山中祐一郎(S.O.Y.建築環境研究所) × 木のいえ一番協会 による「CLTHUT」を見学してきました。
ご存じの方も多いと思うが、CLTはCross Laminated Timber(直交集成板)の略で、ひき板を繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料。厚みのある大きな板で、建築の構造材、土木用材、家具などにも使用されている。その利用は欧米で急速に伸びており、特にPCa材のような施工性の良さや構造体としての特性をいかして、中層建築や商業建築などに多く用いられている。
今回山中湖畔に完成したのは、国土交通省「平成28年度サステナブル建築物等先導事業」の補助を得て、CLT低層住宅における技術開発を目的とした実験棟を建設するプロジェクト。今後は小規模・現し設計に適した設計手法・接合部の開発、コストダウン開発、経年変化の検証、温熱環境測定などの技術的な開発を実施すると同時に、体験宿泊など木のいえの暮らし方についての研究にも役立ていくものだ。
つまりCLTによる、戸建て住宅の普及を目指し技術検証を行う実験住宅ということだ。
構造設計と技術協力はエヌ・シー・エヌが担当。
延床面積48m2の実験棟「CLTHUT」。内も外も断熱材は使用せず、外壁も見えている梁・軒天もCLT現しのままで、塗装のみ施されている。
玄関扉。冬の寒さが厳しい山中湖なので、断熱性を高めるため、壁面と同じ15cm厚のCLTパネルから削り出して製作した。
室内も全てCLT現しの空間。仕上げはなく、ログハウスとは全く異なる木質空間。
トップライトから光が差し込む2階と、その下に水回り。奥にキッチンが設えてある。
室内の壁・天井、床、軒裏、外壁を塗り分けた。
3m程張り出したデッキの縁側に、1.2mの庇を出し、内外が気持ちよく連続する。
構造は15cmのCLTパネル構造。井桁状に組まれた4枚の躯体が、そのまま梁になって外へ飛び出したような格好で、庇を支えている。
L字型の二面開口は、木製サッシュがCLTの壁にアウトセットされているので完全に開け放つことができる。
ナイフで切り取られたような不思議な開口。
ルーターを使って角に内Rをつけた意匠が可能。
材の接合部はエヌ・シー・エヌが開発した金具をドリフトピンで接合。見えてくるのはピンの頭だけだ。
小窓もルーターによる切削(サッシュをアウトセット)。
階段も。CLTの塊に垂直方向と、45度方向の二方向からルーターで削り出して作ることができる。
裏側もユニークだ。右手のキッチンもCLTの一枚板をくり抜いて作られている。
浴室はさすがに下半分をFRPで防水されている。
2階は、21cm厚のCLTパネルの床がそのまま構造となり、水平力を担保している。
宿泊体験をしながら実証実験をしていくことができるように、2階を寝室スペースとして使用する。
(筆者も宿泊体験をする予定なのでその際のレポートもアップします)
山中祐一郎さん。「CLTを徹底的に使って設計してみました。今までこういった低層の建築ではそのメリットが活かせませんでしたが、単純な構成で高強度、高精度、しかもログハウスと同等の断熱性も期待できるので、仕上げや被覆なしで住空間を作るのに向いていると思います。課題である耐久(耐候)性も庇とセットにすれば克服できるはずですし、軸組のように見えなくなる部分もなく、自分で手入れできることから経年と共に愛着も湧く住宅が作れそうです。」
【CLTHUT】
事業者:木のいえ一番協会
意匠設計:山中祐一郎/S.O.Y.建築環境研究所
構造設計・技術協力:エヌ・シー・エヌ
CLT製造・加工:銘建工業
施工:ビ・ボーン
協力:アールシーコア、日本CLT協会
ご存じの方も多いと思うが、CLTはCross Laminated Timber(直交集成板)の略で、ひき板を繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料。厚みのある大きな板で、建築の構造材、土木用材、家具などにも使用されている。その利用は欧米で急速に伸びており、特にPCa材のような施工性の良さや構造体としての特性をいかして、中層建築や商業建築などに多く用いられている。
今回山中湖畔に完成したのは、国土交通省「平成28年度サステナブル建築物等先導事業」の補助を得て、CLT低層住宅における技術開発を目的とした実験棟を建設するプロジェクト。今後は小規模・現し設計に適した設計手法・接合部の開発、コストダウン開発、経年変化の検証、温熱環境測定などの技術的な開発を実施すると同時に、体験宿泊など木のいえの暮らし方についての研究にも役立ていくものだ。
つまりCLTによる、戸建て住宅の普及を目指し技術検証を行う実験住宅ということだ。
構造設計と技術協力はエヌ・シー・エヌが担当。
延床面積48m2の実験棟「CLTHUT」。内も外も断熱材は使用せず、外壁も見えている梁・軒天もCLT現しのままで、塗装のみ施されている。
玄関扉。冬の寒さが厳しい山中湖なので、断熱性を高めるため、壁面と同じ15cm厚のCLTパネルから削り出して製作した。
室内も全てCLT現しの空間。仕上げはなく、ログハウスとは全く異なる木質空間。
トップライトから光が差し込む2階と、その下に水回り。奥にキッチンが設えてある。
室内の壁・天井、床、軒裏、外壁を塗り分けた。
3m程張り出したデッキの縁側に、1.2mの庇を出し、内外が気持ちよく連続する。
構造は15cmのCLTパネル構造。井桁状に組まれた4枚の躯体が、そのまま梁になって外へ飛び出したような格好で、庇を支えている。
L字型の二面開口は、木製サッシュがCLTの壁にアウトセットされているので完全に開け放つことができる。
ナイフで切り取られたような不思議な開口。
ルーターを使って角に内Rをつけた意匠が可能。
材の接合部はエヌ・シー・エヌが開発した金具をドリフトピンで接合。見えてくるのはピンの頭だけだ。
小窓もルーターによる切削(サッシュをアウトセット)。
階段も。CLTの塊に垂直方向と、45度方向の二方向からルーターで削り出して作ることができる。
裏側もユニークだ。右手のキッチンもCLTの一枚板をくり抜いて作られている。
浴室はさすがに下半分をFRPで防水されている。
2階は、21cm厚のCLTパネルの床がそのまま構造となり、水平力を担保している。
宿泊体験をしながら実証実験をしていくことができるように、2階を寝室スペースとして使用する。
(筆者も宿泊体験をする予定なのでその際のレポートもアップします)
山中祐一郎さん。「CLTを徹底的に使って設計してみました。今までこういった低層の建築ではそのメリットが活かせませんでしたが、単純な構成で高強度、高精度、しかもログハウスと同等の断熱性も期待できるので、仕上げや被覆なしで住空間を作るのに向いていると思います。課題である耐久(耐候)性も庇とセットにすれば克服できるはずですし、軸組のように見えなくなる部分もなく、自分で手入れできることから経年と共に愛着も湧く住宅が作れそうです。」
【CLTHUT】
事業者:木のいえ一番協会
意匠設計:山中祐一郎/S.O.Y.建築環境研究所
構造設計・技術協力:エヌ・シー・エヌ
CLT製造・加工:銘建工業
施工:ビ・ボーン
協力:アールシーコア、日本CLT協会
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