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「TOTOギャラリー・間 30周年記念展/アジアの日常から」レポート

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10月17日から開催の「TOTOギャラリー・間 30周年記念展/アジアの日常から:変容する世界での可能性を求めて」のプレスカンファレンスに行ってきました。
[TOTO GALLERY MA 30th Anniversary Exhibition
The Asian Everyday: Possibilities in the Shifting World]

展覧会概要:「1985年の創設以来、私たちを取り巻く状況が加速度的に日々刻々と変動し明日の姿が見えにくくなっている今、本企画はアジアという共通項で結ばれながら多様な背景をもつ人びとが一堂に会し、互いの物語を共有し、違いを認め合い、未来に向けての共通の課題を見出すための試みです。そしてまた、各自が拠って立つ場所への批評的な視点と日々の真摯な実践にこそ、新たな日常を拓く力が生まれ得ることを確認し、ともに次の一歩を踏み出したいと願っています。」
アジア各地から5組の建築家を招いての展覧会だ。



 展覧会に先立って行われたプレスカンファレンスでは、TOTOの代表取締役古部清氏の挨拶、30年の歩みのムービーが映し出された。

 展覧会ゲストキュレーター:エルウィン・ビライさん(右)。
会場デザイン:藤原徹平さん(左)。
ビライさんは「この困難な時代に、私たちはいったいどのように建築に取り組めばよいのか。めまぐるしく変化する世の中に、はたして建築は追いついているか。いったい建築は、私たちの日常生活にとって何なのか。その答えを見つけるために、アジアから5組の建築家を招き、問いへの答えを探りたいと思います。」
「21_21でフランク・ゲーリーの展覧会も始まりましたが、彼は30年前ギャラリー・間の最初の出展者でした。その後プリツカー賞を取りましたが、この5組もいつかプリツカー賞を取ってくれる方達だと信じています。」

 出展者:
日本からo+h共同代表の大西麻貴さん、百田有希さん。

 ベトナムからヴォ・チョン・ギア [VO Trong Nghia]さん(右)。
中国からチャオ・ヤン [Yang ZHAO]さん(左)。

 タイからチャトポン・チュエンルディーモル [Chatpong CHUENRUDEEMOL]さん(右)
シンガポールからリン・ハオ [LING Hao]さん(左)

 藤原さんから展示会場の構成についてプレゼンテーションが行われた。
前回の25周年展とは趣向の違うものにしようと思ったという。

 3つのキーセンテンス。そして会場構成の大枠を各建築家に投げ掛けた上で、一度全員でシンガポールで打合せをした。どのような展示にしたいかを出してもうらうと、思った通り見事に皆ばらばらだった。


それらを調整しながら、アジアの気候や環境の多様性を表現するかのように、3階をまず「Nature and Architecture」、3階中庭を「Architecture with Nature」、そして4階を「Architecture and Everyday life」というエリアに変化させているので、それらが連続することで “アジアの日常” が見えてくる。

 3階展示室。


 〈地方都市への参与と介入〉 チャオ・ヤン
4作品の模型と映像、パネルを展示。中国の地方都市大理は、経済発展が目覚ましい大都市とは異なる風景や現実がある。それらを映像を交えながらまちの日常を紹介。

 〈双子ホテル〉 中国・大理/2012


 〈往時の風景〉 リン・ハオ
小さな島である都市国家シンガポールを表現。国家事業として街も自然も独自の世界を作り上げてきた。そんな自然に緩やかにつながる特定の環境下にある小さな商店街や住宅地。

 島(土)には草が植えられ、種から蒔いた植物がすでに芽を出している。
「是非目線を下げて見てもらいたい」そうだ。

 3階中庭。
〈地球のためにできること〉 ヴォ・チョン・ギア
圧巻。竹で組まれた架構のインスタレーション。

 一人当たりの緑地面積が世界一少ない都市ホーチミンでは、経済発展するほどに人々は幸せを失っている。今後の建設をサスティナブルに実行するために竹を使用する。


 竹はベトナムのものを現地で加工し、日本に持ってきた。3年ものの竹を上下切り落とし、中程のものを6mくらい使用する。防虫と腐食防止のために木チップと牛糞のスモークでで数週間燻す。曲げてある部材は鉄枠に入れ成型するそうだ。ベトナムから3人の職人と学生も加わってが2週間掛けて組み上げた。
スモークされた独特のにおいがするので是非訪れて欲しい。

 4階展示室。
〈経験の一部としての建築〉 大西麻貴+百田有希
人が建築を体験するとき、まちから建築へのアプローチし、どのように出て行くか、そこまでに様々な体験が存在する。そういった経験全体の一部として建築を考えれば、その土地にとって自然なものを設計できるのではないか。

 〈Good Job! Center〉奈良県/2016
障害のある人の仕事をつくりだす施設。
空間をできるだけ感じてもらえるように大型の模型を制作した。

 〈デザイン屋台〉 チャトポン・チュエンルディーモル
テーマを受け、風土的なものとしてタイの屋台をすぐに思いついた。タイではこれを様々に改良し工夫して使っている。展示台にすることで簡単に解体し、別な場所ですぐに展示が可能になる。

屋台の後ろを歩くのは次回出展を担当する岸和郎さん。「若い人たちのこんなにエネルギー溢れる展示に負けないようにしなくては。」と話された。

 〈ナンダ・ヘリテージ・ホテル〉 タイ・バンコク/2015


タイが凝縮されたような楽しい屋台。

また展覧会に合わせてTOTO出版から刊行された「アジアの日常から/The Asian Everyday」。
出展者それぞれがページを構成したそうだ。

【TOTOギャラリー・間 30周年記念展
 アジアの日常から:変容する世界での可能性を求めて】
会期:2015年10月26日〜12月12日
会場:TOTOギャラリー・間


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