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谷口吉生による「ホテルオークラ東京 新本館ロビー」の意匠

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建て替えによる解体工事がはじまったホテールオークラ東京の本館は、建て替え後旧本館に息づく「日本の伝統美」を新本館においても体現すべく進めるという旨のリリースが発表されました。

〈リリースより〉
今般の本館建替計画では、最新の設備、機能への刷新を図りつつ、ホテルオークラ東京が育んできた「日本の伝統美」を継承する為に、旧本館を設計した谷口吉郎氏のご子息であり、東京国立博物館法隆寺宝物館等を手がけた谷口吉生氏を設計チームに起用し、旧本館に息づく「日本の伝統美」を新本館においても体現すべく進めております。
ロビーをはじめとした旧本館のインテリア、装飾などにつきましても、可能な限り新本館に移設、再現をすべく、現場調査を重ねながら設計作業を進めてまいりました。今般新本館ロビーの設計・デザインが概ね固まり、また、現場調査の結果、下記のインテリア、装飾を再利用、再製作した上で、継承していく方針になりました。
ホテルオークラ東京の象徴とも称される照明具「オークラ・ランターン」や、満開の花のように見立てた「梅の花のテーブルと椅子」、六大陸各都市の時を刻み世界の賓客をお迎えしてきた「世界時計」、そして「行燈」などを再利用する予定です。また、色絵磁器の人間国宝 富本憲吉氏がデザインし、西陣の純絹のつづら錦に仕上げた「四弁花紋様の装飾」や「麻の葉紋の木組み格子」などは、再利用が出来ない為、再製作する予定です。その他、夢の架け橋というコンセプトで設計された「メザニン」(中二階)や天井のデザインなども新本館に再現する予定です。なお、新本館のロビーの面積は旧本館ロビーよりも二割ほど大きくなる予定です。
2019年の新本館の開業時には、これまで皆様に愛されてまいりました旧本館のデザインが継承されたロビーにて皆様をお迎えいたします。

ホテルオークラ東京新本館の設計者の一人、谷口吉生氏より
 ホテルオークラ東京の建て替え計画も旧本館と同様に設計者が共同で担当する予定です。
私は、ホテルオークラ50年の歴史を継承すると同時に、次の50年、100年も生き続けることができるデザインを目指します。具体的には、ロビーの中に現在の本館ロビーを復元しつつ、現代にふさわしいロビーとして生まれ変わらせます。また、ロビーの前には、ホテル2棟とランドマークとなる大倉集古館によって構成する新しい広場を設計します。

ホテルオークラ東京の歴史について
ホテルオークラ東京は1962年に、東京オリンピックに向けて「西洋の機能性を取り入れていくと同時に、日本の伝統美を生かしたホテル」を目指し、東宮御所、東京国立近代美術館等を手がけられた谷口吉郎氏を設計委員長として建設されました。同ホテルの建築美としては、派手づくりな桃山様式よりも藤原時代の洗練された優雅さを基調とし、装飾については、同じ日本風装飾画の伝統ながら、光琳の豪華絢爛さではなく、光悦、宗達に見られる優美追求の精神を汲んだものにするというコンセプトのもと、伝統的な和の意匠や素材を館内随所にあしらい、その日本的な華麗さや優美さは各界より評価をいただいてまいりました。

新本館ロビーイメージパース

継承される代表的な本館ロビーの意匠、装飾について
【切子玉型】(オークラ・ランターン)
古墳時代の飾り玉に見られる切子玉型をデザインしたもので、五角形の板を10枚つなぎ合わせて切子型とし、五連つなげて一つとしています。ランターンは別館ロビーでも同じように見ることが出来ます。 

 【梅】(テーブルと椅子)

輪島の漆仕上げのテーブルを梅の花の芯、その周りの五つの椅子を花弁に見立てて、満開の梅の花に見えるよう趣向を凝らしました。椅子は花弁をかたどったデザインとしています。

【四弁花紋】(つづれ織りの壁画)
色絵磁器の第一人者で人間国宝の富本憲吉氏がデザインした四弁花紋様を、京都・西陣の龍村美術織物に依頼して純絹のつづれ織りにしたものです。蘭を見事なふくれ織りで、屏風風に仕立てています。蘭は大倉喜七郎が好んだ花でした。

【麻の葉紋】(木組み格子)
二等辺三角形の組み合わせによって作られた四方連続紋様で、単純でありながら極めて巧みな構成紋様です。釘を一本も使わずに組まれた芸術品。館内の随所に麻の葉のデザインが施されています。

【世界時計】
ホテルオークラ東京を設計した谷口吉郎氏が晩年、当時の社長 野田岩次郎所有の古いオランダ製の海図をもとに考案し、丹青社ならびにセイコー(株)服部時計店の協力のもと、当時としては、最新機能と種々の趣向を凝らして製作されました。


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