器〉伊万里・有田焼/佐賀県




さらに地下1階では
 TAG Heuer × nendo × by | n meister コラボレーションの
〈CARRERA TIME MACHINE〉ポップアップブースも展開。


 「老時計職人が営む町の時計屋さんに、修理のため持ち込まれたスポーティーなTAG Heuer CARRERA。」


 「老時計職人は組み立ての際、間違ってビンテージの赤い針を取り付けてしまった。」


  「組み上がってみると時代が全く違うはずの本体と針が妙にしっくりとして、新しい時計へと生まれ変わった。」
というような佐藤さんが空想したストーリーの時計だそうで、世界限定250本。価格は55万円。TAG Heuer直営店及び西武・そごうで9月15日より発売される。

商品はオリジナルのケースと、長針・短針と同じデザインのペーパーカッターとブックマークがセットになっている。

佐藤オオキさん
「ミラノとは違うこの空間だからこその構成をしました。一筆書きで描かれたような展示台は端から見はじめると、途切れることなくいつの間にか最後まで見てしまう、そんな空間になっています。」
「次回2/3では、EYE OF GYREの展示空間から着想した小さなテーブルのコレクション〈border table〉を初披露します。3/3ではモノとモノの関係性に着目してデザインされた、日本初公開のものも含まれる12の作品を展示します。」

【nendo 3/3 展】
会期:

 nendo 1/3:9月11日(金)-10月4日(日)
 nendo 2/3:10月6日(火)-10月28日(水)
 nendo 3/3:10月30日(金)-11月22日(日)
 ※10月5日(月)、10月29日(木)閉場
会場:EYE OF GYRE/GYRE 3F
詳細:http://gyre-omotesando.com


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「SDレビュー2015 入選展」レポート

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9月9日〜9月20まで開催の「SDレビュー2015」入選展に行ってきました。会場は代官山ヒルサイドテラスF棟。

 SDレビューは、実際に「建てる」という厳しい現実の中で、設計者がひとつの明確なコンセプトを導き出す思考の過程を、ドローイングと模型によって示そうというもので、実現見込みの作品を募集している。

入選15作品を紹介
 〈笛路村のバンガロー〉 山本周
兵庫県の山奥にある過疎の農村へ、近隣の都市から毎月農作業をするために訪れる施主の簡易宿泊小屋。
10万円という予算から、村人にも協働してもらうことで共有することを選んだ。地元の材や技術、人と時間を掛けて作るのは遠回りではあるが、都市の住人が訪れるようになり変わり始めた過疎の農村だからこそ出来る試み。

 竹を使ったコンクリート型枠のモックアップ。


 型枠全体の模型。


 〈湖畔の潜望塔/Lakeside Periscope tower〉 アンッシ・ラッシラ/OOPEAA + 山口一紀
フィンランドのセイナヨキ市の湖岸に建つ展望塔。
塔の上部に野鳥観察ができるよう展望台を設けるが、階段を昇ることができない人でも上方からの景色が楽しめるよう大きな鏡を備えた潜望鏡を設置。

 模型の中心、上下で斜めになっているのが鏡。


 1ヶ月前の現地の様子。基礎と足元ができはじめている。杭工事以外のほとんどを学生が手作業で作っていくそうだ。


 〈木の風景〉 伊藤立平
山口県長門市で製材業を営む一家のための、ギャラリーと住宅が一体の施設。
林業が盛んだったが過疎化が進んでいる地域。山の管理から職人の手仕事までのプロセスの構築に取り組み、社長一家が自らの新生活と、製材所、来訪者、地域の人々、家族との関係を築き、活力のある場を生むことを目指す。

 製材所の技術を建築の技術へ取り込む。


 〈ライネ・コミュニティー書庫〉 川原達也 + エレン・クリスティナ・クラウゼ
ドイツ東部の街ライネの公園につくられる集会所。
街の至るところにオープンライブラリーがある街で、このオープンライブラリーを建築化。巨大な本棚と周囲の公園の木々に呼応したボリュームを、木格子の構造により一体化。

 建築を構成する4つのエレメント。


 オープンライブラリーの特徴的な性格である半屋外を継承。


 〈空き家再生データバンク〉 米澤隆
愛知県津島市の築80年の長屋群の再生プロジェクト。
木造住宅のリノベーション手法を分析し、それを元に作成したアイデアの集積と具体的な生活像の想定を組合せ、住人同士で向かうべきビジョンを共有できるよう体系化した。

 1. 「新建築住宅特集」の木造住宅リノベーション事例を15年分に渡って、リノベにおける操作を抽出・分析。
2. そこから得られたリノベ手法のアイデアを創作・集積(現時点で193アイデア)。
3. 実際の生活像を想定したリノベのベース案をユニットモデル化し作成。
4. それらを元に今回の津島市の長屋群リノベに落とし込んで、各住戸と全体の関係性をデザインし、コミュニティを構想。



 「アイデアの種」をデータバンク化し、リノベーション手法を継続的に収集。蓄積し続け、広く共有し、循環させることで日本中の空き家を新陳代謝させ生きている状態に再生する。


 SDレビュー常連の米澤さんは模型のほか、CGムービーも展示している。


 〈音楽ホールの山〉 佐々木翔
長崎県諫早市郊外の音楽ホール付き住宅。
日常的に親戚や友人がなどが多く集まるため様々な居場所が点在するようなパブリックスペースをもつ。音楽ホールの遮音のため、ホールをコンクリートで囲みその周りに諸室を配置。

 1階の半分を地中に埋め、大屋根で包んだ。


 普段は少人数が暮らし、ときには沢山の人で溢れ賑わう。音楽ホールの振る舞いそのもののような住宅。

 〈みんなでつくるツリーハウスの集落〉 山中コ~ジ + 山中悠嗣 + 山下麻子 + 吉松静香 + 満田衛資
京都市左京区、南丹市にまたがる循環型社会構想の実験エリアで取り組む、ツリーハウス集落計画。
クライアントより4つのテーマで進められている。
1. 循環型社会について体験し学べること
2. 未利用資源(間伐材や糞尿)を活用すること
3. 生活や滞在をサポートする拠点となること
4. みんなでつくれる建築を用いること

 計画地では段階的にステージやキッチン、宿泊施設、家畜小屋などがつくられる。


 構造や強度について満田衛資さんも加わり、実験しながら進められていく。


 〈塀の外 塀の内 塀の上〉 石川雄一 + 釜萢誠司 + 佐藤貴洋 + 三宅祥隆
栃木県宇都宮市の住宅。
一方には遊歩道と畑が広がる。台形の式地を三角形と四角形に分けるように、可動式の塀を立てる。

 塀を開けると外部と連続した土間と畑を往来しながら作業をする。屋根には苔が植えられ育んでいく。
この場所でしか存在し得ない建築でありながら、周辺環境と馴染んだどこか日常的な佇まいを目指した。

 〈Otaru Harbor CAFE ― 小樽港第3号ふ頭水上カフェ計画〉 福島慶介(プロデュース)+ 山雄和真
物流の拠点であった港を、市民の巷として取り戻す港湾再開発計画。
小樽は観光客で賑わう運河沿いを挟んで、市民の街と港が分断される構造をもつ。

 大正時代港湾の初期に整備された、第3号埠頭の基部が計画地。水上カフェは港湾振興プロジェクトの中心になることが期待されている。


 角度を変えた床が積層し、それぞれの床を巡ることで小さな建築のなかに最大限の距離を内包し、違う場所の体験を最大化する。


 〈1/1・1/2・1/3・1/4〉 川人洋志
徳島県小松島市の夫婦のための住宅。
単純な秩序で構成されながらも建築を構成する部位、空間は、様々な相互性を持ち、ここに招来される光、風が、住まいを重々無尽の響きで満たす。


 〈陸前高田の高台傾斜地に建つ高齢者施設〉 大月敏雄 + 冨安亮輔 + 齋藤隆太郎 + 川上咲久也 + 紺野光
震災の後、社会福祉法人はいち早く高台斜面に土地を取得し復興の一躍を担うため高齢者施設を建築する。高齢者と斜面地という相反する要素をつなぎ合わせるという、設計者としてチャレンジングな計画。

 自然に囲まれた豊かな場所であることを活かし、できるだけそのままの状態を活かし、敷地に馴染ませる。
1/10の勾配を持つ一繋がりの大屋根によって、ランドスケープと高齢者の生活を結びつける。

 〈都市の中の住宅〉 伊庭野大輔 + 藤井亮介 + 沼野井諭
東京都港区の住宅。
46m2という小さな敷地に床面積を確保するため多層構成とし、廊下を介さず全ての部屋が連続するプランで、ひとつなぎの空間でありながら奥にいくにつれ私的な性格となるような、公私のグラデーションのある空間構成。

 外観では上階に行くに従ってセットバックすることで各室にトップライトを設け、安定した採光環境をつくり出す。



 〈デザイナーの為の移動型店舗〉 小嶋伸也 + 小嶋綾香
ファッションデザイナーの依頼による、世界各地を巡る移動型店舗。
要求されたのは「日本的な和のデザイン」だったが、地震国日本の建築分野が抱える問題の解決の糸口になるような提案として防災頭巾(写真右)を約1,000個つなぎ合わせ、直径8m、高さ4mのドーム型建築とした。

 解体後は頭巾を地震国に寄付し、海外での防災意識に貢献するかたちで、施主の日本的なデザインという要求に応えた。


 〈塔の躯体 門仲のアパートメント〉 伊藤博之 + 上原絢子 + 高塚加奈子
東京都の幹線道路、地下鉄、高速道路にも隣接した都心の集合住宅。
小さな居住空間のためRC造にすれば、柱と梁は大きくなるがそれらの間を断面的・平面的にニッチとしてとらえることで居場所をつくることができる。

 柱の寸法は下階では奥行きが肩幅の倍、梁の段差は腰高ほどもあり人を包むには十分な窪みとなる。一方で、上階では梁は腰掛けほどの高さで、柱も細く明るく開放的になる。


 周辺環境において騒音と振動への配慮抜きに快適な住環境はイメージしにくい。支持地盤は深く、長い杭とアースアンカーが必要になりその深さは50mに達する。


 〈環境をまとう屋根〉 片山馨介(SUPPOSE DESIGN OFFICE)
群馬県太田市の鉄工所の食堂兼イベント施設。
周辺の景色豊かな土地で、限られた予算でいかに許容力のある空間を計画できるか考えた。

 クライアントの鉄鋼加工技術を活かした薄くしなやかな鋼板屋根で空間を構成。厚さ9mmの鋼板の自重によるたわみで出来た自然な形状は捻ることで構造的に安定する。


 屋根という必要最小限の要素で構成することで、豊かな眺望と穏やかな環境を崩すことのない内部空間が現れる。




【SDレビュー2015 – 第34回 建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展】
東京展
 会期:9月9日〜9月20日
 会場:代官山ヒルサイドテラスF棟、ヒルサイドフォーラム
京都展
 会期:9月28日〜10月12日
 会場:京都工芸繊維大学 美術工芸資料館

詳細:http://www.kajima-publishing.co.jp/sd2015/info.html

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エムエースタイルによる横浜の住宅「帷の森」

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川本敦史+川本まゆみ/エムエースタイル建築計画(mA-style architects)による横浜市港北区の住宅「帷の森」のオープンハウスに行ってきました。エムエースタイルにとって初めての関東での仕事だ。
施主はナカサ&パートナーズ所属のフォトグラファー安田誠さん。

 敷地面積100m2、延床面積94m2。木造+一部RC造、2階建て。
施主の安田さんはキューブ形状の建物を望んだ。そこで北側斜線最高点を建物の最高点にし、それを基準に計画が進めた。

 南側は1階と2階をまたぐ3.2m×2.2mの大きめの開口をシンボリックに設けた。


 ファサードはガルバリウム鋼板を縦張りに。


 玄関扉を開けると早速「帷(とばり)」が現れた。
背の高い人であれば2階の床が見える位置。1階は4段分掘り下げてあるが、屋根の高さが決まっているのでそこから逆算で2階の階高、1階の階高を求めていったためだ。

 建物の平面は正方形。中心に二回りほど小さな平面の正方形をコアとして置き、その中に個室や水回りを納めた。


 コアの周囲は回遊でき、外縁に階段室、机や作業台、収納、洗面台などが配されている。


 奥まで行って振り返り子供室と勉強机。右の開口は外観で見えた小窓で、通りの先まで見通すことが出来る。
右奥は大開口に面した物干し。物干しスペースは外構にも設けてあるが南向きで日当たりの良いここがメインになりそうだ。

 コアは十字で分割され、子供室と左に主寝室、右に書斎(もしくは納戸)、対角に水回り。
ガラス引戸の内側にはカーテンレールが見える。

 裏側に回ると、奥から机、作業台、洗面台と連続する。
また1階と2階は、4つの角部分に設けた吹き抜けを介して上下で気配を感じ合うことができる。

 主寝室から。


 安田夫妻が結婚祝いに深澤直人さんから贈られた鳩時計。
1階に置いてあっても2階でハトの鳴き声が聞こえたので、上下の気配を感じるということがよく分かった。

 2階へ。
階段下は玄関と連続する土間のようになっている。

 2階はLDKワンルーム。
壁から数十センチ内側に帷が取り囲む。天井高は3m。

 ソファやテーブルも深澤直人さんデザインのマルニ木工製。


 照明を点けると、グラデーションの光が帷に沿ってカーテンのように降りてきた。


 帷は内の中に外のような中間領域をつくり出し、空間に奥行きと変化をもたらす。
右のテレビスペースは、実際は壁から内側に向かって突き出しているはずなのに、内から外に出た空間のように見える。

 格子の形状や、角材の太さ、間隔は多くのスタディを重ねた。


 帷の裏側から。2階の床は中心部分をコアで支え、4辺の一部を梁で外壁と接合し、4つの角は天井からスチールロッドで支持されている。


 スチールロッドは角材が被され見えない。
また格子は木組みではなくボルト接合され、孔に目隠しがされている。

 キッチンは洗面の上あたりで宙に浮いているように見える。


 そして下を見るとトイレが...


 ダイニングは気分によって、内へ入ったり、外へ出たりできる。


 南側の大開口は帷によって、緩くプライバシーを守ってくれる。



川本まゆみさん。「庭に木々を植えることができないので、屋内でも憩いや癒やしをもたらす森をイメージしました。帷は木々の枝越しに見える風景や、木漏れ日をつくり、そして植物そのものを吊り下げたりすることができ擬似的な森になります。そして内と外、上と下を優しく繋げてくれる中間領域を生み出してくれています。」
「いつもゆったりとした地方でのお仕事が多く、今回のような隣家の迫る首都圏の住宅街は初めてでしたので、厳しい斜線制限、建蔽率、資材を事前に搬入しておくことができないことなど、戸惑うことも多々ありました(笑)」
「また引き受けてくれる工務店さんもなかなか見つからず、結局地元静岡の工務店さんが、近くにアパートを借りて受けてくださいました。」

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相坂研介による「あまねの杜保育園」

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相坂研介/相坂研介設計アトリエによる千葉県船橋市「あまねの杜保育園」の内覧会に行ってきました。
2013年のコンペで勝ち取ったプロジェクト。

 敷地面積2,051m2、建築面積1,067m2、延床面積1,493m2。S造2階建て。


 城壁のようにも見える外観は園児達を守ること、不審者を心理的に寄せ付けないようなイメージだ。

 エントランスは東西からそれぞれ、自転車・歩行者と、車での登園に振り分けられ安全に配慮されている。
左には建物のコーナーが円弧に切り取られ、閉鎖的にならないように内と外を繋いでいる。
ファサードは押出成形セメント板。

 エントランスは両側が引戸になったピロティになっており、職員室の前を通る。


 ピロティを抜けると外観とは打って変わって開放的な空間が現れる。


 池、砂場、築山を配した園庭をウッドデッキ、2階の外廊下、ルーフテラスが取り囲む。そして屋上にはブリッジが掛かるのが見える。
庇の出幅は2m。園庭に向かってテーパーが付いており、スラブの厚さより薄く軽快感を出し、空がより広く見えるように工夫されている。

 建物の白い部分が幅1.3mの壁柱で、その間に各室内空間が納まる。
正面上部の塔屋とそのヴォリュームが外観で突き出して見えた部分で、屋根にはソーラーパネル設え、池の水を循環させる電力を得る。

 子どもが好きそうな築山。
またルーフテラスに降った雨水は2階のタンクに集められ、滑り台の下に見えるパイプから川に流される。


 1階には事務スペースのほか、0歳〜2歳児の保育室。保護者や園児は土足のまま保育室までアプローチできる。


 石の感触も楽しんでもらいたいとのことから、水道の水受けには職人が一粒ずつ丁寧に埋め込んだ玉砂利を洗い出し、グレーチングには石が接着されている。


 0歳児の保育室のみ床がコルク張り。また受け渡しもしやすい場所で、避難口も備わる。
(写真に映るのは0歳児ではなく内覧会に遊びに来ていた子どもたち)

 地域からも様子が伺えるよう、開口に面した庭やフリースペースが備わる。


 3〜5歳児(幼児)の食堂。奥に見える調理室は床レベルを下げ、食育のため子どもが作業を見られるようになっている。


 動線が交差する部分。


 2階へ。ダイナミックな空間構成もあえて子どもに見せている。


 二層吹き抜けの高さをもつ遊戯室。集会や卒園式のほか幼児のお昼寝にも使用する。活動的になる幼児は保育室外に移動し、食堂同様シーンを切り替える。


 2階廊下。


 幼児保育室。トップライトも設けられ、活動的な雰囲気だ。


 天井が傾斜しているのは、この後紹介する屋上に関係する。


 各部屋のロッカーの下には冷気の吹き出し口がある。夏場、築山のトンネルから吸入された空気が、地下で冷やされここから吹き出してくる。
孔の径は乳児の小指が入らないサイズ。

 2階の廊下はルーフテラスへ連続する。


 ルーフテラスから突き出した3つのボリュームは3階部分のように見えるが、左はエレベーターの塔屋、中央が遊戯室の吹き抜け、右が階段の庇になっている。
手前の手摺部分からは築山への滑り台が見える。またデッキには夏場プールも置かれていた。

 「ひな段テラス」。屋外でのイベント、発表会などに利用できる。


 右を見るとスロープでさらに上へ上がれる。


 ルーフテラスにも庇が3ヶ所。日陰があれば真夏や雨でも屋外活動が可能だ。


 ルーフテラスには菜園を設けた。
幼児の部屋で見えたトップライトは10mm+10mmの合わせガラスを採用。


 屋上菜園や、二重床になった全面ウッドデッキは断熱にも大きく貢献する。


 必要不可欠な設備ではないがブリッジを架けることで回遊性が生まれ、視点も大きく変わることで園児の活動は広がる。

 ブリッジから。保育園と、同時期に計画された整備中の市営グラウンドが隣に見える。そのため運動会等はグラウンドの利用が可能になるため園にグラウンドは必要ないと提案したそうだ。
また、さらに奥に見えるのは大学の桜並木なので、ルーフテラスから借景を楽しむことも出来る。

 ルーフテラス最上部(左は遊戯室の吹き抜け)。今後手前と奥の庇のフックを利用してロープを張り、アスレチック遊びができるようにする。



 園庭を見下ろす。砂場、池、築山はそれぞれ楕円形で優しいフォルムなのが分かる。

相坂研介さん。「コンペの後、園とは二人三脚で計画を進めてきました。第一に安全性、子どもを守るということ。それだけでは閉鎖的になりがちですので、外部や地域との接触部分もバランス良く設けています。」
「内部は園庭を中心にどのフロアまで行っても高い回遊性を有し、子どもを活動的にします。色彩に関しては子ども向け施設だからといって原色を使わずに、木や石など自然の色に囲まれた、大人でも十分楽しい空間体験をしてもらいたいと考えています。」


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サポーズデザインオフィスによるアニエスベーの旗艦店「Rue du Jour (ルー デュ ジュール)」

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谷尻誠 + 吉田愛/サポーズデザインオフィスによるアニエスベーの旗艦店「Rue du Jour (ルー デュ ジュール)」が銀座にオープン。内覧会に行ってきました。
ブランド誕生40周年を迎えたアニエスベー、全5ブランドライン、FEMME / レディス、HOMME / メンズ、ENFANT / ベビー&キッズ、 VOYAGE / バッグ、TO B. BY AGNES B. / シスターラインに加え、SPORT B. (スポーツべー)、インテリアクッズのライン LA MAISON SUR L’EAU(ラ メゾン スール ロー)ラインが日本初登場。
[agnès b. / Rue du Jour in Ginza, Tokyo by Suppose Design Office]

松屋銀座裏に位置する「松屋銀座マロニエ通り館」の1階から3階までを占める。「Rue du Jour (ルー デュ ジュール)」とは、1975年にオープンしたパリ1号店がある通り名のジュール通りに由来することから、この店舗がアニエスベーにとって重要な位置付けだということが伺える。 


 ファサードはラーチ合板と木目の大きいパイン材、そしてサッシュもパイン材。銀座の数あるブランドのきらびやかな旗艦店の中で、合板がファサードに使われているのはかなり新鮮で、逆に目を引く。


 1階、FEMME / レディス。店内に入ると素材感たっぷりの什器と、スチールのフレームで組み上げられた天井が大きなポイントだ。


 店内の床に幾つも置かれている箱は、フランスでよく使われているという通函。


 天井のフレームにはガラスが張られ、天井に曖昧な奥行き感をつくり出している。


 また天井のガラスは屋外の風景も映り込ませることで、屋内に屋外が浸透してくるようだ。


 アニエスベーがいつか店内でやりたいと言っていたカフェ、le café du jour(ル カフェ デュ ジュール)を併設。ここだけで味わえるアニエスベーオリジナルブレンドコーヒーは300円から。
カフェはサポーズの地元、広島発祥のObscura Coffee Roasterが監修。

 コーヒーを片手に店内を回ってもよいし、ベンチに腰掛けることもできる。
9本の角材を束ねただけの重量感たっぷりなベンチ。


什器の左に扉があります。実は。

 店内の随所に表現されている写真はアニエスベー自身が撮影したもの。


 1階の奥には「The first mirror that remembers you.」と書かれたデジタルミラー。
ゲストで来ていた豊田エリーさんに使っていただき、ミラー(カメラ)の前で1回転。その様子がリプレーされるので、後ろから見た様子が分かるというもの。データはスマホにダウンロードできる。その他バーチャル試着で服のカラーも変えてみることができる。

 LeModuleDeZeer(ルモジュールドゼール)とのコラボアイテム。


 ルモジュールドゼールが直接壁に描いたモジュールペインティングは階段室で見られる。ポスカ(uniのマーカー)で描いていくそうだ。
この階段は期間ごとに様々なアーティストでよって彩りを変えるギャラリーとして活用する。

 2階、VOYAGE / バッグ、TO B. BY AGNES B. / シスターライン、SPORT B. (スポーツべー)。
1階と同様の雰囲気でまとめられている。


 3階、HOMME / メンズ、ENFANT / ベビー&キッズ。床が足場の古材を敷いたフローリングに変わる。


 中央にはキオスクのような温室のような中庭をイメージしたスペース。


 フィッティングルームの前には、フランスの店舗で使われていたが、クロスが破れて使われなくなったソファーのクロスを貼り替え、カバーを掛けここでリユース。腰掛けのような不思議な座り心地のソファだ。


 フェイクや装飾を良しとしないアニエスベーに合わせてデザインしたハンガーラックは、木を削りだして製作。


 什器にも足場の古材を使い、表面的なエイジングではない本当のアップサイクル感を出した。


 什器は全て床にベタ置きはせず、脚を付け軽快感も出している。こちらでは脚にH鋼を使った。


 こちらはミラー仕上げのハカマ板を回し、目立たせずに床から持ち上げている。


 3階の窓際にはインテリアクッズのライン LA MAISON SUR L’EAU(ラ メゾン スール ロー)のセレクト小物が並ぶ。手前の什器は、前出の温室で(大きすぎて)切断されたビンテージ什器と新規に製作したものを接合し、新旧の対比。


「本国のアニエスベーの店舗を先入観なしで見ることから始めました。素材やその質感をありのままに表現しながら、それらの素材同士の対比。店内へ外部をさりげなく取り込む内と外の対比を大切にデザインしました。」と谷尻誠さん、吉田愛さん、担当の西永竜也さん。

【アニエスベー Rue du Jour (ルー デュ ジュール)】
東京都中央区銀座3-7-1 松屋銀座マロニエ通り館



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工藤和美+堀場弘「2014年度JIA日本建築大賞 受賞を祝う会」

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工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H「2014年度JIA日本建築大賞 受賞を祝う会」の様子をお伝えします。

会場は祝賀会の発起人の一人である槇文彦の設計によるスパイラルのスパイラルホール。
他発起人として芦原太郎、新谷眞人、伊東豊雄、妹島和世、千葉学、原広司、東京都市大学工学部建築学科一同、東洋大学理工学部建築学科一同が名を連ねる。

 受賞作品は熊本の山鹿市立山鹿小学校。「学びの原っぱ」と「学びの街道」が作り出す「幸せなローカリティ」がテーマで、オープンな中庭をまちの一部として捉え、地域の文化や活動と一体になることができるユーティリティ性を備えている。


連続する切妻屋根と、今までにない「南京玉すだれ梁」が特徴。

シーラカンスK&H共同代表、工藤和美さんと、堀場弘さん。


関係者や建築家仲間が約260人参列。


会の司会進行には工藤さんたってのお願いで成瀬友梨さん、藤村龍至さんが指名された。


まず始めにJIA(日本建築家協会)会長、芦原太朗さんより祝辞。


建築メディア研究所 大森晃彦さんによる審査の経緯の報告。


東京大学での二人の恩師である原広司さんより乾杯の音頭。


乾杯の音頭のはずが、いつ終わるとも知れない爆笑のトークが続いた。


そしてしばしの歓談タイム。

















少々遅れて槇文彦さんが来場し祝辞を。








 その後山鹿小学校の児童や、小山薫堂さん、妹島和世さんなどよりビデオメッセージが寄せられた。


佐藤淳さん、新谷眞人さん、伊東豊雄さんが登壇した鼎談。それぞれ山鹿小学校の構造について、金沢海みらい図書館の構造について、ぎふメディアコスモスについてプレゼンテーションが行われた。


そして学友、千葉学さんの祝辞。


「初めて工藤さんが話しかけてきたとき、20代の工藤さんはポロシャツを着ていた。」
「どんどん先へ行く二人を憧れの目で見ていた。」などと会場の笑いを誘った。




























































最後にシーラカンスK&Hスタッフ全員と、堀場弘さん、工藤和美さんの挨拶。
「我々の作るものは全部違う。どこに行こうとしているか分からない、という言葉を頂きますがそれは本当に褒め言葉で、どの建築も全て条件が違うわけですから、いつも違うものが生まれます。これからも全て初めてのことと捉え取り組んでいきます。」

「お花をいただけるのと、会の参加者へのお土産があるとの事だったのですが、二つわがままを言わせて頂きました。一つはこの会の会費にもし余剰があるようでしたら、参加者のお土産の代わりに、今手掛けている(東日本大震災の被災地)東松島市野蒜小学校の家具制作に充てて頂きたい。もう一つは、今回の山鹿小学校の子どもたちの歌声を聞いて、それをお土産にしていただきたい。」


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シンガポールの国際アワード「FuturArc Prize 2016」エントリー受付中

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Small Things, Big Impact | Eco-puncture for more liveable, resilient cities

Our cities and neighbourhoods, the complex flows of people and resources that support them, are mostly in place and functioning, successfully or otherwise. But often, the meso-scale between building and infrastructure is neglected — that subtle realm between private development and urban network, that tenuous in-between world between planned and unplanned. This is our commons. It might be civic space, it might be nesting place for birds; it might be a conduit for water. It may well be all of the above. This space functions or dysfunctions informally, with no assistance or attention. And because it has no name, no custodian, it is left to waste or (worse) eliminated in endless cycles of urban renewal.

What if we could claim that space with small acts of eco-puncture? What would that look like, and more importantly, what manner of change would that offer? How might many small things — functioning as discrete elements but acting together — trigger a systemic change, giving us more liveable, more resilient cities?

FuturArc Prize is open to professional architects and architecture students.
15 September 2015 to 21 December 2015.
Prize money to be won.



シンガポールの国際アワード「FuturArc Green Leadership Award 2016」エントリー受付中

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FuturArc Green Leadership Award 2016 invites entries for:

Green projects defined as new, restored, rehabilitated or converted, which must be completed before 21st December 2015. The projects must be located within Asia or Australia. Entries are invited in six categories:

    1.     Residential – Individual Houses
    2.     Residential – Multiple Houses
    3.     Commercial
    4.     Institutional
    5.     Interior
    6.     Socially-Inclusive Development

The competition is open to property developers (listed and non-listed); registered architects; and other professionals in the building and construction industry, and the award recognises the TEAM behind the completed project.


The project – defined as new, restored, rehabilitated or converted – must be completed before 21st December 2015.
The project must be located within Asia or Australia.

Closing date for online submission: 21st December 2015.
Winners' notification: 4th April 2016.



塚田眞樹子による「すきまアトリエ」

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塚田眞樹子/Makiko Tsukada Architectsによる練馬区の住宅兼アトリエ「すきまアトリエ」を見学してきました。(取材は昨年の竣工直後)

 敷地面積91m2、建築面積46m2、延床面積86m2。木造2階建て。
南側に大きく突き出した特徴的な庇に何か意味がありそうだ。

 駐車スペースの上にはルーバーもあり、ツル植物に覆われていく予定。
外壁はモルタルに着色し、撥水材が吹き付けられている。

 奥には勝手口が設けてあり、その上に勝手口の庇を兼ねたバルコニー。
手前にはしだれ桜が植わる。

 玄関を入ると黒く囲まれた空間に、切り絵のように切り抜かれた白い壁が現れた。
右が個室で、左は納戸とトイレになる。

 奥へ進み右を見ると、大きな吹き抜け空間に黒い箱が五つレイアウトされていた。
施主夫妻は、それぞれ画家と研究者で、互いに仕事に集中できるようなスペースと、共有できるスペースを望んだ。
ここから見えるのは、左の壁にご主人の絵を掛られるギャラリーとして大きな空間を取り、奥が寝室の箱でその上がアトリエ。右の箱が奥さまの書斎で、その上がラウンジ、さらに上がってLDK。

 ギャラリーの奥まで行って振り返る。書斎の箱の半分は洗面・浴室で、左の扉は勝手口。玄関の上は書庫になる。


 洗面・浴室。


 寝室。クローゼットの脇には扉があるので寝室は閉じることができる。それぞれのベッドの下も収納になっている。
右奥の階段はアトリエに通じているが、常用の動線ではないので天井扉が付いている。

 2階へ。見上げると北向きのトップライト。吹き抜け空間への採光はこのトップライトのみだ。
その他に照明はフロアアップライトや右の壁などに見えるスリット照明のほか、箱の上から天井に反射させる間接照明が備わる。

 2階ラウンジ。1階同様、箱の外側の空間はパブリック的な位置づけで、絵画鑑賞やゲストなどとの歓談に最適。
4段上がった箱はLDK。

 ラウンジを振り返ると変形した箱の書庫。書庫とLDKの箱は梁としても機能している。


 LDK。白と黒のコントラスト。ダイニングテーブルは正面のスチール製の冷蔵庫ボックスにキャンティレバーで設えた。
右側のブラインドを開けるとバルコニーが現れ、リビングスペースと連続する。そして奥はアトリエへ通じる。


 アトリエもトップライトでギャラリーと同じ採光に。



 机の下を覗くと正に「すきまアトリエ」。


 箱の間に生まれた隙間が表情豊かな空間を生み出している。

 ラウンジへ戻り書庫からの眺め。隙間越しにアトリエが覗いている。


書庫の床は傾斜し、緩いステップを上がりながら北側の開口に面する。


上がった先はドライスペースの洗濯機置き場に通じている。


 書庫を振り返ると大きな庇の意味が分かった。書庫の箱は台形の敷地の角度に合わせラッパ状に広がり、その角度は庇へと引き継がれ、敷地と路地を連続させる装置になっていた。
家と街の中間的なこのスペースで読書を楽しむことができる。

「お施主さんから頂いた要望を受けて、プライベート的な部屋を五つの箱に納め、箱の外側をパブリック的な空間になるように箱の内外を操作し、小さな敷地でありながらも多様な生活シーンと、空間に変化や広がりを作りました。」と塚田眞樹子さん。

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川添善行、原田真宏、吉村靖孝が参加の「紙のかたち展」

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10月2日より開催の、川添善行、原田真宏、吉村靖孝が参加の「紙のかたち展 - まるめる、かさねる、ひっぱる」のオープニングに行ってきました。

会場は神田錦町の竹尾 見本帖本店2階。

 「2013年「ハンドメイド・ストラクチュア」に続く、建築家による紙の展示会の第2弾。3人の建築家が紙の新しい可能性を探り、建築やプロダクトへの活用を提案。四角いシート状の紙を『まるめる』『かさねる』『ひっぱる』ことによってつくりだされた新たな『紙のかたち』をご覧ください。」(展覧会概要より)
グラフィックを担当したのは田久保 彬。


 〈紙の家具〉川添善行/川添善行・都市・建築設計研究所
紙の持つ力学的特性に着目し、面内応力、剪断力、圧縮力という応力系に対して最適な形態を持つよう考えた。
日本人の暮らしを囲んでいた紙の存在が戻ってきたとき、どのような紙のかたちを見付けることができるのか。


〈ブックチェア〉の展開図。一枚の紙を切って貼っただけのものを、何枚か重ね昔の本と同じ “和綴じ” してある。


 川添善行さん。

 〈dome book〉原田真宏マウントフジアーキテクツスタジオ
紙は軽くてしなやかであるが、繊維方向によっては曲げに強く、丸めると張りが現れる。
子どもたちが紙に触れ、平面が立体へと形を変える過程を楽しむことができる。


 紙でできたドームを作るブック状の工作キットで、各ページを扇状に切り取り、それを丸め282組の円筒を幾何学的法則に沿って組み立てると、しなやかな全体となって空間を形成する。
キットには取説、テープ、クリップなどが紙の中に一体で収まっている。

この日原田さんは海外出張のため、代理で出席していた芝浦工大原田研究室の学生、井上慧祐さんと荒井俊貴さん。

〈Paper Log/ペーパーログ〉吉村靖孝/吉村靖孝建築設計事務所
木の断面を顕微鏡で見るとダンボールのようだ。木は紙の主原料であることを考え合わせ、重ねたダンボールが木の拡大模型のように見え面白い。Paper Logは片面ダンボールを丸めて作った丸太で木に似た性能を持ちながら非常に軽い。

 来場者は、この丸太をビニール紐で縛って自由に何かを作ってもらいたいそうだ。


 吉村靖孝さん

 
 企画・ディレクションの中崎隆司さん(右)「2回目の開催ですが、今回も3人の建築家が魅力的なものを作ってくれました。これからも続けて、紙の新しい可能性を引き出していく展覧会にしていけたらと思います。」


(※紹介した全ての作品は、出品者がその知的財産権を保有しており無断で模倣することはできません)
[Each designer retain the intellectual property rights in all the works introduced here. Reproduction or imitation of these works without written permission is strictly prohibited.]

【紙のかたち展 - まるめる、かさねる、ひっぱる】
会期:2015年10月2日〜11月20日
会場:竹尾 見本帖本店2階(千代田区神田錦町3-18-3)

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隈研吾ディレクションによる「つみきのひろば」/東京ミッドタウン

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10月16日から開催のTokyo Midtown Design Touchの関連イベント、隈研吾Kengo Kuma & Associatesがディレクションを担当したメイン企画「つみきのひろば」プレスビューに行ってきました。

 会場はミッドタウンの芝生広場。


 隈研吾とmore treesのコラボで生まれた「つみき」。宮崎県産の杉を使って隈さんがデザインした積み木で、売上の一部を森のめぐみを活かすプロジェクトに活用されるそうだ。


 その「つみき」を拡大し、大人も子どもも楽しめるインスタレーションを展開。


 <つみきのトンネル>照明が設置されているので夜には違った表情を見せてくれる。



 <つみきのやま>登って遊ぶことはできないが、隈さんらしい木組みの構築物になっている。




 他に3組のクリエーターによる、つみきを使った作品も見られる。
<Bird House Stand>鈴木啓太

 <木ヲ見て森ヲ見ズ 森ヲ見て木ヲ見ズ> ミヤケマイ、佐野文彦
立体物と、平面である影で異なる見え方が現れる。

 <Relax & Joy tsumiki garden> 齊藤太一



 また、ミッドタウン3階には「つみき」を1000個使った松村和典による <つみきのまち> が展示されている。


「つみき」はミッドタウン内のTime & Styleで購入できます。

【Tokyo Midtown DESIGN TOUCH - つみきのひろば】
会期:2015年10月16日〜11月3日
会場:東京ミッドタウン・芝生広場


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フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"レポート

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東京ミッドタウン内21_21 DESIGN SIGHTにて10月16日より始まる「建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"展」プレスビューに行ってきました。
[ Exhibition "Architect Frank Gehry 'I Have an Idea’ ]

本展は、世界的に活躍するフランク・ゲーリーの「アイデア」に注目し、その実現にいたるプロセスをひもとく展覧会である。100点を超えるプロセスの模型やオブジェのほか、代表作の建築空間を映像で体感できるプロジェクションや、建築家の素顔に触れられる「ゲーリールーム」などで構成。"建築展"ではなく、"建築家の展覧会"として、ゲーリーのアイデアを多角的に紹介するというもの。
展覧会ディレクターに田根剛(DGT.)を起用し、巨匠の建築家の展示を、新進気鋭の建築家がいかに読み解き紐解くのかというゲーリーとの対話が見所だ(会場の建物を設計したゲーリーの長年の友人である安藤忠雄との対話でもある)。

フランク・ゲーリー氏と田根剛氏。
展覧会ディレクションを手掛けた田根剛(DGT.)の他にも、チームメンバーに企画協力に瀧口範子、技術監修に遠藤豊(LUFTZUG)等が名を連ねる。

展覧会のコンセプトは、2013年12月、田根氏がはじめてゲーリー氏に面会した際に決まったという。
「ゲーリー建築の中に世界を変えることのできる"アイデアの力"を見出しました。生命力があり、喜びを与え、そして居心地が良い建築はどのように生まれるのかという経緯と、ゲーリー氏がどのような人かについても紹介したいと思いました。これからはアイデアの時代がやって来ます。本展を通じて、これからアイデアの力が未来を作るというその可能性を感じてもらえればと思います」

<ルイ・ヴィトン財団(フランス・パリ、2014)>
エントランスには2014年10月にオープンしたゲーリー最新作の美術館1/50模型。

複雑に重なり合うガラスの外壁は、帆船をイメージしてつくられた。


<ゲーリーのマスターピース>
3つの代表作の撮りおろし映像が安藤建築の壁面にプロジェクションされている。
「ゲーリー建築のスケール感を体感できるものにしました」と遠藤豊さん。

ギャラリー1【ゲーリールーム】 
ゲーリー事務所にあるミーティングルームに着想を得て構成している。ゲーリー自邸の模型、映像、ゲーリー自身のアイデアの原石となるようなオブジェ、そして仕事とはまったく関係のない様々なものを通じて86歳のひとりの人間としてのゲーリーに触れる。
壁面に映し出されているのは、2003年にウォルト・ディズニー・コンサートホール竣工の際に発表されたマニフェストを、再びゲーリー自身が読み上げる様子を本展のために撮りおろしたもの。

<ゲーリー自邸>(アメリカ・ロサンゼルス、1979)
安価な素材を組み合わせて築60年の中古住宅をリノベーションした。
「彼の自邸を訪れたときに感じた、見た目に反してウェルカムで包み込まれるような温かさは、ゲーリー建築の本質だと感じました」と田根氏。

発想の源である素材の塊。


壁面には、かつて選手としてならしたアイスホッケーのユニフォームや写真、絵画、書籍、スケッチなど。


<ウイグル・サイド・チェア><ウイグル・スツール>には座ることもできる。
完成した会場を初めて見るゲーリーは、当然のようにウイグル・サイド・チェアに腰掛け、会場を見渡し思わず “Wow!” と感嘆していた。

壁面や展示台の至るところに、心の内を語る言葉が並べられている。
※Dezeenでも大きく取りあげられていたこの言葉は記憶に新しい。

ギャラリー2 
<アイデアグラム>
アイディアとダイアグラムを合わせた造語。
田根氏によって「建築」「人」「技術」に分けて整理されたゲーリーのあたまの中身。

 ゲーリー事務所では、日々膨大な模型が制作される。ここでは6つのプロジェクトから、90点近くの模型と竣工写真、スケッチを展示。アイデアを試し、壊し、ときに捨てながら、アイデアが形になっていくプロセスを紹介する。

箱が積まれた島が5つあり、それぞれ作品が完成するまでのプロセスを辿ることができる。


<UTS/シドニー工科大学>




 <ル・ルボ脳研究所>



<エイト・スプルース・ストリート>
マンハッタンに建つ76階建ての超高層マンション。保育園、小学校、オフィスと900ユニットの住居を含む複合施設。

<メイク・イット・ライト>
2005年のハリケーン・カトリーナ後、ブラッド・ピットが設立したメイク・イット・ライト財団による被災した住宅を対象とした再建プロジェクト。150軒の実現(現在100軒まで完了)を目指し、その中の1軒をゲーリーも設計した。

<ルマ財団>
フランス・アルルの中心にある工場群を改造して作られるアート研究と実験のためのキャンパスと公園。2018年完成予定。

この密度。




<Facebook本社 西キャンパス>
依頼を受けてわずか3年で延べ床40,000m2の建築を竣工させた。

幅6mのロサンゼルスにあるゲーリー事務所の写真。広大な空間に安価な木材を利用してつくられたデスクや本棚が並び、その上には無数の模型が並べられている。

外壁素材のバリエーション。ゲーリーにとって外壁とは建物の内部機能を柔らかく覆うものを指し、決して外側だけの飾りを指すものではない。
[photos: Andrew Prokos]

実際に使われた発色チタンのサンプル(新日鉄住金製)

ゲーリー・テクノロジー>
ゲーリー事務所では二次元図面ではなく、初めから模型で思考を進めるという。90年代にコンピューターを利用すれば複雑な形状の建築を建設関係者などにデザインを正確に伝えられることを発見した。初めは戦闘機の設計に利用されていたソフトを使いながら、その後専門家を雇いソフトを洗練させていき、今では設計プロセス全てをコンピューターデータで関係者全員と共有する。
ゲーリー建築は高額な工費に見られがちだが、これらのテクノロジーでコストを制御し、必ず予算内に収めるという。
その手法は会場奥のスクリーンで田根氏のナレーションと映像で解説しているが、撮影禁止のため是非会場で。

しかしゲーリーはこのように言う。
また「コンピューターの図面は私の気を削いでしまうので、余り見る気にならない」とも。

最後の展示室、<ゲーリーのシークレット>
ゲーリーの描いた魚のスケッチと模型、彼自身が撮った数々の工場の写真を展示。これまで語られたことのない、ゲーリーのアイデアの秘密に迫る。

フランク・ゲーリー氏を迎えたQ&Aセッションは100人以上が参加し大盛況。

ゲーリー氏の今後について聞かれた質問に対して、
「I'm addicted to making buildings」と仕事を楽しむ現役感を漂わせつつも、息子さんが建築家になることを決めたことや、現在生後一ヶ月の孫がいることなど、顔を綻ばせながら語った。

【建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"】
会期:2015年10月16日〜2016年2月7日
会場:21_21 DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン)

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中村拓志による体験型インスタレーション「Diving Bell」

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ミラノサローネで活躍する日本人デザイナーや日本企業に焦点を当てる「Salone in Roppongi」。今年も東京ミッドタウンのDESIGN TOUCH関連イベントとして、アトリウムで展示が始まった。


第3回目となる今回は、中村拓志とイタリアのハイエンドスポーツウオッチブランドOFFICINE PANERAI(オフィチーネパネライ)とのコラボレーションによる体験型インスタレーションだ。

テーマは“Diving Bell”すなわち潜水鐘と呼ばれるかつての潜水装置。会場には5台のDiving Bellが設置されており、球形の装置に入ると映像と音により深海の世界を体感することができる。

装置の内部は視界全体を360度覆う球体のスクリーンとなっている。
球体は職人によって、ヘラ絞りで一つずつ手作業で作られたものだ。

装置内部。光と音により、深海へ徐々に潜っていくような、境界のない無限の空間を疑似体験することができる。

中村拓志さん
「パネライの時計は、イタリア海軍特殊潜水部隊のために製作されたことから始まりました。パネライと海のつながりを表す意味のあるインスタレーションにしようと思いました」

パネライの時計コレクションも。

Tokyo Midtown DESIGN TOUCHの他イベントと併せて是非訪れてもらいたい。

【Salone in Roppongi】
会期:10月16日〜10月25日
会場:東京ミッドタウン アトリウム(B1)

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「TOTOギャラリー・間 30周年記念展/アジアの日常から」レポート

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10月17日から開催の「TOTOギャラリー・間 30周年記念展/アジアの日常から:変容する世界での可能性を求めて」のプレスカンファレンスに行ってきました。
[TOTO GALLERY MA 30th Anniversary Exhibition
The Asian Everyday: Possibilities in the Shifting World]

展覧会概要:「1985年の創設以来、私たちを取り巻く状況が加速度的に日々刻々と変動し明日の姿が見えにくくなっている今、本企画はアジアという共通項で結ばれながら多様な背景をもつ人びとが一堂に会し、互いの物語を共有し、違いを認め合い、未来に向けての共通の課題を見出すための試みです。そしてまた、各自が拠って立つ場所への批評的な視点と日々の真摯な実践にこそ、新たな日常を拓く力が生まれ得ることを確認し、ともに次の一歩を踏み出したいと願っています。」
アジア各地から5組の建築家を招いての展覧会だ。



 展覧会に先立って行われたプレスカンファレンスでは、TOTOの代表取締役古部清氏の挨拶、30年の歩みのムービーが映し出された。

 展覧会ゲストキュレーター:エルウィン・ビライさん(右)。
会場デザイン:藤原徹平さん(左)。
ビライさんは「この困難な時代に、私たちはいったいどのように建築に取り組めばよいのか。めまぐるしく変化する世の中に、はたして建築は追いついているか。いったい建築は、私たちの日常生活にとって何なのか。その答えを見つけるために、アジアから5組の建築家を招き、問いへの答えを探りたいと思います。」
「21_21でフランク・ゲーリーの展覧会も始まりましたが、彼は30年前ギャラリー・間の最初の出展者でした。その後プリツカー賞を取りましたが、この5組もいつかプリツカー賞を取ってくれる方達だと信じています。」

 出展者:
日本からo+h共同代表の大西麻貴さん、百田有希さん。

 ベトナムからヴォ・チョン・ギア [VO Trong Nghia]さん(右)。
中国からチャオ・ヤン [Yang ZHAO]さん(左)。

 タイからチャトポン・チュエンルディーモル [Chatpong CHUENRUDEEMOL]さん(右)
シンガポールからリン・ハオ [LING Hao]さん(左)

 藤原さんから展示会場の構成についてプレゼンテーションが行われた。
前回の25周年展とは趣向の違うものにしようと思ったという。

 3つのキーセンテンス。そして会場構成の大枠を各建築家に投げ掛けた上で、一度全員でシンガポールで打合せをした。どのような展示にしたいかを出してもうらうと、思った通り見事に皆ばらばらだった。


それらを調整しながら、アジアの気候や環境の多様性を表現するかのように、3階をまず「Nature and Architecture」、3階中庭を「Architecture with Nature」、そして4階を「Architecture and Everyday life」というエリアに変化させているので、それらが連続することで “アジアの日常” が見えてくる。

 3階展示室。


 〈地方都市への参与と介入〉 チャオ・ヤン
4作品の模型と映像、パネルを展示。中国の地方都市大理は、経済発展が目覚ましい大都市とは異なる風景や現実がある。それらを映像を交えながらまちの日常を紹介。

 〈双子ホテル〉 中国・大理/2012


 〈往時の風景〉 リン・ハオ
小さな島である都市国家シンガポールを表現。国家事業として街も自然も独自の世界を作り上げてきた。そんな自然に緩やかにつながる特定の環境下にある小さな商店街や住宅地。

 島(土)には草が植えられ、種から蒔いた植物がすでに芽を出している。
「是非目線を下げて見てもらいたい」そうだ。

 3階中庭。
〈地球のためにできること〉 ヴォ・チョン・ギア
圧巻。竹で組まれた架構のインスタレーション。

 一人当たりの緑地面積が世界一少ない都市ホーチミンでは、経済発展するほどに人々は幸せを失っている。今後の建設をサスティナブルに実行するために竹を使用する。


 竹はベトナムのものを現地で加工し、日本に持ってきた。3年ものの竹を上下切り落とし、中程のものを6mくらい使用する。防虫と腐食防止のために木チップと牛糞のスモークでで数週間燻す。曲げてある部材は鉄枠に入れ成型するそうだ。ベトナムから3人の職人と学生も加わってが2週間掛けて組み上げた。
スモークされた独特のにおいがするので是非訪れて欲しい。

 4階展示室。
〈経験の一部としての建築〉 大西麻貴+百田有希
人が建築を体験するとき、まちから建築へのアプローチし、どのように出て行くか、そこまでに様々な体験が存在する。そういった経験全体の一部として建築を考えれば、その土地にとって自然なものを設計できるのではないか。

 〈Good Job! Center〉奈良県/2016
障害のある人の仕事をつくりだす施設。
空間をできるだけ感じてもらえるように大型の模型を制作した。

 〈デザイン屋台〉 チャトポン・チュエンルディーモル
テーマを受け、風土的なものとしてタイの屋台をすぐに思いついた。タイではこれを様々に改良し工夫して使っている。展示台にすることで簡単に解体し、別な場所ですぐに展示が可能になる。

屋台の後ろを歩くのは次回出展を担当する岸和郎さん。「若い人たちのこんなにエネルギー溢れる展示に負けないようにしなくては。」と話された。

 〈ナンダ・ヘリテージ・ホテル〉 タイ・バンコク/2015


タイが凝縮されたような楽しい屋台。

また展覧会に合わせてTOTO出版から刊行された「アジアの日常から/The Asian Everyday」。
出展者それぞれがページを構成したそうだ。

【TOTOギャラリー・間 30周年記念展
 アジアの日常から:変容する世界での可能性を求めて】
会期:2015年10月26日〜12月12日
会場:TOTOギャラリー・間


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「Under 35 Architects exhibition 2015 / 35歳以下の若手建築家による建築の展覧会」レポート

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U-35 Under 35 Architects exhibition 2015 | 35歳以下の若手建築家による建築の展覧会(以下 U-35建築展 )のプレスプレビューに行ってきました。

昨年は石上純也氏が審査員長を努めたU-35建築展。今年は藤本壮介氏が審査員長を務め、国内外に拠点を持ち幅広い視野を持つ個性的な以下6組の建築家が選抜された。
植村遥、岡田翔太郎、金田泰裕、北村直也、佐藤研也、高濱史子(五十音順)


U-35建築展のオーガナイザーを務める、建築家・平沼孝啓氏。
AAF(アート アンド アーキテクト フェスタ)が主催する、U-35建築展は、2010年に開催が始まり今年で6年目を迎えました。第6回目の開催は大阪中央口前・うめきたシップホールでの開催となり、建築専門の方に限らずより幅広い分野の方たちに開けた展示となりました。本展では、これからの活躍が期待される35歳以下の若手建築家に発表の機会をあたえ、これからの建築の可能性を提示し、多くの人に向けた展示・発表を行うことを目的としています。


基本となる会場構成は、平沼孝啓氏が手がけている。
照明はパナソニックのテスト用のLEDスポットライト、カーテンとカーペットは丹青社、家具はUSM、テスト用の高照度のプロジェクターはキャノン。若手建築家の発表だけではなく各企業が開発中の製品も会場で試されている展示を計画された。


2010年から2015年までの展示の様子と書籍が並べられ、年代を追って見ると、U-30、U-35建築展が若手建築家の登竜門となってきていることが分かる。


【出展者と作品の紹介】

 <マージュ> 植村遥
2年連続選考され今回2度目の展示となった植村の展示は、南アフリカのスリナムの首都であるパラマリボに計画されるアルツハイマーケアセンターのコンペ入選案と、南オランダのゼイランドという人工的な島を自然に還そうとするプロジェクト案。


「Alzheimer Hospital」
昨年の展示に引き続き、人間が持つ感覚を形に落とし込んだコンセプチュアルなアプローチが目立っていた。この模型は、アルツハイマーケアセンターのランドスケープのスタディ模型。

アルツハイマー患者の脳細胞からインスピレーションを受けて出来た屋根の形態のスタディ模型。

「shiwa」
オランダ政府が近年に沈める南オランダのゼイランドという人工島にアートプロジェクトとして島自体をモニュメントとして考えるプロジェクト。植村は、その歴史をどのように残すかという問いかけから島の住人のポートレイト写真を集め、人間の歴史として刻まれる「皺」を合成して形を起した。引き潮になると姿を現すというランドスケープのコンセプト模型。

審査員長を務めた藤本壮介氏を筆頭に講評に集まったU-35の一世代上 A-40 (Around 40) 建築家たちに展示の説明をする植村遥氏。


<地方都市に描く夢> 岡田翔太郎> 
最年少の出展者である岡田は、卒業設計展で日本一となった石川県出身の建築家。展示は、岡田の地元である石川県七尾市のお祭りに登場する巨大な山車「でか山」を中心に置いたまちづくりの計画と、実現はしなかったが、自ら七尾市の老舗温泉旅館のオーナーに提案した別館新築設計計画を展示。地方都市をどのように未来へ繋げていくか地元の七尾市を見直しながら岡田が生涯かけておこなうプロジェクトだという。

でか山のまち構想計画具現化に向けたプロジェクトの模型。

金沢駅前に計画された温泉旅館別館新築設計の模型。


<まだ見ぬ建築> 金田泰裕
金田は、パリと東京に拠点を持つ構造設計家。構造設計家がU-35建築展で初めて選考された。構造設計家がどのように自身の作品を展示をするのか、注目と期待が集まった出展者のひとりである。
構造設計家の視点から考えられた展示台は、厚さ1.0mm以下のアルミニウムで加工したテーブル。素材のはっとする使い方には驚かされる。テーブル上には構造についての説明、国内プロジェクト、海外プロジェクト、建築家との共作など、金田が全て執筆をした書籍が並べられた。

建築家との共作などを事例に建築家が言葉にしきれなかったことを、構造の視点から「建築」を「言葉」という形で表現することを試みている。金田が建築家と設計をおこなう際に大切にしているプロセスは、建築家が抱く内的イメージを共有し、それを金田自身で言語化することでプロジェクトの「骨格」つまり「構造」を考えること。設計した建築家自身もまだ経験していない空間「まだ見ぬ建築」を言語化する展示とした。

谷尻誠氏にプロジェクトの説明をする金田泰裕氏。

金田が言語化したプロジェクトをまとめた本は、それぞれ数十ページにわたる。

新潟県で開催された「水と土の芸術祭2015」。建築家・金野千恵氏とのプロジェクト「timeber messager - 山から海へ旅するカフェ-」の過程を、模型を用いて展示。移動の度に木材を小さくし、空間も機能も形を変えていく。最終的には小さな丸太となり、燃料となる。金田が構造設計家として素材に対する想いを提案したプロジェクトとなっている。


<ビッグスケールな建築をつくる> 北村直也
展示のタイトルとなっている「ビッグスケールな建築」とは、建築の大小のスケールではなく、大きなスケールに連続していく建築を意味している。自然環境、風景、時代、に繋がっていくような建築のスケールを感じて欲しいと考え、発泡スチロールの大きなテーブルに余白をあえて多く作って7つのプロジェクトを並べている。この余白からプロジェクトの大きさを超えたスケールを感じてもらいたいと提案された。
模型は全て発泡スチロールに水彩で着色。背景を含めての立体的な絵となる。

「田園の住宅」
今回の6組の展示の中で北村が唯一、実際に建てた建築を展示している。
田園の住宅は、竣工した作品のひとつである。外壁を一筆書きした中にそれぞれの機能を持った空間ボリュームが母屋にくっついたような住宅を提案。


「空気膜の建築」
骨組みのない柔らかいトランポリンのような空気膜の構造計画案を万博のプロジェクトから発展させた、SF的なプロジェクトの構想。

「都立家政の住宅」
東京都内の住宅街での戸建住宅の計画。角地という敷地を利用して、かまぼこ型のボリュームを道路側に配置し、家の裏に出来る限り広い庭を作ることで、道路からの視界のもう一方の道路へ視界が抜けるようにした。元々オープンスペースだった場所の性質を失わないように、住人のためでも、街のためでもある住宅を提案。

藤本壮介氏、五十嵐太郎氏、倉方俊輔氏らに展示の説明をする北村直也氏。


<断片としての11のテーブル> 佐藤研也
佐藤は建築を学び、オランダの建築事務所を経て、2012年よりオランダのアーティスト Arno van der Mark の事務所のパートナーとなり、パブリックアートから建築、ランドスケープ、都市スケールのリサーチまで幅広い活動をしている。現在はアムステルダムと東京を拠点に活動している。

展示は、具体的なプロジェクトを展示しているというよりは、現在、佐藤自身が興味を持っている断片的な11つのものを展示。コントロールと偶然性を繰り返して造形されたオブジェは必ずしもひとつの答えを持っているわけではなく、出来たものを見て一度立ち止まって考えるというプロセスを大切にし、その時に最善と思われるものを選択をしていく手法をとっている。

「デジタルトポグラフィー」
約2.5mmの薄い板を張り合わせて作られている18mmの構造用合板の木目をトレースして、ミリングマシンで深度を設定して削り出すと露になる重なっていた部分の木目を更にトレースして削るという、システムと非システム、アナログとデジタルの行き来をし、その繰り返しをすることで出来てくる三次元的な表情を読み取る。ここからランドスケープや住宅などの構想の材料となる。

「考える手」
ものづくりの時に色々なマテリアルを実際に触りながら試行錯誤して自分が何をやったのか素材と対話しながら制作する佐藤の頭の中を垣間みるようなものたちが並べられている。目的を持ってつくったものや目的がなく作ったものをごちゃ混ぜにして展示している。

「オープンスケール」
地図に色のフィールドを重ねてオランダの街の橋の色を決めるひとつの道具として、または住宅の配置図を重ねて壁の色を決めたり、都市のスケールから住宅、プロダクトと自由にスケールを行き来し、また自由に制御が可能な色のフィールドを提案する装置のようなものを考えた。


<shelf museum @ +ft+ tokyo office> 高濱史子
建築家は自分自身が様々なスケールの人間になって空間を疑似体験することを意識して生きている。日常で目にするものたちの中で 1 / 20 のスケールの人間になったつもりで空間を体験するという行為を建築に携わっていない人たちにも楽しんでもらえるような展示を考えられた。

U-35建築展の展示空間のスケールを自身の事務所で測定してみるとほぼ同じ大きさであることから、事務所をそのまま移設し、事務所で使っている棚を「shelf museum」として、ミュージアムプロジェクトの1 / 20 の模型空間に見立てた展示と、最新プロジェクトをいくつか紹介している。

「shelf museum」

オフィスにあるプリンターやノートパソコン、本などを実測し、スタイロフォームで制作。

「Boutique in Singapore 2015」
シンガポールで進行中のブティックのプロジェクト。香川県出身のメンズファッションデザイナーのブティックの計画。日本的なものをテーマに、抽象化した枯山水を要素として取り入れている。


【U-35 記念シンポジウムの様子】
毎年恒例となった記念シンポジウムでは、若手建築家6組に加え、一世代上のA-40 (Around 40) 建築家達をゲストに熱いトークが繰り広げられました。
ゲスト建築家 : 芦澤竜一、五十嵐淳、石上純也、谷尻誠、平田晃久、平沼孝啓、藤本壮介、吉村靖孝
進行 : 五十嵐太郎、倉方俊輔  


【U-35 Under 35 Architects exhibition 2015 | 35歳以下の若手建築家による建築の展覧会】

会期:2015年10月16日(金)~31日(土) 12:00~20:00 開催期間無休 
            最終日 10/31(土)は17:00最終入場 18:00閉館
入場:¥1,000
会場:グランフロント大阪 うめきた広場 2F うめきたシップホール
   〒530-0011 大阪市北区大深町4-1
詳細:http://u35.aaf.ac/

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