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建築家からの意見:新国立競技場について

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新国立競技場について建築家からの意見が届いています。新しい投稿は随時更新していきます。

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【相坂研介】
相坂研介設計アトリエ

僕は2012年7月(コンペ開催当時)、国立競技場のコンペ要項が出たときから、「おかしい」と言ってきました。https://goo.gl/2G76j1
たまたまそれをまとめてましたので、改めての意見としてお送りいたします。

■コンペのあり方に関して
①デザインコンペなら高い受賞歴なんて不要。
(現に高名な受賞者3案とも全て予算超過。) (どうせ実務は組織事務所が下支え予定だった) (ので極論すれば小学生の夢の絵でも良かった)

②要綱に規模・環境・景観の条項明記は必須。
(国際コンペなら主催者側から事前周知すべき) (槇さんは要綱発表時に批判して欲しかった。後続の各団体などガヤ芸人。川上に参入せねば)

③審査委員会および実行委員会の権限の明示。
(設計見積と施工見積の比較査定、裁量権など) (情報も権限もない師匠を吊るすのは単に私怨)

■コスト縮減とこれからに関して
④過剰な発注者の要求条件削減が最重要。
(固定席は8→5万。デパート級の付帯施設、3階分のvip席、座席モニター設備等カット) (音楽用途=遮音対策=競技部屋根を諦め、純粋な運動用途に絞った収支計画に転換)

⑤敷地選定の見直し(晴海か新木場等湾岸へ)
(招致は済んだし海風対策次第で可能では?) (割高な都心での運搬、仮設、近隣費カット) (景観論争も騒音対策も減り、屋根も不要に)

⑥施工者とは決して随意契約しないこと
(2520億は施工者の言い値。頼まれた側は強気) (「デザインビルド=設計施工」なんて絶対NG) (設計施工ではつまらん箱物に金が消えるだけ)

以上、④発注者⑤敷地⑥施工者が高額の原因。
生贄にされた建築家やデザインの非はほぼ0。
「奇抜なデザインがコストアップの原因」と、知らないのに声や力は大きい政治家側の言訳を市民は今も今後も決して真に受けてはダメだし、僕ら建築家も今こそ黙ってちゃいけない。

■私見 まとめ
①デカくて高くてヤバいこと分かったんだから、敷地を変えるなら変えるべきだが、変えないまでも、「施主が発注内容見直し→設計はザハと現行設計者JVで縮小案作成 → 複数施工者に競争見積→きちんと査定」で決まり。

②本気でコンペやり直すんなら発注者が今度こそ条件と要項練り直し、2020年は諦めること。(そんときは僕も"デザイン案"出します。)

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【三浦 慎】
有限会社 三浦慎建築設計室


ザハ氏も白紙決定になるまでは、自分の意見を公には言えなかったはずである。
内部に於けるやりとりがどのように有ったのかはわからないが、契約のもと発注者が信じてくれるのであれば、第三者へ対しては自分たちの設計の良い部分を発信していくのが設計者の仕事でもある。
ザハ氏ほどの設計者にとって、巨大なアーチのみが自信の設計の魅力であるはずはなく、発注者側がきちんと優先順位をつけることができれば、より魅力在る造形をより安価に創ることが出来ると考える。また、コンペ後の設計変更において、都市との関わり方は切られており、アーチの断面形状も変わっている。それらの設計変更において、本来の造形の魅力が失われたことを、ザハ氏本人が一番理解していたはずである。しかし、その時点での発注者側の意見にきちんと従ったものと想像する。

そもそもの日本の人件費の高さは世界的にみても大変に高い。その上に、震災後の施工費の高騰、円安による材料原価の高騰は、現在自分の仕事でも40%程度の数字で跳ね返ってきてる。また今回しっかりした競争入札が行われたとは考えられない。国際コンペ自体がその犠牲になってしまった。一度日本の建築コストが世界的に見てどれだけ非常識になっているのか、北京オリンピックの”鳥の巣”を、日本で見積りをしてみたら良いと思う。

オリンピックという国際文化イベントに対し、コンペは、非常に高い参加条件の下に行われており、世界を代表する設計者の方々が参加された。また現在までザハ事務所に瑕疵はない。諸条件を改訂して、再度ザハ事務所へ発注し、その中でしっかり自由に設計してもらうべきだと思う。

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安藤忠雄氏が先頭に立って、このような迷走状態になったことを憂慮します。
建築家のコストコントロールに関する信認が大きく毀損されました。
昨今の時流である設計施工(デザインビルド)の流れがさらに加速する事を危惧 します。




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