東京都現代美術館にて7月18日(土)より開催される「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」内覧会に行って来ました。
会場構成は、ニーマイヤーに大きく影響され、彼を敬愛してきたSANAAが担当。作品の選定などにも始めから関わり、アドバイザーとしての役割を果たしている。
[Oscar Niemeyer The Man Who Built Brasilia]
2012年に104歳で亡くなる直前まで、精力的に設計を手がけていたニーマイヤーの建築デザイン活動を、10点のマスターピースを中心に、図面、模型、写真、映像などを用い紹介する。
愛したリオの写真。曲線が重要な要素であるニーマイヤーの作品としてロッキングチェアーも展示。このコーナーにある映像ではUFO(ニテロイ現代美術館)から降り立つニーマイヤーが見られる。
20代から90代までのニーマイヤー。
160cmと小柄な等身大ニーマイヤーの前で解説をする東京都現代美術館チーフキュレーター長谷川祐子さん。
「いま人々が求めている建築は何か、と考えた時、ニーマイヤーの人間性を感じることができる建築ではないかという考えに辿り着きました。」
1/10〜1/200という多彩なスケールで、その有機的でダイナミックな曲線とモダニズムの幾何学の調和を特徴とするデザインをフィジカルに感じることができる。
〈パンプーリャ・コンプレックス/Pampulha Complex〉の3作品
これらはニーマイヤーらしさは勿論のこと、そのスケールの大きさを感じてもらうために選ばれた。
40年代のニーマイヤー初期の作品ながら、既にやりたい事やスタイルがほぼ確立されており、モダニズムの新しい可能性を発掘している。
ニーマイヤー作品はアーティストとのコラボレーションも重要なポイントだ。
タイルの模様が中外で連続している大胆な意匠とフリーハンドの魅力。
〈ダンスホール/Dance Hall〉
〈パンプーリャ・ヨットクラブ/Pampulha Yacht Club〉
プールで泳ぎながらいつの間にか建築の中に入ってしまう。
プールで泳ぎながらいつの間にか建築の中に入ってしまう。
図面がほとんど現存してないことから、余程のバランス感覚や直感力がないとニーマイヤー展覧会を開催することは難しいとされている。そんな中、様々なアプローチを経て今回この完成度に持っていった。
ミースへのオマージュで溢れている。
人工地盤で敷地の地形を変えてしまっている。
本展は様々な写真家によるニーマイヤー作品が展示されているのも魅力の一つだ。
ル・ コルビュジエとの共同設計。
〈ブラジリア建設プロセス1956-1960/Brasilia Construction Process〉
ブラジリア首都計画の主要な建物設計に携わったニーマイヤー。荒涼とした土地に創造性豊かなひとつの都市をつくりあげ、ブラジルのイメージを一新することに貢献した。
ブラジリアの建築計画の中でも特に象徴的。残念ながら模型の中には入れない。
壁面にはLeonardo Finottiや淺川敏の写真。
先住民とのふれあいを持ちながら完成されていく様子なども。
自転車競技のバンクのような内側の配筋作業。
Iwan Baanによる壮大なブラジリアのバードビュー写真。
ブラジリア建設の詳細なドキュメント映画は60分。時間に余裕を持って出かけたい。
〈ニテロイ現代美術館/Niter Contemporary Museum〉
本展では最も最近(1996年)のプロジェクトとして展示されている。
花をイメージしており、岩の上に立つ時に意外と地形に合っているという不思議さがある。
〈コンスタンティーヌ大学/University of Constantine〉
1969年アルジェリアに竣工。西沢さんが雑誌で最初に見たニーマイヤー作品だそうだ。
〈イビラプエラ公園/Ibirapuera Park〉
約500m2のアトリウム全面を使った本展目玉のインスタレーション。1/30模型の世界を靴を脱いで自由に歩きながら、イビラプエラ公園を五感で感じることができる。
巨大なカーペットにgoogleマップをほぼそのまま印刷した。
小さい人型は2000人。木は500本植えてあり、植物公園としての多様性も再現している。
〈産業館 - シッシロ・マタラッツォ・パビリオン/Pavilion of Industry - Ciccillo Matarazzo Pavilion〉
実物は幅250m。模型は1/30でも8mある。
約500m2のアトリウム全面を使った本展目玉のインスタレーション。1/30模型の世界を靴を脱いで自由に歩きながら、イビラプエラ公園を五感で感じることができる。
巨大なカーペットにgoogleマップをほぼそのまま印刷した。
小さい人型は2000人。木は500本植えてあり、植物公園としての多様性も再現している。
〈産業館 - シッシロ・マタラッツォ・パビリオン/Pavilion of Industry - Ciccillo Matarazzo Pavilion〉
実物は幅250m。模型は1/30でも8mある。
屈んで見ると違った風景が見えてくる。
「ニーマイヤー展の依頼があったとき、一番好きなイビラプエラ公園が真っ先に浮かびました。ここでは特に彼の度量の大きさを感じさせる。雨漏りするなどデザイン的に問題があるところもありますが、『そんな細かいことはいいでしょ』とでも言うかのような寛容さのある建築だと思う。」と西沢さん。
〈アフロ ブラジル博物館/ Afro Brazil Museum〉
座ったり、寝転がったり、実際の公園のように思い思いの時間を過ごして欲しい。
〈エピローグ〉
ニーマイヤーが2001年に描いた16mの直筆ドローイングが展示されている。
あらためて彼のドローイングがいかに自由か、またドローイングと建築の近さ(ドローイング情報がそのまま現実になるという)を感じることが出来る。
西沢立衛さん。「僕らが尊敬しているニーマイヤーらしいものを並べました。最後の部屋にあるドローイングは今日初めて見ましたが、描かれているものが、偶然にも展示している作品とかぶっていて、ファンとして幸せです。」
【オスカー・ニーマイヤー展】
会期:2015年7月18日 〜 10月12日
会場:東京都現代美術館
詳細:www.mot-art-museum.jp/exhibition/oscar-niemeyer.html
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