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岸本和彦による目黒の住宅「House-H」

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岸本和彦 (Kazuhiko Kishimoto / acaa) による目黒区の住宅「House-H」のオープンハウスに行ってきました。

 敷地面積84m2、延床面積72m2、木造2階建て。旗竿敷地の入り口にモミジが植わり、その先に細いアプローチ。

 アプローチがそのまま垂直に立ち上がったようにも見える吹き抜け空間に変わる。L字型の腰掛けが伸び、その端に家型の郵便受け(兼呼び鈴)。何かありそうだと期待させる。

 ポーチは全体が6段の階段になっていた。下足入れは階段脇なので半屋外ということになる。

見上げたところ。

 アプローチはそのまま左に折れ中庭へと連続する。腰掛けもそのまま奥に続く。 

 玄関を入ると幅1.2mを保ったまま階段、床、階段、床の、 "間"と共に台形断面の空間が上へ奥へ向かって収束していく。

 壁面にはテーパーを取った窓と収納。

 1.5階にはキッチン。

 向かい側には "食事の間"と呼ぶダイニングスペース。

 中に入ると屋外に出たかのような感じになる。 

 二面がガラス張りで中庭に浮いたダイニングだ。
左の小窓を開けるとサッシュのガラス窓が現れる。南側だが隣は駐車場なので将来的にどうなるか分からないことから閉じ気味にした。

 屋外に出た雰囲気を生んでいる要因の一つは、この鎧張りが外から中へ連続しているからだ。

 さらに上がって2階へ。

 2階には "ソファの間"と呼ばれる高さが1.8mで4畳程の広さの空間。

 そこからは中庭やダイニングを見下ろすことができる。右奥の壁にテレビを据える。

 2階から玄関方向を見る。

 もう一つの2階に座っているのは施主の奥さま。「小さな敷地でしたがこんなに表情豊かな家を設計して頂いて感動しています!」

 そのもう一つの2階にはロフトとも思える低くわずか2畳の間が設けられている。


 地下へ、と思ったが玄関へ6段上がって、また同じだけ降りるので1階へ、ということになる。階段下が収納、水回り、寝室、突き当たりにトイレ。

 浴室から。浴槽は小さめだが中庭に大きく面している。外壁の下にある開口は曇りガラス。採光や通気には大切だ。 

 寝室からは冒頭の玄関アプローチまで望める。 

 見上げると "食事の間" が見える。

玄関前はご覧のように集いの空間になるわけだ。見学に来ていた川口通正さんもしばし寛いでいた。
岸本和彦さんは、「旗竿なので実質20坪の敷地に建つ狭小住宅です。敷地に沿って立ち上げたアウトラインを半分に割り、中庭的なものを挿入。中庭に向かって突き出す3つ居場所はとてもコンパクトですが、光のコントラストと目線の違い、竹のスクリーン効果によって部分と全体の両義性を実現し、置かれる家具に対する適正な空間スケールと、伸びやかな全体性を感じることが出来ます。移ろう光と陰、コンパクトで開放的な住空間の可能性を感じて頂けると思います。」


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