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駒田建築設計による集合住宅「アリウェイ戸越」

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駒田剛司+駒田由香+深澤浩司/駒田建築設計事務所 (Komada Architects office) による東京・品川区の集合住宅「アリウェイ戸越」のオープンハウスに行ってきました。

 敷地面積296m2、建築面積182m2、延床面積625m2。RC造、4階建て。共同住宅と長屋の兼用で11住戸。
建物は幾つものボリュームに分かれているように見え、色も何色かの中間色に塗られている。


 向かいの路地から見るとほとんど違和感なく、色も雰囲気もなじんでいる。


 ここは東京にある典型的な昔ながらの街並み。周囲のコンテクストを読み取り、リサーチすることでこの建物が街の異物にならないように配慮した。
「このような周辺環境では大きな真っ白な塊にはしてはならない。」と駒田さん。


 敷地の奥行きは25m程ありそこに路地を作った。そして建物は幾つもの棟が路地に沿って並んでいるように見える。
さらに窓にはあえて懐かしい感じのスチール製手摺も付けた。既製品はもうなかなかないので特注したそうだ。
手前には防災用の井戸を掘った。 


 101号室。表通りに面した長屋部分。壁は吹きつけの外断熱が施されている。


 玄関を開けると正面に螺旋階段とその背後にラウンドした壁。左は水回り。
壁はコンクリート打ち放しに白の塗装がしてある。


 螺旋階段で振り返ると複雑な立体構成が見えてくる。


 2階は階段室の左右に寝室とDK。


 DK側を見る。天井高3mにフィックスガラスで街が近い。左には小さなバルコニーもある。


 103号室。101号室の階段室がこちらでは空間の仕切りに使われている。


 玄関側を見ると敷地内路地を行くひとが見える。
左のガラスに換気扇ダクトが直で付いているのに注目。


 敷地内路地を奥へ。長屋のエントランスが並ぶ。


 別な角度からはこのように。


 ここで一度屋上を見ると分かりやすい。建物の輪郭は内と外を入ったり出たりしながらも一筆書きで描かれている。そして内部の壁柱や垂れ壁と作用しながら空間の内外が入れ替わり豊かな表情を作っている。



 107号室。右から小さな玄関ホールを抜けると、3階まで吹き抜けに螺旋階段が挿入されるトリプレット。まるで巨大なドリルビットがこの竪穴を掘ったようだ。


 2階には寝室と水回り。


 3階に上がると右にトイレ、左に机、奥にDK、リビングと続く。


 ちょっとした机があると使い勝手がいい。


 DKとリビング。壁構造のこの建物。壁柱や垂れ壁(梁)で、構造と空間の間仕切りを両立させて緩やかに仕切っている。



 敷地内路地に面した共同住宅部分のエントランスホール。何か白く大きな箱が置いてある。


 反対側を見ると郵便受けと宅配ボックスだった。 
左に見える開口とその空間は建物の機能としてはあまり意味がないが、街の隙間のように存在させた。施主はこのような一見無駄とも思えるデザインを許容してくれたそうだ。


 403号室。見える壁は全てRCの壁柱や垂れ壁(梁)。戸や扉を付けずにスペースは仕切られている。


 冒頭の101号室の階段室のラウンドはそのまま3階、4階へ用途を変えながら続いている。 
 角度の付いた壁の間隔が狭くなることだけで空間を仕切る。


 屋上から見えた輪郭の凹みはこういったサプライズ的な開口としても利用されている。


 401号室。玄関から見ると狭く絞られているが...


 2歩進むと至るとこに設けられた開口越しに空間と外の景色へ視線が抜けていく。



 正面、V字の隙間はほとんど使い道がない。こういった “無駄” は通常賃貸住宅の設計ではNGだが、許されたここでは “余白 として豊かな表情を生んでいる。



駒田由香さんと駒田剛司さん。「施主である工務店は地元に60年前からある老舗で、60周年記念として地元に誇りが持て、地元に愛してもらえるような建物を望まれました。そしてここは昔ながらの商店街を抜け、昔ながらの下町の雰囲気です。違和感なくこのボリュームのものを建てるにはどうするか検討を重ねました。街に対して閉鎖的になるのではなく、敷地や建物の境もはっきりしない、住居内部もあまり内外がはっきりしないように設計しました。」


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