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新国立競技場はザハ案(修正案)で着工。整備費約2,520億円

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(日経新聞電子版より)
関係機関トップが集まる調整会議が29日開かれ、下村博文文部科学相は大会のメーン会場となる新国立競技場の整備費を約2520億円とすることを報告した。7月上旬にゼネコン側と契約し、着工は予定通り今年10月とする一方、完成は当初予定より2カ月遅い19年5月とした。


整備主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は7月7日、新国立競技場に関する有識者会議を開き、総整備費の細かな内訳などを示す。
調整会議には、大会組織委員会の森喜朗会長、東京都の舛添要一知事、遠藤利明五輪相らが出席した。
森会長は会議の席で五輪招致活動に触れ、「他の候補地と比較して(開催を)獲得できた大きなポイントは、新国立競技場のあの姿だったはず。日本が示せる大きな力だった」と述べた。
工期短縮と工費圧縮のため、全天候型の開閉式屋根の設置を大会後に先送りし、スタンドの約8万席のうち電動の「可動式」を予定していた約1万5千席は仮設の「簡易着脱式」とすると説明された。
文科省は都に対し整備費の一部として500億円程度の負担を要請する方針だが、この日の会議では話は出なかった。
調整会議後、記者会見した森会長は「大変苦労して、努力してよくまとめてもらったのではないかと思う」と下村文科相をねぎらった。「(19年9月のラグビーワールドカップ開幕までには)十分時間を織り込んでもらったので間に合うと思います」と話した。
競技場のデザインは、JSCが12年に実施した国際コンクールで、イラク出身の建築家、ザハ・ハディド氏の作品が採用された。コンクールの応募条件は整備費総額を約1300億円としていたが、斬新なデザインに対し当初から予算オーバーを危惧する声があった。
JSCは、13年に行った試算で整備費が3千億円を超すことが判明したために設計を見直し、14年、規模を縮小して1625億円とする計画を発表。しかし、14年末の段階で施工予定のゼネコンなどから再び3千億円を超すとの試算が示された。
JSCや文科省などは費用を抑えるため、ゼネコン側と設計の見直しなどの協議を進め、6月下旬に総額を約2500億円とすることで合意していた。

新国立競技場、国内外で群を抜く高額に
新国立競技場の整備費2520億円は、近年開催された夏季五輪のメーン会場や国内の主要スタジアムと比べて群を抜く高額となる。
整備主体の日本スポーツ振興センター(JSC)などによると、近年開かれた夏季五輪のメーンスタジアムの整備費は、2008年北京が約530億円、12年ロンドン大会が約950億円(いずれも現在のレート)だった。収容人数はそれぞれ9万1千人、8万人(仮設席を含む)となっている。
収容人数は同規模の8万人(同)とされている新国立競技場でコスト高の要因となっているのが、長さ370メートルの鋼鉄製の「キールアーチ」2本で屋根を支える特徴的な構造。加えて、文部科学省の担当者は「東日本大震災からの復興需要などに伴う原材料費や人件費の高騰、消費増税といったやむを得ない事情がある」と説明する。
ロンドンのスタジアムは五輪後、サッカーチームの本拠地に改修する工事が行われ、約530億円の追加費用がかかる見通し。JSC幹部はこうした点を踏まえて「過去の大会のスタジアムなどとの単純な比較はできない」とする。ただ、新国立競技場でも、五輪後に設置を先送りする開閉式屋根の工事などで費用はさらに膨らむ可能性がある。




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