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魚谷繁礼による「嶋原のシェアハウス」

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魚谷繁礼 (Shigenori Uoya Architects and Associates) の設計による「嶋原のシェアハウス」の見学に行ってきました。

京都市下京区に位置する「嶋原」と呼ばれる地域は、元禄期(1688-1707) に最も栄えた花街です。「嶋原のシェアハウス」は、この地域に残る数少ない元お茶屋(京都で芸妓を呼んで客に飲食させる店)の一軒を改修し、シェアハウスとしたプロジェクトです。
木造二階建て
1階床面積:77.23m2
2階床面積:71.16m2
延床面積:148.39m2

京都の中でも特に厳しい条件下にある景観法が適応される地域でもありますが、既存の建物を必要に応じて残されているので、外観は白いポスト以外に新しいものは目につかない。

玄関は墨入りモルタルの土間。奥に見えるのは下駄箱。

土間にはテーブルや椅子が配置されており、住人が集まれるラウンジのような仕様になっている。時には地域に開放することも想定している。

土間奥には、小さな待ち合いスペース。

土間を抜けると食堂、奥には居間、その奥には中庭が配置されている。典型的な京都の町家造り(間口が狭く、奥行きが長い。表から順に店、玄関、座敷が並び奥に庭が設けられている)を ほぼそのまま利用しているが、水廻りは最新のものを利用。


居間。奥には中庭が配置されているので長い町家の一階にも自然光が入ってくる。


中庭。その奥には元々倉庫だった小屋を小さな小さな部屋に。お茶などの一服に気持ち良さそうでした。

階段を登って二階に行くと、一階とは打って変わった白い壁の明るい空間が待っていました。
写真右側壁は珪藻土、左官a(KOBAU+フェザーフィール) で仕上げ、
写真左側壁の梁より下が既存の漆喰を補修 、梁より上が珪藻土で仕上げています。


天井は驚くほど高い。約4.39m程の高さがあるそうです。

反対から見た二階の廊下。


二階には個室が6つあり、忙しい朝でも洗面所を長くすることで場所を取り合うことがなくなる。


天井が高い個室。個室にはそれぞれ特徴がある。


一番広い部屋。窓や土壁は既存のまま。


窓際に腰を掛けて中庭を望める。


三畳の小さな個室。天井の網代や土壁、窓は元々あったものをそのまま使い、当時の雰囲気を残している。小さな個室は3部屋あり、道路側に面している。ここから手を振って客引きをしていたそう。

以下は着工前の写真3枚。
改修前の玄関(写真提供:Shigenori UOYA)

改修前の中庭(写真提供:Shigenori UOYA)

改修前の小さな個室(写真提供:Shigenori UOYA)


魚谷繁礼さん
『京都の嶋原に数多く残っていたお茶屋建築は、近年次々に取り壊されて駐車場になったり建売住宅に建て替わったりしています。嶋原のシェアハウスは元お茶屋の建物を改修してシェアハウスとしたものです。お茶屋特有の狭小な部屋を残して建物を活用するためにシェアハウスが選択されました。また計画中に、それまでプロジェクトに応じて異なっていた行政によるシェアハウスの建築基準法上の用途の取り扱いが寄宿舎に統一されたため、建築基準法上必要な遡及に対応させるべく設計の仕様を変更し、用途変更の申請を経て着工させています。このプロジェクトがお茶屋建築を活用するためのモデルの1つとなることを期待します。』

企画:八清
施工:藤井工務店
設計監修:魚谷繁礼建築築研究所

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