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青木弘司による会場構成「JUTAKU Timeline エレメントからみる住宅の可能性展」レポート

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青木弘司による会場構成・企画協力で開催の「JUTAKU Timeline エレメントからみる住宅の可能性展」に行ってきました。会場はリビングデザインセンターOZONE。

 「OZONEが開設された20年前と比較しさまざまな社会変化によって日々の暮らしは大きく変化した。
住宅はこの間どのように進化してきたか、住宅をめぐる20年分の出来事を年表化して再認識し、次の20年へ向けた住宅の未来を展望。
これからの住宅業界を担う若手建築家の提言や提案をその思想を通して紹介。
住宅設備や内装材など主要なエレメントに焦点をあて、住宅のつくり方や暮らしの変化を俯瞰しながら新たな可能性を探る。」(展示概要より抜粋)
グラフィックデザインはSPREADが担当。

 架空の住宅を会場とした。
外観では "サイディングの20年"を紹介。現在新築戸建ての8割が窯業系サイディングを採用しているという。

 エントランスを入ると玄関ホールのような趣。


 壁には住宅に関わる出来事、法制度、代表的な住宅など20年分が時系列に並んでいる。
また、下段には倉方俊輔、島原万丈、三浦祐成らによる住宅に関する20年についてのコメントが寄せられている。


 ダイニングでは "複合フローリングの20年”。各エレメントには建築家からのコメントも添えられている。
複合フローリングについて青木弘司さんは「ペット用に意匠のバリエーションが欲しい」。伊藤暁さんは「幅や厚みをオンデマンドで可変出来るといい」。長崎辰哉さんは「国産材の魅力が味わえるものがいい」。

 キッチンでは “ガスコンロの20年”。
食器や家具は真っ白く塗ることでフェイクの表現とし、本物の住宅のエレメントが挿入されてコントラストを成す。  

 書斎の窓際には “ブラインド・ロールスクリーンの20年”。 



 “床タイルの20年”。「色の種類がもっと豊富だと良い」(猪熊純) 
廊下の奥は2階への階段のように表現。

 階段を上ると袋小路で “あなたの『住宅と暮らしの20年』を教えて下さい” とtwitter、instagram、facebookに投稿して下さい、と呼びかけられる。ハッシュタグ “#ozone20"で是非。


 寝室では “内装ドア”、“壁紙”、“室内ペイント”、カーペット” それぞれの20年。
「既製のドアは工期やコストに有利だが寸法やディテールをオーダーできると良い」(青木弘司)

 寝室の奥、ウォークインクローゼットには “建築家が選ぶ日本の住宅20年”。
‘70年代生まれの建築家5人が影響を受けた住宅とその歴史観を紹介し、自作と共に住宅の将来像を展望。

 左から鈴木謙介、長崎辰哉、伊藤暁、猪熊純、青木弘司それぞれが設計した住宅の模型と、各自が影響を受けた住宅へのコメント。


 水回りでは “ユニットバス”、“洗面台”、 “便器” それぞれの20年。
「男性用の小便器を求められることがある。現代的な新しい小便器の可能性はあると思う」(鈴木謙介)

青木弘司さん「一つの住宅をプランニングするように、展示スペースを設計しました。漂白されたアノニマスな空間に住宅のエレメントだけが本物として浮かび上がり、各エレメント固有の20年史が分かるようになっています。


 【JUTAKU Timeline エレメントからみる住宅の可能性展】
会期:2015年1月8日〜2月10日
場所:リビングデザインセンターOZONE(7F リビングデザインギャラリー)
詳細:www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/1773.html
連動シンポジウム有り

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黒崎敏/APOLLOによる住宅「PERGOLA」

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黒崎敏/APOLLO (Satoshi Kurosaki / Apollo Architects & Associates) による埼玉・川口市の住宅「PERGOLA(ペルゴラ)」を見学してきました。


 敷地面積297m2、建築面積51m2、延床面積93m2。木造2階建て。
広い敷地の手前を数台分の月極駐車場にしているため、駐車場に面したファサードに開口は設けていない。

 作品名のPERGOLAはもちろん上部のパーゴラに由来する。


 左の引戸から一度中庭に入る。そこから建物を見ると開口部が多く、外観からとは異なりかなり開放的になっている。


 振り返るとファサードの裏側で、完全には塞がない隙間の狭いルーバーになっている。


 玄関を入ると階段室を挟んで左に主寝室、右に水回りが配されている。


 水回りは白と黒のモノトーン。


 主寝室は小さめで、開口も少なく静かに過ごせるようになっている。


 一方子ども室は中庭に面して全面開口で、内と外を自由に出入りするこどもの姿が目に浮かぶ。
将来的に二部屋に分割できるよう配慮されている。

 2階へ。


 2階は中庭をL字型に全面開口で囲むワンルーム空間。 
SPF材の垂木が屋外のパーゴラまで連続しているようにした。(実際は内と外は異なる材)
床はウォルナット材。

 壁側には9m近くある造り付けの棚が一直線に延びている。



 棚の上部には同じ長さで対になるようなトップライトから光が注ぎ、白い壁を浮き上がらせている。


 中庭を仕切る外壁(右下)を見ると上面にアッパーライトが埋め込まれている。パーゴラを照らし出し夜を演出するためだ。


 そして天井の垂木の間にも照明が設えてある。
照明はシリウスライティングオフィス (Sirius Lighting Officeが担当。

夕景。(photo: Masao Nishikawa)
「お施主さんはアメリカ西海岸のケーススタディハウスの雰囲気を望まれました。立地を考慮しながら、外部視線をコントロールしつつ中からは開放感溢れる計画にしました。」と黒崎敏さんと、担当の北野英樹さん。



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サポーズデザインオフィスの「東京事務所お披露目会」レポート

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谷尻誠+吉田愛/サポーズデザインオフィスの「東京事務所お披露目会」に行ってきました。場所は渋谷区桜丘町、渋谷駅と代官山駅の間辺り。

富ヶ谷の前事務所よりアクセスしやすくすることと、手狭になってきたことによる引越だ。


当日は「カフェになっている」と聞いていたが、エントランスを入ると本当に店のようになっており、コーヒーのいい香りが漂っている。


普段はもちろんカフェではなく、事務所の給湯コーナーだ。ちょっとしたイベントでバーや受付にもなるようにした。


築40年ほどのマンションの一室で広さは約20坪。立地や家賃に加え、改装を自由にしていいということが決め手だった。
大家さんにはデザインをCGで作ってまでプレゼンしたという。



内壁を全て剥がし、躯体をむき出しにした。


解体はスタッフが行った。プロの業者が行えば4日で済むところ、業務の合間を縫っての作業ということから4ヶ月も掛かったそうだ。
(photo: Suppose Design Office)



天井を剥がすと現れた換気扇ダクトを通してあったという梁の大穴はそのまま!


解体しこの部屋の時間を遡ったような荒々しい古さと、シャープでありながら温かみのある新しいものとのコントラスト。
天井にはH鋼を格子状に渡した。上面に間接照明が付き、下面にはライティングレールが通してありスポットライトが付く。


茶色の壁は自社開発したという色付きメッキ板。亜鉛メッキした鉄板に車の塗装などに使うキャンディーカラーを塗った。
この事務所のデザインにあたって、これらの開発品を使おうというのがはじめからあったそうだ。



裏側はご覧のように亜鉛メッキのまま。


鉄板はリブが立てられて隣の板と接合できるが、直にリブ同士を接合せず、隙間に棚受けのアジャスターを挟み、いずれ棚が付けられるようにしてある。


奥の打合せスペース側は日が当たり明るい。
床は足場板の古材(広島のWOODPRO)。



テーブルのフレームや脚、書棚の鉄部には同色に着色してある。


この日カフェを開いてくれたのは自由が丘のIDEEに入っている〈自由が丘 ベイクショップ〉の浅本充さん(右)。来訪者に一杯ずつ、豆を挽いてからコーヒーを淹れてくれた。


さらに、ベイクショップで出しているサンドイッチやクロワッサン、クッキーなどをいくつものコンテナで用意した。


ビールは〈BLUE MOON〉が大量にスタンバイ。フレーバービールで、オレンジを添えて飲むのがおすすめだそうだ。


会が始まればご覧のような賑わいになった。とてもオープンなお披露目で、「SNSで見かけたので来てみました」と本当に一見さん的な方がちらほら。






お土産に用意された〈PAPABUBBLE〉で作ったSupposeキャンディー。


左から谷尻誠、吉田愛、濱谷明博、阿部隼の各氏。
「建築事務所には普段、仕事や設計のご依頼でもないと訪れることはないと思います。でも建築はこんなところで仕事しているのですよ、と誰にでも気軽に見ていただけるようにこの会を開きました。もちろんいつもカフェみたいにはなっていませんが、ふらっと立ち寄っていただけるような雰囲気の事務所にしました。」と谷尻誠さん。

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木下昌大による集合住宅「AKASAKA BRICK RESIDENCE」

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木下昌大 (Masahiro Kinoshita / KINO architects) による集合住宅「AKASAKA BRICK RESIDENCE」の内覧会に行ってきました。場所は港区赤坂6丁目。施主は株式会社アトリウム。

 敷地面積315m2、建築面積200m2、延床面積1,508m2。RC造10階建て。


 2階から10階の各フロアに3住戸が入る全27住戸の賃貸共同住宅。


 ファサードは市松模様で、"目"自体も煉瓦の透かし積みで市松模様になっている。


 マンションには避難経路としてバルコニーが設けられるが、都心のマンションではそのほかの用途、つまり物干しや寛ぎ空間としてはあまり使われることない。
そして両側のマンションのように水平に連続する単調なファサードが常套となり、画一的な街並みが生み出される。

 1階路面部分にはテナントスペースを設け、既に飲食店が入ることが決まっている。


 市松の透かし積みはエントランスにも。


 エントランスからテナントへは敷地の形状に合わせて庇がせり出している。
右に見える煉瓦は他の煉瓦より小さい通常のサイズで、透かしの間隔も狭くなっている。ファサード全体に使われている煉瓦は特注サイズで幅を広くし、透かしの間隔を開け光の透過を多くなるようにした。


 ダークなエントランスホール。


 廊下もかなりダーク。


 部屋へ入ると一転白いインテリア。透かし積みのスクリーンがプライバシーを確保しつつも採光し、インテリアのアクセントにもなっている。
この一室は仲介会社がモデルルームとして家具を置いている。

室内はオーソドックスな設計を求められた。各住戸は41m2前後の1LDKで、家賃は18万円台から21万円まである。

 寝室。数日前に行われた最初のオープンハウスで既に1/3の入居が決まったそうだ。


 透かし積みは開口のすぐ外ではなくバルコニーの奥行き1m分離れているので、半屋外的な空間が出来上がる。下階の同位置は開放されているので地上に向かって口が開いているように見える。


 バルコニーに出てみる。上の写真と逆の状況で、見上げると上階の開口が見える。


 目を転じると徒歩6〜7分の東京ミッドタウンが望める。


 1mの奥行きは避難はしごユニットのサイズからきている。前述のように殆ど避難経路としてしか使われないバルコニーはサイズを抑え、煉瓦を使う分のコストを相殺するようにした。
ちなみに上階の避難ハシゴはこの二層 “吹き抜け空間” を降りていくことになる。

 瀬戸で作られた特注の煉瓦は約5,000個。5つ穴が開けられており、左右は芯を通すためで、中の3つは軽量化のためだ。
煉瓦も経年によって汚れてはくるが、それが単なる古さではなく、風合いを伴うビンテージ感が増す効果があり、建物の価値が落ちにくいと考えた。


他の部屋へ。
 1002号室。



 1003号室。透かし積みの箇所はそのままで、ない箇所はカーテンを使えばよい。



木下昌大さん(左)と、アトリウムの担当亀田竜生さん(右)。
「街の風景を刷新するような集合住宅の新しいプロトタイプを目指しました。内からはカーテンの開閉によるon/offだけではないセミオープンな環境をつくることが出来ました。透かし積みをふかすことで空間が外に拡がっているようにも感じてもらえるのではないでしょうか。」と木下さん。
「後発の会社にとってなかなかチャレンジングな建物は難しいですが、枠の中でもやりたくない。そんな中で木下さんの案はバランスが良く担当としてなんとしても実現させたいと思わせるものがありました。」亀田さん。



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「スイスデザイン展」レポート/東京オペラシティアートギャラリー

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東京オペラシティアートギャラリーにて1月17日より開催される「スイスデザイン展」内覧会に行ってきました。

 日本とスイスの国交樹立150年にあわせて開催される本展は、近代デザインの草創期から、その開花を迎える20世紀中頃、そして多様な価値観とアイデアの展開する現在まで、スイスから世界に向けて発信されたプロダクト、グラフィック、建築、インテリアなどにスポットを当て、スイスデザインの全貌を紹介するというもの。


 ウルス・ブーヘル駐日スイス大使。
「機能性、シンプルさ、手仕事的なぬくもりと美しさを愛する気質など、日本とスイスデザインには共通点がある。スイスデザインの大きな流れを理解していただくとともに、スイスという国についても再考いただく機会となれば嬉しい。」


 ブーヘル氏の背後に見えるのは、USMモジュラーファニチャーが今回の展示のために制作した<スイスクロスをモチーフにしたUSMハラー>。本展入口に位置し、国旗自体が最強のデザインとも言えるスイスのデザイン展に相応しい始まりだ。


 もう一つ入口に展示されているのは<ルツェルン応用化学芸術大学による型紙インスタレーションプロジェクト>
日本の型紙をモチーフにして産学協同で作ったフレキシブルに使用できるオブジェ。サンクト・ガレン美術館から資料等を借りる際に丁度展示されていたそう。


 <プロローグ>
日本とスイスが国交を樹立した1864年当時に遡り、両国の交流の始まりを証言する版画や資料を紹介(スイスデザインへの流行る気持ちを抑え、先ずはしっかり歴史を学びましょう!)


 <エアラインのロゴにみるスイス・クロスのデザイン>
スイス・クロスを世界中でなじみ深いものにしたエアラインのロゴに関する資料が展示されている。


 <自然・観光・交通のデザイン> 
ポスターなどを通じて、国をあげて多くの観光客を呼び込んだ観光大国としてのスイスを知る。

 <都市の交通と公共のデザイン> 
スイス鉄道時計と連邦鉄道のポスター。時計は70年前にデザインされ今もスイス連邦鉄道のシンボルとして愛用されている。


 <スイスブランドの物づくりとデザイン>
スイスを代表する8つのブランドの取り組みと、そこで受け継がれるデザイン理念を展示するエリア。


 クリスチャン・フィッシュバッハ
高級インテリアファブリックメーカー。デザイン原画とともに紹介。


 シグ
シンプルな構造とデザインのアルミボトルが世界中で愛用されている。


 スウォッチ
カラフルで革新的デザインをまとったプラスチック製クォーツ時計。
並んでいるのはクラブ・ウォッチコレクションの限定モデルで、左の空ディスプレイには2015年モデルが3月中旬に展示される予定。


 ビクトリノックス
マルチツールのアーミーナイフはスイスプロダクトを代表するアイテムの一つ。プロトタイプや外国の軍隊へ供給したソルジャーナイフなど約200点を紹介。


 バリー
バリーのアイコンであるポスターや、靴、ロゴデザインを紹介。


 フライターグ
カラフルで丈夫なトラックの使用済み幌を使ったバッグ類でお馴染みのブランド。


 ネフ
遊び方が無限に広がってゆく新しい発想の積み木で知られる木製玩具メーカー。


 USM モジュラーファニチャー
USMといえば組み合わせ自由なシステムファニチャー "USM ハラー"。建築家フリッツ・ハラーと三代目経営者ポール・シェアラーが1963年に開発した。


 コネクター製造過程サンプル、パンフレット、色見本メタルパネルなどの資料とともに紹介。


 <マックス・ビルとモダンデザインの哲学>
スイスデザインのみならず、モダンデザイン全般に大きな足跡を残した巨匠マックス・ビル (1908-1994) のグラフィックデザイン、家具などを展示。


 1928年刊行の "新建築"を発見!
バウハウスに入学したてのマックス・ビルが新建築のコンペに応募し、3等案として同誌に掲載された時のもの。当時バウハウスに留学中であった水谷武彦がビルの図面に日本語を書き入れてくれたそう。


 <スイスタイポグラフィーとグラフィックデザインの黄金時代>
20世紀半ばのストイックで厳格なスイスのタイポグラフィ、ポスター、ブックデザインなどが展示されている。次の展示室にある近年のポスターへと続いていくような構成が面白い。


 <スイスデザインの現在>
近年のスイスデザインアワードを受賞したデザイナー19組の作品を紹介するエリア。作品の選定には、アワードの審査員であるアトリエ・オイのパトリック・レイモンドが協力した。


 <アトリエ・オイ>コーナー。
照明器具 "Allegro Assai""oiphorique"や、"Oasis Chair"、"Hive poufスツール" など。


<ル・コルビュジエとスイスデザイン>
最後の展示室。コルビュジエにみられるスイス的な特質を再考し、さらにそこからスイスデザインを考えることをテーマとして構成されており、ネスレ・パビリオンスケッチ、バリー店舗スケッチ、サルブラ壁紙カタログ、シェーズロングLC4などが展示されている。


【スイスデザイン展】
会期:2015年1月17日〜3月29日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
詳細:www.operacity.jp/ag/exh172/


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「丹下健三が見た丹下健三」展レポート/TOTOギャラリー・間

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TOTOギャラリー・間で1月23日より開催の「TANGE BY TANGE 1949-1959 丹下健三が見た丹下健三」展の内覧会に行ってきました。

 「丹下健三の没後10年の節目に開催する本展は、処女作〈広島平和会館原爆 記念陳列館〉(1952年)のプロジェクト開始から初期代表作のひとつ〈香川県庁舎〉(1958年) 完成までの "世界の Kenzo Tange"になっていった10年間 (1949〜59年) に焦点を当て、丹下自らが撮影した35mmフィルムのコンタクトシートを通してその初期像を紹介。」(展示概要より抜粋)


 '53年頃の丹下(撮影者不明)。成城の自邸の工事現場で。


 会場は黒に統一され、一見ランダムに配置されたような展示台の上に多数のコンタクトシートが並んでいる。


 内覧会の前に設けられたプレスカンファレンスで、本展の監修者である岸和郎さんと、キュレーターである豊川斎赫さんより説明があった。


 まず展示の見方。
本展で紹介される15プロジェクトは10年間にオーバーラップしながら進行している。

 会場の平面図。
プロジェクト毎の展示台と、そこに並ぶコンタクトシートが、壁面の年表と仮想の線で区切られながら時系列的に見ることができるという仕掛だ。

 年表と赤い線。


 写真では見えにくいが展示台にも赤い線が引いてあり、年表とコンタクトシートがリンクしている。
会場構成を担当したのは木下昌大。

 次にコンタクトシートの見方。
写真の中には左のように、丹下自らが引いたトリミングラインが見られる。そして右がトリミングされ、雑誌や作品集等で発表された写真。
この写真は広島平和記念資料館本館で、トリミングされることで神殿のような柱と広いピロティで、人々を迎え入れるような対比が強調されている。

 建設中の〈広島平和会館原爆 記念陳列館
右に2本のトリミングラインがあり、丹下の迷いが見られる。
「右の外側のラインの方が(遠景の)建物の棟が入るので切妻屋根だと分かる。しかし内側のラインでトリミングし屋根の形状や大きさが分からなくすることで、当時の文化的な情景を排除し、手前の墓地の風景を強調したかったのだろうと推測できる。」と岸さん。
また「丹下先生は私が建築の勉強をはじめたときにはすでに遠い存在であったが、今回これらのトリミングラインを見て、建築家として同じような意識でいることに触れられ、時を越え先生とコミュニケート出来た気がした。」とも話す。

 左下の桂離宮新御殿は特徴的なむくり屋根を無視して、古典建築の水平垂直の構成に着目し撮影されているのが分かる。
そして実作である〈広島平和記念資料館本館〉(左上)、〈成城の自邸〉(右上)、〈倉吉市庁舎〉(中下)、〈香川県庁舎〉(右下)に反映されているのが確認出来る。
「これら50年代の "渋い"建築は、ピークを迎える60年代の建築への助走の時代だった。」と豊川さん

 コンタクトシートは台紙にこのように並べられている。60年前に丹下自らが焼いて、切って、貼ったと考えられている。 
(コンタクトシート=フィルムを印画紙に密着させ原寸でプリントしたもの。べた焼きとも呼ぶ) 


 台紙は70数枚、写真は約2,000カットある。
ちなみに展覧会のきっかけは、豊川斎赫さんが以前丹下健三をテーマに論文を書いた際、丹下のご息女である内田道子さんに資料を見に来ないかと誘われこのコンタクトシートを見せて貰った。そして道子さんに頼まれ写真を整理し、いずれしかるべき機会、つまりギャラ間でこれを発表しようと二人で決め岸さんに相談したそうだ。

 3階展示室。


 3つのテーマ、〈都市のコアと建築のコア〉〈大空間への挑戦〉〈伝統との対峙〉の島がある。


 東京大学丹下研究室で学んでいた槇文彦さんも来館(中央)。


中庭の展示は前出の桂離宮を参考にした作品群と、旧〈東京都庁舎〉と〈成城の自邸〉の空撮写真が引き伸ばしてプリントされている。空撮も丹下自らが撮影したもので、かつての東京の風景を空から眺めているような演出だ。

 4階展示室。 
3階同様3つのテーマで島が出来ている。〈RC表現の模索〉〈外部との交流〉 〈50年代を統合する建築から 60年代へのプロローグ〉


自らが編集し‘66年刊行の〈現実と想像 1946-1958〉と、’68年刊行の〈技術と人間 1955-1964〉。
上は今回TOTO出版創設25周年記念出版として刊行した〈TANGE BY TANGE 1949-1959/丹下健三が見た丹下健三〉

 来館した多くの建築家が丹下の目を通した写真を見つめる。




 内覧会にて、左より内田道子、豊川斎赫、岸和郎、木下昌大の各氏。
「コンタクトシートにある桂離宮と香川県庁舎は子供のころ同行していたので、写真がこのようなかたちで日の目を見るとは夢にも思っていなかった。」「このコンタクトシートを通して若かった父の建築への思いや眼差しを感じて頂ければ嬉しい。」と内田道子さん。

【TANGE BY TANGE 1949-1959 丹下健三が見た丹下健三】
会期:2015年1月23日〜3月28日
場所:TOTOギャラリー・間
詳細:www.toto.co.jp/gallerma/ex150123/

シンポジウム
丹下健三没10年『今、何故、丹下なのか』を問う
10 Years After Kenzo Tange - 'Why Tange Now?’
会期:2015年3月22日 14時〜(※丹下健三命日)
場所:建築会館ホール
※事前申込制

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西久保毅人/ニコ設計室による「小川さんの家」

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西久保毅人/ニコ設計室 (Taketo Nishikubo / Niko Design Studio) による東京・調布市の住宅「小川さんの家」のオープンハウスに行ってきました。

敷地面積301m2、建築面積149m2、延床面積175m2。木造2階建て。

北側(右)に母屋、南側にガレージ + 客間。その間を渡り廊下で繋いである。
(1枚の写真に収まらないので簡易に合成しました。不自然な箇所がありますが建物の構成を見て頂くための参考画像です)
 ガレージ奥に客間。


 壁は焦げ茶のポーターズペイントで施主も一緒に塗った。床はサイザル麻敷。低めの開口からはまだ未完成だが、芝を敷き詰めた小山や庭石が美しく見える予定。


 ガレージから母屋を見る。渡り廊下の下はピロティが右奥まで連続する。左にはハンモックが吊されている。


 庭に出るとモミジが植わり、ステップを備えた日当たりのいい縁側が現れた。表のキンモクセイとこのモミジは元から植わっていたので、この2本を活かしながら設計が進められた。


 母屋側のピロティには杉板張りの多面体が。周囲に設えた腰掛けはコンクリートで、座面が研ぎ出し仕上げされている。


 玄関を入るとピロティからコンクリート平板が連続し土間の雰囲気を作っている。右には外部から多面体が入り込んでいる。そして突き当たりに薪ストーブ。


 土間を奥から見返す。多面体は六角形で中には納戸とトイレが収まっていた。
イメージとしては床に敷かれるコンクリート平板は外部を表現し、六角形の納戸は外にある納屋、その上に屋根を被せ、内とも外ともつかないような雰囲気にしてある。

 居室へは7段あがる。


 あがると大きな円い壁。スリットから中にキッチンが覗く。


 LDK。2階までの吹き抜け空間に大きな円筒が勘合していた。上は子ども室になっている。


 天井まで大開口のリビングに対して、ダイニングキッチンは開口を減らしダークな色調で光を抑えてある。


 食事の時はワインを飲みながらしっとりとできる空間を施主が望んだ。庭に見えるモミジは夜になるとライトアップされ “夜景” も楽しむことができるという。


 リビングを出て縁側からの眺め。グレーの箱が客間。


 奥に見える階段から2階へ。


 2階にはストーブの煙突が覗く。右に浴室と洗面、奥には主寝室。
ストーブを居室に置かなかったのは、こうすることで(特に冬場)居室以外の場所も居場所になれるようにとのことだ。

 右を向くと浴室からルーフバルコニーへ通じている。 


 洗面の鏡を開けると浴槽が現れた。通気を目一杯できるようにだ。


 主寝室は外観から見えた横スリットの窓。


 子ども室。壁面の構造を小物置きに利用。 


 浴室からルーフバルコニーを見る。


浴室も半屋外。通路としても存在するような不思議な雰囲気。


 右を見ると縁側や多くのステップが見える。
「初めは夫婦二人で静かな住まいをイメージしていましたが、途中子供もでき、なぜか段々 “こんな感じの” 、友人が沢山来て、沢山の居場所があるような家になっていきました。」「勝手な夢ですが、いつかここで誰かが結婚式をしてくれたらいいなと思っています。」と施主の小川さん。

屋根の上には、屋根と面一に埋め込まれたソーラーパネル。
「とてもアウトドア志向のお施主さんで、お話を伺っていくと外向きのお話ばかりされてました。極端な話、屋根なくてもいいかな?とも考えましたがそうもいかず、結果沢山の余白があり、どこからでも外に繋がって、どこにでも居られるような住まいに計画しました。」と西久保さん。

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土田拓也/no.555による自邸「YAMATE APT.」

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土田拓也/no.555 (Takuya Tsuchida / number fives architectural design office) による横浜市中区の自邸「YAMATE APT.」を見学してきました。
'73年に建てられた集合住宅の一室をリノベーション。

 玄関は木毛セメント板やコンクリートブロックを使い粗いテクスチャー。


 LDKに入ると土田さんの愛犬ジウジが出迎えてくれた。個室もいくつかあったが、91m2をゆったりとした1LDKにした。


 前のオーナーは手放すとき、きれいにリフォームしたそうだがそれらを全て解体した。
そして単に解体しただけの状態ではなく、所々モルタルやパテで補修し、粗すぎず、仕上げすぎずの絶妙なバランスに仕上げた。
「数十年前に躯体を作った職人さん、今回リノベに携わった職人さん達の “手垢” も大切にした。」と土田さん。



 床は浮造の杉板に、下地塗装とクリア塗装をしたもの。
インテリアには土田夫妻のお気に入りが至るところに並ぶ。



 壁はコンクリートのグレーだけでは面白くない。床から72cmの高さまで白く塗られているが、それは奥にある長年愛用のソファに寝転んだとき目線の高さに来るようにしたそうだ。自身が持つ感覚的嗜好をデザインに反映できるという自邸ならではのこだわりだ。


 白い部分は立て掛けてあるホウキ下半分にも。
右に見えるスイッチパネルは特注で製作。




 玄関と右の寝室に通じる開口には、ポリカの板段をはめ込んだ建具を取り付けた。


 キッチンはステンレスの天板にスチールのフレームで作ったオリジナル。水道管は床から直接立ち上がり、業務用の水栓金具を取り付けた。目の前に並ぶ調理器具もインテリアの一部と化し、コンランショップに迷い込んだようだ。

 キッチンの奥は寝室。


 寝室というか、寝室側の空間。床はラワン、壁と天井は木毛セメント板に変わる。
左と右奥にベッドスペース。右のカーテンは水回りへ。

 ひとつの空間を手前と奥で何となく夫妻それぞれの空間に分けた。


 72cm高の白塗装はカーテンにも。


 浴室はFRPで仕上げた。


 キッチンは特に奥さまのお気に入りだ。
しかし、デザインは途中奥さまに見せずに、竣工してからサプライズ的に披露したそうだ。

土田拓也さん、ジウジ、未来さん。
「設計では竣工した時が完成ではなく、住みながら使いながら数ヶ月後に完成していくようにいつも心掛けています。意外かと思われるかも知れませんが、ラフさの加減はかなり緻密に計算します。今回は自分の家ですが、依頼された住宅でも "ここ、こうやって使ってくれたらいいな"と考え抜いて想定しながら計画します。」と土田さん。


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河野有悟 建築展「きめ方がつくるかたち」レポート

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河野有悟 (Hugo Kohno Architect Associates) の個展「きめ方がつくるかたち」に行ってきました。会場は東京・南青山のプリズミックギャラリー。

 「設計の過程ではクリアすべき命題に矛盾や相反が多く存在します。しかし、その状況こそが発想の始点となって何をクリティカルに思考していくべきか、どのように進めたら答えに近づけるのか。プロセスから生まれた建築を、竣工した作品と進行中のプロジェクトを通して展示します。」展覧会概要より

 エントランスを入ると〈東京松屋UNITY〉と〈SKY FORTRESS〉が大伸ばしにプリントされ迫力大。

 およそ主要な展示面は大伸ばしプリントでラッピング。プリズミックで使われるミーティングテーブルにも。


  〈三橋の集合住宅〉
自転車を住戸内に入れやすく、かつ共用部で自転車と人がすれ違えるようにアルコーブに角度をつけた。


 〈奥沢の集合住宅〉
賃貸の住人と、オーナー家族が共用部で顔を合わせられながらも動線は分離し、コミュニケーションと距離感のバランスを取った。

 〈CRANKS〉 
リブの付いたRCの外郭と木造のインフィルにより、強固な構造と柔軟なプランを両立。
その外郭の1/2模型。 

 そして奥に〈CRANKS〉の室内をほぼ1/1に引き延ばした写真。これらの大伸ばしは全てターポリンにプリントされている。

 計画中の3つの模型が並ぶ。

 〈CON-FLEX〉 
機能を集約させた4つのコアの間に3つの住戸が入る。L字型のプランながらもそれぞれの住戸にできるだけ等しく光を導く。

 〈赤堤の住宅〉 
トラスや円を連続させたスチールで補強された梁を持つ木造ラーメン構造で、内部には耐力壁を不要にさせた。

 〈南雪谷の住宅〉
1階のハイサイドライトを持ち上げ、2階の壁に。住宅密集地で1階への採光、2階への外部空間の確保を狙った二世帯住宅。


河野有悟さん(右)、内海聡さん(左)。 
「設計において、計画の方向性をきめるための様々な要素や条件がありますが、その中に潜む相反を抽出し、どのようにしたらきまるのかという “きめ方” がとても重要だと思います。そうしたたくさんの判断の積み重ねが、それぞれの作品の特徴として  “かたち” に現れたものを本展ではご覧頂けます。」と河野さん。
内海さん(内海聡建築設計事務所主宰)は河野事務所の元スタッフで、本展企画の多くをサポートしたそうだ。

【河野有悟 建築展 きめ方がつくるかたち】
日時:2015年1月23日~2月21日
場所:プリズミックギャラリー



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「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」レポート/21_21 DESIGN SIGHT

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21_21 DESIGN SIGHTにて2月20日より始まる「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」の内覧会に行って来ました。

 本展は、普段私たちが何気なく接しているあらゆる単位を、科学、日用品、伝統などの視点から体験することで新たな世界を見てもらうというもの。


 グラフィックデザイナー、コピーライター、建築家、研究者など、専門チームメンバーが毎週のように集まり展覧会を作り上げた。また、これをきっかけに何かが派生したり繋がりのある展覧会となるよう参加作家を多めにし、広がりを持たせた点も本展の特徴である。(写真は展覧会チームメンバー:右から:中村至男、鈴野浩一、稲本喜則、岡本 健、菅俊一、寺山紀彦、星田直彦、五十嵐瑠衣、山田遊、前村達也)




メートル原器
北極点から赤道までの長さの1000万分の1の長さをもとに製作され、1960年まで1mの基準として用いられていたメートル原器のレプリカ。

 ギャラリー1
基本的な単位を見せる展示エリア。マッハ1はどれくらいかを知る〈速さの比較〉、1GB分の文字、写真、映像を比較して情報量の違いを視覚化した〈情報の比較〉、お金を様々な単位の視点からとらえる〈お金の比較〉など。



 ギャラリー2
展覧会チームをはじめとする多様なメンバーによる様々な単位を軸とした作品が並ぶ。





 会場構成を担当したトラフ建築設計事務所の鈴野浩一さん。〈AA スツール〉の前で。
「建材は様々な単位で規格統一されています。四八判のベニヤ、120角の集成材などを使って展示台をデザインしました。材と材の隙間をあけて “単位” らしくしましたが、これはポスターのビジュアルの浮遊感ともマッチさせています。」

 〈21_21 DESIGN SIGHTってどれくらい?〉
寺田尚樹/テラダモケイ
「1/100スケールで21_21 DESIGN SIGHTの空間に競技スペースを配置して比較しました。」

 ギャラリー2にすっぽりテニスコート一面分が入ることなどが分かる。


 〈長さの比較 1から100のものさし
寺山紀彦/studio note
1cmの大きさのものから100cmまで100種類のものが壁一面に並ぶ。

 所々欠番があるので「募集中」とのこと。


 寺山紀彦さんと〈お酒スケール〉


 〈コップの中の空間
大西麻貴+百田有希/o + h
人間と蟻など体の単位を変えて想像してみることで身の回りの物の中に沢山の空間を発見する。

 〈ヒューマンスケールの計り
クライン ダイサム アーキテクツ
建築家として空間をデザインする際に、自分たちのオフィスで寸法を感じ再確認するという。日常的に行うスケールとの向き合い方。

 〈二つの円筒
ジャスパー・モリソン
イギリスの小さな街で見つけた二つの円筒に纏わるユニークなエピソード。

 〈無印良品の単位
佐野文彦+無印良品
無印良品のユニットシェルフで組み上げた空間。日本の木造建築の基準である3尺/6尺が元になっている。

Measuring shop
会場1階スペースは単位にまつわるショップとして無料開放しており、展覧会チームの関連商品や、単位をモチーフにしたグッズ、ナカダイの量り売り素材などを購入することが出来る。

【単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?】
Measuring: This much, That much, How much?
会期:2015年2月20日〜2015年5月31日
場所:21_21 DESIGN SIGHT
詳細:www.2121designsight.jp/program/measuring/



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廣部剛司による住宅「由居庵(ゆいあん)」

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廣部剛司 (Takeshi Hirobe Architectsによる東京・世田谷区の住宅「由居庵(ゆいあん)」のオープンハウスに行ってきました。

敷地面積137m2、建築面積50m2、延床面積92m2。木造2階建て。旗竿敷地や、風致地区によるセットバックなどにより建築面積は制限される。

 玄関土間はスレート張り。奥の地窓からは敷地外周に巡らせた植栽が覗く。


 閉じ気味の玄関と狭められた開口を抜けると...


 一転、22畳のワンルーム空間が広がる。


 この住宅はご主人がもうすぐ定年を迎えるご夫婦の住まい。寝室や書斎などの個室を設けず、「下の部屋」と「上の部屋」のみ。ベッドを置かずに布団で気ままに好きなところで寝るそうだ。


 いわゆる老後の住まいのイメージではなく、よりアクティブに住まうことができるよう自由な空間作りがされている。


 キッチンと、筆者の背後の納戸に洗濯機が置かれる。奥の勝手口からは物干しに出られるので一直線の家事動線だ。
キッチンと作業台の天板は黒御影石。

 吹き抜けの上下には大開口。外周にはシラカシの生け垣でプライバシーを確保。


 反対側は螺旋階段と丸木を使った大黒柱。2階と北西の壁を支える太い梁は105×330ある。


 階段の踏面の支えはカーブさせ柔らかい表情を出している。
また外壁に櫛引を多用する廣部さんだが、ここではシラスの内壁全体に刷毛引を施した。

 2階へ上がると多摩丘陵の斜面から、向かいのマンション越しではあるが多摩川方向を望むことが出来、遠くに丹沢の山並みと富士山も。
敷地の法規制ぎりぎりのボリュームを取りつつ、2階の床を高く設定することで眺望の抜けを実現した。上棟後真っ先に2階へ上がり、多摩川の対岸が見えたときはほっとしたという。

 中央の小さめの開口はフィックスではなく引き違いサッシュを利用している。


 外から見るとこのように。既製の引き違い窓の外枠を外寄りに付け、片側のサッシュにガラスを入れないで使っている。勿論雨仕舞はきちんとされている。


 反対側、左にウォークインクローゼット、右に書斎スペース。


 屋根は切妻(上の画像)と寄せ棟だと分かる。奥の戸は水回り。




 天井には少し光沢のある和紙が貼り込んであり、表情を変えながら光を反射させている。


「お施主さんは、動きがあり、空に開かれ、使い方に自由度がある空間を望まれました。ここでは法的な縛りで外形ボリュームはある程度決まってしまいますので、広さではなく “拡がり"、そして気積をコントロールしました。大きめの吹き抜けで上下層を繋ぎ、シンプルな箱形に相互貫入していくような “抜け” を作りました。」と廣部剛司さん。



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岸本和彦/acaaによる鎌倉の住宅「House-S」

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岸本和彦/acaa (Kazuhiko Kishimoto / acaaによる鎌倉の住宅「House-S」のオープンハウスに行ってきました。北鎌倉駅から徒歩で30分程の住宅地。

 敷地面積210m2、延床面積129m2。木造2階建て。


 道路と緑道に挟まれた三角形の敷地。緑道には桜も含め様々な木が植わり、贅沢な借景が期待できる。


緑道側から。道行く人との視線を考慮したことが伺える軒の高さ。

 炭がしっかり残る焼き杉の外壁に、施主こだわりの格子戸が映える。
「周囲に緑が多いところでは黒い家が似合う。」と岸本さん。


 格子戸を開けると2台分のガレージでワーゲンバスなどが納まる。玄関はガレージ内から引戸を開ける。
左上の開口からはガラス越しに緑道へ視線が抜けるようになっている。

 玄関を入ると左は居室へ。右の廊下はトイレ、納戸、浴室へと通じる。


 落ち着いた雰囲気のトイレ。


 廊下の天井は包み込むように大きくカーブしている。右の壁は濃紺の和紙(壁紙)が貼られ光を吸収している。
地窓からは外構の植栽が覗き、床に飛び石を配することで外の雰囲気を演出している。また飛び石はこのほの暗い空間に距離感を与えてくれる。

 水回り。浴室にはヒバの建具と、マキノキの浴槽で岸本さんが多用するコンビネーション。
洗面台の下には乾燥機が収まっている。

 玄関へ戻り、居室へ5段上がったところで振り返ると吹き抜けになっており、2階の向こうに空が見える。


 そしてまた振り返ると横長に緑道の緑が切り取られる。もうじき正面の桜が満開になる。
5段上げたのは緑道からの見下ろし視線を避けるためだ。

 左を向くと小上がりで和室のリビング。
鴨居と戸の切れ込みのおかげで分かり易くなっているが、天井がカーブを描きながら窓に覆い被さっている。これは室内から見たとき、軒の垂木が持つ直線的で外に向かおうとする力に対して、曲面によって内側に包み込もうとする力を生み出してバランスを取っている。「外に繋がる力と、内に包む力のせめぎ合いです。」と岸本さん。

 障子を開け放てば2階と連続させることもできる。


 開口は105mm角の柱で一間ピッチで刻んだ。


 キッチン、ダイニングの側へ。


 キッチンは家の中心に位置する。小窓がつきダイニングへサーブしやすい。
右奥のIHコンロの上、タイルに少し隙間が見えるのは換気扇の吸い込み口だ。

 メンテナンスの際はこのように。ファンの周囲は鉄板でできており、市販のフィルターが磁石で取り付けられるように配慮されている。


 もちろん緑道を眺めることができるが、行き交う人と直接視線が合わないようになっている。


 ダイニングテーブルの片側は背後の階段が連続しベンチシートになっている。
上は勉強スペース。 

 至るところに居場所がある。


 窓を開けると縁側に身を乗り出すこともできる。


 2階勉強スペース。


 天井の頂点もカーブしている。フリースペースを抜け、奥には個室が集まる。


 手前に子ども室、奥はガラスと扉で仕切られた主寝室、右奥に籠もり部屋のような一室がある。
鴨居を宙に浮かせ、戸を閉めても空間の連続性を損なわないようにした。

寝室側から見ると、左に1階の和室リビング。

「ここでは当然緑道とどう向き合うかがポイントでした。緑道に対して開け放つのは簡単ですが、家として包み込むように守ってくれることも大切ですのでそのバランスが取れるように計画しました。」と岸本和彦さん

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ブルースタジオによる代官山のリノベーションビル「SodaCCo」

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ブルースタジオがリノベーションを手掛けたオフィスビル「SodaCCo - ソダッコ」の内覧会に行って来ました。「子どもとクリエイターの『育つ』が出会う、みんなのビル」がテーマ。

場所は代官山駅から徒歩8分。Urban Resort Group 株式会社佐藤商会の所有するオフィスビルで、1971年竣工のRC造、地上6 階建て、延床面積約2,000m2。
1~3階は子供をテーマとした事業者向けのテナントスペース。4〜6階はコアテナントととしてクリエイター専用シェアオフィス〈co-lab 代官山〉が入居する。



BEFOREの写真。佐藤商会は代官山を本拠地としており、リノベーションに際して単なるテナントオフィスではなく地域に根ざしたオアシスのような場所として生まれ変わることを目指した。




建物前面セットバック部分は植栽豊かな街の〈ポケットパーク〉で、子どもたちが遊び、クリエイター達がリフレッシュするスペース。


〈ポケットパーク〉はピロティも含み、右のレンタルイベントスペースと合わせてワークショップやセミナー、展示会など様々な形で利用することができる。
その他1階には託児施設などが入居する予定。



レンタルイベントスペース〈SodaCCo STUDIO〉


当日も子供・キッズをテーマとしたポップアップショップやワークショップが開催されていた。


2階へ。


船のデッキを思わせる〈ウッドテラス〉は子どもたちとクリエイターたち、ご近所さんたちがやってくる出会いの場。帆布のオーニングによって雨や強い日差しを和らげる。


2階エントランスホール。2階には4つのテナントスペースがある。


エントランスラウンジのカフェ〈バード〉。


ピクニックをイメージしたカフェは、人工芝が敷き詰められた可愛らしい雰囲気で家族連れにも入りやすい。


奥には書籍コーナー。


サンルームは半屋外的空間。
今回建物は築44年とあり、耐震補強工事が行われた。鉄骨ブレースも上手くデザインエレメントに変身。



〈ウッドテラス〉でのワークショップの様子。


3階は5つのテナントが並ぶ〈ショーウィンドーオフィス〉。スケルトン天井にモルタル床の無骨なインテリアは、改築など自由なアレンジをすることも可能。各テナントの交流とともに、多様なアクティビティが生まれるオフィスを目指す。


既に入居しているショップ〈いろくみ〉。


この日はPOP UPショップ〈船出のマルシェ〉が開催され、テナント以外の外部参加もありオープニングを盛り上げていた。 


4〜6階はクリエイター専用シェアオフィス〈co-lab 代官山〉。4階にあるコンシェルジュ(受付)。


1ヶ月前にオープンしたばかりだが、既に6割が稼働しているそうだ。
「入居するのは子どもをテーマとして活動するクリエイターばかりではありませんが、教育や玩具などに関わる会社なども入居を予定していますので、此処から沢山のコラボレーションやプロジェクトが生まれて行くのではないかと期待しています」とco-lab代官山運営の田中陽明さん(春蒔プロジェクト株式会社)。



4階は1〜3名用の小さなレンタルブースが22個、レンタルデスク9名分が長屋状に配置されている。賃料は¥32,000〜¥102,000/月。


5階共有スペース。
同フロアには4〜8名用のレンタルルーム(¥105,000〜¥220,000)が12部屋とミーティングルームがある。
その上の6階にはさらに75m2、110m2とルーフバルコニー付きのレンタルルームが2部屋(¥400,000、¥570,000)。 



遊びが仕事の子供たち、遊ぶように働くクリエイター、地域住民も参加しながら、クリエイティビティーを一緒に育てる場として発展していきそうだ。


【SodaCCo(ソダッコ)】
場所:東京都渋谷区代官山町9-10

詳細:sodacco.jp



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大久保博夫によるDIESELのインスタレーション「Spontaneous – 自然発生的」

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DIESEL SHIBUYAの恒例インスタレーション "DIESEL HOME COLLECTION INSTALLATION PROJECT”。2015年バージョン完成オープニングに行ってきました。
毎年建築家やデザイナーがホームコレクションエリアの空間デザインを手掛けており、第5弾となる今回は、CHOP+ARCHI建築設計事務所の大久保博夫氏が担当した。

 コンセプトは “Spontaneous – 自然発生的 –“ 。
「自然発生」とは、人為によらず、偶然的なきっかけによって物が生ずることを指す。型にはまらない住まい・日常の提案だ。

 空間は段差で3つに緩やかに仕切られている。手前に〈スイッチルーム〉と呼ぶ階段室を設け、それぞれの空間にアプローチすることが出来る。


 〈スイッチルーム〉
内部はGLASS DROPのやわらかな光が包み込む。


 今回の展示のために造った階段や床の段差は、構造用合板にメッシュを張り、繊維モルタルを塗込んで仕上げた。


 〈リビング〉


 〈ベッドルーム〉


 〈キッチン〉
テーブルウェアは、工業用のギアや歯車をモチーフにした 〈MACHINE COLLECTION〉。

 アトランダムに組んだ起伏状のある段差は照明などのディスプレイ棚に。


 これら壁面の階段什器はシナ合板で箱状に工場製作し、下から順々に積み上げるようにして取付た。
部分的に壁から支持材を持出し固定してある。



 大久保博夫さん。「自然発生的に生まれる形状に興味がありました。自ずとできた起伏などはどこか居心地が良く、座る場所にしたり、ディスプレイ棚にしたりと、皆自然と何かを当てはめる行為に及びます。今回は、ものにとってもふさわしい場所が生まれる仕掛けを、段差を用いて表現し、それぞれの物体が持つ自発的な存在場所を創出するという試みです。」


7月下旬にはインスタレーションのリニューアルが待っており、床と壁にあらたな素材が貼り込まれる予定。
DIESEL側も「今までにない案に魅力を感じた」という今回のインスタレーション。次なる空間も期待できそうだ。

【DIESEL HOME COLLECTION INSTALLATION PROJECT】
タイトル: Spontaneous (スポンテニアス) – 自然発生的 –
会期: 2015年2月28日(土) – 2016年2月14日(日)
会場: DIESEL SHIBUYA 
詳細: www.diesel.co.jp/art/hiroo-okubo-3




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SALHAUSによる川崎の集合住宅「tetto」

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SALHAUSによる神奈川・川崎市の集合住宅「tetto」の見学会に行ってきました。小田急線鶴川駅から徒歩8分ほど。
プロデュースはプリズミック。

 敷地面積742m2、建築面積285m2、延床面積468m2。木造2階建ての長屋で8住戸ある。
新宿まで40分程ながら里山の風景を残す敷地は、市街化調整区域内の風光明媚な場所。今回の計画は、調整区域の指定前から宅地であった範囲内の建て替えとして行われた。


 この恵まれた環境と接触面積を多く取れるようにと、南側は大きな一面のボリュームにはせず、雁行させながら建物に細かな凹凸を持たせた。


 平地は新たに造成することなく、以前建物があった場所だけを計画地として利用した。
アプローチは緩い曲線を描きながら計画地をなぞるように続く。


 奥へ進むと左側に集会所。その2階は賃貸住戸。
古くからこの地に住むオーナーは町内会長でもあり、住人や地域の人との交流の場として集会所を設けた。


 元々あった井戸。清掃しポンプを付けて復活させる予定。

 アプローチはそのまま反対側まで貫通し、オーナー所有の数千平米の敷地全体を活用できるようになっている。


 抜けたアプローチは遊歩道に趣を変えながら、使い方自由の東屋、使い方未定のスペース、そして8住戸分用意された駐車場へと続く。


 裏山には畑もあり、希望者はオーナーと相談の上、野菜づくり等も行うことができる。


 はじめに戻り建物を見ていく。
専有と共有スペースはあいまいに区切られながら至るところに居場所が用意され、真ん中にヤマボウシを植えた。
右の黒い部分に1号室、中央の板張り部分に2号室、左の白い壁の奥に3号室それぞれの玄関がある。

 1号室の2階。
大きめの母屋に幅広の垂木が連なり、右(北側)に高度斜線の勾配がつく。


 緑に差し色された階段室で空間の切り替えを行う。1階には寝室や水回りがある。


 差し色は各部屋異なり、片面にだけ色が付く。


 バルコニーに出ると2.5mもせり出す大きな軒が現れる。
“tetto” とはイタリア語で “屋根” の意味。


 2号室は1階にLDKと寝室。土間として使うことも出来るスペースを持ち、ヤードと連続する。
多くの開口が設けられ様々に風景を切り取ることができる。
2階にもう一つ寝室がある。


 3号室の2階はスキップして寝室とLDK。


 垂木と壁の隙間にはペアガラスをはめたハイサイドライト。空間が伸びやかに軒へ連続する。


 4、5、6号室のボリュームと7号室。


 5号室のキッチンは表に向いている。



 7号室は独立したようなボリューム。


 7号室の1階LDK。


 各住戸のヤードは、パーゴラとルーバーで軽く仕切られ頭上に軒が延びてきている。


 7号室のバルコニーから見た、集会所と8号室のボリューム。
裏山にはピンク色のしだれ梅が咲き、もうじき桜とモクレン、その後アジサイなどが咲き、秋には紅葉も楽しめる。

 8号室に上がる階段からは全体が見渡せる。


 この住戸だけワンフロアにLDK、水回り、寝室が配置されている。


 裏山から。 
各住戸は50m2前後。これだけの環境を享受でき家賃は9万円台〜10万円台。既にほとんど入居が決まっているとのことだ。
敷地内では様々なことができるので、住みながら住人たちと話し合いルール作りをしていく。

SALHAUS代表の3人。左から日野雅司、安原幹、栃澤麻利の各氏。
「イタリア語で “屋根” を意味する “tetto” と名付けました。室内と屋外、占有部と共用部といった生活領域がスムーズにつながっていて、軒を大きく張り出した木造の大屋根がそれらを覆います。その様子は、ここに住む人々が全員で共有できる風景となるでしょう。”木造アパート” のイメージをポジティブなものに転換し、郊外ならではの大らかな生活の場をつくりだすこと。それがこのプロジェクトの目標です。」



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岩間直哉/博報堂プロダクツによる「フコク生命ご当地キティーミュージアム」

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岩間直哉/博報堂プロダクツ (Naoya Iwama / Hakuhodo Product's Inc.) が展示空間を手掛けた「フコク生命ご当地キティーミュージアム」に行ってきました。会場は内幸町の富国生命ビル一階エントランスホール。
[Fukoku Life - Local Hello Kitty Museum]

 フコク生命のイメージキャラクター “ハローキティ” を日本各地の名産品・歴史・人物等とコラボレーションさせた、全国62支社のフコク生命オリジナルご当地キティの展示空間だ。


 入口にはキティを家紋のようにあしらった暖簾を掛け、日常としてのオフィス空間から非日常としての本展への境界としている。スーツを着たビジネスマンばかりの環境にキティのコントラストが際立つ。


 床には抽象化した日本地図が描かれており、その地図上に各地域の個性を身にまとったご当地キティを浮遊させ、空間全体で日本列島を表現している。 


 会場の見取り図。 東京には支社が多いためより多くのスペースが確保されている。


 訪れた人はまるで日本を旅するような感覚で会場内を巡ることができる。


 キティと同様、黒いアウトラインの強弱で描かれた日本地図。




  ちなみに東京は7支社あり、そのうち右から日本橋(東京支社)、矢切の渡し(東京東支)、リス(町田支)が各モチーフになっている。


 会場の奥まで行くとお気に入りのご当地キティに投票し、抽選で展示作品のレプリカがプレゼントされるキャンペーンを行っていた。(注:既にキャンペーンは終了)


「ハローキティのもつシンプルで構成的なデザインを空間に翻訳することを目指し、余分な装飾を極力排除しました。全国に広がるフコク生命のネットワークを理解するとともに、個性溢れるご当地キティを通して日本各地の伝統や地域性を体感しに来てください。」と岩間直哉さん。
 
【フコク生命ご当地キティミュージアム】
会期:2014年12月8日〜2015年6月30日(予定)
会場:富国生命ビル1Fエントランス(東京都千代田区内幸町2-2-2)
詳細:www.fukoku-life.co.jp/kitty


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ムトカ建築事務所によるファッションブランド「WORLD BASICS」の会場構成

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村山徹 + 加藤亜矢子/ムトカ建築事務所 (mtka) による、ファッションブランド〈WORLD BASICS〉の展示会場を見学してきました。会場はアパレルメーカー、ワールドの北青山ビルで3月20日まで開催。

 〈WORLD BASICS〉は「更新するベーシック」をコンセプトに掲げるブランド。2015年秋冬コレクションのバイヤーや一般ユーザー向け展示会場を、ムトカがベーシックでシンプルなデザインで構成した。

 店舗を持っていないブランドで、通販や、ポップアップショップ、セレクトショップでの販売がメインだが、店舗展開の引き合いが多いという。


 そこで、まだ計画されていないが「もしイニシャルショップを持ったらこのようなイメージはどうか」というようなコンセプチュアルな会場デザイン。


 ダンボール箱が多用されているがこれはダミーで、実際は手前にある木製の什器が並んでいることを想定している。
300×600×450サイズのモジュールで、用途やシーズンによって店舗内を仕切りながら商品を陳列をする。


そしてこちらが100m2程度の架空の店舗スペースをデザインしたイメージモデル。


 積み上げただけでは転倒の危険性があるので、什器内に仕込まれた鉄部と強力なネオジウム磁石により接合する。また隙間にはアルミ製のスペーサーを挟み什器の目地を強調できるようにした。(プロトタイプ)



 会場にはモデリストによる〈WORLD BASICS〉商品の開発現場をデモンストレーションしている。
ベーシックとはどういものなのか、定番と呼ばれるアイテムの歴史はどのようなのかを開発スタッフは皆学び、そこを大きく外さない範囲で "更新するベーシック” を提案している。

 実際の店舗が出来た際、このような開発現場を店舗内にアトリエというかたちで設置するというアイデアもあるとか。


 会期中、定番アイテムはもちろん発売前の新商品も購入できる。(発売前の商品は秋に届く)




村山徹さんと、加藤亜矢子さん。
「今回の展示会場構成デザインは、これまでWORLD BASICSとムトカで進めてきたイニシャルショップ計画のプロローグになっています。」

【WORLD BASICS 2015 FALL & WINTER EXHIBITION】
日時:3/17(火)〜20(木)10:00-18:00
場所:東京都港区北青山3-5-10ワールド北青山ビル1F



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「建築家 フランク・ゲーリー展」の概要

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2015年10月16日より21_21 DESIGN SIGHTで開催する「建築家 フランク・ゲーリー展」(仮称)の概要が発表されました。
ディレクションは田根剛/DGTが担当。


Photo by John B. Carnett/Bonnier Corporation via Getty Images

■マニフェスト/フランク・ゲーリー
まずアイデアが浮かぶ。しょうもないけど気に入る。模型をつくって嫌いになるまで見続けて、それから違う模型をつくることで、最初のしょうもないアイデアを別の見方でみる。するとまた気に入る。
でもその気持ちは続かない。部分的に大嫌いになって、再び違う模型をつくってみると、全然違うけど気に入る。眺めているうちに、すぐに嫌いになる。直しているうちに新しいアイデアが浮かんで、そっちの方が気に入るけど、また嫌いになる。
でもまんざらでもない。
どうするか?
そう、また模型をつくって、次から次へとつくる。模型を保管するだけでも膨大な費用がかかる。でもどんどん続ける。次から次へと進めるうちに、ほら見ろ、最高傑作だ。
輝かしく、安上がりで、今までに見たことがないものだ。だから誰も気に入らない。悔しくて死にたくなる。ところが、神様がメッセンジャーを送り込んで皆に催眠術をかけるので、皆気に入る。
そしてアイデアを盗もうとする。模型も盗んで行こうとする。俺を頭脳と魂ごと欲しがる。でも踏ん張って、絶対にくれてやらない。
俺がやりたいのは、新しいアイデアを生むことだけ。たった一人で新しい模型をつくり続けたい。
保管するのに膨大な金がかかるので、こんなことをしていると模型の倉庫代で破産する。
これは偉大な歴史。伝説でもありマジなんだ。
続編がどうなるかと言えば、嫉妬するヤツらが現れる。嫉妬がヤツらに努力するよう仕向けるならばいいけれど、大半は壊すためにがんばりやがる。そこんとこが厄介。


■ディレクターズメッセージ「Joy in Architecture」/田根剛
「ゲーリーの建築には魂を感じる」。三宅一生さんは最初のミーティングでそう語りはじめ、「長年の友人であるゲーリーさんの展覧会を、21_21 DESIGN SIGHT で開催したいと思っています」と言いました。「まずはゲーリーさんに会ってきてください」。その時、このプロジェクトは始まったのです。
自分が建築を学び始めた大学一年生の春、大学の洋書セールの中から『フランク・ゲーリー作品集』を見つけ、言葉にならないほどの衝撃を受けました。そこには想像を超えた建築があり、その生き生きとしたエネルギーに・・・これが建築か・・・とびっくりしたのを憶えています。今回この展覧会の依頼を受けた時、真っ先にあの時の記憶が甦ってきました。
「建物(Building)をつくる」、その設計作業にはクライアントの要望や機能、予算、法規など解決しなくてはならない様々な課題があります。しかし「建築(Architecture)をつくる」にはただ機能や要望を満たすだけでなく、もっと自由に、もっと豊かに、多くのひとが集まる場所をつくる、それが建築家の仕事です。ゲーリーの建築は建物を超え、その強いエネルギーが全く知られていなかったビルバオのような都市を「世界のビルバオ」に変えてしまったのです。ゲーリーの常に驚きや発見に満ちた建築への情熱、そこには創造の喜びと闘いがあるのです。
本展では、ゲーリーの『アイデア』に焦点をあてます。誰もがなし得なかったアイデアはどこから生まれるのか。多くのひとに「喜び」や「驚き」を与える建築の魅力はどこからくるのか。氏の創作を通して、建築家 フランク・ゲーリーの『アイデアの喜び』を伝えることができればと思っています。


【建築家 フランク・ゲーリー展(仮称)】
会期:2015年10月16日〜2016年2月7日
会場:21_21 DESIGN SITE



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河西立雄による京都の自邸

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河西立雄による京都市北区の自邸のオープンハウスに行ってきました。場所は地下鉄烏丸線北山駅から徒歩20分程の静かな住宅地。


敷地は盛土によって造られた傾斜地。
鉄筋コンクリート造、2階建て。


北側外観とアプローチ。
外壁は焼杉。
シンボルのように桜の木が立っている。

階段とスロープによるアプローチの下は、自転車置き場となっている。

4.5m x 18m の細長い住宅
階段を登りきった後、緩やかなスロープを更に進んで廻り込んで玄関へ

玄関ポーチ。
オーク材の玄関ドアには、オリジナルでデザインを施された真鍮の取手。ガラス越しに奥行きのある空間と向こう側の景色が見える。


エントランスからは段差なく、そのまま吸い込まれるようにリビング・ダイニングへ連続する。焼き杉の外観から一変して、室内は打ち放しコンクリートの空間に床は御影石張り。

床のスリットには照明が備え付けてあり、夜には光のカーテンになるのではないかと。
内部空間は少し寒そうな印象だが、御影石の蓄熱性を生かして床暖房が備わっており、冬でも暖かい。
奥のドアを出るとテラスになっている。


手前右側の通路を入ると、トイレ、洗面所、納戸。中央通路を入るとキッチン、バスルーム、2階へ上がる階段。


どこを探しても電源プラグや電気スイッチなどが見当たらないので、照明器具に目をやると、コードが床と壁の隙間に入っていく。御影石のタイルを取り外すとプラグがあるのだとか。電気スイッチなどは納戸に設置されていたりと、極めてミニマルな空間になるように設計されていた。

奥へ進み、振り返って玄関の方を見る。
リビングの吹き抜けからは二階の天井の全貌を望むことが出来る。

リビングの壁の反対側にはキッチン。備え付けの家具は全てフランス産のオーク材。キッチンカウンターの奥にもスリットがあり、電気プラグなどが所々に設置されているので、好きな所に電気調理器具などを置いて使うことが出来る。
地窓は、近隣からの視線も外すことが出来、また隣の敷地の木が木漏れ日となって入ってくる。

地窓には腰までの高さの通風用の窓が備え付けてある。真鍮の取手を引いて空ける。

キッチンの奥には浴室。

振り返ると、2階へと続く階段。


2階に上がると、寝室と書斎が長い廊下を隔ててそれぞれの端に配置されている。奥には子供用の寝室と書斎。壁を使わずに空間を隔て個室を作っている。



廊下には収納棚が備え付けてあり、ここにもアップライトの照明が入っている。収納棚には空調機も収納されており、スリットから風が出てくるようになっている。



奥へ進むと、子供用の寝室と書斎。
窓には比叡山を借景に取り込んでいた。


天窓からは木が覗いており、時折鳥が来たりと、ベットに横になりながら愉しい景色が望めるそうだ。



子供用の寝室・書斎からみた1階リビング・ダイニングの吹き抜け。
1階と2階を吹き抜けで繋げ、空間に余裕を持たせている。

振り返って主寝室・書斎の方へ戻る。

書斎。更に奥に寝室。



主寝室から2階の全貌を見る。
低いところで1650mmと天井高を抑えた2階の空間は、全て腰壁で仕切られているので、圧迫感はあまり感じず、落ち着いた感覚だ。

建築家・河西立雄氏
「自邸ということもあり、今までやりたかったことや、クライアントの家ではなかなか実現しないことを設計に取り入れました。法規などによる規制(屋根の勾配、軒の長さ、外壁の種類など)も多かったので、全てが思い通りに出来たということではありませんが、細長い空間は奥行きがあって好きなので、1階は細長く、2階は天井高をおさえ、性格の違う空間作りを目指しました。」


設計:河西立雄 /  河西アトリエ
施工:アムザ工務店

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アトリエ天工人によるシラスRCの住宅「トルソ」

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山下保博+水上健二+友寄篤/アトリエ天工人Yasuhiro Yamashita / Atelier Tekutoによる渋谷区の住宅「トルソ」のオープンハウスに行ってきました。
シラスを混合するという新しいコンクリートの住宅。

敷地面積67m2、建築面積31m2、延床面積107m2。RC造、地下1階、地上3階建て。
矩形の角を面取りし、空に向かって積極的に開口するシリーズ第4弾。



見る角度によって姿が大きく変わる。これらの面取りは斜線制限や天空率によって生まれ、バランスを見ながら意匠に落とし込む。


下の開口は1階と地下の半分に、上の開口は2階と3階に面する。
前庭にはブラシノキが植わる。 

外構に敷き詰められたシラスの軽石。
シラスとは南九州の火山による火砕流堆積物の総称で、鹿児島県には県の面積の半分、東京ドーム6万杯という膨大な埋蔵量があり、土木用としては利用が進んでいるものの、建築では左官壁や瓦の利用に留まり、建築の構造体としてはほとんど実績がないそうだ。



実績がないため構造体としての認定には多くの実証実験をこなし、ようやくこの1棟に限り国交大臣の認定を取得できた。しかし今後、個別に大臣認定を取得しながら実績を作り一般認定を目指す。というのもこのコンクリートは将来的に取り壊した後、粉砕しリサイクルセメントとして利用が可能だからだ。
「一説にはあと100年ほどでセメントは枯渇するといわれています。そのためにも今から都市にセメントをストックしておくということです。」と山下さん。



今回のコンクリートには前出の軽石が使われたわけではない。通常コンクリートに使われるのは水、セメント、石灰砕石、石灰砕砂、山(川)砂だが、トルソでは山砂をほぼシラスの細骨材に代えて混合されている。


玄関に入ると鈍い銀色の床になっている。亜鉛メッキに見えたが、鉄を叩いて仕上げられた鍛鉄の一品もので、鍛鉄作家・田中潤による仕事。


1階。中へ入ると北面の三角窓から淡い光に照らされた黒い建具。MDFボードに墨を含浸させそれを磨き出すということを繰り返し行われたもの。
床はモルタルだが、ひびが入る可能性があったのでシラスは使わなかった。


玄関側を見ると4畳半の和室。引戸で仕切られ客間として使える。
右はトイレ。



地下へ降りると今度は建具が墨ではなく柿渋で仕上げられている。手摺は鍛鉄で仕上げられ、微妙な凹凸が手にしっくりと馴染む。(墨・柿渋、手摺は共に田中制作)
床は特注のシラスタイル敷き。
中央の扉の中は音楽好きのご主人のためのスタジオ。 

階段下の収納には熱循環システムの太いパイプが通っている。地下の冷たい空気と、3階の暖かい空気を季節によって循環させることができる。


2階へ。2階・3階は吹き抜け。


2階LDK。キッチン左の黒い扉を開けると水回り。
床はとAVボードは紫の木材、パープルハート材。鹿児島のシラスを使っているのでサツマイモ色にしたそうだ。

階段の上では構造担当の佐藤淳さんがキャンティレバーの具合を確認している。佐藤さんにとってもシラスコンクリートは初めての素材で、大臣認定取得のためのプロジェクトメンバーとして2012年から携わる。


振り返ると三角形の大開口から空。


キッチン周囲はステンレスにバイブレーション仕上げ、収納の扉はさらにキャンディーカラーのダークグレーの焼き付け塗装。
Dornbracht(ドンブラッハ)の水栓が付くキッチン前面のガラスの裏は浴室だ。

パンチングメタルの扉が1枚あるので開けてみると、外に小さなバルコニー状のヤードが設けてあった。


この住まい、施主の住まい方を考えた場合ゴミ箱が室内にあるべきではないと考えたため。


キッチン裏の水回り。


浴室から見たキッチンのガラス。階段が透けて見えている。


見上げると三角形の吹き抜けからトップライト。トイレの上はハイサイドライト。
3階の床が2階とは角度を変え壁に勘合しているようなイメージ。

3階へ。

3階寝室。収納を兼ねる腰壁で視線を遮る。開口には曇りガラス調シートを貼るかどうか、まずは住んでみて決めるそうだ。

ベッド頭上には間接照明。枠に沿ってある溝にはカーテンが付く天蓋へと姿を変えるので、寝ているところが外部から見えるわけではない。
ヘッドボード背後の開口は浴室へ通じる吹き抜け。

山下保博さん。「天工人が挑戦的な建築をつくることを良くご存じのお施主さんで、『今までにないRC造の住宅を建てて欲しい』と望まれました。その言葉を受け、『パンテオンに使用された古代コンクリートを現代の最新技術を用いて環境型コンクリートとして蘇らせる』というキーワードで始まったプロジェクトです。コンクリートばかりでなく、各部の仕上げも丁寧に作り込み工芸作品のような住宅が出来たと思います。」

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