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木下昌大による集合住宅「AKASAKA BRICK RESIDENCE」

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木下昌大 (Masahiro Kinoshita / KINO architects) による集合住宅「AKASAKA BRICK RESIDENCE」の内覧会に行ってきました。場所は港区赤坂6丁目。施主は株式会社アトリウム。

 敷地面積315m2、建築面積200m2、延床面積1,508m2。RC造10階建て。


 2階から10階の各フロアに3住戸が入る全27住戸の賃貸共同住宅。


 ファサードは市松模様で、"目"自体も煉瓦の透かし積みで市松模様になっている。


 マンションには避難経路としてバルコニーが設けられるが、都心のマンションではそのほかの用途、つまり物干しや寛ぎ空間としてはあまり使われることない。
そして両側のマンションのように水平に連続する単調なファサードが常套となり、画一的な街並みが生み出される。

 1階路面部分にはテナントスペースを設け、既に飲食店が入ることが決まっている。


 市松の透かし積みはエントランスにも。


 エントランスからテナントへは敷地の形状に合わせて庇がせり出している。
右に見える煉瓦は他の煉瓦より小さい通常のサイズで、透かしの間隔も狭くなっている。ファサード全体に使われている煉瓦は特注サイズで幅を広くし、透かしの間隔を開け光の透過を多くなるようにした。


 ダークなエントランスホール。


 廊下もかなりダーク。


 部屋へ入ると一転白いインテリア。透かし積みのスクリーンがプライバシーを確保しつつも採光し、インテリアのアクセントにもなっている。
この一室は仲介会社がモデルルームとして家具を置いている。

室内はオーソドックスな設計を求められた。各住戸は41m2前後の1LDKで、家賃は18万円台から21万円まである。

 寝室。数日前に行われた最初のオープンハウスで既に1/3の入居が決まったそうだ。


 透かし積みは開口のすぐ外ではなくバルコニーの奥行き1m分離れているので、半屋外的な空間が出来上がる。下階の同位置は開放されているので地上に向かって口が開いているように見える。


 バルコニーに出てみる。上の写真と逆の状況で、見上げると上階の開口が見える。


 目を転じると徒歩6〜7分の東京ミッドタウンが望める。


 1mの奥行きは避難はしごユニットのサイズからきている。前述のように殆ど避難経路としてしか使われないバルコニーはサイズを抑え、煉瓦を使う分のコストを相殺するようにした。
ちなみに上階の避難ハシゴはこの二層 “吹き抜け空間” を降りていくことになる。

 瀬戸で作られた特注の煉瓦は約5,000個。5つ穴が開けられており、左右は芯を通すためで、中の3つは軽量化のためだ。
煉瓦も経年によって汚れてはくるが、それが単なる古さではなく、風合いを伴うビンテージ感が増す効果があり、建物の価値が落ちにくいと考えた。


他の部屋へ。
 1002号室。



 1003号室。透かし積みの箇所はそのままで、ない箇所はカーテンを使えばよい。



木下昌大さん(左)と、アトリウムの担当亀田竜生さん(右)。
「街の風景を刷新するような集合住宅の新しいプロトタイプを目指しました。内からはカーテンの開閉によるon/offだけではないセミオープンな環境をつくることが出来ました。透かし積みをふかすことで空間が外に拡がっているようにも感じてもらえるのではないでしょうか。」と木下さん。
「後発の会社にとってなかなかチャレンジングな建物は難しいですが、枠の中でもやりたくない。そんな中で木下さんの案はバランスが良く担当としてなんとしても実現させたいと思わせるものがありました。」亀田さん。



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