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「平田晃久展 からまること/集まること」レポート

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3月11日よりLIXIL: GINZAにて始まった「平田晃久展 からまること/集まること」に行ってきました。

冒頭このような文言からはじまる。「この国の、若い建築家のキャリアは通常小さいプライベートな仕事から始まらざるをえない。しかし、だからといって建築に向かう意識まで小さく閉鎖的であるわけではない。むしろ小さなプロジェクトの中にこそ、これからの建築の根源を問うような種を内包させたいと思ってきた。しかし、一人の当事者として、そういう宣言だけで済まされる年齢ではなくなってきた。」

平田さんの最近3年ほどのプロジェクトが大きく3つのエリアに分かれ展示されている。
最初のエリアのテーマは「からまりしろ 生きている世界に接続する建築」。震災前の東京で比較的小規模なプロジェクト。

 "coil"。「からまりしろ」は「からまりが発生する余地」という意味の造語で、その世界観を具現化した住宅。人間を一つのいきものとして考え、建物とからまることで生まれる豊かな世界。

 "tree-ness house"。からまりに植物が加わりより複雑にからむ。

 二番目のエリアのテーマは「都市を発酵させる」。より都市的レベルで展開された海外(台湾)でのプロジェクト。

 "Foam Form"。台湾のコンペで次点に選ばれた。

高雄市を流れる川の、幅1Km以上とその沿岸を含めた巨大プロジェクトで泡をモチーフにした。

 "Hotel J"。ヴィラタイプの宿泊施設を備えた温泉リゾート。渓谷のようなデザインだ。
「からまりしろ」の発想は台湾で自然に受け入れられたという。それはヨーロッパでは感じなかったことで、東アジアのある種ローカル的な身体感覚がそうさせるのではないかと最近考えているそうだ。

 "Taipei Complex"。細かく分割されているように見えて内部は一つの大きな空間になっている。
これとHotel Jは高雄のコンペを見ての依頼だそうだ。


 奥のエリアのテーマは「集まること=建築のはじまり」。一番最近の、被災地釜石市での復興プロジェクトになっている。

 コンペで最優秀に選ばれたプロジェクトで、市営住宅と保育園が併設されている。
被災しゼロになった地、ひとが集まることでそこに建築がはじまる。


 敷地周辺、敷地に、さらには4階建ての集住でありながら住居の前にも道を効果的に配し、その道に沿ってからまるように全体が計画されている。

 住宅は40戸からなる。今後釜石市では千数百戸分供給する予定で、その第一弾だ。

 最終案。切妻屋根の下は共用部分。建物としてはこの屋根は無くても良いが、人が集まり繋がる場にするためには必要不可欠な存在だ。

 一見複雑に見える計画だが実はユニットを組み合わせ、コストに見合い、かつ迅速に建てられるように設計されている。

 住居は1LDKか2LDK。セットバックし道を作りながら上層に上がっていく。

 アラップに依頼し敷地や建物の空気の流れをシミュレートし、寒暖の激しい東北で快適さも追求している。

切妻屋根の有る無しで検証した図も。


平田晃久さん。「東日本大震災後、建築が本当に役に立ち、未来を指し示すことができるのか、ますます鋭く問われつつあると思います。」

【第118回建築家フォーラム 平田晃久展 からまること/集まること】
会期:3月11日(月) 〜 3月19日(火)
場所:LIXIL GINZA 7F
講演会:3月19日(火) 要予約
詳細:http://www.kentikuka-forum.net

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