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岸本和彦による世田谷の「等々力の曲がり屋」

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岸本和彦/acaaによる世田谷の住宅「等々力の曲がり屋」の内覧会に行ってきました。

敷地面積114m2、延床面積111m2。木造2階建て。
切妻のボリュームを台形に切り取ったような造形で、外側はガルバリウム鋼板の横葺で、切り取られた部分は焼き杉張りで仕上げられている。

 近付くと前庭に駐車スペースとシンボルツリーのモミジ。その間にはアプローチが中へと続いている。

 アプローチを伝って、ピロティガレージへ。ガレージの床はコンクリートの小叩き仕上げ。
駐輪されているベスパは施主のもので、バイクいじりなどが大好きだそうだ。

 ピロティを抜けると中庭が現れた。



平面を見ていただくとこの先分かりやすいが、このように建物がクランク型をしている。

 中庭を進んで振り返る。少し時間が経てば竹の緑と焼き杉の黒が美しいコントラストを見せるだろう。


 ステップを使った居場所を生み出すのを得意とする岸本さん。表情豊かな玄関だ。


 座りながら庭を愛でることができる。
こういったデザインを岸本さんは「ベンチを作ったのではなく、座ることも出来る空間を作った。」と話す。

 階段の裏側は客間。床の間をいれて四畳ほど。左に三つ目の庭、坪庭が覗く。


 玄関脇からは土間の雰囲気で水回り、主寝室へ “路地” が続く。
よく見ると細かい凝った仕上げが随所に。

 客間から縦スリットで見えた坪庭は、浴室からでは横スリットで鏡と連続しながら見えるよう演出されている。


 主寝室。


 2階へ。


 上がると開口に面した造り付けのスタディデスク。右に小上がりで和室。



後ろを振り返ると角合わせの引戸。開けると子供室になっている。

 和室部分は天井をぐっと下げ、現しの垂木のような意匠。左側には小上がりで玄関のようにしてワンアクション必要になる。
これら手前側と奥に続くダイニング・キッチンとは空間の質も色味も異なりシーンが切り替わる操作がされている。

 中庭と自分の家も眺めることができる。


 和室の奥にはロフトと屋上へ通ずる階段があるが、1階の階段と周囲の配色が反転している。
階段の蹴込みには和紙が傷まないように幅木が当ててある。

 ダイニングスペース。左下に見えるのは蓄熱暖房器。


 "等々力の曲がり屋"。動線の変化だけで空間を緩く仕切っているのが分かる。


 曲げたことでキッチンを中心に様々に方向に開口している。


終点のリビングスペース。
前庭からアプローチを通って、小さなストーリーをなぞるような空間体験。

岸本和彦さん。「前面道路から敷地内を抜け、家の中まで延びていく路地空間、そこからぽんっと入り込むこぢんまりとした客間や寝室、 2階へ上がれば対照的に障子戸に囲まれた明るい和室や、白いシェルターに守られたリビングスペースなどがあり、日々の暮らしを楽しめる多様な空間が実現しました。」

設計・監理 : acaa
構造設計 : 諏訪部高広/諏訪部建築事務所
施工 : 渡邊技建株式会社


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