中川エリカ(中川エリカ建築設計事務所)による「新宿パークタワーラウンジ」を見学してきました。
新宿パークタワーは西新宿三丁目に位置し、リビングデザインセンターOZONEや多くの会社、ホテルなどが入居する東京ガス所有の超高層ビルで、丹下健三による設計で有名だ。
その新宿パークタワー8階に新設した、テナント入居者専用ラウンジを手掛けた。
新宿パークタワーは西新宿三丁目に位置し、リビングデザインセンターOZONEや多くの会社、ホテルなどが入居する東京ガス所有の超高層ビルで、丹下健三による設計で有名だ。
その新宿パークタワー8階に新設した、テナント入居者専用ラウンジを手掛けた。
ビルには約1万人近くが務めており、ランチタイムに過ごす弁当派のスペースが圧倒的に不足しているという。
ラウンジは入居者専用のため入室にはIDカードが必要。手前のエントランスにはベッド3台分はあろうかというベンチが置かれている。
ラウンジは入居者専用のため入室にはIDカードが必要。手前のエントランスにはベッド3台分はあろうかというベンチが置かれている。
532m2のラウンジには、大小、長短、高低様々なテーブルが配置されている。
既存では雑壁で仕切られた会議室や、OZONEのセミナールームなど幾つかの部屋があったそうだ。それらの雑壁を全て取り払い、天井も剥がし大きなワンルーム空間を作った。
既存では雑壁で仕切られた会議室や、OZONEのセミナールームなど幾つかの部屋があったそうだ。それらの雑壁を全て取り払い、天井も剥がし大きなワンルーム空間を作った。
1994年の竣工以来初めて雑壁を取り払うという、新宿パークタワー初の “大工事” を行ったという。
そうしてできたワンルーム空間に、同じテーブルをただ並べただけでは空間が間延びし、オフィスと変わらないし、喫茶店のように二人掛けの小さなテーブルを配置しても一人で座るときには二人分を使ってしまう。
そこで基本大きめで様々なサイズ・高さのテーブルを島のように配置し「水平のパーティション」に見立て、集まる人を緩やかに分節、或いは繋げるよう建築的なアプローチを取った。
そうしてできたワンルーム空間に、同じテーブルをただ並べただけでは空間が間延びし、オフィスと変わらないし、喫茶店のように二人掛けの小さなテーブルを配置しても一人で座るときには二人分を使ってしまう。
そこで基本大きめで様々なサイズ・高さのテーブルを島のように配置し「水平のパーティション」に見立て、集まる人を緩やかに分節、或いは繋げるよう建築的なアプローチを取った。
12種類の椅子と座席で220席を設定。1人当たりの面積は通常の喫茶店と変わらないはずだが、 “むら” を作りだしていることでゆったりと低密に見える。
床はサペリ材。
奥行きは30m近い空間のため、内側と外側で空間の質を分けた。
(※画像をクリックで拡大)
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内側(エントランス側)は「セミナーゾーン」と呼び、イベントやセミナーなどに対応。テーブルは動かせるよう分節可能で、プロジェクターが投影できる白い壁、そしてカーテンで仕切ることもできる。照明はダウンライトのみ。
窓側は「リフレッシュゾーン」と呼び、グリーンも置かれ、個別の席がありながらも大きな島が目立ち、スポットライトのほかペンダントライトも備わる。
ちなみにハイチェアには男性が多く、通常の椅子には男女共同じ、低い島型ベンチには女性が集まる傾向があるという。
ちなみにハイチェアには男性が多く、通常の椅子には男女共同じ、低い島型ベンチには女性が集まる傾向があるという。
窓辺には展望席。鉄板で仕上げられていた柱はタイルに張り替えた。内側からテーブルが延長しL字になったタイプや、、
ベンチが延長しそのまま展望席になる箇所もある。
窓からは遠くに明治神宮と代々木公園の緑越しに渋谷方向が見渡せる。
やはり昼時はこの席から埋まっていくそうだ。
やはり昼時はこの席から埋まっていくそうだ。
高低差のある席は目線が直接交差しにくく他者が気にならない工夫だ。当日見学に訪れていたMARU。architectureの森田祥子さんと高野洋平さんや、、
針谷將史さん、藤奏一郎さん(元中川事務所)などにご協力頂いて撮影。
ラウンジはランチタイムはもちろん、フリーアドレスのワークスペース、打合せにも利用できる。
今回もう一つの建築的なアプローチとして特注の家具がある。
テーブルの天板は厚さ24mm、島型のベンチは30mmのシナ合板で、かなり大きなものばかりなので、曲げモーメントを小西泰孝さんに計算してもらいながら脚の位置や数を決定。それだけでは揺れるので、揺れ止めに様々なデザインのもを用いた。
例えば、低い天板が、高いテーブルの膝元に入り込み荷物置きになっているが、高いテーブルの振れ止めとして低い天板が作用している。(厳密には接続していないテーブル同士だが)
テーブルの天板は厚さ24mm、島型のベンチは30mmのシナ合板で、かなり大きなものばかりなので、曲げモーメントを小西泰孝さんに計算してもらいながら脚の位置や数を決定。それだけでは揺れるので、揺れ止めに様々なデザインのもを用いた。
例えば、低い天板が、高いテーブルの膝元に入り込み荷物置きになっているが、高いテーブルの振れ止めとして低い天板が作用している。(厳密には接続していないテーブル同士だが)
揺れ止めは足掛けでもあり、人が集まる “くくり” の目安でもある。
トラス状に交錯したもの。
スチールと木の脚を混在させ、曲線で繋いだもの。
林立する脚と揺れ止めを兼ねた荷物置きや、足掛けを兼ねた木板のタイプ。
足を逃げた脚などもある。普段入れない場所なので何かの機会に訪れることができたらぜひ天板の下にも注目して欲しい。
中川エリカさん。「このビルはもうすぐ竣工25年を迎え、ビルとしての価値を再構築していく必要があることから、手始めにラウンジを設けることを始めました。ワンルームで開放的であり、できるだけむらを作った人の集まり方を設計しました。そして毎日使っても飽きないデザイン、言うなれば皆が大好きでなくても、皆が嫌いではない空間を目指しました。」
【新宿パークタワーラウンジ】
・設計:中川エリカ建築設計事務所+リビングデザインセンターOZONE
・什器構造:小西泰孝建築構造設計
・施主:東京ガス都市開発株式会社
・施工:東亜ビルテック株式会社(建築)
株式会社ウェイズ 東京支店(建築)
株式会社関電工(強電)
多摩川電気株式会社(弱電)
新菱冷熱工業(機械)
・什器施工:株式会社E&Y
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