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「藤本壮介展 未来の未来」レポート/TOTOギャラリー・間

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4月17日よりTOTOギャラリー・間で始まる「藤本壮介展 未来の未来」の内覧会に行ってきました。
Exhibition [Sou Fujimoto: FUTURES OF THE FUTURE] 

 「建築をつくるということは『未来の種』を蒔くことではないでしょうか。
僕たちが設計する建築は、敷地の条件やクライアントの要望、地域社会の文化的歴史的な背景などに耳を澄まし、さまざまな要因と対話をする中からインスピレーションを得て現実の場所をつくり出すものです。それは現実社会の潜在的な可能性に形を与える作業だと言えるかもしれません。そして可能性が顕在化するこ とを未来と呼ぶとするなら、そのきっかけとなる小さな建築的な提案は『未来の種』なのです。
それは未来を予想することとは違います。また未来を決めつけることとも違います。完成された未来図では なく、むしろ未来の無数の断片とでも言うべき、可能性と予感の『種』を蒔いていくこと。」(展覧会コンセプトより抜粋)

 会場には大小様々、形も様々な模型が注に浮いている。


 時系列、プロジェクト毎に並んでいるわけではなく、アイデアの森を自由に散策するような趣向。


 具体的なもの、抽象的なもの、リアルなもの、予感めいたもの、これらが混ざり合いながら並ぶことで、実現したプロジェクトに対しては「これはどんなアイデアから生まれたものだろうか?」、逆に何か分からないようなものは「これはどんな建築になるのだろうか?」と想像しながら見て回る。


 3階展示室から中庭まで連続するように模型は果てしなく続く。その数111個。
アイデアは一本の道を辿るのではなく、枝分かれしながら別なアイデアが生まれ、他のアイデアと融合しながら別のプロジェクトの形として生まれ変わることもある。そんなことに気付いてもらえるように展示してある。

模型を一部紹介
 〈house NA〉
「東京でもっともエクストリームで、もっとも根源的で、もっとも東京らしくて、もっとも原初的な家の一つにちがいない。」

 集合住宅〈tokyo apartment〉の初期案。
「もっとも東京らしい家の “集合"はこんな感じではないだろうか? そこに階段が巡り、この家の積み重ねは新しい都市の地形となり、路地となる。」

 〈house N〉の断面模型。
「この建築は空気の厚みによって出来ていると言えないだろうか? あるいはまた、無数の重層する窓によって作られた家だと言ってもよいかも知れない。」

 〈台湾タワー〉先頃、市長が代わったことにより計画が一時中断されてしまった。
「それは塔というよりも、場そのものだ。300mの上空まで伸びる “場”。」
「意地で展示しました。」と藤本さん。

 〈台南に提案した美術館〉
「日差し雨を遮る大屋根が、光のフィルターとなり、光の抑揚としての都市空間をつくり出す。透明と不透明の間に様々な領域をつくり出す。」

 〈台北に提案した集合住宅〉
「これからの建物は毛が生えたようなものになるかもしれない。日差しを遮るルーバーが同時に空間も規定する。」

 〈ベオグラードのコンペで一等に選ばれた都市施設〉
「都市の広場と交通のハブ、そして商業・文化施設。渦巻き状のパスの途中にはカフェやショップが点在する。求心性と流動性。」

 「こんなベッドで寝たい。こんな家に住みたい。こんな街に住みたい。」



 〈サーペンタイン パビリオン〉の初期スタディ。
「思考の様々な形。」

 屋内から屋外へも鏡の壁面は連続しアイデアの森の拡がりを演出。


 模型は中庭の隅々まで並ぶ。

中庭の模型を幾つか紹介。
 「半透明のエーテルのような建築というのは、たぶん永遠の夢だろう。いつか実現するだろうか?」


 「こんな高層ビルがあったらいい。」


 〈コンペで勝利したブダペストの音楽堂〉
「木々の中に揺らいだ大屋根には無数の開口があいており、その開口を樹木が貫通する。木々の下を歩いているうちに、知らず知らず建築の体験が始まっている。」

 「この網の向こうに未来の建築を見ることができるだろうか?」


 「建築をささえるとてもシンプルなフレームが、揺らぎ、増殖し、枝分かれして樹状に成長していく。その端部から樹木が枝を伸ばす。このハイブリッドな高層住宅を考えたい。」



 4階展示室は、一転整然と並んだ20個の模型と壁面を覆う大型パネル。
このフロアのタイトルは〈Architecture is Everywhere〉=建築はどこにでもある、どこにでも生まれうる。
プログラムの綿密なリサーチや分析などとは別に「これが建築だったらどうなるんだろう?何がおきるのだろう?」という建築とは全く異なるものと建築を結びつけ、新しい場所、新しい建築の思考を常に行っている。


 これら「種」である模型と、そこから芽を出し、実現或いはもうすぐ実現するプロジェクトを壁面に並べ、建築が生まれるときの自由や楽しさをここで表現している。


 松ぼっくりのような建築は確か見たことがあるが、


 そう、左のフランス・モンペリエで進行中の集合住宅〈L’Arbre Blanc〉か。
各住戸には複数のバルコニーが付き、最大で8×5mのものもあるというバルコニーに住むような住宅だ。建設前だが、100数住戸のうちほとんど売約済みで残りは5住戸程だという。

 内覧会が始まると観覧者は模型の周りを彷徨うように楽しんでいた。


 展覧会に合わせて刊行された〈Sou Fujimoto Architecture Works 1995-2015〉。107のプロジェクトが網羅された作品集だ。
また作品とは別に藤本さんが20年間で気になったキーセンテンスが12収録されており、

 それらが会場のそこかしこにさりげなく展示されているのを探すこともできる。


藤本壮介さん。「タイトルの “未来の未来” とは、建築には長い歴史があって今に結びついています。特にここ数年、過去、現在、そして未来に対する責任を強く感じていて、現在設計しているものは未来にインスピレーションを与えるような、受け渡していくようなものだと考えています。それを “種” のかたちで未来に投げ掛けていくという意味です。」


【藤本壮介展 未来の未来】
会期:2015年4月17日 〜 6月13日
会場:TOTOギャラリー・間

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