9月28日からはじまる窓学10周年記念「窓学展 – 窓から見える世界」の内覧会に行ってきました。会場は南青山のスパイラルガーデン。
概要:「研究者・建築家とともに窓をアカデミックに調査・研究する『窓学』。様々な蓄積を経て今あえてゆるやかに定義するならば、“窓”とは『私たちの日常に寄り添い、暮らしに楽しみをもたらすもの』といえるでしょう。本展はこうした“窓”をめぐる知性や感性を、世界共通の文化として俯瞰し、その魅力に新たなまなざしを向ける展覧会。」
「窓学」とは、YKK APが2007年に開始した「窓は文明であり、文化である」の思想のもと窓を学問として多角的に研究する活動です。窓を歴史的、文化的に位置づけ、その新たな可能性や魅力を提示することで、よりよい建築、都市、社会づくりに貢献することをめざして活動している。
壁面には窓学10年の歴史とミケーレ・デ・ルッキの特別展示(写真)、什器を使った研究展示が7点、作品展示が3点からなる。
作品展示 〈窓と梯子 – 歴史への傾倒〉
研究展示〈窓のものがたり学〉 原広司
グリム童話や宮沢賢治、シェークスピアなどの物語の中で表現された窓は、私たちの創造力をはるかに超えた豊かさを示してくれる。
「待て、何だろう、あの窓からこぼれる光は? 向こうは東、ジュリエットは太陽だ。」
ギャラリースペースでの研究展示は西澤徹夫がデザインした窓付きの什器。
「スパイラルガーデンの特徴である展示スペースごとに、サイズ、形態、内容、訴求性、情報などを振り分けて整理し、シークエンス、滞留、場所、読み流れを作っています。そして、この展示計画そのものが窓学への窓となることを目指しました。」
展示ディレクター 五十嵐太郎さん。
「窓学は世界でも類がないユニークなリサーチプロジェクトとして10年前に始まりました。これまでの展開の中で意匠、言語、環境、健康、民族、歴史、物語、漫画、映画などその射程は様々な領域に広がりました。展覧会という場を活かしてアートやインスタレーションにも挑戦。個性的な研究発表を通じて、窓が建築のもっとも魅力的な部位である事を感じていただきたいと思います。」
〈窓の漫画学〉 五十嵐太郎
サザエさん、ドラえもん、こち亀といった国民的漫画に登場する窓から、窓辺の生活や時代の移り変わりと、ストーリーを豊かにする舞台装置としての窓を読み解く。
〈窓の環境制御学〉 小玉祐一郎
ルイス・カーン「フィッシャー邸」、自作「高知・本山の家」、アルヴァ・アアルト「アアルト自邸」において、窓は実際どう機能しているのか、風、光、熱のシュミレーション解析を行った。
〈窓の記録学〉 中谷礼仁
日本の伝統的な建築に窓はなく、柱と柱の間に取り付けられる壁、障子、襖などでありそれらを「柱間(はしらま)装置」と呼ぶ。「柱間装置」に関わる日本の風景を映像に記録した。
〈窓の進化系統学〉 村松伸+六角美瑠
窓は様々な系統に分かれながらも樹形図のように進化してきた。そして現代、さらに面白い方向に進化しようとしている。古今東西の窓と建築模型と共に、その歴史を紐解く。
〈窓の民俗学〉 佐藤浩司
文化人類学者として長年、原始的な生活が残る地の建築を訪ね歩く際使用する道具や、スケッチなどを展示。
〈窓の仕事学〉 塚本由晴
日本の伝統的な生産工程が残る工房や食品加工所などで、人間ではなく物や食品に対して窓がどう関わるかを調査。
作品展示 〈不確定性の透視図法〉 鎌田友介
窓のオブジェ。窓のようでありながら、重なったり、変形されたりして、人や風景をとりこむ。
作品展示 〈Camera Obscura Studies, La Tourette〉
ホンマタカシ
針穴を通して外の風景が室内に逆さまに映し出されるカメラオブスキュラの原理を使い、ル。コルビュジエが設計したラ・トゥーレット修道院の寝坊部屋を丸ごとピンホールカメラにし、窓から見える風景を露光させ撮影した。
撮影された写真。
実際の寝坊部屋。
スパイラルの外から。
【窓学展 – 窓から見える世界】
会期:2017年9月28日(木)~10月9日(月・祝)
会場:スパイラルガーデン(東京都港区南青山5-6-23)
詳細:http://madogaku.madoken.jp/exhibition
【窓学展―窓から見える世界―巡回展】
会期:2017年10月21日(土)~11月12日(日)
会場:金沢工業大学ライブラリーセンター(石川県野々市市扇が丘7-1)
出展者は、ミケーレ・デ・ルッキ、レアンドロ・エルリッヒ、鎌田友介、ホンマタカシ、五十嵐太郎、小玉祐一郎、佐藤浩司、塚本由晴、中谷礼仁、原広司、村松伸+六角美瑠と多彩だ。会場構成は西澤徹夫が担当。
概要:「研究者・建築家とともに窓をアカデミックに調査・研究する『窓学』。様々な蓄積を経て今あえてゆるやかに定義するならば、“窓”とは『私たちの日常に寄り添い、暮らしに楽しみをもたらすもの』といえるでしょう。本展はこうした“窓”をめぐる知性や感性を、世界共通の文化として俯瞰し、その魅力に新たなまなざしを向ける展覧会。」
「窓学」とは、YKK APが2007年に開始した「窓は文明であり、文化である」の思想のもと窓を学問として多角的に研究する活動です。窓を歴史的、文化的に位置づけ、その新たな可能性や魅力を提示することで、よりよい建築、都市、社会づくりに貢献することをめざして活動している。
壁面には窓学10年の歴史とミケーレ・デ・ルッキの特別展示(写真)、什器を使った研究展示が7点、作品展示が3点からなる。
作品展示 〈窓と梯子 – 歴史への傾倒〉
レアンドロ・エルリッヒ
エルリッヒと言えば、金沢21世紀美術館に常設されている〈スイミングプール〉が有名だ。
「アトリウムのスロープに沿って原広司さんの研究展示〈窓のものがたり学〉と呼応するかちで、窓が本来持つ力を呼び起こし、窓の想像力をかき立てる新作を制作しました。」
研究展示〈窓のものがたり学〉 原広司
グリム童話や宮沢賢治、シェークスピアなどの物語の中で表現された窓は、私たちの創造力をはるかに超えた豊かさを示してくれる。
「待て、何だろう、あの窓からこぼれる光は? 向こうは東、ジュリエットは太陽だ。」
ギャラリースペースでの研究展示は西澤徹夫がデザインした窓付きの什器。
「スパイラルガーデンの特徴である展示スペースごとに、サイズ、形態、内容、訴求性、情報などを振り分けて整理し、シークエンス、滞留、場所、読み流れを作っています。そして、この展示計画そのものが窓学への窓となることを目指しました。」
展示ディレクター 五十嵐太郎さん。
「窓学は世界でも類がないユニークなリサーチプロジェクトとして10年前に始まりました。これまでの展開の中で意匠、言語、環境、健康、民族、歴史、物語、漫画、映画などその射程は様々な領域に広がりました。展覧会という場を活かしてアートやインスタレーションにも挑戦。個性的な研究発表を通じて、窓が建築のもっとも魅力的な部位である事を感じていただきたいと思います。」
〈窓の漫画学〉 五十嵐太郎
サザエさん、ドラえもん、こち亀といった国民的漫画に登場する窓から、窓辺の生活や時代の移り変わりと、ストーリーを豊かにする舞台装置としての窓を読み解く。
〈窓の環境制御学〉 小玉祐一郎
ルイス・カーン「フィッシャー邸」、自作「高知・本山の家」、アルヴァ・アアルト「アアルト自邸」において、窓は実際どう機能しているのか、風、光、熱のシュミレーション解析を行った。
〈窓の記録学〉 中谷礼仁
日本の伝統的な建築に窓はなく、柱と柱の間に取り付けられる壁、障子、襖などでありそれらを「柱間(はしらま)装置」と呼ぶ。「柱間装置」に関わる日本の風景を映像に記録した。
〈窓の進化系統学〉 村松伸+六角美瑠
窓は様々な系統に分かれながらも樹形図のように進化してきた。そして現代、さらに面白い方向に進化しようとしている。古今東西の窓と建築模型と共に、その歴史を紐解く。
〈窓の民俗学〉 佐藤浩司
文化人類学者として長年、原始的な生活が残る地の建築を訪ね歩く際使用する道具や、スケッチなどを展示。
〈窓の仕事学〉 塚本由晴
日本の伝統的な生産工程が残る工房や食品加工所などで、人間ではなく物や食品に対して窓がどう関わるかを調査。
作品展示 〈不確定性の透視図法〉 鎌田友介
窓のオブジェ。窓のようでありながら、重なったり、変形されたりして、人や風景をとりこむ。
作品展示 〈Camera Obscura Studies, La Tourette〉
ホンマタカシ
針穴を通して外の風景が室内に逆さまに映し出されるカメラオブスキュラの原理を使い、ル。コルビュジエが設計したラ・トゥーレット修道院の寝坊部屋を丸ごとピンホールカメラにし、窓から見える風景を露光させ撮影した。
撮影された写真。
実際の寝坊部屋。
スパイラルの外から。
【窓学展 – 窓から見える世界】
会期:2017年9月28日(木)~10月9日(月・祝)
会場:スパイラルガーデン(東京都港区南青山5-6-23)
詳細:http://madogaku.madoken.jp/exhibition
【窓学展―窓から見える世界―巡回展】
会期:2017年10月21日(土)~11月12日(日)
会場:金沢工業大学ライブラリーセンター(石川県野々市市扇が丘7-1)
※その後、東北大学、名古屋工業大学、大阪市立大学、九州大学を巡回
※巡回展では研究展示のみ。
※巡回展では研究展示のみ。
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