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黒崎敏/APOLLOによる杉並の住宅「ARK」

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黒崎敏/APOLLO (Satoshi Kurosaki / Apollo Architects & Associatesによる杉並の住宅「ARK」を見学してきました。JR中央線荻窪駅から10分程の場所。

敷地面積117m2、建築面積58m2、延床面積111m2。木造+一部S造、2階建て。ファサードにはリン酸塩処理亜鉛メッキされた鉄のルーバーが個性を出している。


ルーバー部は切妻の建物から突き出していることが伺える。


下へ入ると上部は抜けており、建物側半分はグレーチングを張ったバルコニーになっていた。


シンボルツリーにはジューンベリーを植えた。暫くしたら赤い実がなりそうだ。
足元にはライトアップ用の照明も備わる。

玄関を入ると奥まで一直線の動線。左の鏡の裏は水回り、奥へ主寝室、書斎と続く。


室内を進むと中央に中庭がぽっかり口を開けていた。


中庭を中心にして主寝室、左右に書棚が並び、


一番奥に夫妻それぞれの書斎がシンメトリーに配置されている。
中庭に植わるのはこちらも果樹、オリーブだ。

書斎奥から見返す。


2階へ。


2階LDK。切妻屋根に現しの垂木、そして壁両面には造り付けの家具が整然と配置されている。
床は1階・2階共にウォールナット材。

階段の上は階段状に書棚。隣にはキッチン。




キッチン側から見ると、向かい側にはマガジンラック、ピアノスペース、AVラック、バルコニーと続く。


明かりを点けるとこのように垂木を美しく照らし上げる。
照明はシリウスライティングオフィス (Sirius Lighting Officeが担当。

バルコニーに出ると、存在がほとんど分からない強化ガラスの手摺により開放的だ。
ルーバーはプライバシーを確保しつつも風は抜けるようになっている。ご覧のように通りを行く人との視線も合いにくい。

室内に戻り奥は、1階と同様に中庭を挟んで鏡像型に子供室が設けられている。
中庭は2階ではデッキが張られたバルコニーになっており子供室同士を連続させ、螺旋階段から屋上へ通じ立体的な動線に。この後すぐ分かるのだが船の甲板に上がるようなイメージだ。

反対側の子供室から。

バルコニーからはシンメトリーな構成が良く分かる。


屋上(甲板)からもシンメトリーに。
「お施主さんと話を進める中でノアの箱舟のイメージが生まれ、象徴的なフォルムとしてシンメトリーを基本とする格式性のある空間を表現しました。

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新国立競技場の設計でザハと契約解除を検討

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スポーツ報知が「新国立設計ザハ氏と契約解除へ…文科省など」と報じています。

検討新国立競技場の整備計画が大幅に見直される問題で、文部科学省などがデザイン監修者としたイラク出身のザハ・ハディド氏(英在住)の事務所との契約解除を検討していることが5日、分かった。政府関係者が明らかにした。ザハ・ハディド・アーキテクツ側と設計を変更するよう交渉を行い、不調に終わった場合、契約を解除する方針だ。

 政府関係者によると、現行案の「キールアーチ」と呼ばれる幅約370メートルある2本の鉄骨部分が最大のネックとなり、現状の構造を維持する限り、整備費や工期の見通しが立たないと判断した。

 すでに当初案から規模などを約2割縮小しており、ザハ氏側に再度の設計変更を依頼することは、難しいとみている。「キールアーチ」は、新国立の構造で根幹部分を構成していることから、修正した場合でも微調整にとどまるという。そのため、政府は違約金や訴訟の際の損害賠償額などを考慮した上で、契約解除に向け、合意を目指すとしている。

 当初、約1300億円としていた新国立は奇抜なデザインや規模の大きさから整備費は3000億円まで膨張した。デザインを変更して規模を約2割削減、14年5月には整備費用を約1700億円に圧縮したが、それでも工期に間に合わないことが今年2月ごろに判明した。

 五輪後に開閉式屋根を設置することや、座席の仮設化を検討したが、業者側は見積り額を、通常の競技場の5倍以上となる約3000億円と試算。文科省などは資材を見直すなどコストダウンを図ったが、約2500億円にとどまった。

 迷走する新国立の整備計画について、政府関係者は「契約解除で訴訟になるケースも想定しているが、ザハ氏との契約が解除できるか、検討している」と話した上で「デザインが複雑な場合、忠実に再現できないケースもある。造れるとしても、当初の整備費を1000億円以上超えるのはあり得ない。2019年のラグビーW杯に間に合わせたい」と危機感をあらわにした。今後は、文科省、日本スポーツ振興センター(JSC)に加え、文科省から費用の一部負担を求めれている東京都、内閣府などが新国立問題に対応する方針。




日刊スポーツがその後「新国立競技場、賛否のアーチ形屋根予定通り建設へ」と報道

新国立の関係者によるとJSC幹部が8日、ザハ事務所に対し、一部報道があった「契約解除」について事実無根と否定し、「キールアーチ」と呼ばれるアーチ型屋根を建設する現行案で進める方針を伝えた。その場で19年ラグビーW杯までの完成を目指し、協力し合う意思確認も行われたという。



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木下昌大による千葉の週末住宅「山の家」

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木下昌大 (Masahiro Kinoshita / KINO architects) による千葉県の山中にある週末住宅「山の家」を見学してきました。
[Mountain House]

敷地面積6,458m2、建築面積188m2、延床面積161m2。木造+一部S造、2階建て。
緑溢れる山間の広大な敷地に、十字型の黒い建物がポンと置かれたような雰囲気。
南北の軸を少しずらし、どの部屋へも陽が入るように配置。十字型により自然に触れる面積を増やし、各部屋からは同じ自然でも少しずつ表情が異なる眺めになるような計画。

敷地の端には10台以上が停められそうな駐車スペース。右側の木々も敷地内で15m程下には川遊びも出来るせせらぎがある。


よく手入れされた芝生にアプローチが弧を描く。周囲には四季それぞれ表情を変えるカツラ、シラカシ、ナツハゼが植わる。


南側は一面の芝生。施主はほぼ毎週末訪れ芝の手入れをするそうだが、これだけ広いと乗用芝刈機を使っても数時間を要する。
ここまできれいにするにはかなり苦労があったそうで、長年放置され大変荒れた敷地だったため、まずは整地というより開墾に近い作業が必要だったという。


アプローチから玄関へ。


玄関を入って左は客間。右はリビング・ダイニングへ。


リビング・ダイニング。L字型の大開口に対して左にダイニングとキッチン。右にリビング、工作室とが面する。


シンプルなインテリア。「設計的には、やろうと思えば何でもできるところですが、自然と静かに向き合うことが前提なので落ち着いたシンプルな仕上げにしました。」と木下さん


キッチン上の2階はカーペット敷きのプレイルーム。寝転がりながら満天の星空を眺めることも出来る。



リビングの奥から。正面は玄関へ通じる。


建物の中心にはオーブン付きの薪ストーブが鎮座する。冬に向けて薪を割るのもここでの過ごし方の一つだ。
次に、右奥の水回りや寝室へ進む。

浴槽は家族皆で入れる位のサイズがある。掘り下げて緑と空を眺められる。


こちらも全員で寝られるよう広めの寝室(約10畳)。額縁のように切り取られた庭と和室が調和している。


リビングへ戻りテラスへ。テラスへの出入りは実は両翼一枚ずつの扉だけで、間のガラスは全てフィックス。開閉部が少ないうえに引戸ではなく扉にしたのは隙間をできにくくし、虫の侵入を最小限にするためだ。
また天井に2本H鋼の梁が見えるが、テラスの鉄柱へ接続しこの入隅部分の屋根を支えている。それによりサッシュのフレームは構造でなくのるので細くすることができる。


テラスからはこの眺め。敷地境界はここから60mほど先と思われる。施主は「仲間がたくさん集まれる場所にしたい。」と望み実際テントが幾つも張られたキャンプ大会も催された。


テラスは地面より少し持ち上げられているが、 “動物が棲み着かないように” と側面を塞いである。


この日は午前中雨模様だったが昼には雨も上がり、バーベキューで昼食をご馳走になった。





木下昌大さん。「山と空が連続し輪郭が曖昧で、かつこれだけ広い敷地に初めは圧倒されました。しかもここでは何でも作れてしまいますし、どんな形をどこにでも置くことができてしまう難しさがありました。そこで周囲の自然を背景にした建物をそっと置き、4つの入隅によって4つの庭を作り、漠然と広がっていた自然と建物を無理なく繋げ、自然と人との幸せな関係もサポートできるよう目指しました。」


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西田司/オンデザインによる鎌倉の「丘の上の住宅」

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西田司+海野太一/オンデザイン  (Osamu Nishida / Ondesign)  による鎌倉の「丘の上の住宅」の内覧会に行ってきました。

 敷地面積389m2、延床面積219m2(+車庫35m2)。RC造+木造3階建て。
北側のメインエントランスは随分上にあるのが見える。

 南側にはセカンドエントランスが階段の下に覗いている。こちらは徒歩のみでアプローチできる。
敷地は山の上の比較的低木が生い茂る林だったところを切り開いた。

 メインエントランスへ。
当日はまだ施工中で、階段の手摺も未設置、ガレージや外構等々未完の箇所がまだあった。

 エントランスを入ると左に下足入れ、頭上にはVistosiのシャンデリア 〈ジョガーリ〉 が吊り下がる。

 4段上がってリビング。
ここは山頂の敷地の3階。バルコニーからはどんな景色だろうかと気になるがまだ我慢。

 ここがこの建物の最上階と思ったが、左にはさらに階段を上がって和室へ。
石張りのテレビボードの裏からバルコニーへ出られ、右の窓の外にもまた階段が見える。

 エントランス側を見返す。
テレビボード上の天井にはスクリーンと、左側にはプロジェクター、開いた穴にはサラウンドスピーカーがそれぞれ設置される。

 ダイニングキッチンは表情を変え、床はタイル張り、キッチンカウンターにはトラバーチン。

 トラバーチンは板材ながらこの大きさの一枚もので設えた。
食器棚の裏はパントリーになっている。

 ダイニングからは南と西側の景色を望むことが出来る。
この3階を基準にしてまず眺望を確保。そこから下へ建物を計画していったようなイメージだ。

 テレビボードの裏側から屋外へ出ると「山の上テラス」と名付けられたバルコニーが現れた。階段でもう一つ上へ。

 山の頂上のさらに頂上。すり鉢状の街並みと太平洋が広がる景色。
(画像をクリックで拡大)

 山沿いに発生する上昇気流に乗るトビが泳ぐように眼前を飛ぶ位置だ。

 次に1階まで降りて、セカンドエントランスから。こちらは海へのダイレクトなルート。
浮造加工された杉板型枠を使ったコンクリート壁の中は、右が寝室、左は収納、正面に水回り。

 奥から見返すと、右にトイレ、書斎、納戸。上部の格子部分はロフト収納。


 たっぷりの空間を取った階段ホールは、窓辺にラウンジスペースを設け桜を楽しむことができる。2階には子供室があり、もう一つ上がるとリビングへ。

 階段ホールを外から見るとこのように。視点が上がりながら変わる景色を楽しめる仕掛で、外部階段もその延長だということが分かる。

 2階子供室は将来分割できるようにした。

 模型を見ると複雑な平面に多様な上り下りがあることが確認出来る。

 海辺からは坂道を少し汗ばむくらい登ってたどり着いたが、建物の中にはさらに階段がたくさんあった...

西田司さん(左)とパートナーの海野太一さん。
「この丘の傾斜をあたかも建物の中にまで連続させたような立体的な構成と、敷地への2方向のアプローチに合わせ、建物内にも2方向のからアプローチを持たせました。周辺環境にある海、山、森と合わせ建築と風景の関係が一体となり、豊かで変化のある生活環境が生み出せるよう計画しました。」



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「動きのカガク展」レポート/21_21 DESIGN SIGHT

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東京ミッドタウン内21_21 DESIGN SIGHTで6月19日より始まる企画展「動きのカガク展」のプレスビューに行って来ました。

本展は "動き" がもたらす表現力に触れ、観察し、その構造を理解し体験することで、ものづくりの楽しさを感じ、科学技術の発展とデザインの関係を改めて考えるというもの。
クリエイティブディレクターの菱川勢一が展覧会のディレクションを担当した。


作品は "動き"という視点で作家や学生、企業との協働によって制作されたものばかり。様々な動きの醍醐味を感じ取れるよう体験型作品がメインで遊ぶことができる。子供にも興味を持ってもらえるような工夫として、作品ディスプレイと動きの原理を解説したイラストやアニメーションがセットになっているのが特徴だ。
会場構成は宮崎晃吉/HAGI STUDIO。


 図工室をイメージした会場。
「学校では以前より図工や音楽の時間などの創作の場が少なくなっています。子供の頃のものづくりの喜びや大切さを感じてもらいたい」という菱川氏の想いが込められている。


 <124のdcモーター、コットンボール、53×53×53センチのダンボール箱>
スイスのアーティスト、ジモウン/ZIMOUNによる作品。作品タイトルは使用したマテリアルそのもの。


 作品の内部。積み上げられた段ボール箱にモーターが内包され、そこに吊された小さなボールの付いた振り子が揺れながら音を立てる。創作の原点は音楽というジモウンは、身近な素材を用いた作品で知られており、日本での作品展示は今回が初となる。


各作品には、有孔ボードと単管パイプを使ったパネルが用意されている。作品タイトルに加え、作家が使用した道具やマテリアル等作品の背景となるようなもの、ポストイットには展覧会ディレクター菱川氏による手書きコメントが光る。



 <アトムズ>
岸 遼 
子供の頃に吹いて遊んでいたもの。きちんとプログラムしたらどうなるか、という作品。

体験型作品には、このようなガイドがあるので遊び方は一目瞭然。
参加作家でもあるパンタグラフによるイラストだ。

 <統治の丘>
ユークリッド(佐藤雅彦+桐山孝司) 
黒い絨毯を歩いて円形の台の上に立つとセンサーが働き、白い円錐たちが一斉に自分の方を向いてくれる。


素直に指示に従ってくれる動きは正に領主と領民の関係。突然皆が言うことを聞いてくれなくなる=影響力を失うという、味わったことがない瞬間を味わう面白さも。


 <森のゾートロープ>
パンタグラフ
まわる虫眼鏡で見ると、森の中のアニメーションが動き出す。

 <セミセンスレス・ドローイング・モジュールズ #2(SDM2) - レターズ>
菅野 創+やんツー 
来場者の書き込んだ文字を人工知能が収集、解析し、モジュールの先端に取り付けられたボールペンが文字のようなかたちを描くインスタレーション。展覧会はスタートしたばかりであり、ほぼ真っ白な壁。展示期間中、成長し、どのような線が表れるかが注目される。


書き込み用のノート。



 <動くとのこる。のこると動く。>
藤元翔平
LEADモーションセンサーで手の動きを記録し再生する。


 <変幻灯>
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
動かないはずの静止画が動く錯覚の現象。動きの情報が投影され、揺れて見えるという全く新しい技術を体験することが出来る。


 <プロジェクト・モーション/サイクル>
東北工業大学 クリエイティブデザイン科 鹿野研究室
メカニカルな仕組みをメカニカルを使わずに動きをつくった。
鹿野護(WOW)によるワークショップも予定されている。


 <シックスティー・エイト>
ニルズ・フェルカー
ドイツ人アーティストによる作品。プログラミングされたポンプを使い、68枚のポリ袋が波のように伸縮し呼吸するような動きを見せる。因みにドイツではこの青色に加えてグレーのポリ袋が主流とのこと。


 作品の動きの原理は、パネルに取り付けられたアニメーションでチェック。


 <ロスト #13>
クワクボリョウタ
LOSTシリーズの新作。


 <水玉であそぶ>
アトリエオモヤ


 <リフレクション・イン・ザ・スカルプチャー>
生永麻衣+安住仁史


<そして、舞う>
鈴木太朗


 <ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン(レプリカ)>
メルセデス・ベンツ日本株式会社 
1885年に制作された世界初のガソリン自動車(会期中、試乗イベントを予定!)


会場は、モーター音や不思議な動き、大人も子供も皆わいわいと楽しめる仕掛けでいっぱいだ。

【動きのカガク展】
会期:2015年6月19日〜9月27日
場所:21_21 DESIGN SIGHT
詳細:www.2121designsight.jp/program/motion_science/



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「単位展 」レポート

「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」レポート




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落合正行/PEA...によるリノベーション「ワカミヤハイツ」

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落合正行/PEA... /ピー(Masayuki Ochiai / PEA...) による足立区のアパートリノベーション「ワカミヤハイツ」の内覧会に行ってきました。
都営日暮・里舎人ライナーの谷在家(やざいけ)駅から3分程。

 敷地面積410m2、建築面積139m2、延床面積278m2。木造2階建て、二棟。
オーナーとPEA...によって立ち上げた「あだち農まちプロジェクト」の一環として、 "農がつなぐコミュニティライフ"をテーマに地域コミュニティの創生を目指していく。
棟を繋ぐ看板はそのまま流用。

 築39年、8住戸のアパートは近年空室が目立ってきていた。建て替えや、土地の分譲なども検討したが、オーナーのご家族が大事にしていた建物・土地を残しながらリノベーションすることを選択した。
そして賃貸住居として6住戸、1住戸分にシェアオフィスと、1住戸分のラウンジを設けた。

 1階は2階と同様に腰壁がついたバルコニーになっていたが、腰壁を取り払い前庭と連続させテラスのようなロッジアのような空間が生まれた。
前庭には既に畑が耕され様々な野菜が植え付けられており、今後入居者と手入れをしていきたいそうだ。
またオーナーは近所に農場も所有しており、そちらを本プロジェクトの第二段としてソーシャルファーム(貸し農園)としてコミュニティに活用していく。

 1住戸分をコミュニティの中心となるラウンジとしてコンバージョンした。ラウンジは定期的な収益を上げられないリスクを伴うが、付加価値スペースとして期待される。


 棟と棟の間には “路地庭” を設け、単なる通路から住人たちの出会いの場に。


 建物の周りにはランドスケープデザインのLIデザインアソシエイツにより20種以上の草木が植えられ、その多くは食べられる実を付ける。


 ラウンジ内はコンクリートタイルによって半分以上が土間になっている。
小上がりのデッキスペースではプロジェクターの投影も可能。左奥にはキッチンも備わり、様々なイベントで活用されるだろう。

 このラウンジは、住戸・シェアオフィス入居者の利用は、制限内で自由に利用できる。


 裏側に回って各戸へ。階段は老朽化していたので補修し、踏面をグレーチングにすることで暗くならないように配慮してある。


 1-Bシェアオフィス。
桧フローリング部分に4席のデスクと、モルタル部分にミーティングスペース。
欄間や砂壁、柱、敷居、鴨居はそのまま残されている。

 モルタル部分は床を下げ天井高を取り、土間のような雰囲気に。


 1-Aの住戸。1階の各戸は同様に土間仕上げになっているが、サッシュもそのまま使う事を選択したので、掃き出しで外部に連続はしていない。


 キッチンの位置はいくつかのタイプがある。


 2階へ上がって2-B。
左に見えるのは下足入れ。奥に洗面台と洗濯機置き場。左奥に浴室。中央に見える扉は右の居室の扉。

 リノベ前の写真では、下足入れの位置は同じ。洗面台が無く奥に和式水洗トイレが覗いている、、、ということはトイレがどこかに移動したことになる。(写真:PEA...)


 居室へ入って奥から見返す。1階とは異なり天井を梁まで上げ、天井高を取っている。
キッチンは床の間だったスペースに収まり、右の押し入れを開けると、、、

トイレが現れた(!)
リノベ前は洗濯機が外置きだったが、近頃はそうもいかないので室内に置くことになる。すると建具は基本現状維持であることから、こうならざるを得ないタイプが生まれる。位置的にはなくもないだろうが、引き違い戸と天袋で一気にユニークな存在へ。

 天井を剥がすと出てきたやんちゃな施工跡はそのまま “味” にした。
建物全体は要所要所に構造用合板でパネル式の耐震補強してあるのでご安心を。

 2階同志は路地庭を挟んでこのような雰囲気。


 1-D。
1-Aでは土間がキッチンだったが、ここではリビングに。旧家の広い玄関のようにも見えるし、農家の土間にも見える味わい深い空間だ。そのまま残した砂壁も各戸に。

落合正行さんは日本大学理工学部まちづくり工学科にも勤める。「農を通じて住人同士、ご近所同士、そして地域が互いに補いながら緩やかに繋がる。そんなことを目指すプロジェクトのスタートです。」


【あだち農まちプロジェクト】



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松島潤平によるマンションリノベーション「Text」

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松島潤平(Jumpei Matsushima / JP architects)による、世田谷区のマンション1室をリノベーションした「Text」を見学してきました。
築40年以上を経過したマンションで、玄関を入ると一直線の廊下を挟んで左側に個室が3室、右側に収納や水回りが配された典型的な3LDKレイアウトだった。(82m2)

 施主はリノベに当たって寝室や将来の子供室を、と考えてしまうと既存と変わらなくなってしまうので、大きな1K空間にしたいと望んだ。


 既存の仕上げを剥がし現れた躯対は水平垂直が大きく歪み、壁や天井も波打ち、、、


 それはあたかも洞窟のようだったという。


 コンクリートの中には施工時の “忘れ物” 、何かのビニール片やタバコの吸い殻が40数年の時を超え姿を見せた。
型枠の大きさも材質もまちまちで、住宅供給が急がれていた頃の様子が伺える。

 玄関から上がり左を見る。全体を白く塗ることも検討したが、ベッドスペースとの境界を示すための塗り分けに留めメリハリを持たせた。


 ベッドスペースから。


 室内奥から見返す。
奥さまはグリーンコーディネーターで、夫婦揃って植物が大好き。部屋の中央にはフィスカ・ウンベラータの株分け用の親木が存在感を出している。天井に付くスポットライトの多くは植物の為に設置したもの。

 ハンモックを吊すためにアンカーボルトを打たなければならいかなと思ったが、天井にはなぜかピンが打てる孔が幾つもありそれを利用した。


 キッチンはIKEA製で設えた。
壁の中央の開口は浴室へ。

 浴室は全面FRP防水に作り替えた。
開口は既存では開閉し換気窓として機能していたが、浴室乾燥機を取り付けたのでFIXとした。

 テレビは無く、天井に設置したプロジェクターで映画などをみることが多いそうだ。


 食事はカウンターテーブルで。


 躯体にはC型セパレーターが沢山頭を出していたので、グラインダーで滑らかにしたところ(左)、マグネットを使って自在にディスプレーができるようになった。


 照明スイッチパネル。最近トグルスイッチは珍しくないが、美しい削り出しのオーディオ用つまみを調光に流用した。



松島潤平さん(左)と、施主ご夫妻であるグラフィックデザイナー/アートディレクターの青山文吾さん、グリーンコーディネイターの中口昌子さん。
「 “Text” とはお施主さんのお名前一字からの引用でもあるのですが、『仕上げ=テクスチャー』をレイヤードするのではなく、新たに手を加えながらも『原本=テクスト』への回帰、テクスチャーの前の世界『テクストの空間』になるようデザインしました。また躯体の歪みが激しいため、歪みを均すように仕上げをした場合かなりの気積が喪失してしまいます。仕上げが無いことで気積は約1.15倍になり拡がりを持たせることが出来ました。」

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前田茂樹によるノルトロック・ジャパン新社屋

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前田茂樹 / ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ (Shigeki Maeda / GEO-GRAPHIC DESIGN LAB.) が手がけた、ノルトロック・ジャパンの新社屋の見学に行ってきました。

敷地面積 2016.32m2、建築面積 448.83m2、延床面積 441.37m2
木造平屋

西側ファサード

ノルトロックグループは、スウェーデンに本社を持つボルトやワッシャー等の製品を扱う国際企業です。今年4月より、ノルトロック・ジャパン本社が大阪市内から、スウェーデン本社のようなより自然の多い環境の大阪府箕面市彩都へ移転。移転してきた理由は、ノルトロックが今後非常に大きな製品を扱うことになるため、倉庫のスペースを拡張する必要性があることと、働く環境をビルからより人間性を持てる環境にしたいということから。

東側ファサード / 正面エントランス
あたかも段々状の敷地に大屋根を掛けたかのような印象。

計画地である箕面市彩都(さいと)は、国際文化公園都市、北部山間部に現在開発中のニュータウンがある。彩都と同じ大阪モノレール路線には、万博記念公園や大阪大学があり、大阪都市圏のベッドタウン、高級住宅地として発展している。ノルトロック・ジャパンの新社屋は、その新興住宅地に計画された、敷地の緩やかな傾斜を利用して、地形に沿った伸びやかな建築だ。

正面エントランス
家のような落ち着きのあるエントランス。ガラスをセットバックして控えめに。

内部エントランス / 受付 (撮影:繁田諭)
建物の中央に中庭が配置され、内部は優しい自然光に包まれた空間に。


土地の勾配が3〜4度ほどあり、過度な造成を行わず小さな居場所造りをし、地形に合わせて物が流れやすい回廊式配置に。

車庫→試験室→作業室→会議室→オフィス→社長室
エントランス→オフィス→社長室→会議室→作業室→試験室→車庫

少し進み左を向くと奥にはスタッフのオフィス。

通路を奥まで進み、エントランスの方を振り返って見る。
左の部屋は作業室。

エントランス奥の長い通路。右手の扉は、手前か試験室、会議室、キッチンと並ぶ。通路の最奥には社長室が配置されている。



(撮影:繁田諭)
更に奥へ進み、振り返る。中庭は植栽やベンチが設置され、職員の休憩場所に。

グラフィックデザインは、永易 直樹/ FARVEが手がけられた。
字体の色はノルトロックのロゴの色と合わせている。

会議室
パーティションで二部屋に別けることが出来る。
窓から見えるのはモノレールの線路とマンション群だが、これらを"借景"にして日が落ちると『銀河鉄道の夜』のような景色に変わるそうだ。

キッチンとダイニングルーム
キッチンとダイニングルームは必須項目として注文があったそう。欧州ではほとんどの会社にキッチンが設置されており、スウェーデンの企業であるノルトロックも例外ではない。朝と午後にフィーカと呼ばれるコーヒーを皆で飲む習慣があり情報交換の場となっているようだ。
ダイニングには薪ストーブがあり、パイン材で組んだ製品箱の廃材を燃料に活用させる。キッチンの外にはデッキと植栽が加わる予定で、季節の良い時期には外でも食事が愉しめるようになっている。


キッチンから内を見る。奥はオフィス。
照明は、ライティングデザイナーの永冨 裕幸 / NEW LIGHT POTTERY によるもの。

社長室

オフィス
働く場所は大らかな空間になるように一人1つの窓を配置。元々のオフィスのイメージよりよく配置出来るように一人一人のワーキングスペースを広く提案した。これは、前田氏自身がパリの事務所で働いていた時の環境や経験が活かされているようだ。

什器は合板の造り付け。一人一人スペースを持ちつつ、隣同士の気配を感じとれるように壁となる本棚に開口を造り、立つと全体が見渡せコミュニケーションがとれるように什器の高さは1.2mに抑え、窓枠高さなどとも揃えている。

昼と夜とで使い分けが出来るように2種類の照明を設置。

オフィスから見た通路

扉奥は更衣室やトイレ。

空間構成と天井の高さや通路の幅から落ち着きのある凛とした空間。前田氏に伺ってみると、南仏プロヴァンス地方のル・トロネ修道院の中庭を回遊するような感覚を思い出しながら設計したとのこと。

前田茂樹氏
『必要とされる用途を、出来るだけその敷地の中の時間(地形が持っている居場所の豊かさ、南北に抜ける卓越風や自然光)に添わせる形で、美しくかつ最小限の建築操作で造ることは、都市や地域のインフラを造るようなものだと感じています。風景として美しい土木構築物やインフラは、都市地域に新たな地形を創り出すようにも思います。』


設計監理:ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ(前田茂樹 木村公翼)
照明計画:NEW LIGHT POTTERY (永冨裕幸)
サイン計画:FARVE (永易直樹)
構造計画アドバイザー:満田衛資構造計画研究所
施工監理:新名工務店

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川辺直哉による目黒区の「上目黒の住宅」

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川辺直哉 (Naoya Kawabe Architect & Associatesによる目黒区の「上目黒の住宅」のオープンハウスに行ってきました。

 敷地面積89m2、建築面積51m2、延床面積90m2。木造2階建て。
一見3階建てに見えるが上部は2.5階。
前庭には自転車置き場が施工中。

 細く続く路地の突き当たり。隣と同時に分譲された敷地だが施主はこちら側を選択。


 玄関を入るとホールが2/5を占め、右側3/5が居室になるような構成だ。
右手前の鏡張りの戸が下足入れ、次に子供室、主寝室、水回りと続く。

 子供室。お子さんは男の子2人。造り付けの家具がシンメトリーに設えられている。


 階段より先も土間のように洗面台、浴室へ連続する。
子どもたちの遊び場になることが想像できる。



 路地がそのまま土間に連続する様子がよく分かるカット。

 2階へ上がると正面にバルコニー。建物裏側は外壁を設け隣家からの視線を遮り、左と上からはたっぷりの採光。
床は1階と同じタイルを用い半屋外的な空間を表現。


 振り返ると1階土間から高さ6.4mの大開口があるように解釈できる。さらに右に高めの開口、トップライト、居室への大きな開口(左)などが軽やかに仕上げられ開放感はたっぷりだ。


 施主はこの抜けを望み敷地を選んだ。当初ハウスメーカーに設計を依頼したところこの抜けは全く考慮されず、「もっと大きな窓を付けて欲しい。」と頼んだところ、「防火やサッシュの問題で “無理” です。」と言われたそうだ。しかし現実には目の前に無理であるはずのものがクリアされ存在している。
ちなみにハウスメーカー2社に依頼した設計はほぼ同じ計画が上がってきたとのこと。

 居室へのシーンの切り替えは高さ3mの門のような開口を介して行われる。
ホール側の壁面にはピアノが置かれる予定。


 居室側は北側斜線による屋根勾配も相まって包まれるような空間に。
奥はキッチンで、その上はロフトスペース。

 振り返るとリビングスペース。(幅約2.5m)


 キッチンにもホールに向けた開口(右)が小さく設けられており、手元が明るくなるし、1階の子供の気配を感じることが出来る。



 2.5階は書斎やホビースペースとして。左はロフト。
路地は100m以上見通せる。逆に言えば100m先からでも室内が見えるということだが、それは十分理解した上で、遠くから我が家を眺めながら帰ってこられる楽しみがあるそうだ。


川辺直哉さん(前)とお施主さん。
「ご覧の通り建物に向かいの路地がそのまま入ってきたような計画です。土間・ホールと居室を明確に分け生活のシーンをアクティブに切り替えられます。」と川辺さん。


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新国立競技場はザハ案(修正案)で着工。整備費約2,520億円

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(日経新聞電子版より)
関係機関トップが集まる調整会議が29日開かれ、下村博文文部科学相は大会のメーン会場となる新国立競技場の整備費を約2520億円とすることを報告した。7月上旬にゼネコン側と契約し、着工は予定通り今年10月とする一方、完成は当初予定より2カ月遅い19年5月とした。


整備主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は7月7日、新国立競技場に関する有識者会議を開き、総整備費の細かな内訳などを示す。
調整会議には、大会組織委員会の森喜朗会長、東京都の舛添要一知事、遠藤利明五輪相らが出席した。
森会長は会議の席で五輪招致活動に触れ、「他の候補地と比較して(開催を)獲得できた大きなポイントは、新国立競技場のあの姿だったはず。日本が示せる大きな力だった」と述べた。
工期短縮と工費圧縮のため、全天候型の開閉式屋根の設置を大会後に先送りし、スタンドの約8万席のうち電動の「可動式」を予定していた約1万5千席は仮設の「簡易着脱式」とすると説明された。
文科省は都に対し整備費の一部として500億円程度の負担を要請する方針だが、この日の会議では話は出なかった。
調整会議後、記者会見した森会長は「大変苦労して、努力してよくまとめてもらったのではないかと思う」と下村文科相をねぎらった。「(19年9月のラグビーワールドカップ開幕までには)十分時間を織り込んでもらったので間に合うと思います」と話した。
競技場のデザインは、JSCが12年に実施した国際コンクールで、イラク出身の建築家、ザハ・ハディド氏の作品が採用された。コンクールの応募条件は整備費総額を約1300億円としていたが、斬新なデザインに対し当初から予算オーバーを危惧する声があった。
JSCは、13年に行った試算で整備費が3千億円を超すことが判明したために設計を見直し、14年、規模を縮小して1625億円とする計画を発表。しかし、14年末の段階で施工予定のゼネコンなどから再び3千億円を超すとの試算が示された。
JSCや文科省などは費用を抑えるため、ゼネコン側と設計の見直しなどの協議を進め、6月下旬に総額を約2500億円とすることで合意していた。

新国立競技場、国内外で群を抜く高額に
新国立競技場の整備費2520億円は、近年開催された夏季五輪のメーン会場や国内の主要スタジアムと比べて群を抜く高額となる。
整備主体の日本スポーツ振興センター(JSC)などによると、近年開かれた夏季五輪のメーンスタジアムの整備費は、2008年北京が約530億円、12年ロンドン大会が約950億円(いずれも現在のレート)だった。収容人数はそれぞれ9万1千人、8万人(仮設席を含む)となっている。
収容人数は同規模の8万人(同)とされている新国立競技場でコスト高の要因となっているのが、長さ370メートルの鋼鉄製の「キールアーチ」2本で屋根を支える特徴的な構造。加えて、文部科学省の担当者は「東日本大震災からの復興需要などに伴う原材料費や人件費の高騰、消費増税といったやむを得ない事情がある」と説明する。
ロンドンのスタジアムは五輪後、サッカーチームの本拠地に改修する工事が行われ、約530億円の追加費用がかかる見通し。JSC幹部はこうした点を踏まえて「過去の大会のスタジアムなどとの単純な比較はできない」とする。ただ、新国立競技場でも、五輪後に設置を先送りする開閉式屋根の工事などで費用はさらに膨らむ可能性がある。




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横浜の新たなクリエイティブ拠点「YCC ヨコハマ創造都市センター」内覧会レポート

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新たなクリエイティブ拠点としてオープンした「YCCヨコハマ創造都市センター」(YCC=ワイシーシー)内覧会に行って来ました。
YCCは、横浜市が推進する「クリエイティブ・シティ構想(創造都市構想)」の拠点施設の一つ。建物は同じだが、約5年ぶりに変わった運営団体による、あたらしいコンテンツが注目される。
クリエイターとしてオンデザイン、トラフ、ノイズ、ノザイナーらが参加している。

 YCCが入るのは、1929年に竣工した歴史的建造物、旧第一銀行横浜支店。
カフェ&ギャラリー、コワーキングスペース(シェアオフィス)、ファブラボなどの常設機能と、展示・トークイベント等のプログラム、スペースレンタルなどで構成され、性別、年齢、職業等々関係なく様々な人が利用できる "開かれた施設” を目指す。


 昨年公募で6団体の中から選ばれた「特定非営利活動法人YCC」出席の記者会見。
館長・代表理事の長田哲征は現代美術のコンサル業、代表理事の広瀬郁はプロデュース業、理事の伊東祥次はプロダクトデザイン業と、それぞれ異なるジャンルと個性を持つ3人が運営に携わる。"多様性” を掲げ、横浜のあるべき姿の発信に意欲を見せる。


 横浜を拠点に活躍するNDC Graphics(デザイナー:中川憲造)が手掛けたロゴは、YCCが位置するY字の交差点=出会いや交流をイメージしている。


 1階ホール。Café Omnibus(カフェ オムニバス)
Omnibusとはラテン語の「全ての人のために」が語源の、英語で乗合馬車の意味。
街の広場のようにアートやデザインを知らない人も気軽に入れるカフェとして利用してもらい、YCCの知名度アップや、閉鎖的な建物のイメージを変えていく。


 窓が高く外からのアイコンタクトが無い空間であることから、座席に段差を設けてある。店内の家具や什器は可動式だ。
ホール内に点在するフードカートは5組のデザイナーや建築家が手掛け、市民参加型DIYワークショップにより制作した。


 カートデザインを担当した面々。
左よりトラフ建築設計事務所、B6studio、noiz、オンデザイン、POINT。

 〈ウェルカムカート〉 B6studio


 〈サラダバーカート〉 トラフ建築設計事務所


 〈ウォームミールカート〉 noiz


 奇妙な脚は3階のファブラボと協働で作ったそうだ。


 〈シャルキュトリーカート〉 オンデザイン


 〈ドリンクカート〉 POINT


 2階 Coworking Space Canvas(コワーキングスペース キャンバス)
クリエイター、起業家、さまざまな創造的な活動を行う市民などに開かれた会員制のシェア・オフィス。
働くことをアップデートしていく場所として、ユーザー自らが席周りの仕様を変更したり、座布団や椅子の柄変えなどを上階のファブラボで試作するなど、働く環境に対する実験的取組みを行っていく。


 自由な席で働けるフリーアドレス型スペース


 プロジェクトルームは、複数の人がグループで活用するブース型スペース


 3F FabLab β Bashamichi(ファブラボ・ベータ・馬車道)
ものづくりを通して地域コミュニティーの輪を広げるきっかけをつくる場として機能する。
揃えられた機材は3Dプリンターやレーザーカッターの他、家庭用ミシン、業務用刺しゅうミシン、昇華プリンター等、デジタル加工の中でも親子の参加を想定した "やわらかい素材"に注力していく。

 昇華プリンターで制作していたのはソフトなYCCバッジ。


 3階展示。〈クリエイティブ市民のための6つの手引き〉 NOSIGNER


 訪れた人が「6つの手引き」を見て感じたことや都市に対して思うことを、ポジティブな意見を青で、ネガティブな意見を赤で書き込んでいく参加型インスタレーション。


 赤いメガネをかけるとポジティブな意見が、青いメガネをかけるとネガティブな意見が浮かび上がる仕組みだ。


 すっかり横浜のデザイナーというイメージが定着したNOSIGNER。



予定通りであれば、2020年同じ北仲通南地区に横浜市庁舎が移転してくる。YCCが今後重要なハブとしての役割を担う場所になっていくことは間違いない。


【YCC ヨコハマ創造都市センター】

場所:横浜市中区本町6-50-1
詳細:http://yokohamacc.org




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レベルアーキテクツによる中野区の「沼袋の住宅」

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出原賢一 + 中村和基/レベルアーキテクツ (Kenichi Izuhara + Kazuki Nakamura / LEVEL Architects)  による中野区の「沼袋の住宅」を見学してきました。場所は中央線中野駅から10分程の住宅地。

 敷地面積50m2、建築面積31m2、延床面積73m2。RC造3階建て。
防火地域のため耐火木造と比較検討しRC造を選んだ。

 敷地は狭いT字路の角。3階の傾斜は道路斜線によるもの。
外断熱が施され、外壁はブラウンのジョリパットで仕上げられている。

 上階を支える壁柱はキャンティレバーにして無くす、或いはもっと細い柱にすることも考えられるのではと思ったが、隅切りの位置に周辺住民が週に何度かどうしても出さなければならないものの定位置だそうだ。


 駐車場は所有の車MINIがぴったり納まるぎりぎりサイズ。駐車すると動線が塞がれるため横に開口を設け、玄関も引戸になっている。


 玄関を入ると直線的な構成の中に曲線も見え、柔らかさを演出している。
左手前から書斎、水回り。右側には収納が並ぶ。

 書斎。ご主人が趣味のギターを弾けるように、小さいながらも個室を求めた。


 水回り。玄関ホールに見えた円い壁はこの部分だ。


 2階LDK。


 施主は室内に打ち放しのコンクリート壁と木の質感を望んだので、外断熱になり、材質感のある家具や床(オーク)に加え、左壁面は杉板型枠を使用。


 ダイニングテーブルは置かず、カウンターキッチンで食事。
(ペンダントライトのケーブル長さは調整前)

 キッチンは総ステンレス。奥には冷蔵庫と並んで洗濯機も納まる。
隣家が迫るため両壁面の開口はハイサイドに。


 バルコニーは “使える広さ” になるよう、開口左側の縁を室内に引き込んでいる。


 これでテーブルと椅子を出してちょっとした楽しみに使えるようになった。


 3階へ。


 3階は右側にトイレ、子供室、主寝室と続く。


 振り返ると物干し用のバルコニーへの開口があるが、北側斜線の影響で小さな開口に。



 主寝室。3階もハイサイドライトで設えた。正面の開口は非常進入口も兼ねる。


 クローゼットは設けずに収納を設置することになる。右はベッドボードのニッチ。


 出原賢一さん(左)と中村和基さん。「コンパクトな住宅のため、壁や開口の位置が少し変わるだけで他に影響が出てくる要素が多く、随所に工夫や細かな検討が必要でした。そんな中、手間を掛けた仕上げにより狭小住宅とは思えないような素材感のある雰囲気を出せたのではないでしょうか。」


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「フィールドオフィス・アーキテクツ展」レポート/TOTOギャラリー・間

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7月10日よりTOTOギャラリー・間で始まる「フィールドオフィス・アーキテクツ展 - Living in Place」の内覧会に行ってきました。
[Fieldoffice Architects Living in Place]

 フィールドオフィス・アーキテクツは台北中心から50kmほど離れた台湾北東部の地方都市、宜蘭(イーラン)を拠点に活動する設計集団で、黃聲遠(ホァン・シェンユェン)によって設立された。


 黃聲遠(ホァン・シェンユェン)さん。1963年台北市生まれ。台湾東海大学を卒業後に渡米し、イェール大学大学院修士課程を修了後、エリック・オーウェン・モスの事務所に勤務。1994年の台湾帰国と同時に宜蘭へ移住し、フィールドオフィスを開設した。台湾TOTOより強い推薦がありギャラ間での展覧会に至った。


 ギャラ間の運営委員でもある内藤廣さんもイーランにある事務所を訪問した。事務所名の漢字表記「田中央」の通り、事務所は田んぼの中にある。
会場で内藤さんに聞くと「建築家の本来在るべき姿、やるべき事をしている。それは非常にエネルギーの必要なことで、今の我々にはなかなかできない。」と話した。

 イーランは太平洋に面したデルタ地帯。事務所はデルタのほぼ中央にあり、その活動は極めて地元密着型で、殆どのプロジェクトが半径15km・車で30分程以内で進行している。


 展覧会は4つの “気づき” をテーマに構成されている。


 会場に入るとイーランを象徴するような台湾の原風景が展示されている。日本のそれによく似ている。


  展示会場に入ると、特殊な展示台に大分使い込まれた感のある模型が幾つも並ぶ。
壁面にはプロジェクトの系譜が掲示されているが、プロジェクトの当初に考えられたテキストではなく、20年経過したのち振り返って書き起こしたもの。というのも、一つのプロジェクトがスタートし、多発的に複数のプロジェクトが重なり合いながら、数年、十数年掛かって進行しているからだそうだ。

〈1st Vascular Bundle〉
町外れのあるエリアの複数の公共施設などの整備プロジェクトで、13年のうちに5つのプロジェクトが少しずつ重なりながら進行した。
周囲には住宅も多く、住民との対話、合意を常に大切にしながら進めるという。
フィールドオフィスは主に公共プロジェクトを請けるので、首長が頻繁に変わる台湾ではその度に計画の変更もあるので苦労が絶えないという。

 こちらでは点在するプロジェクトをまとめて展示。
模型の詳細が壁面パネルで紹介されている。

 〈Shinpai Jinmian Scenic Platform〉


 〈Jiaoxi Civic and Public Health Center〉
礁渓生活学習館。「川と渓谷により、外界と遮断しがたい市民空間を確保した。」

 〈Landscape Public Lavatory by Dong-Shan River Sluice Gate〉
川沿いにある漁村の公衆トイレ。

 〈Revitalization of Kamikaze Aircraft Shelter as War Time Museum〉
員山神風特攻機掩体壕ランドスケープ博物館。
「住民合意の元、特攻機を格納していた掩体壕の保存に成功した。ねじれながら上に延びる歩廊は、特攻機が飛び立つ軌跡を表しす。旋回しながらダイナミックな軌跡を描いて、二度と戻ることはない天空に向かう。」
(photo: Fieldoffice Architects)

 ユニーク展示台は、無数の曲げられたアルミパイプが金具で結合されできている。


 金具は、台湾で一般的に使われる農業用ハウスのフレームを固定するものを流用し、多くの人が手作業で加工し組み立てた。「学生や先生が自主性を持って曲げ、組み立ててくれたもの。コンピューターばかりではなく、皆で力を合わせれば何かが出来る、手作業の大切さを表現した。」と黃さん。


 中庭ではイーランの風景を再現した。
「中庭にある石は、イーラン沖に浮かぶ亀山島に、奥の植栽や背景に立ち並ぶビルはイーランの山々に見える。」

 イーランはとても雨が多い。展示台でも使ったアルミパイプで雲や雨を表現。
展示設営中も、内覧会当日も雨。「イーランそっくりです。」と黄さん。

4階展示室へ。
 手前側はキャノピー(天蓋)をテーマにした展示。
「キャノピーの実質的な機能は、意識的につくられた「空白」であり、民主的で階級のない社会を暗示している。ほどよい高さに基準となる線が引かれることで、見慣れた風景もまた美しく見えるだろう。」

 〈Luodong Cultural Working House〉


〈Camphor Historical Park Revitalization〉




展覧会のクライマックスは、
「ただ自分の身体に意識を向け、いつしか時を忘れる」というテーマで〈宜蘭県立櫻花陵園〉が紹介されている。

 これも10年以上前から続くプロジェクトで、霊園の納骨堂やアプローチブリッジ、サービスセンター、展望台などの整備計画。


大きなパーティションは納骨壇(お骨が納まる箱)の実寸モジュールを組み上げたもの。

鉄製の箱同志はボルトや溶接ではなく、角パイプとアングルだけで接合されている。

そして箱に収まるのはアプローチブリッジ〈櫻花陵園入口橋〉の部分断面の数々。CTスキャンの輪切りがいくつも連続しるようなイメージで、展覧会のために鋳型を作ってアルミで制作した。

〈櫻花陵園入口橋〉(photo: Fieldoffice Architects)

会場には黄さんのご家族も訪れた。右側3人が奥さまと娘さん。
左から4人目は黄さんの友人、黄俊銘(ホァン・チュンミン)さん。藤本照信さんに師事し長年日本に滞在した経験があることから、通訳やその他のサポートを買って出た。

【フィールドオフィス・アーキテクツ展 - Living in Place】
会期:2015年7月10日 〜 9月12日(日曜も開館)
会場:TOTOギャラリー・間
詳細:www.toto.co.jp/gallerma/ex150710/index.htm


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「藤本壮介展 未来の未来」レポート



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安藤忠雄が新国立競技場について初めてコメント

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(スポーツ報知より)

総工費の高騰が問題となっている2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場のデザイン選考について、審査委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏が11日、日本テレビ系「ウェークアップ!ぷらす」で問題が浮上後、初めてコメントし、下村博文文部科学相の「ずさん」発言に反発した。

日本を代表する建築家として新国立競技場の国際デザイン・コンクールの審査委員長を務めながら、2,520億円にまで膨張した総工費の問題について沈黙を貫いてきた安藤氏が、ついに口を開いた。

6月の講演後、取材陣の直撃にだんまりを決め込み、今月7日の有識者会議も「日程の調整がつかない」と欠席した安藤氏。番組では、司会を務めるキャスターの辛坊治郎さん宛てにファクスを送るという形で、コメントを出した。

ファクスには「コンペの与条件としての予算は1,300億円であり、応募者も認識しています。提出物には建築コストについても示すように求められていました。それは当然評価の一つの指標となりました」と明記。下村文科相が10日の会見で「値段(総工費)とデザインを別々にしていたとしたら、ずさんだと思う」と発言したことに反発した。

辛坊さんによると、安藤氏は「デザイン決定後の基本設計や実施設計には、審査委員会はかかわっていない」と説明。また、2,520億円という金額に関しては「辛坊ちゃん、何でこんなに増えてるのか、分からへんねん!」と驚いていたという。ただ、安藤氏は有識者会議のメンバーでもあり、総工費の膨張を確認できなかったことには疑問も残る。

辛坊さんは安藤氏について「しゃべりたい気持ちは満々らしいが、周囲から止められているらしい」と気持ちを“代弁”。この日、スポーツ報知の取材に安藤氏の事務所スタッフは「本人が不在で対応できません」とした。




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浅利幸男による埼玉の龍泉寺納骨堂「八聖殿」

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浅利幸男/ラブアーキテクチャー (Yukio Asari / Love Architecture) による龍泉寺納骨堂「八聖殿」の内覧会に行ってきました。場所は埼玉県川口市青木。

 左の納骨堂と、奥の本堂に続く参道を改修したプロジェクト。


 既存はこのように、敷地周囲を塀が囲い窮屈で閉鎖的な印象があったという。参道も本堂に対して不自然に湾曲していた。
(photo: Google)

 参道は直線になるよう石を敷き直し、植栽も整え、一箇所に集められていたお地蔵様や仏像様を、参道沿いに適宜分散配置した。


 お参りに来た檀家さんが口々に「良くなった!」と話していた。


 納骨堂「八聖殿」。正八角形のRC造。地下1階、地上2階建て。
既存の躯体のみを残して、外壁、屋根、内部、外構を全てリノベーションした。
屋根頭頂部の相輪も取り外し、内部にある仕掛が施されている。

 納骨堂周囲には池(水盤)や腰掛けを設えた。
「この池で夏には子どもたちに遊んでもらいたい。お寺とはそういった、人が自由に集まる場所でいいと思っています。」と浅利さん。

 お堂外壁には木製のルーバーを張り巡らした。


 中へ入ると手水が出迎える。両側の引戸が1階の納骨室。
引戸、天井は鉄板にリン酸処理亜鉛メッキが施されている。

 階段室の螺旋階段は造り替えた。


 足元からの間接光に照らされた左官の版築仕上げで地層を表現。


 地下1階法要室(献花室)には菩薩が安置されている。


 法要室の両側には1階同様の引戸があり、中は納骨室になっている。


 納骨室。暗く落ち着いた空間は幻想的な雰囲気に包まれている。


 お堂の八角形そのままに内部も八角形で回遊できる。


 納骨壇は円形の柄が付いた扉を一つのモジュールとして、3タイプの大きさがあり、手前に仏壇、奥に納骨される。
(photo: 龍泉寺)

 所有の納骨壇を探すには、お堂の「階数」と「八方」。それに縦に並ぶ五常「仁、義、礼、智、信」と、横に並ぶ八正道「見、思、語、業、命、精、念、定」の文字の交点を探す。
こういったアイデアも浅利さんから提案された。

 2階まで上っての見下ろし。


 見上げるとドームになっていた。相輪を取り外したのはこのトップライトからの採光のためだ。
御霊が螺旋をのぼり、天へ帰っていけるように。


浅利幸男さん(右)と担当の石毛正弘さん。
「納骨堂のドームで見えた光は、今この瞬間だけ見える、同じもののない一回性の出会いで、これは人間のコントロール外のことです。何でもコントロールしようとする現世のエゴがあってはいけない、死者を単純に敬う気持ちを大切にしました。」
「ランドスケープでは、お寺は本来誰でも自由に出入りでき、自由にお参りできる場所だと思いますので、きれいに整えお寺本来の姿に戻す提案をしました。」



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藤本壮介 + 戸恒浩人による展覧会「雲の椅子の紙の森」

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7月14日から始まるオカムラデザインスペースR 第13回企画展、藤本壮介 + 戸恒浩人による「雲の椅子の紙の森」オープニングレセプションに行ってきました。
オカムラデザインスペースR(ODS-R)は、毎年1回7月に開催する企画展で、「建築家と建築以外の領域の表現者との協働」を基本コンセプトに、一人の建築家を選び、「いま最も関心があって、挑戦してみたい空間・風景の創出」する。目指すのは建築家の個展ではなく、建築家ともう一人の表現者が協働することで初めて可能になる新しい空間・風景づくり。

 そして藤本壮介が協働者として指名したのがライティングデザイナーの戸恒浩人(シリウスライティングオフィス)だ。
雲のような椅子が森のような空間をつくり出しているが、椅子にしては大きく、建築にしては小さいものが並ぶ空間を自由に歩き回ることが出来、留まったり、座ったり、光や影、空間の内と外などを身体全体で感じることができる。

 椅子は特注のスチール製ベースに、厚手の和紙の座面を貼り付けてある。


 写真で見ると椅子型のオブジェクトに美しいライティングがされているだけのように見えるが、和紙で出来ていることを特徴として捉えた戸恒さんは4つの光のパターンが生まれるように演出した。

同じ位置の連続写真
 “重ね”
異なる陰影を持った面の重なりが、空間に奥行きを感じさせる。

 “切取り”
光と影によって切り取られ、元々持つ形と異なる印象や意味を与える。

 “透け”
和紙の透け感を利用し、ほのかな光を浮かび上がらせる。

 “繋がり”
複数の面が繋がることで、連続する一つの大きな塊に見える。

照明はゆっくりと移ろいながら常に変化する陰影をつくり出している。

 それを可能にしているのが日本初お目見えのコイズミ照明のLEDスポットライト。
同じレール上にありながらそれぞれ別の調光を自由に制御できるという。

 座面に使われている和紙は実は皆同じ形で、回転させることで異なる形状になるようデザインされている。


 光の角度によって和紙の表情も浮かび上がる。





 「真っ白な空間なので入りにくいかも知れませんが自由に散策しお気に入りの場所で座って下さい。」と藤本さん


 レセプションには白くてふわふわしたもの、マシュマロとマカロン(マカロンは真っ白でないのはご愛敬)、加えて白のスパークリングワインが供された。


 藤本壮介さん(左)と、戸恒浩人さん。二人は普段も様々なプロジェクトで協働している。

【オカムラデザインスペースR 「雲の椅子の紙の森」】
会期:2015年7月14日 〜 7月31日
会場:オカムラ ガーデンコートショールーム
詳細:www.okamura.co.jp/company/topics/exhibition/2015/r_13.php

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安藤忠雄が近く会見を開く予定

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(NHK NEWS WEBより)
新しい国立競技場の建設費が2520億円に膨らんだことに多くの批判が集まるなか、最初のデザインを決めた審査委員会の委員長で建築家の安藤忠雄氏が近く記者会見を開き、公の場では初めて当時の経緯や認識などを説明する見通しであることが分かりました。
新国立競技場の最初のデザインは2012年7月に募集が始まり、建築家やスポーツ関係者などをメンバーとし、安藤氏が委員長を務めた審査委員会が4か月後の11月にイラク人女性建築家の作品を最優秀賞として選びました。
安藤氏は、建設費が2520億円に膨らんだ改築計画を了承した今月7日の有識者会議を欠席していましたが、関係者によりますと、本人の希望で近く記者会見を開く方向で調整が進められているということで、公の場で初めて当時の経緯や認識などを説明する見通しであることが分かりました。
安藤氏について、下村文部科学大臣はこれまでの記者会見で、「なぜ、女性建築家の案を選んだのか、今後、どのように重要なのか、堂々と自信を持って何らかの形で発言していただきたい」と述べていました。
新しい国立競技場の建設計画を巡っては、NHKが行った世論調査で納得できるかどうか尋ねたところ、「納得できる」と答えた人は13%、「納得できない」と答えた人は81%でした。



新国立競技場はザハ案(修正案)で着工。整備費約2,520億円
槇文彦グループより新国立競技場プロジェクトへの提言
新国立競技場 "当初は"屋根なし・規模縮小で建設
磯崎新による意見書「ザハ・ハディド案の取り扱いについて」全文
槇文彦、内藤廣らが登壇 シンポジウム「新国立競技場の議論から東京を考える」レポート
「ザハ・ハディド展」レポート/東京オペラシティ
安藤忠雄のコメントや質疑応答/新国立競技場計画に関する説明会
新国立競技場基本設計案の画像と概要
新国立競技場コンペ審査委員 内藤廣のコメント全文
宮台真司が新国立競技場について東京新聞に寄稿した記事の全文
文部科学大臣、都知事らに提出された「新国立競技場に関する要望書」の全文
槇文彦「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」シンポジウム レポート
新国立競技場ザハ・ハディド案が最優秀案に選ばれる


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安藤忠雄の新国立競技場に関する記者会見 レポート

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7月16日、JSC主催による安藤忠雄の新国立競技場に関する記者会見が都内で行われたのでその様子をお伝えします。
当該コンペのプログラムに関して不透明な部分が多いことや、審査方法、神宮外苑の景観、デザイン、規模、建設コスト、工期、などなど様々な問題提起がなされてきた。
そんな中、そもそもこのデザインを選んだのが悪いのではないのかという論調が目立ちはじめたため、長く沈黙を貫いてきた安藤氏が、本日遂に自ら記者会見を開いた。
その中で筆者の問い、槇文彦氏や、磯崎新氏の提案についても回答をいただいた。

会見場にはテレビカメラ20台以上をはじめ、マスコミ数百人が集まった。


昨年膵臓、脾臓を全摘する手術を行ったが「今生きているのが不思議なくらい。」といいながら元気そうな姿を見せた安藤氏。


パネルを持ち込み審査委員が携わったのはデザイン選定までで、その後の設計によってコストが上がっていると説明。

安藤氏:
審査終了後も、デザインについて、設計について何か分からないことがあったらいつでも聞いてくださいとJSCには伝えていたが、一度も質問されたことは無かった。

コンペ当初予算は1300億円とされていたが、その中で収まるはずのデザイン案を選んだ。我々審査委員会はそこまで、その後基本設計を進めると1625億円になると、周りから聞こえてきた。JSCから連絡があったわけではない。
このくらいのオーバーなら、実施設計で少しずつ減額していけるのだろうなと思った。
ところが暫くして、2525億円になると伝わってきて私自身ビックリした。2525億円になったと聞いたのは、みなさんと同じ、外から伝え聞いただけなのです。

もっと下がるところあるでしょうと思います。聞いても「そのくらい掛かります」としか答えてくれない。
それなのに「安藤が決めたデザインが2525億円」みたいに言われても困ります。

前回の誘致で負けたのはリオのスタジアムに負けたのではと考えた。今回誘致に勝つためにはザハ案が一番いいと思った。

一人の人間として、ザハさんの案は残して欲しいと思います。

ただ値段が合わないので日建、日本設計、梓、立派な設計事務所がありますから徹底的に討論して、それを公に公開しながら決着しなければならいと思います。

コンペやその後の進展について情報は公開しながらやるべきだったと私も思った。

正直、あの敷地で80,000人の競技場は無理があると思った。でも80,000人はオリンピックで決まっている。場所もあそこだと決まっていたんですから。断ることもできたが、日本のために何か手伝いたいと思った。引き受けたからには勝って欲しいなと思った。

私も日本国民です、もっとさげられません?と思っています。

日本の技術や知恵を集め、ゼネコンは儲けようとばかり考えず、ここは日本のために是非頑張ってもらいたい。

日本のためのオリンピックです。多くの方の感心がお金ですが、どういう案になるか私も分からないですが、選んだザハさんと協調しながら進めて欲しいと願っています。

フォスターやロジャースが殆ど何もしていないのでは、というメディアもあるが、来日こそしていないが担当者が出向いてしっかりと時間を掛けて検討し、最終的に賛同してもらった。


周辺住民の立ち退き、環境問題については、80,000人入るというのはそれだけ大きくなるのです。スムーズにいくとは思いませんが多くの議論をオープンに行っていかなければならいと思う。


【筆者からの質問】
Q:
槇文彦さんや、磯崎新さんなどの提案がありますがどのようにお考えでしょうか?

安藤氏:
槇先生の唱える意見、特に景観やコスト、無蓋化は、基本設計チームがどう受け止めるか聞いてもらわなければならない。聞いていると思ういますけど。そこには我々は参加できてないわけです。槇先生は大変頑張っておられる。最後までよく頑張っておられる。凄いなと思いますが私たちにそんなエネルギーはあるかどうか、と思っています。

一方磯崎さんは「ザハを選んだのだから、国際協約からいってザハを外すわけにはいかない、そのことをしっかりと踏まえて考えなさい。」と仰る。私も全くそう思います。これは重要なことです。そうしないと日本の国際的な信用がなくなります。




【リリース全文】
新国立競技場改築について、國際デザイン競技審査委員長として、ザハ・ハディド氏の提案を選んだ審査の経緯です。

老朽化した国立競技場の改築計画は、国家プロジェクトととしてスタートしました。「1300億の予算」、「神宮外苑の敷地」、オリンピック開催に求められる「80,000人の収容規模」、スポーツに加えコンサートなどの文化イベントを可能にする「可動屋根」といった、これまでのオリンピックスタジアムにはない複雑な前提条件がありました。さらに2019年ラグビーワールドカップを見据えたタイトなスケジュールが求められました。
その基本デザインのアイデア選定は、2020年オリンピックの招致のためのアピールになるよう、世界に開かれた日本のイメージを発信する国際デザイン競技として行うことが、2012年7月に決まりました。
2013年1月のオリンピック提出ファイルに間に合わせるため、短い準備期間でのコンペとなり、参加資格は国家プロジェクトを遂行可能な実績のある建築家になりましたが、世界から46作品が集まりました。

コンペの審査は10名の審査委員長を組織して行なわれ、歴史、都市計画、建築計画、設備計画、構造計画といった建築の専門分野の方々と、スポーツ利用、文化利用に係る方々、国際コンペの主催者であるJSCの代表者が参加し、私が審査委員長を務めました。グローバルな視点の審査委員として世界的に著名で実績のある海外の建築家2名も参加しました。
まず始めに、審査委員会の下に設けられた10名の建築分野の専門家からなる技術調査委員会で、機能性、環境配慮、構造計画、事業費等について、実現可能性を検証しました。その後二段階の審査で、コンペの要件であった未来を示すデザイン性、技術的なチャレンジ、スポーツ、イベントの際の機能性、施設建設の実現性等の観点から詳細に渡り議論をおこないました。2012年11月の二次審査では、審査員による投票を行いました。上位作品は票が分かれ、最後まで激しい議論が交わされました。その結果、委員会の総意として、ザハ氏の案が選ばれました。

審査で選ばれたザハ案はスポーツの躍動感を思わせる流線型の斬新なデザインでした。極めてインパクトのある形態ですが、背後には構造と内部空間表現の見事な一致があり、都市空間との繋がりにおいても、シンプルで力強いアイデアが示されていました。とりわけ大胆な建築構造がそのまま現れたアリーナ空間の高揚感、臨場感、一体感は際立ったものがありました。
一方でザハ案にはいくつかの課題がありました。技術的な難しさについては、日本の技術力を結集することにより実現できるものと考えられました。
最終的に、世界に日本の先進性を発信し、優れた日本の技術をアピールできるデザインを高く評価し、ザハあんを最優秀賞にする結論に達しました。
実際その力強いデザインは、オリンピック招致において原動力の一つとなりました。
国際コンペ委員会の実質的な関わりはここで終了し、設計チームによる作業に移りました。

発注者であるJSCのもと、技術提案プロポーザルによって日建設計、日本設計、梓設計、アラップが設計チームとして選ばれました。13年6月に設計作業が始まり、あらゆる問題について検討が行なわれ、14年5月に基本設計まで完了しました。この時点で当初の予算1,300億円に対し、概算工事費は1,625億円と発表されました。この額ならば実施設計段階でコストを抑える調整を行なっていくことで実現可能と認識しました。
基本設計により1,625億円で実現可能だとの工事費が提出され、事業者による確認が取られた後、消費税増税と物価上昇にともなう工事費の上昇分は理解できますが、それ以外の大幅なコストアップにつながった項目の詳細について、また、基本設計以降の実施設計におけるプロセスについては承知しておりません。さらなる説明が求められていると思います。
そして発注者であるJSCの強いリーダーシップのもと、設計チーム、建設チームが、さらなる知恵を可能な限り出し合い一丸となって取り組むことで、最前の結果が導かれ、未来に受け継がれるべき新国立競技場が完成するこを切に願っています。

2015年7月16日
新国立競技場基本構想国際デザイン競技
審査委員長 安藤忠雄

以上



新国立競技場はザハ案(修正案)で着工。整備費約2,520億円
槇文彦グループより新国立競技場プロジェクトへの提言
新国立競技場 "当初は"屋根なし・規模縮小で建設
磯崎新による意見書「ザハ・ハディド案の取り扱いについて」全文
槇文彦、内藤廣らが登壇 シンポジウム「新国立競技場の議論から東京を考える」レポート
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新国立競技場コンペ審査委員 内藤廣のコメント全文
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「オスカー・ニーマイヤー展」レポート/東京都現代美術館

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東京都現代美術館にて7月18日(土)より開催される「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」内覧会に行って来ました。
会場構成は、ニーマイヤーに大きく影響され、彼を敬愛してきたSANAAが担当。作品の選定などにも始めから関わり、アドバイザーとしての役割を果たしている。
[Oscar Niemeyer The Man Who Built Brasilia]

 本展は、2016年のリオデジャネイロオリンピック開催を目前に控えた、日本とブラジルの外交樹立120周年記念事業の一つ。世界遺産をつくった巨匠オスカー・ニーマイヤーの日本初の大回顧展となる。
2012年に104歳で亡くなる直前まで、精力的に設計を手がけていたニーマイヤーの建築デザイン活動を、10点のマスターピースを中心に、図面、模型、写真、映像などを用い紹介する。

 〈プロローグ〉
愛したリオの写真。曲線が重要な要素であるニーマイヤーの作品としてロッキングチェアーも展示。このコーナーにある映像ではUFO(ニテロイ現代美術館)から降り立つニーマイヤーが見られる。


 20代から90代までのニーマイヤー。


 160cmと小柄な等身大ニーマイヤーの前で解説をする東京都現代美術館チーフキュレーター長谷川祐子さん。
「いま人々が求めている建築は何か、と考えた時、ニーマイヤーの人間性を感じることができる建築ではないかという考えに辿り着きました。」

 会場構成を担当した西沢立衛さん(SANAA)によるプレスツアーでのコメントを中心に紹介していく。


 1/10〜1/200という多彩なスケールで、その有機的でダイナミックな曲線とモダニズムの幾何学の調和を特徴とするデザインをフィジカルに感じることができる。


 〈パンプーリャ・コンプレックス/Pampulha Complex〉の3作品
これらはニーマイヤーらしさは勿論のこと、そのスケールの大きさを感じてもらうために選ばれた。
40年代のニーマイヤー初期の作品ながら、既にやりたい事やスタイルがほぼ確立されており、モダニズムの新しい可能性を発掘している。

 〈サン・フランシスコ・デ・アシス教会/Church of St. Francis of Assisi〉
ニーマイヤー作品はアーティストとのコラボレーションも重要なポイントだ。
タイルの模様が中外で連続している大胆な意匠とフリーハンドの魅力。


〈ダンスホール/Dance Hall〉

〈パンプーリャ・ヨットクラブ/Pampulha Yacht Club〉
プールで泳ぎながらいつの間にか建築の中に入ってしまう。

 本展の模型はすべて野口直人建築設計事務所が担当した。野口さんの模型制作技術はSANAA勤務時代から突出していたそう。
図面がほとんど現存してないことから、余程のバランス感覚や直感力がないとニーマイヤー展覧会を開催することは難しいとされている。そんな中、様々なアプローチを経て今回この完成度に持っていった。

 〈カノアスの邸宅/Casa das Canoas〉自邸/House of the Architect
ミースへのオマージュで溢れている。
人工地盤で敷地の地形を変えてしまっている。

 壁面には影がある美しさを捉えたホンマタカシの写真。
本展は様々な写真家によるニーマイヤー作品が展示されているのも魅力の一つだ。

 〈国連本部ビル/United Nations Headquarters〉
ル・ コルビュジエとの共同設計。


 〈ブラジリア建設プロセス1956-1960/Brasilia Construction Process〉
ブラジリア首都計画の主要な建物設計に携わったニーマイヤー。荒涼とした土地に創造性豊かなひとつの都市をつくりあげ、ブラジルのイメージを一新することに貢献した。

 〈ブラジリア大聖堂/Cathedral of Brasilia〉
ブラジリアの建築計画の中でも特に象徴的。残念ながら模型の中には入れない。
壁面にはLeonardo Finottiや淺川敏の写真。

 未開の大地に身一つで乗り込んだニーマイヤーは現場でも設計を進めた。
先住民とのふれあいを持ちながら完成されていく様子なども。

 〈国会議事堂/National Congress〉
自転車競技のバンクのような内側の配筋作業。


 〈アウヴォラーダ宮/Alvorada Palace〉大統領官邸の柱
ブラジル大使の強い勧めにより、特徴のある柱をフィーチャー。
柱一本がなんとも言えないモニュメンタルになっているのがニーマイヤーらしい。



 Iwan Baanによる壮大なブラジリアのバードビュー写真。


 ブラジリア建設の詳細なドキュメント映画は60分。時間に余裕を持って出かけたい。


 〈ニテロイ現代美術館/Niter Contemporary Museum〉
本展では最も最近(1996年)のプロジェクトとして展示されている。


 花をイメージしており、岩の上に立つ時に意外と地形に合っているという不思議さがある。


 〈コンスタンティーヌ大学/University of Constantine〉
1969年アルジェリアに竣工。西沢さんが雑誌で最初に見たニーマイヤー作品だそうだ。


 敷地にゆったりと配置された建築群。

  〈イビラプエラ公園/Ibirapuera Park〉
約500m2のアトリウム全面を使った本展目玉のインスタレーション。1/30模型の世界を靴を脱いで自由に歩きながら、イビラプエラ公園を五感で感じることができる。



巨大なカーペットにgoogleマップをほぼそのまま印刷した。 
小さい人型は2000人。木は500本植えてあり、植物公園としての多様性も再現している。


 〈産業館 - シッシロ・マタラッツォ・パビリオン/Pavilion of Industry - Ciccillo Matarazzo Pavilion〉
実物は幅250m。模型は1/30でも8mある。


屈んで見ると違った風景が見えてくる。 
「ニーマイヤー展の依頼があったとき、一番好きなイビラプエラ公園が真っ先に浮かびました。ここでは特に彼の度量の大きさを感じさせる。雨漏りするなどデザイン的に問題があるところもありますが、『そんな細かいことはいいでしょ』とでも言うかのような寛容さのある建築だと思う。」と西沢さん。


 〈アフロ ブラジル博物館/ Afro Brazil Museum〉


座ったり、寝転がったり、実際の公園のように思い思いの時間を過ごして欲しい。


 〈エピローグ〉
ニーマイヤーが2001年に描いた16mの直筆ドローイングが展示されている。
あらためて彼のドローイングがいかに自由か、またドローイングと建築の近さ(ドローイング情報がそのまま現実になるという)を感じることが出来る。


西沢立衛さん。「僕らが尊敬しているニーマイヤーらしいものを並べました。最後の部屋にあるドローイングは今日初めて見ましたが、描かれているものが、偶然にも展示している作品とかぶっていて、ファンとして幸せです。」

【オスカー・ニーマイヤー展】
会期:2015年7月18日 〜 10月12日
会場:東京都現代美術館
詳細:www.mot-art-museum.jp/exhibition/oscar-niemeyer.html




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新国立競技場に関して伊東豊雄へのインタビュー

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(毎日新聞webより)


「そこが聞きたい:新国立競技場見直し 伊東豊雄氏」

 ◇原案固執、失った2年 プリツカー賞受賞の建築家・伊東豊雄氏

 土壇場での撤回劇=1=である。東京五輪・パラリンピックを5年後に控えるなか、新国立競技場の建設計画は異例の仕切り直しに追い込まれた。混乱の原因はどこにあったのか。世界的に評価され、新国立競技場のデザインコンペにも参加した伊東豊雄氏(74)が「建築家の目」で騒動の深層を語った。【聞き手・隈元浩彦、撮影・関口純】

−−安倍晋三首相が計画を白紙に戻すと決断した。

 良かったと思うが、遅きに失した感は否めない。デザインの選定は2012年11月のこと。翌13年10月には総工費が3000億円にのぼるという試算が示された。その段階でなぜ、対処できなかったのか。せめて1年前だったら、既存のスタジアムの再利用を含めて議論できたかと思う。失われた2年だった。貴重な時間が無為に失われただけではない。この間に、建設費は高騰している。計画の遅れの影響は計り知れない。

−−建築界からさまざまな問題提起がなされた。

 私は昨春、旧国立競技場の改修案を発表した。新国立競技場のデザインコンペに参加し、落選した立場からいえば批判も覚悟した。けれども、どういう設計思想のもとで、明治神宮外苑という景観と歴史を無視するような、巨大なスタジアム=2=になったのかが一切明らかにされないことに違和感を覚えたからだ。そう感じた建築家は私だけではない。だが反対論、異論に、文部科学省や計画の策定を進めてきた「日本スポーツ振興センター(JSC)」は「国際公約」「見直す時間はない」を理由に耳を貸そうとしなかった。当の国際オリンピック委員会が原案に固執した経緯はないのに、である。皮肉にも、間に合わせるはずの開閉装置は実施設計で五輪大会後に先送りされた。矛盾だらけの二つの言い分は、とにかく原案通りに遂行したい文科省などの方便に感じた。

−−今秋までに新たな整備計画を策定する。何が重要か。

 国際コンペを実施しなければならない。それも設計者と施工業者が組んだコンペだ。スタジアムは規模が大きく、技術的に難しい。施工方法、工期、コストの問題など全部ひっくるめて審査することで、発注者のリスクを抑えられる。施工期間は限られている。これまでのような多目的施設ではなく、スポーツ専用の施設として考え、屋根の開閉装置はやめるべきだ。コストだけではなく、何がテーマなのかが問われる。その視座が決定的に欠けている。

−−12年秋のデザインコンペで審査委員長を務めた安藤忠雄氏は16日の会見で、「任されたのはデザインだけ」と強調した。

 安藤さんがどういう意図であの巨大なデザインを選んだのか、その理由が明かされると期待した。しかし、釈明とコストの話だけで残念だった。自然との共生を考えるのが21世紀のデザインの潮流なのに、なぜ、自然を克服する対象として捉える、20世紀的モダニズムの典型のようなデザインになったのか、これまで説明がされていない。コンペだって本来は、設計者にデザインの意図を語らせるのが最低限のエチケット。それすら行われず、書類だけで「日本の技術だからできる」の一点で走り出した理由が分からない。当初は安藤さんも「周辺環境との対話」「地球環境に配慮」と言っていたはずなのに、いつの間にかなくなった。

−−あの時は、1300億円を条件にコンペが行われた。

 消費税込みかどうかは明示されていなかったが、誰が見てもザハ・ハディド氏の案がその額に納まるとは考えなかっただろう。最初の案はJR中央線をまたぐ大きさ。本来ならルール違反で失格だ。その後、延べ床面積で25%縮小された。コンペの規定には<提案デザインの変更は不可>という趣旨の一文があったのに主催者がそれを破った。最初の案と比べて脚がもがれたカニのような形になったのに、ハディド氏は何ら説明をしていない。おまけに設計者なら完成まで寄り添うべきなのに、実施設計は日本の設計会社が担う。その彼女には13億円が支払われ、さらに支払い義務が生じるという。異常だ。返金を求めていいほどだ。

 実施設計まで2年を要しているのも理解に苦しむ。加えて、実施設計よりも前の段階で、施工業者が決まっていた。技術を持っている、という説明だが、大手ゼネコンなら同じようなもの。指名であれば、競争が働かずコストがかさむのは当然だ。

−−今後、重要なことは。

 建築とは時代精神を反映する。巨大なスタジアム案のままだとしたら、東日本大震災からも何も学ばなかったこの国の姿を象徴すると思われたかもしれない。仕切り直しの今こそ、エネルギー、環境の問題も含めて21世紀の建築とは何かを考える時だ。1964年の東京五輪で会場が整備され始めた時代、私は学生だった。全国民が高揚感に浸った。今回、それがないのは寂しい。

ソース:http://mainichi.jp/shimen/news/20150722ddm004070007000c.html


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