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彦根明による世田谷の住宅「OTB」

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彦根明/彦根建築設計事務所による世田谷の住宅「OTB」の内覧会に行ってきました。

敷地面積64m2、建築面積37m2、延床面積97m2。木造3階建て(SE構法)。
右側が北のため、左側に鉛筆のような切妻ボリュームを寄せ、北側斜線に掛からない高さまで外壁を立て、間をルーバーで軽く仕切っている。

外壁によりプライベート感あるアプローチ。モルタルに埋め込まれた飛び石がポーチへと続く。
外壁の仕上げはジョリパット。

玄関を入っても飛び石は途切れず、そのまま中庭まで連続する。

中庭の奥から見ると一直線に、町家の土間の雰囲気だ。

玄関から横を向くと巻き貝のような螺旋階段が出迎える。

左を向くと図書館のようなスタディルーム。天井まで届く書棚、そして家族4人分のデスクが十字型に作り付けられている。

施主の膨大な蔵書を収めるために1階は5段分掘り下げられて、かつフロアの奥行き目一杯書棚が続く。

奥はエクストラスペースとしてピアノやテレビも置かれる。

2階へ。階段の手摺がツル植物のように巻き付いている。
前方がLD、左が水回り、後方がキッチン。

敷地の向かいは道路を挟んで緑地になっている。借景の緑を切り取るためのピクチャーウィンドウ、左のアプローチ側は広がりを持たせる横スリット、右は隣家と視線が合わないようにハイサイドと開口の位置や形状を使い分けている。

階段室の "筒"にも開口を設け、空間に抜けをつくっている。
淡い陰影の壁はチャフウォール仕上げ。

水回りは、アプローチと中庭の吹き抜けに挟まれて空中に浮いたような存在。
アプローチから見上げて見えた二つの開口はこの部分だ。


洗面室・浴室からはプライバシーを確保しながら、視線が抜けるよう工夫されている。浴室の外側には物干し用の小さなバルコニーもついている。
この位置の水回りはプログラムとレイアウトのパズルを解いているうちに導かれた、ここしかない、というような絶妙な位置だ。

キッチンには家事が楽に行えるよう洗濯機も備わり、直ぐ横の物干しへ直行できる。

3階へ。階段室を挟んで両側に子供室。

子供室には机、棚、ベッドが作り付けられている。

螺旋階段はそのままロフトまで通ずる。

ロフトから主寝室を見下ろす。こちらも2階同様ピクチャーウィンドウから緑が取り込まれている。

主寝室。クローゼットは容量確保のため懐を深くしたので、両側から開けられるというアイデアで対応。

北側に生まれた空間をバルコニーにして有効活用。外壁が雨垂れで汚れにくいよう、天端にはFRP防水された樋が造作されているのが見える。

アプローチを見下ろす。自転車置き場になるのだろうが、このようなスペースがあると、外出・帰宅時にワンクッションおくことができる優しい空間であるように見える。

彦根明さん。「お施主さんは大学の教員をされており、まず本を置くスペースと家族皆で本を読んだり勉強をするスペースを望まれました。北側斜線側に無理に居室は取らなかったので間口は広くありませんが、北側に豊かな半屋外的スペースが生まれ、コンパクトながら変化のある住まいができたのではないでしょうか。」

【OTB】
建築設計:彦根明+狩野翔太/彦根建築設計事務所
施工:渡邊技研
構造:SE構法

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