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「ザハ・ハディド」展レポート/東京オペラシティアートギャラリー

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東京オペラシティ アートギャラリーにて10月18日より開催されるザハ・ハディド展の内覧会に行って来ました。
[Zaha Hadid Exhibition, Tokyo Opera City Art Gallery]

 ザハの日本初の大規模個展となる本展では、アンビルトの時代のドローイングや模型、世界各地で建てられた実作、家具やアクセサリーなど、展示空間全体を使ったダイナミックなインスタレーションと共に紹介している。


 本展を初期から担当していたZaha Hadid Architectsのスタッフ3名。左からManon Jenssens氏(ヘッド・オブ・エキシビション)、内山美之氏(アソシエイト/新国立競技場を担当)、Woody Yao氏(アソシエイトディレクター)。
「この展覧会を見て頂けると、ザハの事務所が色々なタイプの作品を手掛けており、時間が経つにつれて変化も見られること、大きなプロジェクトを実際にかたちにする力を持っている建築家であることがよく分かってもらえると思う。」
ザハ本人も展覧会の為に来日したかったが、日程の調整がどうしてもつかなかった。

 エントランスホールには、83年香港の国際コンペで勝利し、ザハの名を世に知らしめるきっかけとなった〈ザ・ピーク〉のドローイングや模型。


 しかし〈ザ・ピーク〉は実際に建てられることはなく、他の作品も当時の施工技術や建築思考に収まらない前衛的な内容だったため、この後長らく続く「アンビルト時代」に。

ギャラリー1「アンビルトの時代/日本との関わり」
 展覧会の冒頭では日本との深い関わりを示す3つの作品を紹介。


 内装を手掛けた札幌のレストラン〈ムーンスーン〉(1990年)。ザハのキャリア初の実現プロジェクトである。1階のメインダイニングは氷のイメージ、2階のダイニングラウンジは炎をイメージしたデザインで、家具もデザインした。
残念ながら札幌の建物は既に無いので、家具は展覧会の為に再現された。

 アンビルトの〈麻布十番のビル〉(1987)


 アンビルトの〈富ヶ谷のビル〉(1986)


 〈富ヶ谷のビル〉のドローイング。

ギャラリー1後半の「三次元を操る/形にこめられた意志」
 1993年遂に竣工した建築〈ヴィトラ社消防署〉。
この後デザイン実現のための三次元解析・施工技術が進歩し次々にプロジェクト実現に恵まれていく。
そのほか代表作の模型や映像、高層建築のスタディ模型が展示されている。

 〈フェーノ科学センター〉 (ヴォルフスブルグ/2005)


 〈ベルクイーゼル・スキージャンプ台〉(インスブルック/2002)や、ブリュッセルやドバイでの施工中のプロジェクトが並ぶ。 


 〈BMW中央ビル〉(ライプツィヒ/2005)


 キャンティレバーのインスタレーションに並ぶのは北京商業中心区コア・エリアのリサーチ。とんでもないクオリティのスタディー模型が50個近く並ぶ。


 左の6つが最終的に残った案。
現在研究しているパラメトリックデザインの実践を示すものだ。


 ギャラリー2「シームレスな思考/プロダクトから都市計画まで」


 本邦初公開。ある建築のルーフスケープ・リサーチ〈フィールド・オブ・シェルズ〉は1週間前に完成した。


 頭上には鏡があり、上から見た形態を把握することが出来る。
この様々なエレメントの集りは、今後新たなザハ・ハディドの大規模な建築となっていくそうだ。


 内側を見たところ。


 ダイナミックで流動的なインスタレーションが目を引く。
黒い「リボン」は、都市計画からプロダクトまでシームレスに設計を行うザハの仕事を表現すべく、様々な作品を分け隔てなく繋げて見せてくれている。手前の照明デザインが吊されている辺りは「スカイライン」、中程の家具が並べられているエリアは「ランドスケープ」として構成され、一番奥では3D映像を観る空間を生みだし、アクセサリーや靴などをディスプレイするスタンドへと変化していく。


 SLUMP社の照明〈アリア&アヴィア・ランプ〉と、David Gillギャラリーに出展したガラスのテーブルのプロトタイプ〈リキッド・グレイシャル・テーブル〉


 黒い「リボン」は、グラスゴーにある〈リバーサイドミュージアム〉のファサードデザインにも通じる。


 幅28mあるプロジェクションに最新のプロジェクトが紹介されている。リボンの一部はベンチとして座って観ることが出来る。


 〈ギャラクシーSOHO〉(北京/2012)の3DCG。眼鏡についたポインターを赤外線が感知し、人の立ち位置や向きに合わせて映像が動く。


 アレッシィや、ラコステ、アトリエスワロフスキーなどのためのプロダクト。



コリドール「〈新国立競技場〉で目指すもの」 
 展覧会の最後は新国立競技場のエリア。初公開と思われる展示物も並んでいる。


 競技場の巨大な断面図。アーチの断面部分に構造も見られる。


 現競技場との比較。



「設計が正に進行中なので情報もある程度限られている中での展示です。現在言えるのは、"着々と進行していますのでご心配なく"ということでしょうか。」と新国立競技場担当の内山美之さん。

【ザハ・ハディド】
会期:10月18日〜12月23日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー


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