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平沼孝啓による「木の歯科」

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平沼孝啓による「木の歯科」の内覧会へ行ってきました。
大阪の北部・箕面(みのお)に佇む2階建て木構造の歯科医院です。


この辺りは大正時代に「住宅改造博覧会」が開催された地区であり、桜並木が印象的な街並となっている。
外壁に使われているのは、白石灰モルタルと板張り。特徴となっている屋根は、隣接する建物の切妻建築の立面とモダニズムを思わせる屋根をつないでおり、住宅地でよく見る形でありながら、そのどれでもない現代建築だ。


駐車スペースよりエントランスを見る


エントランス
1階の受付と待合室となる導入部分を透明なガラスにすることで、構造となっている内部の木質が街に溶け込み、建築が街に暖かみを与えていた。


待合室上部に広がる吹き抜け
2階に見えるのは院長室。
入ってすぐ左には受付カウンター
正面ガラス部分を支える4本の細い柱がほぼ姿を消し、内と外が一体となる。


階段を登ると景色ががらっと変わり、屋根を支える構造が目を惹く。1階の受付・待合室の様子や2階の院長室(奥)を一目で見渡すことが出来る。
驚いたのは、木構造でありながらも明るく軽やかな空間であること。5メートル以上になるスパンを空間内に柱を置かず、木構造を使ってRCのような構造を考えたという。


構造家には東京大学大学院で木質を研究する、稲山正弘氏が携わる。徐々に陸屋根から切妻に形を変えていく屋根に対応して、その形状を輪切りにして台形にトラスを組むような構造を考えられた。


構造模型
目に見えている部分は杉、床などの構造部分にはひのきを採用。


形を変えていく屋根構造の図面


2階テラス
屋根を支える木構造から伸びる軒と外壁の接合部にも宮大工の技が見られる。

テキスタイルデザイナーの須藤玲子氏が手がけた、立体 テキスタイル ブラインダーは、平沼氏と試行錯誤して制作されたもの。
須藤玲子氏の作品は国内外でも評価が高く、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ビクトリア&アルバート美術館、東京国立近代美術館工芸館等に永久保存されている。


院長室から見る2階。右奥は従業員の部屋。


スタディー模型 x 20

「この地区に辛うじて残る閑静な住宅地としての品格を保守しながら、現代の生活者にも親しみが根付くような医院となってほしい。これからの将来を十数年単位で見たときに、この場所からその歴史が伺えるような発展性をもった、環境のリノベーションとなる建築の実現化を試みた。」建築家・平沼孝啓氏

建築家:平沼孝啓 (平沼孝啓建築研究所)
構造家:稲山正弘 (ホルツストラ)
電気設備:河添成夫 (河添環境設計) 
機械設備:見並弘一 (見並設備設計)
施工:西村建築工房
*Photo © Satoshi Shigeta


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