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駒田建築設計事務所による住宅「O邸」

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駒田剛司+駒田由香/駒田建築設計事務所 (Komada Architects Office) による東京・大田区の住宅「O邸」を見学してきました。

 敷地面積134m2、建築面積67m2、延床面積113m2。RC造2階建て。
前面道路を挟んでご両親が住む実家があり緑豊かな庭が広がっている。その庭に対してすっきりとした開口をデザインした。

 背面は南西向きだがアパートが迫るため、ポリカーボネートの折板をスクリーンに利用。


 施主は子供の頃からこの前面道路は遊び場だった。近所にも知り合いが多く憩いの場として前庭にシマトネリコの植わるベンチを設た。


 サッシュやドアフレームを出来るだけ見せないようにしてある。そのため玄関扉にはラッチのないものを製作。


 玄関ホールはペントハウスまでの約7mの吹き抜け、そこにシルバーの螺旋階段が挿入されている。



 玄関から裏庭まで廊下が連続する。右にゲストルーム兼予備室、右奥に水回り、左奥に主寝室。


 ゲストルーム兼予備室。床は足場に使われていた古材。


 主寝室。背面に見えたポリカは乳白色で、プライバシーと明るさを両立している。また山の大きな折板のため横の隙間から意外なほど風が通る。



 2階LDK。


 通り側は前述した実家の緑が望め、宙に浮いたパレットの植栽と連続。


 そのまま後ろへ下がっていくとハイサイドライトが設けてあり、部屋の中ほどでも十分な明るさが保たれている。


 ハイサイドライトは屋上に段差をつけた屋根を利用してあり、その段差は屋上ではベンチに

ダイニング側の足元からは、浴室や洗面室をかすめながら裏庭のシマトネリコが覗く。

 
30cmほどスキップで上がった側はシーンを切り替え、書棚の間にトイレ、両側は子供室になっている。


 引越前だが、少しずつインテリアの小物が運び込まれている。ビンテージものがお好きな建て主で、床も “ビンテージ” というわけだ。 


 通り側の子供室。植栽パレットと一続きの机は足元にフィックスガラスの開口がある。ご覧のように通りを行く人とは絶妙に目線が合わないようになっている。


 ペントハウスから。


駒田剛司さん。「向かいにご実家、その間には子供の頃からよく遊んだ道路と、お施主さんの記憶が深く残る情景があります。前後に抜ける開口はスラブの高さを操作し、目線の高さにご実家の庭、下には通りが見えるようにしその情景を取り込めるようにしました。」



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浅利幸男による店舗兼集合住宅「楼庵」

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浅利幸男/ラブアーキテクチャー 一級建築士事務所 (Yukio Asari / Love Architecture) による店舗兼集合住宅「楼庵」のオープンハウスに行ってきました。中央線三鷹駅から数分の三鷹通りに面した場所。[Roan by Yukio Asari]

 建築面積123m2、延床面積632m2。RC造地下1階、地上6階建て。地下と1階はテナントスペースで、賃貸住戸は11戸。
重厚な黒鉄色のファサードが遠くからも目を引く。

 ファサードはどうやら折れ戸になっており、開閉可能なようだ。


 住居のエントランスは裏側にある。敷地は商業地域と第一種低層住居専用地域の境に位置し、西側はいきなり閑静な住宅地になるので、それに合わせファサードの表情もがらりと変わっていることと、斜線により上部がセットバックし2階までしか見えないのでとても同じ建物とは思えない。


 階段を上がって1階のエントランスホール。まずはエレベーターで5階まで上がってみる。


 501号室。3階〜5階は東西両面に開口する長細い部屋。中央にアイランドキッチンが設えてある。


 アイランドキッチンにする事で長い一枚壁が現れ、東西から差し込む質の違う光を楽しむことができる。 


 三鷹駅から3分ということもあり、東側の景色は “駅前” だ。


 そこで折れ戸を閉めるとご覧のように。 街のノイズを遮りたいときだけ使えば良いわけだ。


 折れ戸の仕上げはリン酸処理亜鉛メッキ。格子の鉄板はよく見ると編み込んである。


 一方西側はどこまでも低層住宅が広がり、遠くに秩父、奥多摩、丹沢、そして富士山も望めるので積極的に開いてある。


 5階の住戸はメゾネットなので、上階(6階)に上がってみる。


 階段を上がって振り返ると、思い切ったレイアウトの水回りが現れた。


 反対側の床は下階の天井を高くするため(=下階西側の景色を広く取り入れるため)スキップしている。


 空中に浮いているようなバスルーム。どのように使うかはお好みだ。(502号室)


 301号室。斜線の影響で上階ほど壁は短くなるが、この3階が一番壁が長い。


 水回りは西側に。


 203号室。2階では住戸が4つレイアウトされるので一番小さな部屋になる。玄関を入って壁の左は寝室で引戸が付く。


 2階になると隣家との兼ね合いで手摺に目隠しが付く。



 101号室。1階はテナントもあるので住戸は1つ。こちらでは壁の隣が浴室になる。

 唯一の横長部屋。

「ここは東西に開けていますが、西側の眺望はおそらくこのままなので積極的に景色を取り入れ、東側の駅前は今後どうなるか分かないことから、変化していく街並みに対応できるようこのファサードのアイデアを取り入れプライバシーに配慮しました。そして東西から入る光を長い壁に映し楽しむことが出来ます。」と浅利幸男さん。

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オカムラデザインスペースR:古谷誠章×佐野玉緒「波・紋」展

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今年12回目を数える "オカムラデザインスペースR"は年1回岡村製作所がショールームを使って開催する企画展。今回の企画建築家として古谷誠章は、協働表現者に佐野玉緒を迎えた。

 テーマは「波・紋」。目指すのは建築家の個展ではなく、建築家ともう一人の表現者が協働することで初めて可能になる新しい空間・風景づくり。


 オープニングプレゼンテーションでは古谷さんが事前に設えた空間に、佐野さんがライブで5カ所にいけ花を行った。



 佐野玉緒さんは銀閣寺(慈照寺)で花方教授 珠寳(しゅほう)として2004年よりいけ花を担当し、研修道場で行われる講師も務める。
※会場で佐野さんのいけ花が数回行われるので下記をご確認下さい。






古谷誠章さん。「以前佐野さんのいけ花を拝見し、指先が花器の水に触れたときできる波紋に心を動かされた。」「佐野さんが野山から花を切ってきたとき花は一度殺され、そしてここでもう一度生かされる。私も一度殺され用意した私の ”建築” に佐野さんのいけ花によって、また生かされる。その瞬間を正に固唾を呑んで見守った。」
 
【オカムラデザインスペースR 第12回企画展 「波・紋」】
会期:2014年7月8日~7月25日
場所:オカムラ ガーデンコートショールーム
詳細:www.okamura.co.jp/company/topics/exhibition/2014/2014spacer.php
 
シンポジウム:「波・紋をめぐって」 
日時:7月11日/18:00~20:00(定員50名)
パネラー:古谷誠章 + 佐野玉緒、アンカーマン:川向正人

プレゼンテーション:佐野玉緒いけ花
日時:7月7日/18:00~、11日/17:00~、15日/14:00~、22日/14:00~


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トネリコの特集記事:LIXIL "Archiscape"

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“トネリコ × SAMOS : M-HOUSE「アルミ樹脂複合サッシで大窓をつくる」” という特集記事がLIXILの建築・デザイン情報サイトArchiscapeに掲載されています。
本文より一部抜粋して紹介します。

photo: 淺川敏

これまでにはなかった、スリムなフレームデザインが特徴のLIXILの断熱窓「SAMOS」。これを複数枚組み合わせることで、高い断熱性能をもつ大開口を実現した住まい・・・ 


photo: 淺川敏

2階の寝室は、連窓との間に吹き抜けを挟み、半透明の建具を入れています。この建具を開けると、両サイドの収納部分にぴったりと引き込まれる寸法で、この横幅にサッシ3枚分を均等に割り当ててグリッド枠の寸法を決め、縦方向にも適応・・・

続きは画面右上のバナーよりご覧下さい↗



ギャラリー・間「TYINテーネステュエ・アーキテクツ展 Human - Architecture」レポート

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TOTOギャラリー・間で開催される、ノルウェーの若手建築家ユニット「TYIN (ティーン) テーネステュエ・アーキテクツ展」の内覧会に行ってきました。
"TYIN tegnestue Architects: Human - Architecture"

 ギャラ間では海外建築家の展覧会を30数回開催してきたが、北欧の建築家は今回が初めて。しかも建築家の年齢も今までで1番若い(32歳と33歳)という。
因みに展覧会のロゴなどにある日本語は、一見するとTYINのお二人が一生懸命書いた文字のように見えるが、原研哉事務所で働くスイス人による完全なデザインだ(!)

 「TYIN(ティーン)」とはかつてノルウェー国王夫妻を乗せていた船の名前であり、湖の名前。将来に漠然としていた時期偶然この船を手に入れ、二人で生活していたという。

 アンドレア・G・ゲールセン(右)とヤシャー・ハンスタッド(左)。
ノルウェー科学技術大学(NTNU)で出会い、コンペ参加を機に在学中の2008年に結成。ノルウェーのトロンハイムに拠点を置き活動している。自らがスポンサーを募り、タイ、ミャンマー国境からスマトラの森まで、世界各地で地域に根ざした社会的持続性をもった建築を作っている。

 3階展示室は導入編として、彼らが学生の時に携わったプロジェクトをメインに、アジア圏で完成したプロジェクトが並ぶ。

 バタフライ・ハウス(タイ)2009年
少数民族カレン族の孤児のために作られた6棟の宿舎。特徴的な屋根の形状は、宿舎を自然換気と乾季に備えて雨水をためる為でもある。

 セイフ・ヘイヴン孤児院の浴場(タイ)2009年
既存の不衛生だった水回り施設を機能的で清潔なものへと生まれ変わらせた。

 カッシア・コープ・トレーニングセンター(インドネシア、スマトラ島)2011年
主に煉瓦とシナモンの木材で出来た、シナモン生産作業員の養成所。シナモン樹皮を取った後に残される幹を構造やインテリアに用い、シナモン業界の倫理向上のために役立てた。クライアントのシナモン貿易商は、フランスで開催されていたTYINの個展に感銘を受けて依頼したという。

 TYINは徹底した現場主義。8週間の工期のうち5.5週間は現地にいて、雇った80人位のスタッフを率いながら現場の状況に応じて柔軟にホワイトボードを囲んだデザイン会議を続け、完成させた(その結果ハンスタッド氏は15ポンド痩せたらしい)

 クローントゥーイ・コミュニティ・ランタン(タイ)2011年
スラム改善プロジェクトとして計画したサッカーコートなどのある遊び場。パターンが特徴的な柵は、古い窓のフェンスをリユースしている。

 4階展示室では、主に母国ノルウェーで学生たちと手掛けたプロジェクトが展示されている。
手前に見える木製の箱は2012年のヴェネチアビエンナーレ北欧館に出展した「TOOL BOX」。

 リスタの光(ノルウェー)2013年
移民の増加に悩む地域を観光地として投資を引きつけるような場所になるよう、地主集団に依頼されたプロジェクト。60メートルの板張りの歩道が、ノルウェー最南端ならではの景色を堪能できるキャビンへとつながっている。

 展覧会のサブタイトル「Human - Architecture」にもあるように、TYINの仕事にとって人的なネットワークは重要なツールである。本展ではTYINがお世話になった職人、学生、クライアント等のポートレートと共に、今回の個展の為に用意された彼らを象徴するような贈り物と一緒に展示されている。

 これはタイの珍しい植物の種子。地域社会に貢献する建築という長期的目標のシンボルとして、タイ人の建築家から贈られた。

 「TRDハイネマン」プロジェクトで協働した溶接工からは、棚の土台として使われた杭上家屋のミニチュアと、プラズマ切断加工された鉄製の部材。

 テラスにあるのはMDFで出来た世界地図。上から見ると、TYINテーネステュエ・アーキテクツが重点的に活動した場所が分かる仕組みだ。
人型ピースにはプロジェクトやワークショップ関係者の名前が付いている(まだ付いていないのはこれから会う人だそう)。

 ヤシャー・ハンスタッド氏(残念ながらもう一人のアンドレア氏は来られず)。
「今回の展覧会は、ともかく私達のすべてを見ていただきたいという想いで構成しました。自分達は現地に飛び込み学びながら建築家になりましたので、特に学生や若手建築家に見てもらえれば嬉しいです。最新情報としては、8月頃にノルウェーで32平米ほどの小さいコンサートハウスが竣工する予定です。4階の入口近くにある楽器を持って写っている人がクライアントね!」

展覧会に合わせて発刊されたTOTO出版書籍『ビハインド・ザ・ラインズ TYIN テーネステュエ』。
TYINがどのように歩んできたか、悩んできたか、ありのままの真実をジャーナリストが物語風に仕上げ、創造的刺激を追体験することができる。建築の将来を担う学生たちに向けたという一冊。

【TYINテーネステュエ・アーキテクツ展 Human - Architecture】
会期:2014年7月10日〜9月20日
場所:TOTOギャラリー・間
詳細:http://www.toto.co.jp/gallerma/ex140710/index.htm


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前田紀貞による住宅「ORANGE」

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前田紀貞+白石隆治/前田紀貞アトリエ (N MAEDA ATELIER) による東京・目黒区の住宅「ORANGE」のオープンハウスに行ってきました。

 敷地面積72m2、建築面積43m2、延床面積128m2。S造3階建て。テーマは「子供の家」、子供のワクワク、キラキラを表現した建築と聞いて伺った。


白く四角い箱にざっくりと切り込みを入れたような外観。ファサードは超高弾性吹き付けタイルを平滑に仕上げたもの。

 玄関を入ると真っ白な洞窟のようになっていた。


 見上げるとちびっこと目が合った。


 1階はまず、4段分ほど掘り下げられたスタディールームになってるが、床にはかなりの凹凸がある。「地面や道にはでこぼこがあるのに家は平らでなければいけないの?」という子供のキラキラを表現。


 とは言え平らでないとベッド置けないので必要な箇所は平らに。こちらは子供の寝室(就寝のみ)。 


 2階LDK。事前に完成前の写真を見ていたが、実際に訪れると住宅としては見たこともない空間が待っていた。


 ガラスを支持しているH鋼はそのまま建物の構造でもある。中央奥はご主人のホビールーム。 


 何も説明を受けないと、一体どんな空間なのか分からない。


 こちらがイメージモデル。発泡スチレンのブロックをヒートカッターで捻りながら切った時に、偶然生まれた形状をそのまま空間として表現したそうだ。


 2階には平らな壁がほとんど無く通常のエアコンが取り付けられない為、ダクトを介した吹き出し型を採用。このカットを見るとまるでカフェのようだ。


 「一体どうやって施工したのか?」と質問が相次いでいた。スチールの躯体とは別に、細かい木材を継ぎながら壁の骨組みを作り、さらに細かく刻んだ合板を無数に貼り合わせ曲面を作る。その上にスチールネットを掛けモルタルを塗り込んでいく。最後に仕上げ材で、ということだが「ウチではこれ以上できない」と大工さんは4回替わったそうだ!


 キッチン奥の階段下はパントリーに。



 2階を見下ろしながら3階へ。「床と壁と天井が直角って大人の都合で決めたんでしょ?ヨレヨレはだめなの?」という子供のワクワクを表現。


 階段もフロアの一部として子供が遊べるように。踏面が広く転倒しても転げ落ちないようになっている。
トルコの世界遺産パムッカレの石灰棚を思い出した。

 階段頭上には正にスチレンブロックを切り出したようにトップライトが覗く。
非常に複雑な曲面に3階フロアの開口。こうなると図面での指示はできないのでほとんどが現場合わせだったそうだ。

 足元を見ると、とても手の込んだ仕上げが成されており不思議な材質感が生まれている。


 3階は白に溶けこむような空間。左側に水回り、右側に主寝室。


見返すとこのように。(レンズの歪みではない)


 水回り。バルコニー左の壁は、前出の階段室上部の壁裏なので大きく傾斜している。


 主寝室。最後にこの部屋を見ると、直角水平の空間が逆に不自然に感じられた。 



 当日インテリアに置かれていた小物はほとんどが前田さんの私物だそうだ。



 前田紀貞さん。「お施主さんからは "子供が楽しめる家"というのが一番の要望でした。子供は自由です、建築にも自律と他律の良さを取り入れながら自由な発想を大切にしました。体験して頂ければ一見したデザイン志向だけではないことが理解して頂けると思います。しかし施工に関しては今までで一番大変でした(笑)」



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「住宅建築賞 入賞作品展 2014」レポート

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7月11日から開催の、東京建築士会「住宅建築賞 入賞作品展 2014」の講評・オープニングレセプションに行ってきました。会場は東京・京橋のAGC studio。
"Residential Architecture Prize 2014"

 30回目を迎えた住宅建築賞のテーマは「新しい時代の住宅」。
入賞作品に5点が選ばれたが、残念ながら金賞は2年連続で選ばれなかった。 


 「西麻布の集合住宅」
安原幹+日野雅司+栃澤麻利/SALHAUS

 「アルマジロ」
田辺雄之/田辺雄之一級建築士事務所

 「森をよけた住まい」
西久保毅人/ニコ設計室

 「重ねの家」
木島千嘉+上原絢子/木島千嘉建築設計事務所

 House-H
岸本和彦/acaa 

2階へ上がる前に一つ情報を。このAGC studioに掛け替えられた螺旋階段は、意匠設計を太田浩史氏、構造設計を佐藤淳氏が担当した。
世界初のサスペンション構造によるガラス螺旋階段で、側面の板を持たず吊り下げでの固定に成功したものだ。
太田浩史氏は1階ギャラリーや、2階スタジオのデザインも担当している。

 2階の会議室(乾久美子氏によるデザイン)では講評・ディスカッションが行われた。


 審査委員は左よりトム・ヘネガン、西沢立衛(審査委員長)、妹島和世、林寛治、藤本壮介の各氏。
「全体の印象としては、設計のレベルが非常に高く精密で、職業的であり、かつ誠実さを感じる。新しい時代の息吹を感じさせる荒々しさよりもむしろ、現在の困難や課題、条件に対して確かな答えを出すという、その等身大の謙虚な姿勢と、設計能力の高さということが最も印象に残る審査だった。」と西沢さん

 入賞受賞者たち。審査委員たちと熱心なディスカッションが行われた。


 講評後はオープニングレセプション。
SALHAUSの3人は右から安原幹さん、日野雅司さん、栃澤麻利さん。

 田辺雄之さん


 西久保毅人さん


 木島千嘉さん(右)と、上原絢子さん


岸本和彦さん(House-Hの取材記事


【住宅建築賞 入賞作品展 2014】 
会場:AGC sudio
会期:7月11日〜8月8日


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エマニュエル・ムホーによる「巣鴨信用金庫 中青木支店」

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エマニュエル・ムホー (Emmanuelle Moureaux Architecture + Design) による巣鴨信用金庫 中青木支店を見学してきました。場所は埼玉県の西川口駅から車で5分程の青木中央交差点の角。

 敷地面積561m2、建築面積297m2、延床面積588m2。S造2階建て。
エマニュエルさんが手掛ける巣鴨信金は5店舗目で、建築設計全てを手掛けるのは4店舗目。
>>江古田支店>>志村支店>>常盤台支店


 毎回とにかく目を引くのがファサードだ。今回のテーマは「Rainbow Melody」、街に色を還元し地元の人や行き交う人を楽しくさせる。


 1辺1,500mmのキューブが奥行きと色を変えながら「虹のメロディー」を奏でている。


ファサードには1階から3階まで12の庭があり様々な木や草花が植わり、中にはオリーブやシマトネリコなどある程度大きくなる木も。

 
建物は敷地一杯ではなく、セットバックさせオープンデッキスペースとベンチまで設けてある。


 エントランスの直ぐにはATM。


 そしてカフェ、ではなく待合スペース。常に巣鴨信金から求められているテーマは「1秒でも長く居たくなる信用金庫」。


 外部に見えた庭は内部にも入ってきている。季節の花に植え替えられるのでいつ来ても楽しめる。


 銀行と言えば、カウンターと対峙し防犯カメラが沢山あり少なからず緊張感に包まれるため、用が済めば早く引き上げたくなるものだが、エマニュエルさんの手掛ける巣鴨信金は用もないのに休憩を取りに来る方もいるという。


 2階には融資カウンターや、オフィス、会議室、食堂など。職員20人程の一支店に食堂があるのも巣鴨信金の特徴で、ホスピタリティは客だけでなく、職員に対しても働きやすい環境として提供されている。



 2階からも庭越しに外が望める。ちなみに中青木支店は、通りの向こうに立つグレーのビルにテナントとして入居していたがこちらに新築移転した。


 「敷地は県道と市道が交差する角にあり、常に四方から車や人が行き来する状況を特徴として捉え、人々が動くことで見え方が刻々と変化するリズミカルなファサードに仕上げました。また晴れた日には木漏れ日が内部に優しく差し込む落ち着いた雰囲気にしました。」とエマニュエル・ムホーさん。



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高橋堅による住宅「のりたまハウス」

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高橋堅/高橋堅建築設計事務所 (Ken Takahashi Architects) による東京・杉並の住宅「のりたまハウス」のオープンハウスに行ってきました。

 敷地面積72m2、建築面積40m2、延床面積103m2。木造+一部S造、3階建て。
建物の外周は全て角Rが取ってあり、開口を巻き込むような格好になっている。

 玄関は外壁に包まれるような位置に。


 玄関を入り見上げると丸みのある三角形の吹き抜けにトップライトから光が落ちてきている。


 玄関から右を向くと寝室。左は下足などの収納で、裏にはスタジオと呼ぶ書斎がある。


 寝室。回り込んだ壁の先に開口があり、淡い光が入り込む。


 2階ダイニング。


 左の壁の前にダイニングテーブルが置かれる。 一見閉ざされた外観に見えたが実は四方に開口がある。


 壁の裏側はキッチン。


キッチンカウンターは引戸で開閉できる。 


 キッチンの奥にもスタジオ。ご夫婦それそれが家で仕事が出来るように二つある。


 3階。奥に寝室と、右にウォークインクローゼット。その間にはトイレ。


 WIC。暗くなりがちな部屋にもトップライトを。


 階段の壁の小口はアルミ板で仕上げてある。玄関の上、2階と3階に小さなデッキスペースを設けた。


 3階から吹き抜けを見下ろすと、2階の床とずれており上にいくに従って吹き抜けが広がる。これにより2階にもトップライトからの光を十分に届けることができる。左の大壁は北側からの風に耐えられるよう鉄骨が入っている。


「敷地はとても密集した住宅地です。プライバシーと光を確保するため開口を多くしながらも、近隣住宅の窓と正対しないように配置しました。トップライトからの光と窓から入る光がカーブを描く壁で混ざり合い、曖昧な遠近感を生みだし広がりを感じさせてくれています。」と高橋堅さん。


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前田圭介/UIDによる住宅「群峰の森/COSMIC」:後編

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6月の前編に続き、前田圭介/UID (Keisuke Maeda / UID architects) による住宅「群峰の森/COSMIC」後編をお伝えします。

後編は右側の「アネックス棟」の紹介だ。


 アネックス棟は平屋で、玄関を入ると一直線に通路が延び、奥に向かって緩やかにステップを上がっていく。


 まずはキッチン。L字型にダイニングカウンターが配され、反対側は座敷になっている。


 回って見てみると、まるで割烹料理屋の雰囲気になっていた。


 カウンターのサイズなどは実物大模型を作って検討したそうだ。




 和室。前編で触れた枯山水の水に浮く和室。


 外から見ればより顕著で、境界の曖昧さを追求しているかのようだ。


 この空間に照明スイッチをどうするかは悩んだという。


 リビング。スキップしながら外部のランドスケープへ連続していく。
大きな住宅だが必要以上に広い部屋がない。「ヒューマンスケールを大事にした。」と前田さん。

 敷地の一番高い南端には月見台を設えた。


 浴室。


 掛け流しのシステムも前田さんが考えた。外部に面した木製建具を全開することで、露天風呂のような空間となり気持ちよさそうだ。


 個室。森の中で寝起きするような風情。 


 多くの部屋から眺められる庭には池を作った。3方から水が流れ込み、至るところでせせらぎが聞こえる。




 外部の階段よりテラスに上がってみる。


 室内とは違うダイナミックな景観が広がっていた。


 この門型フレームはダイナミックさを生みながら、夏の日差しを遮り、月明かりによって多彩な表情も生みだす雲のような存在だ。






前田圭介さん。「おじいさんの代から受け継いだ土地をさらに子どもたちの代に託せるようにした、"豪邸"とは違う現代の屋敷を計画しました。」「周囲に点在する緑と繋がるよう敷地は緩やかに仕切り、住み手と自然、さらに地域ともインタラクティブな関係性が生まれるように配慮しました。」
>> 前編


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「KAGUTEN/建築家の創作家具展2014南青山展」

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東京南青山のプリズミックギャラリーで開催される「KAGUTEN/建築家の創作家具展2014南青山展」のオープニングに行ってきました。
「KAGUTENは、建築家による創作家具のグループ展で、『建築・空間・生活の可能性』を探ることを目的としています。家具という持ち運べる実例を通して、建築家の思考をリアルに示す場をつくります。」
[KAGUTEN Exhibition 2014 in Minamiaoyama]

 3回目の今回は26組の建築家による家具の展覧会。プリズミックギャラリーがインテリアショップに様変わりしたような雰囲気だ。


 出展者は、AN Architects、aterier A5、高橋元氣+高橋つばさ、馬場英実、安田博道、伊藤博之、若松均、大縄順一、河内一泰、芦沢啓治、KEIKO+MANABU  for  ifs未来研究所サロン WORK WORK SHOP x KOKUYO、高橋堅+東京バンドソー、相坂研介...


 渡邉健介、山口誠、MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO+芝浦工業大学原田真宏研究室、川辺直哉+田岡博之、松岡聡+田村裕希+森山茜、松川昌平+慶応SFC松川研究室、山本想太郎、小野龍人、鈴木丈晴、保坂猛、伊藤立平、仲俊治+宇野悠里。


 作品は、建築設計の際合わせて作ったもの、展覧会用、企業に依頼されたもの、実験的なものなど様々。 


 会場に搬入できなかったものはパネルで。


 どの家具が、どの建築家によるものかを紹介するのはここでは控えるので、会場に足を運んで見比べていただきたい。






この日出席した出展者たち。 
「建築とは違う展覧会を通じて、このような多彩な顔ぶれが集まる機会が持てることを大切にしたい。」と主催の相坂研介さん。
 
【KAGUTEN/建築家の創作家具展2014南青山展】
日時:2014年6月7日~7月18日
場所:プリズミックギャラリー
詳細:www.prismic.co.jp/gallery/works52/


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平田晃久による集合住宅「kotoriku」

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平田晃久/平田晃久建築設計事務所 (Akihisa Hirata Architecture Office) による東京・目黒区の集合住宅「kotoriku」を見学してきました。3月のオープンハウスではまだまだ完成しておらず、工事と入居のタイミングを見ながら何度か撮影に伺った。プロデュースはプリズミック。

 敷地面積288m2、建築面積184m2、延床面積481m2。RC造3階建て。11住戸の賃貸と、オーナーの住戸からなる。


 周辺は密集した住宅地で起伏も多く、”四角い"区画がほとんどなく上に見える電線のように道路が通っている。


 そんな不規則な地にあえて「得体の知れないもの」を出現させた。ちょうど谷間の歪んだ地形にある、崩れた崖をそのまま住居にしたような、そんな雰囲気だ。


 外壁は土色にしわが寄った仕上げ。どのように施工したかというと... 


 模型で説明。右のように角材を刻みランダムに配置する。その上に薄い鉄板を重ね、踏みつけて鉄板にしわを作る。それをコンクリート型枠の内側に張り、左のように着色したコンクリートを流し込んだ。


 北側から。


 建物の名前「kotoriku」は感じで書くと「小鳥来」。小鳥が集まる森のような建築になって欲しいとオーナーが名付けた。
植栽担当は大網ガーデン。


 遺跡の中に入っていくような雰囲気。


 1階の模型! 不規則な街をそのまま凝縮したようだ。


 2階へ。


 2a。ワンフロアに5住戸あるが、"四角い"部屋はひとつもない。
ラーチ合板の建具。土色に着色されたコンクリート。床はビンテージ風のフローリング。

 不均質さを強調するような梁。


 2b。



 2c。各洞窟は様々なバリエーションだ。



 3階。さらに上は屋上へ続くが、基本オーナー用だ。



 3a、オーナー住戸。手前からダイニング、左にリビング、カーテンの奥がキッチン。
右側にも部屋は続くが、撮影用に家具が寄せてある。


 ダイニングにはこの部屋に合わせて平田さんがデザインした五角形のガラステーブル。
リビングは南北にバルコニーが設えてあり、風や光が通り抜ける。


 バルコニーには多様なの木々が植わる。


 ペントハウスは書斎になっている。4面に開口があり、ぐるりと屋上と緑が眺められる。


 屋上より。開けた五叉路に面した角を崩して植物を沢山植え、街に開いた。


「地形の歪みに沿って出来た街に、孔だらけで歪んだ隙間= "からまりしろ"を作り出し、洞窟や遺跡の様な複雑で、ひとつの原理では出来ていない建築です。居住者には快適で、近隣からは緑の丘ができたように感じてもらいたいですね。」と平田晃久さん。

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日本建築学会主催:学生グランプリ 2014「銀茶会の茶席」作品募集

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日本建築学会より学生向けコンペの案内が届きましたので紹介します。

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日本建築学会建築文化週間 学生グランプリ2014「銀茶会の茶席」作品募集 

日本建築学会では、実際に使用される建築物を設計、制作する機会を建築を学ぶ学生の皆さんに提供します。ここでは全銀座会からの依頼を受け、10 月に銀座通り周辺で開催される「銀茶会」の中で実際に使用される 創作茶席の設計・製作案を募集します。設計課題等の授業のように設計した課題に対して講評を受けるだけに留まらず、依頼者のために誠意ある提案を行い、設計者に選定された場合は責任をもって実施設計と製作を行っていただきます。これらの経験を通じて、同世代の仲間との交流や建築のおもしろさ、難しさを是非体験してください。

詳細PDF

応募締切日:8月6日(水) (当日必着、持参の場合は 17:00 まで)

応募先・問合せ
 日本建築学会建築文化週間学生グランプリ係
 〒108-8414 港区芝 5-26-20
 TEL 03-3456-2056
 事務局担当 三島 

過去の入賞作品


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藤村龍至による集合住宅「APARTMENT N」

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藤村龍至 (Ryuji Fujimura Architects) による目黒区の集合住宅「APARTMENT N」の内覧会に行ってきました。東横線学芸大学駅から徒歩10分程の場所。

敷地面積70m2、建築面積36m2、延床面積123m2。RC造3階建て。一戸建てのボリュームに3住戸が入る共同住宅。
2階はバルコニーが途切れ、窓もフィックスになっている。

居住部を帯のようなバルコニーが回って横方向に分割。縦方向は3分割レイアウトを強調するように、3連の開口がダミーも含め同サイズで並び幾何学的な意匠だ。前作「APARTMENT B」からの流れを感じる。

共用部。左のメッシュドアは1階住戸のバルコニー用。


2階へ上がってすぐに2階住戸の玄関。


1階廊下と、2階バルコニーの関係が良く見える。

居室は耐力壁と梁を利用し二分されている。 
床はバーチ材。

外観で見えたフィックスの窓にはぴったり公園の木が納まる。バルコニーがあってはこのように見えない。
また1階の住戸を明るくする効果もある。

床には23個の検討模型が並ぶ。特にバルコニーと開口の試行錯誤を繰り返した様子が伺える。


キッチンはレンジフードもコンクリートで出来ている。


3階へ。階段最上段だけ鉄板で出来ており、隙間がある。


覗いてみると排水や換気設備が見える。藤村事務所お得意の見せる設備は地上で整然とまとまっていた。


3階居室は窓も多く、等分割レイアウトが顕著に表れている。


窓枠上部のラインに近付けるよう梁はあえて下げ気味に。






バルコニーは半周ほどを占める。住まい手へのサービス空間だ。


非構造部であるダミーの開口は壁を薄くしてある。


窓枠のアルミは藤村事務所自称 "阪急電車納まり”。下部は広めにとって腰を掛けることが出来る。 


藤村龍至さん。「ここでは南側に公園が望めます。そこで北側の高度斜線避けるために南側に建物を寄せ、バルコニーを設け周囲の環境を感じるように余裕を取りました。」


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安藤忠雄のコメントや質疑応答/新国立競技場計画に関する説明会

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去る7月7日、新国立競技場案に関して、日本スポーツ振興センター(JSC)をはじめとする新国立競技場計画関係者から、これまで意見・要望などを表明した建築家団体の代表者に対する説明会が建築家会館にて開催されました。
説明会での各コメントが公表されたので抜粋してお伝えします。

■■ 計画関係者
【発注者】
日本スポーツ振興センター:河野一郎、鬼澤佳弘、山﨑雅男、阿部英樹、和田 章(アドバイザー) 

【国立競技場将来構想有識者会議ワーキンググループ】
安藤忠雄、内藤廣、安岡正人、小倉純二、都倉俊一

【デザイン監修担当者】
Jim Heverin (ザハ・ハディド・アーキテクツ)、内山美之

【基本設計担当者】
日建設計・梓設計・日本設計・アラップ設計共同体、亀井忠夫、山梨知彦

■■ 建築設計関連 5 団体関係者
日本建築家協会:会長 芦原太郎、副会長 上浪寛
日本建築士連合会:会長 三井所清典 
東京建築士会:会長  中村勉 
日本建築士事務所協会連合会:会長 大内達史、前会長 三栖邦博 
東京都建築士事務所協会:会長代行 西倉努

(左:2013年3月時点案、右:現在案)

本説明会の主旨等説明
【芦原氏】
・新国立競技場計画については、建築家、建築関連団体、市民の方々から色々な主張がなされている。そのような中、今回、専門家である私たちに情報を正しく説明いただける機会を持てたことは大変嬉しいことだと思っている。
 ・この会は、日本スポーツ振興センターと協力いたしまして、非公開という形ではありますけれども、内容をきっちりと確認し、整理して、何らかの形で公表していきたいと考えております。

【安藤氏】
・場所、景観、規模、開閉式屋根等の問題点を指摘されているのは認識している。
・場所や規模、予算などについては、委員を依頼された時点で前提条件として聞いていたことであり、私もすべての事柄について権限のある責任者ではなく、国民や専門家の皆様に対して説明する立場にないため、これまでJSCから事業者として説明して頂くよう伝えていた。
・私がデザインについて説明をする前に、皆さんの疑問点を直接聞くことが必要。このような機会がこれまでなかったのが問題であったと思っている。国家的事業であ ることを考慮すれば、本来であれば公開ですべきだと考えている。
・デザインの選考については、構造や設備、そして管理運営など専門の先生方にも相談して審査して頂き、ザハ・ハディドの案が良いのではないかということになった。 審査についての問題点も指摘されているようだが、限られたスケジュールの中では 公平になされたと思っている。その経緯の詳細については JSC が HP上で公開している。
・今回は皆さんが問題に思っていることをどんどん言ってもらいたい。私が答えられる範囲のことは全部話したい。自分たちが考えたことはしっかりと説明したいと思う。

経緯等説明後の補足説明 
【芦原氏】
 ・規模の問題、多目的のプログラムと費用に対する懸念、外苑の景観に対する懸念について、まずはしっかりと把握するため、説明いただくようにしていただきたい。問題については、既にそれぞれの建築団体から要望書や提案書という形で何度も提出しているので、私たちが感じている問題点を既に御理解いただいているものと考えている。計画について説明いただいた後に、時間がある限り問題点についても話し合いを行いたい。

【安藤氏】
 ・審査委員会が関与し、説明できる範囲とできない範囲がある。デザインについては我々がコンペの最優秀案として選んだものであるが、その後の基本設計の経緯には関与していない。

【河野氏】
・場所と8万人規模、全天候型、可動席という前提は我々も条件として認識しているので、指摘をいただいているが、そこまで戻る意見には我々としては答えられない。前提条件について、御意見があるのは踏まえた上で我々が政府と話し合いをした結果としてやる必要があると判断して進めている。

【安藤氏】
 ・当デザインを選んだ経緯について説明させて頂きたい。2020年に向けて心が一つになるような、祝祭性のあるデザインをテーマに掲げ、審査委員会の総意として選んだ。
・コンペ案の段階では敷地をはみ出すなどの問題点もあったが、基本設計の過程で調整できうる範囲のものと考えた。選考にあたっては 50 年、100 年先を見据え、この場所にあって良かったと思えるような、誇りの持てるデザインであるかどうかを重視した。
・審査では、スケジュールの都合がつかずどうしても参加できなかったノーマン・フォスター、リチャード・ロジャースを職員が訪問し、一日かけて内容を説明した。 その上で審査して頂き、評価を頂いた。最終案決定の際に私が電話で直接経緯を説明した上で判断を仰ぎ、同意を確認した。彼らも適正に審査に参加している。
・世界に向けて日本の技術を誇れるものという意味では、あのデザインで良かったと思っている。景観の問題についても、要求される容積の中で、建物外周部の高さを抑えた流線型のデザインは、比較的威圧感を低減するのではないかと考えた。
・構造的には大きな挑戦となるが、和田先生にも見て頂き、十分実現可能だとご判断を頂いた。
・当初想定されたコストを基本設計で見直し、現在も調整中であるが、建築資材等の単価は現在上昇傾向であり、ある程度のコスト増はやむを得ないのではないかと思っている。
・景観についても、場所については国が決めたことであるが、実際に関わるのは市民であり、その要望に対し配慮すべきことはしっかりと対応すべきだと思う。ただ、 今回の競技場に求められる条件を前提とした場合、仮設でつくるという計画は当初から想定されていなかった。
・ほかにも新国立競技場の計画について様々な意見が寄せられているが、腹を割って話し合うことが大事であり、事業者である JSC はしっかりと受け止め、対応できるところは対応しつつ、今後も情報発信をしていって欲しい。


その他の質疑応答(Q:建築関連団体、A:JSC等)
Q:総工事費や維持管理費についてはどのような検討を行ってきたのか。
A: デザインコンクールでは、日産スタジアム等の類似施設を参考に1,300億円の目安額を設定した。その後、建設物価の上昇、オリンピック対応や各ワーキンググループからの要望を全て盛り込むと大幅に超えるものになってしまうので、専門家の御意見を踏まえながら、デザインをコンパクト化した。政府部内との調整を踏まえて、本体工事費1,388億円、周辺整備237億円となっている。その間、自民党の無駄撲滅プロジェクトチームや財務省との協議を経て今に至っている。基本設計もこの条件で収まっている。ただし、建設物価上昇分は昨年までのもので、消費税は5%を前提としている。
新国立競技場は立地もよいので、多目的スタジアムとして収入を上げて、国民の税 金になるべく頼らないような計画にした方がよいのではないかと考え、維持費についてはフレームワーク設計の時に試算したが、第三者にも評価してもらい、収入が 50.4億円、支出が46億円と見込んでいる。収支計画については、基本設計に 基づき試算しており、現在政府部内と調整次第、公表したいと考えている。

Q: 改修ではできないのか。
A: 現在の国立競技場に手を加えても、国際基準を満たすものにならないという認識の下でスタートしている。基本的には建て替えないと無理だと考えている。8万人規 模等の与条件を踏まえると改築しかないと考えている。

Q: 改修案について検討した結果を示してもらうことはできないか。
A:今の8万人規模というのは国際スポーツ団体の基準であり、これは我々では変えられる立場にはない。

Q: 情報を公開していくべきと考えているがどうか。
A:情報をできるだけオープンにしていくことは同意見であり、できる範囲内のことは やっていこうというスタンスである。情報については、政府の了解が必要なことも あるので、我々だけの判断ではできない部分もあることは御承知願いたい。
情報を HP 等に公開しても、反対意見を出す人が見ていない場合もある。


Q: 解体工事の着手を遅らせることはできないか。
A: 2019年3月に完成させる予定であり、建築工事に42ヶ月かかる。来年の10月には着工しなければならない。解体には15か月かかるので速やかに着手する必要がある。詳しいスケジュールは別途資料を提出する。

Q(JSC等より): ナショナルプロジェクトで不満があると言うが、国立競技場の改築に反対する方々の意見の要点は何か。

A(建築関連団体より):神宮外苑の環境の中に70m程度の建物は大きすぎるのではないか、景観上影響は ないのかという心配があったが、シミュレーションを見て、大きすぎるのかどうか検証してわかっていただくことが第一歩と考えている。次に、素晴らしい競技場を作るという思いはわかるが、一部の人からは今この時代に建設費や維持費が大きくなることに懸念を持っている方がいる。そういう人に、具体的にどれだけの費用がかかり、どういうことができるのか、国民にとってどの程度の役割を果たすのかについて、しっかりコミュニケーションが取れていないと考えており、専門家としても、問題点を整理して、都民・国民にわかりやすく公表していくことも重要と考えている。
本日は、説明を聞く場として参加しており、専門家としての議論は控えた。今日の説明をもとに質問書として整理して提出させていただき、そのうえで専門家だけでなく市民団体などを交えた議論の場を公開で設けていただきたい。専門家だけの問題でなく、国民の議論になってもよいと考える。

全文はこちらより(PDF)


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黒川智之による、奈良の「学園前の住宅」

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黒川智之による、奈良の「学園前の住宅」の内覧会へ行ってきました。
場所は奈良の学園前駅よりバスで15分程。穏やかな傾斜面に建つ、60代の夫婦2人暮らしの郊外住宅だ。


(写真:鈴木研一)
敷地面積 242m2、延床面積146,39 m2、建築面積96,46 m2
外壁はジョリパット・杉板張り


土地は緩やかな傾斜があり、内部は敷地のレベル差に沿うようにスキップフロアとしている。


玄関(写真:鈴木研一)


玄関を入ってすぐに吹き抜け空間(写真:鈴木研一)
引戸の左にはリビングルーム。壁を斜めにすることで視線の抜けをコントロールしつつ、スペースを緩やかに分節している。一見複雑に見えるレイアウトだが、家具の形状によって違和感を感じさせない工夫がされている。


吹き抜け右側は書斎に通じる。


リビングルーム
施主からは「明るい暖かみのある室内空間」を要求されたとのこと。漆喰・和紙など白く素材感のある仕上げが選択されている他、壁や床もシナ合板・オークといった木質材料の質感を活かしつつ白い塗料が重ねられ、素材感を残した仕上がりとしている。


リビングを反対側から見る(写真:鈴木研一)
階段下は多目的ルーム、中腹階段には和室、右奥にキッチン、左にホール


階段から見た左キッチン、左奥ダイニング、右リビングルーム


ダイニングルーム
天井は檜の構造用合板。天井が高くて気持ちが良い。


ダイニングルームから見たキッチン


中二階、二階へ上がる階段
フローリングにはオーク材、階段にも繋がっていく


階段とキッチン、左奥はゲストルームにもなる多目的ルーム


多目的ルーム / ゲストルーム


中二階には和室
壁紙には和紙。


和室から見たリビングと二階へ上がる階段
二階は主寝室


主寝室から見た和室


主寝室
普段は吹き抜けと寝室との境にある間仕切りを開放して使い、風が抜ける広々とした寝室となっている。壁の角度が隣家と正対しないことで、窓の見合いが起こらないように配慮されている。


主寝室テラス
屋根に覆われ半屋外的に使われるテラス。


ウォークインクローゼット
吹き抜けを介してテラスに視線が抜ける。奥に主寝室。


ウォークインクローゼット
扉はまだ塗装されていない状態。


中二階から見たリビングとキッチン
空気調和設備に関して、
敷地のレベル差を利用して設けられた床下に蓄熱暖房機、2Fノ天井チャンバーにビルトインの空調機が設置されている。床下と天井チャンバーをダクトで結び気流をつくり出すことで、チャンバー内に放出された冷気・暖気を床・壁・天井内に循環させ、壁や床を冷やす/暖めることで、輻射熱によって建物全体の温熱環境をコントロールする仕組みとなっている。今回のような一つながりの気積の大きい空間に対しても、今度のムラのない快適な環境が実現できる計画となっている。


1階バスルーム







設計:黒川智之建築設計事務所

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廣部剛司による週末住宅「Villa Escargot」

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廣部剛司  (Takeshi Hirobe Architects) による千葉・富津市の週末住宅「Viila Escargot」の内覧会に行ってきました。

 敷地面積1,860m2、建築面積99m2、延床面積116m2。木造2階建て。建ぺい率はわずか5.3%。


 敷地の傾斜に沿うように立ち上がった三角形は、パタパタと何度も折れ曲がりながら反対側に着地する。


 敷地の片隅には直径が1m以上もある石が。前の所有者が据えた石と思われるが「ご神体のように鎮座していたので動かさずに利用した」と廣部さん。月見台にぴったりだ。


 雨落としはデッキを円く切り抜き、地面には石の色まで変えて並べる凝りよう。


 玄関アプローチ。


 玄関を入ると意外な円筒が出迎える。


 近づくと動線が狭まり、足元からちらりと外光が差し込む。


 右に折れると景色が見え始めるが、上部からの圧迫で全体はまだ見えない。


 DKを抜けるとようやく開放され眼前に東京湾が広がる。


 裏山に登って俯瞰すると、緑に包まれるような敷地がよく分かる。海岸まで200m程で、東京湾を挟んで対岸に横須賀の突端が見え、夕日が沈む。空気が澄んでいると富士山も望める。この景色を室内に取り込むのだ。


 リビングから全体を見る。DKの上に寝室。右奥に水回り。



 大工さんにはかなり頑張ってもらったと想像される。眠り目地で施工することでダイナミックな面構成がより強調された。「素朴な素材で」というクライアントの要望から室内はシナベニアを選択。


 水回り。


 窓の外に見える石組みも元からあった位置で利用。


 キッチンと一体になった御影石のダイニングテーブルは、外殻を構成する三角形と対比させるように有機的なデザイン(キッチンハウス製)。 


 玄関から見えた円筒(半円)の中はトイレと収納。弧を描く引戸に注目。


 円筒の裏側はゲストルーム。


 2階へ。手摺も三角形。


 2階は寝室だが、今のところリクライニングチェアだけが置いてある。


 2階からも景色が眺められるよう要望があった。 


 バルコニーに出ると庇の内側にまで張られたガルバリウム鋼板が見えるが、手間の掛かる施工が成されている。



廣部剛司さん。「クライアントからは景色を眺められることはもちろん、"見たこともない建築を” と求められました。」「力強く自律する外殻を、三角形の面を連続させながら構成し、内部で必要なボリュームや敷地での佇まいと合わせ検討していくうちに、地面にゴロンと置かれた巻き貝のような雰囲気になりました。」


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谷尻誠による事務所兼住宅「上原の家」

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谷尻誠+竹内雅貴(Suppose Design Office)による事務所兼住宅「上原の家」のオープンハウスに行ってきました。場所は東京・渋谷区。
デザインは施主である小林弘和+山田春奈/Spreadとコラボレーションした。

 敷地面積68m2、建築面積30m2、延床面積107m2。木造、地下1階、地上3階建て。周囲の戸建住宅に比べ背の高いボリューム、そして角に切り込みを入れたような開口が目を引く。


 ファサードの仕上げはモルタルをスタイロでこすり、コテで軽く均した。(プラス防水塗装)


 玄関は鋭角な三角の開口に、木サッシュの引戸が内側に納まる。



 中に入ると台形(ほぼ三角形)の吹き抜け空間。4段分掘り下げた地階の左側が施主のスタジオ(事務所)


 外観を見て開口が少ないので中はどうなっているのかと思ったが、そのまま光量の少ない空間になっていた。その理由と壁が多いことを聞くとギャラリーとして使うとのことだった。
「以前から自分たちの作品を飾るスペースがないことにフラストレーションを感じていた。」と施主の山田さん。

 見上げると吹き抜け空間のそこかしこに作品を飾るスペースがある。今後発表の場を求めるクリエーターにも開放できるよう考慮しているという。何カ所かスライド照明のレールが設けてある。


 スタジオ。RC部と木造部の境に段差を設け、デザインした作品や小物が並べられるようになっている。


 まず最初に展示された作品は神宮巨樹さんによる施工中の本物件と、


 何か全く分からなからず岩塩の写真?と思ったら、敷地の地下から出てきた昔の上水土管。撮影は山崎彩央さん。


 1階から。


 1階DK。床はラワン合板、キッチンはラーチ合板で造作されている。キッチンの右側にトイレと収納。その上は収納用のロフトスペース。


 キッチンから。建物の中心を垂直に貫く壁は耐力壁で、これにより空間を間仕切り、かつギャラリーとしての壁面を増やしている。
壁や天井は特注色のライトグレー。1ヶ月ほど前、40人ほどが参加してペイントワークショップというかたちで塗装したそうだ。


 2階へ。吹き抜けの3辺を回るように登っていく。 


 2階。「リビングかな?どうしようかな?」「バルコニーがあるのがいいでしょ」と角を指さす施主の小林さん。


 室内にありながらあえて “バルコニー” とのこと。猫が二匹いるそうなのでここが居場所になりそうだ。


 “バルコニー” から見下ろした “中庭” 。


 3階。階段を挟んで反対側にも居室。どのように使うかは住みながら決めていくそうだ。


 3Dの仕事をする建築家、2Dの仕事をするグラフィックデザイナーがミーティングを重ね、互いにアイデアを出し合いながら進めたという今回。沢山の居場所は “何用” とははっきりさせずに出来上がった。


 屋上。周辺より頭ひとつ出る(約12m)この建物はとても見晴らしがいい。


「事務所と住居のシーンを切り替えられるよう、中庭のような吹き抜けと、沢山の居場所を設けました。」「今回のように異業種の方とのコラボレーションは思いもしない化学反応が生まれ楽しく設計できました。特に外観は普段自分たちからはないようなデザインになりました。」と谷尻誠さん。


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田井勝馬による「大山賃貸住宅PJ」

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田井勝馬建築設計工房 (Tai snd Associates) による「大山賃貸住宅PJ」の内覧会に行ってきました。場所は東京・渋谷区大山町。

 敷地面積208m2、建築面積145m2、延床面積409m2。RC造、地下1階地上3階建てで、2つの賃貸住戸が入る


 斜線規制により3階部分はセットバック。石張りの建物をオーナーが望んだためファサードはヴァルスストーンを選んだ。


 A住戸のエントランス。


 エントランスホールはコンクリート打ち放しで、外部空間として捉えている。
左の扉からビルトインガレージへ。ビルトインガレージは2つ有りもう一つはB住戸用。右は収納や主寝室へ通じる。


 エントランスを振り返る。左は自転車の駐輪スペース。 


 まずは地階へ。階段室は2階までの3層吹き抜けになっている。


 地下1階ホビールーム。窓の外には中庭があり、こちらは4層の吹き抜けになっている。


 同じ中庭に面した和室。


 1階に戻り、玄関ホール脇の自転車駐輪スペースからクロークを見る。右に主寝室。


 1階主寝室。ホビールームの上に位置し、同様に坪庭の吹き抜けに面する。奥が水回り。


 水回り。浴室はテラスと吹き抜けに連続し開放的だ。 


 浴室から吹き抜けを見る。


 2階へ。右壁面には外壁にも使用したヴァルスストーンをカットし積層させている。


 階段の途中で、2階にガラス張りの舞台のようなものが見えてきた。


 舞台はダイニング・キッチンだった。キッチンはこの住まいを見渡すことが出来る中心に位置し、DKがコミュニケーションの中心になるようにとのこと。 
地階から上がっていくに従って明るいイメージになるように、木材の種類等の操作をしているそうだ。

 通路の右には個室2つが並ぶ。


 2階DKから階段室を見る。右奥には約20畳のリビング。


 振り返ってキッチン。長さ4mほどのアイランドになっている。


 キッチンの内側。左は7m近い収納とカウンターが延びる。 


 次にB住戸へ。エントランスは2台分のビルトインガレージに並ぶ。


 中へ入るとガレージはガラス張りで、車好きの入居者にはたまらない仕様だ。
玄関は3階なので階段か、専用のエレベーターを利用する。


 3階玄関ホール。B住戸はワンフロアで間取りは2LDK、専有面積は130m2ある。奥はLDや水回り、寝室。


 反対側はエレベーターが見え、トイレや主寝室。左の壁裏はキッチンで両側から通じている。


 リビング・ダイニング。 


 キッチン。

この外壁は、外からの視線をプロテクトする "殻"となり、周囲の環境からプライバシーを確保します。また様々なところに穿たれたトップライトや吹き抜け、ハイサイドライト等から内部空間へと光や風を取り込み、明るく開放的な内部空間を演出しています。どちらの住戸からも、様々な開口部から"空"という景色を楽しんでもらえるのではないかと思います。」と田井勝馬さん。


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伊藤博之による集合住宅「BLOOM」

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伊藤博之/伊藤博之建築設計事務所 (Hiroyuki Ito Architects) による世田谷区・二子多摩川の集合住宅「BLOOM」の内覧会に行ってきました。

 敷地面積237m2、建築面積129m2、延床面積534m2。RC造、5階建て。10住戸からなる共同住宅。


 バルコニーが外へ跳ね出す、つぼみが開き花が咲くようなイメージとして「BLOOM」と名付けた。
コンクリートの型枠は通常の(ツヤのない)ものを使い、仕上がりが "新しすぎない"ようにした。

 エントランスを入ると建物の反対側まで抜けており、居住者用の自転車置き場に通じている。


 101。共用部と同じタイルが居室に連続する。この部屋は外観で見えた右側(南)一面に、10m以上の長いバルコニーがある。
間取りは1DKか1LDKで、26m2〜54m2まで様々だ。

 水回りを通り抜けて奥の寝室へ。


 水回りで完全に居室を分断するというユニークなプラン。


 102はメゾネット。階段を上がって2階の様子。梁がブレースの上面に現れ、出来た段差で空間を緩やかに仕切る。
但し、部屋によって梁はブレースの下面と上面を使い分けている。

 窓の外には公園の緑が借景となっている。


 201は逆に2階と1階のメゾネット。


 特徴的なバルコニーの外壁。居室の窓と同じ高さの開口で、幅や位置を少し変えてある。


 中から見ると開放的で有りながら、近隣からのダイレクトな視線を緩和している。


 1階には寝室と、この水回りがある。珍しい位置に浴槽がある。(もう少し右に置くそうだ)


 202はL字型の部屋。


 水回りを介して奥に寝室。 


 寝室側から。


 301。


 3階は腰窓でバルコニーの手摺の高さ、テーパーと関係を持たせている。


 401は掃き出し窓で、201のような外壁のあるバルコニーが筆者の背中側にある。


 402。202で見た、収納と開口の関係が逆になっている。


 反対側から。


 501は再び腰窓に。つまり301のようなバルコニーが備わる。


伊藤博之さん。「一見箱を積み上げたような外観に見えますが、内側の論理で外観が決まったものです。色々なものが共存する街のような存在を目指そうとしたとき、ルールの中でどれだけ振幅を大きく出来るか模索しました。そこで高さ方向で(開口の)条件が異なれば外部とのインターフェース変わってくる。このバルコニーはそういった調整の末に生まれたものです。」


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