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岸本和彦による「Casa さかのうえ」

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岸本和彦 / acaa (Kazuhiko Kishimoto / acaa) にる横浜の住居兼・多目的スペース「Casa さかのうえ」を見学してきました。

敷地面積132m2、延床面積158m2。木造2階建て。傾斜地を利用したユニークな構成になっている。

塊感のある建物が傾斜に合わせ高さの異なる壁柱によって浮かんでいる。左の一番高い壁柱は3.7m、右の(見切れているが)一番低いものが1.5m。反対側まで抜けた先は雑木林になった崖だ。

どこからアプローチするのか迷う一見複雑なステップだが、奥に石段があるのでそこを目指させばルートが分かった。

 ステップを上がると中央に四角い中庭があり、周囲のデッキとは表情を変え「アウターギャラリー」と呼び、正面のガラス張りにはインナーギャラリーがレイアウトされている。
つまりデッキを含めこの周囲全てがギャラリーやイベントに利用され、人々が集い、そのまま外に連続できるようになっている。

 円形にくり抜かれた場所も。当然憩いの場になるだろう。

床下を抜け反対側に出るとファサードには開口が多く、雑木林を借景に四季を楽しめる。ギャラリーの窓の下が盛り上がっているのは、中から見たとき山の斜面に連続して見えるようにだ。

 アウターギャラリーには階段が二つ。住居用と、ワークスペース用だ。植わっているのはモミジ。

 住居用の階段を上がって振り返る。

 玄関を入って左はキッチンとリビング。トップライトが大きく開いている。

 右はダイニング兼客間。床中央の四角い切れ込みは、持ち上がってテーブルになり、足元は掘りごたつ。

 雑木林の崖を見下ろすと乗馬場が見える。白馬が見えるのがお分かりになるだろうか。

施主の要望は「30人40人集まっても大丈夫な家」。岸本さんは、どの場所が何用とは決めつけず至る所に座れるように設計した。 

 奥さまは友人とワイワイしながら料理ができるようにと広めの作業台をリクエスト。 


 2階に上がった所はアトリエスペース。ご家族で絵を描いたりパソコンをしたり、勉強をしたりできるように。


 アトリエスペースを曲がった廊下の左は水回り、突き当たりがトイレで、その左が寝室。


 寝室は手前の子供室、奥の主寝室とワンルームで、可動式の家具やカーテンで緩く仕切る。

 主寝室。この下は玄関横の掘りごたつのある部屋の上だ。 正面下部の開口部は実際にはポリカの板がはめ込まれる。その左は収納。

 トップライトは道路斜線に合わせて傾斜しているのでハイサイドライトとも言える付き方だ。向かいの屋根越しの遠くには富士山も望める。

 キッチンまで戻って "隠し扉" があることを知る。開けると1.4m高のロフト空間で主に収納スペースだ。

 ロフトの収納を突き当たって左に曲がると、ワークスペースの玄関に出てくる。

 ワークスペースはご主人が仕事をしたり、私塾も開く予定だそうで、奥の窓に付く引戸がホワイトボードになっている。左の小窓はギャラリーに通じている。 

その小窓から見下ろすギャラリーは約7帖。施主は大勢の人と交流するのがとても好きで、ここをアートやイベントのスペースとして貸し出し地域のコミュニティを作り出せたらと望んでいる。近隣に慶応大学もあることから学生たちにも広く利用していってもえるようにする予定だそうで、それが「Casa さかのうえ」という施設名ということだ。 

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「柄沢祐輔展/ネットワーク的な建築をめざして」レポート

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東京南青山のプリズミックギャラリーにて2月15日より始まる「柄沢祐輔展/ネットワーク的な建築をめざして」を見に行ってきました。
"Yuusuke Karasawa / Architectural Practice of the Non-liner Formula"

 ギャラリーには1/5という大型の模型1点、鉄骨のモックアップ1点、パネル3点のみのシンプルな展示だ。

 しかし高めに設置された1/5モデルの存在感はご覧のように、美術館の特別展示室のような雰囲気だ。

 展示されているのは現在埼玉の大宮で進行中の住宅「s-house」のモデル。

 展示台を高くしたのは実際の目線の高さをできるだけ再現するため。なるべくしゃがんで覗き込んで見てほしいとのこと。

このプロジェクトのテーマは「ネットワーク型の建築」。住宅を構成する要素を一度分解し、それらがあたかもインターネットの世界のように上下左右でリンクし合い、立体的な空間を構成している。

 横、斜めを構成するのは特注のボックスチューブでサイズは175×300。
アラン・バーデンさんの構造設計で、既成の押し出し材ではスラブの耐力が十分でないので板材を溶接し内部にはリブも立て、相当強度を上げた材になっている。


 スラブはボックスチューブと同サイズなので床暖・配管等の設備も175mmの厚みに収めてある。
そのスラブと庇を支えるのは四隅に立つ直径44.6mmの無垢の鉄柱だけだ。もちろんこの柱を太くすれば特注のボックスチューブは必要なかったがこの繊細さをこだわった。

各フロアは南北方向にも、東西方向にもスキップしているので複雑な構成になっているこれがネットワークを視覚化しているイメージだ。

 キッチンから。ガラスは各面継ぎ目無しの1枚板!

柄沢祐輔さん。「施主はネットワーク哲学の研究者で、私がやってみたいと思っていた建築と合致し今回実現に向けて動き出しました。非常に新しい試み、新しいリンク構造だと思います。自分では鉄板構造による“複雑な階層状のネットワーク”と呼んでいます。このようなネットワーク状の空間のあり方が、今後の建築の空間のあり方のプロトタイプとなるのではないでしょうか。」

【柄沢祐輔展/ネットワーク的な建築をめざして】
日時:2013年2月15日〜2013年3月27日
場所:プリズミックギャラリー

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エマニュエル・ムホーによるポーラ銀座ウィンドウディスプレイ「パズルビルディング」

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銀座の街を歩くと目を引く美しいウィンドウディスプレイの数々。今回ポーラ銀座のウィンドウディスプレイを手掛けたのは、日本在住フランス人建築家・デザイナーのエマニュエル・ムホーさん (emmanuelle moureaux architecture + design

「パズルビルディング」と題したディスプレイはアクリル製。高層ビルをイメージしたもの。

エマニュエルさんとポーラとのコラボレーションは2010年に商品開発したプロダクトシリーズ「アクリルこもの」以来2度目となる。今回はそのプロダクトの中のひとつ「パズルボックス」をスケールアップした作品と言えよう。

「いつかこのような建物を手掛けることを考えています」とエマニュエルさん。ただのディスプレイではなさそうです。



昼間のパズルビルディング。ガラスに映りこんだ銀座の街にブレンドし、あたかもパズルビルディングが実際に出現したかのよう。


 【パズルビルディング】
展示期間:2月4日(月)~3月6日(水)

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アトリエスピノザによる「池上の家」

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井東力 + 市原香代子 / アトリエスピノザによる大田区に竣工した「池上の家」のオープンハウスに行ってきました。

 
敷地面積98m2、建築面積57m2、延床面積112m2。木造2階建て。正面は北向きだが北側斜線による外観の影響は殆ど無い。

 四角い塊から必要なところを掘り込んだような外観意匠。道路を挟んだ向かい側にはにマンションのベランダがこちらを向いている環境だ。

玄関を入って正面に階段と階段下も利用した収納。右へ行くと子供室と主寝室。床はパイン材。

 子供室はほぼ全開に出来、廊下と連続し広く使うことが出来る。
右上にあるトップライトは2階のリビングからの光。右の引戸はトイレなので1階の動線の中心にトップライトは位置している。 

 主寝室。南側にテラスを設け、上部はグレーチング材を張り採光しながら、2階の活動スペースも得ている。 

振り返るとL字型に配置された大なクローゼットがある。 

 2階へ。 左に洗面・浴室、右にトイレ、奥にキッチン。

 階段は鉄板を曲げ、キャンティレバーで支持されているので空間を出来るだけ広く取れる。

 浴室はデッキを張った広めのバルコニーに連続している。夏が楽しみだ。

バルコニーを反対から見る。

 キッチン奥はパントリー。奥行きがあるので引戸を開放しキッチンの一部として広く使うこともできる。 


 リビングダイニングは約19帖。

 大開口は設けず、四方の上下に散りばめるように開口が設けてあるので、一日を通して色々な光が差し込んでくる。右上はロフトスペース。

 キッチンにあまり高さは求められないことから天井を低くし、その分上にルーフバルコニーと開口を設け、植物などを育てれば空と一緒に自分の景色を作ることができる。

 北側はマンションと対峙しているので、高さの低い開口を深く設けることで、できるだけプライバシーに配慮している。



キッチン上のルーフバルコニー。

 ロフト。手前側には腰掛けも可能な収納がある。

筆者が訪問した住宅の中でもかなり快適なロフトの一つだ。

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レベルアーキテクツによる「深沢の住宅」

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中村和基 + 出原賢一 / レベルアーキテクツ (Kazuki Nakamura + Kenichi Izuhara / LEVEL Architects) による世田谷区に竣工した「深沢の住宅」のオープンハウスに行ってきました。

 敷地面積80m2、建築面積47m2、延床面積116m2。木造3階建て。ファサードは珍しいネイビー。

 元あった大きな土地を4つに分譲された敷地は南北に細長い、都心ではお馴染みの敷地形状で、建物の間口は3.6m、奥行きは16.4m。

ガレージ奥にある玄関を入ると左に納戸、洗面・浴室、右側にトイレ、突き当たりは和室。


和室の奥からは一直線に通りの反対側まで見通せる。

2階に上がると中央にフリースペースが設けてあり、南側にリビングと...

 北側にダイニングとキッチン。フリースペースの上は吹き抜けを介してトップライトから光が注ぐ。これにより奥行きのある建物の中心部も暗くならずに済む。

 10.6帖のリビングは40cm下げ、3階にも少し追い込み高さ約3.7mに、間口2間を感じさせない空間になっている。

段差を利用した特注のソファーは可動できる。

対照的にDKは低く抑えメリハリをつけ、リビングがより広く感じられる。

 キッチンの背後は奥さまのワークスペースを取ってあるので広め。右の出っ張りは柱ではなく冷蔵置き場。

 細かくレヴェル操作が行われたので階段の取り回しは少し複雑だが、この住宅のアクセントになっている。

 足元に目をやると一工夫した意匠。

 3階へ。右は主寝室、左上に子供室、右上にロフト。

主寝室には濃い落ち着いた紫で差し色。

主寝室上のロフトへ。入り口に斜めの引戸がちらっと見えているが、西側に掛かる斜線で建物の上の方が少し傾斜しているため。

ロフト。机の下の足元は主寝室の収納を下げる工夫で生まれた。

ロフトから高さ6mの吹き抜けを見下ろす。向かいが子供室。

子供室にも紫の差し色があるがこちらは淡い色だ。外観や壁の色は施主による指定だったそうだ。
「施主は奥行きがあり隣家が迫る敷地でありながら、できるだけ明るく広々とした空間を望まれました。壁を極力少なくできるSE工法と緻密なレヴェル操作でそれらを実現しました。」と中村さんと出原さん。

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佐藤宏尚による世田谷「代沢の住宅」

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佐藤宏尚建築デザイン事務所 (Satoh Hirotaka Architectsによる世田谷に竣工した「代沢の住宅」の内覧会に行ってきました。

敷地面積226m2、延床面積277m2。木造3階建て。角のないカーブを描いたファサードが1枚、かなり大きなボリュームで立ち上がっている。
左面が北になる。

菱形のガルバリウム鋼板が竜の鱗のように見える。よく見ると4色の鋼板をモジュール化しそれを連続しながら張ってある。通常サイディングの施工は数日から数週間で済むが、今回は3ヶ月を要した。

 換気扇や配電器具など設備の穴が鋼板の中心になるように、予め鋼板の張り位置と設備の位置をすり合わせて設計したそうだ。

 エントランスは西側。門扉を開けすぐ左に玄関。外構がまだ作業中だったのが残念。

玄関を入ると正面に坪庭。

 1階リビング。天井高4.2m、そのままの高さの引戸を開け全面開口にできる。床はトラバーチン材でエントランスアプローチ、玄関から連続してくる。

 ストーブが中央に鎮座。回転式でデッキ側にも向けることが出来る。正面の引戸は水回り。

 天井に吊り下げられているのは施主が用意した鹿の角でできたシャンデリア。 
正面壁の上にある丸い二つの開口はエアコンの吹き出し口。これだけの空間を賄う冷房は業務用だ。また床は全面床暖が入っている。



 高さ4.2mの吊り引戸は3枚。1枚の重さは200Kgもある。 

 洗面・浴室の壁はドイツ漆喰、床は研ぎ出し仕上げ。浴槽まで漆喰仕上げを提案したが(ドイツではよくあるそうだ)今回は見送られた。

2階は床レベルが約1.8mと低め。この下はレベルの下げられた納戸やガレージになっている。 

 2階DK。トラバーチンから一転、床はホワイトアッシュ材、家具はオーク材。壁は全て漆喰に刷毛引き仕上げになっている。



 キッチンの背後は作業室兼パントリーと、右は和室。

和室。正面と右の引戸は古建具でそれに合わせて設計されている。床は浴室と同じ研ぎ出し仕上げに。
ステップに使われる御影石、無垢だと200Kg位になり運搬が困難なので板材を貼り合わせて作ってある。これで80Kgだそうだ。
床レベルが上がっているのはこの下が浴室のため。

 床の間は漆喰にパンメタルという金属調の仕上げで、上から赤錆、鉛、錫のグラデーションになっている。壁は黒漆喰仕上げ。 

 3階へ。トップライトから刷毛引きの壁を通して柔らかい明かりが注ぐ。

 以前から温めていた手摺のデザインを採用。

 3階主寝室。壁の形状でダイニングの上だとすぐ分かる。正面は玄関から見えた坪庭。

プレイルーム。家族皆で使える1階のリビングと同サイズの部屋だ。

 トイレの取っ手はアクリルの円柱で出来ている。中の照明が着いているときは光が反射する。

庭は完成すると外壁沿いに植物が植わり、地面には芝が敷かれる予定。バーベキューパーティーなどもされるのでしょうか。

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「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」レポート

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3月2日から東京の青海で開催される「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」の内覧会に行ってきました。

日本の主な産業が多角的に関わることが出来る場を「家」と考え、日本の美意識や技術等が結びついたアイデアを具体的に示す展覧会だ。

白いテントが並ぶ青海駅前の特設会場。

 開催に先立ち、発起人で当展覧会のディレクター原研哉さんと、会場構成を担当した隈研吾さんによるプレスカンファレンスが行われた。
原さんは「自分はデザイナーだが潜在している日本の美意識を世界に向け可視化していくのも役割だ。日本のリーディング企業と建築家が一対一で取り組んだ具体案をぜひ見てください。」
隈さんは「日本がこれから世界と勝負できるもののひとつ、それは住宅に関してダントツに秀でた感覚。この展覧会は住宅展示場とは全く違います、世界に誇れる繊細で美しいパッケージを見ていただけます。」


メインホール。代官山の蔦屋書店が出店。住まいをテーマにした書籍3000冊が並ぶ。

書店の奥はトークセッション会場。日替わりで建築家、デザイナー、企業の代表をはじめ様々な分野の専門家の対談が開催される。

 デッキの通路から枝のように7つのブースへアプローチする。

 [1. 住の先へ]LIXIL×伊東豊雄。

 土間を中心とした半屋外のある住宅 。どのような幸せを家から得られるか、懐かしさの中に未来を提案。

 今回全ての展示に共通するが、展示されている室内を自由に見て回ることが出来ないのが残念だ。


 [2. 移動とエネルギーの家]HONDA×藤本壮介 

 外がどんどん中へ、中がどんどん外へ。電気自動車が普及すると車が家の中に入ってくるかも知れない。

 家の中は "UNI-CUB" で移動。またホンダは自家発電・蓄電システム "ホンダスマートホームシステム" を提案している。

 泡でできた風呂、LIXILの "form spa" 

 「シームレスがテーマで、非常に明るい土間のよう。人間の身体と家とののシームレスもあると思います。」と藤本さん

 [3. 地域社会圏] 未来生活研究会×山本理顕・末光弘和・仲俊治

 他の展示は1/1だが、ここだけは集合住宅がテーマで1/5の模型を展示している。

 通常の集住とは逆の6割が共有部、4割が占有部。
共有部を広くとることでコミュニティのあり方が代わってくる。集住でのコミュニティは巡り巡って自身の幸せに帰ってくる。 



どんな風景が実現するのか想像しながら見て欲しいとのこと。


 [4. 数寄の家]住友林業×杉本博司 

 日本古来の素材や道具に改めて着目し、温故知新の素材として住空間に洗練された新しい価値を提案。
竹ほうきの垣根に、杉皮の壁。 


 「私は熟年新人建築家。数寄の家は、日本の伝統的な古い素材をいちばん新しい素材として世界に宣伝するもの。マンションでできる実例ですのでぜひ知ってもらいたい」 と杉本さん。

千利休の「待庵」を本歌(手本)にした数寄屋(茶室)「雨聴天」。雨音を聴くことができるよう屋根や庇はトタンだ。

 利休が現代にいたらこんな茶室を作ったのでは、という解釈。

[5. 家具の家]無印良品×坂茂

 棚やクローゼットなどの収納そのもが構造になり、そこへ高度にモジュール化された無印の製品だけでできた家。

 合理性に立脚した提案。 

 床のタイルは内も外も同じ、全開に出来る引戸で内と外が連続する。

 「18年間前からこのアイデアを持っていて、当初から無印良品的だなと思っていました。漸く実現し嬉しい。」と坂さん。

 [6. 極上の間] TOTO・YKK AP×成瀬友梨・猪熊純

 世界一ハイテクで美しい日本のトイレ。それを極めた姿はどんなだろう、という提案。

 内と外をひっくり返したような空間に、便器は床から浮いている。周囲の植物はホンモノで、床は一枚ガラスだ。

 「トイレは一時的に一人、でも共有部分であるという不思議な位置づけ。1人で散歩にいくような場所になったら面白いと思った。」と猪熊さん

 [7. 編集の家]蔦屋書店×東京R不動産 

 家の編集権はユーザーに移りつつある。例えばマンションの一室を予算800万円でリノベーションしようとすると何が必要でどんな家ができるのか、という提案。これは "キッチンデスク"。


 部屋の中を移動可能な個室。 左奥は "ベッド押し入れ"。

 "リビングバスルーム"。その奥は "書斎トイレ"。

 先へ進むと、webサイト "R不動産toolbox" で扱う建材や住宅パーツを実際に展示している。

 会場には展示パネル等はないので、入場の際もらえるパンフレットを見ながら回ると良い。 

【HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION】
日時:2013年3月2日〜3月24日
場所:お台場・青海駅前 特設会場
詳細:http://house-vision.jp


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クラウディオ・コルッチ展 「COLOURISTIC!」レポート

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東京を中心に、パリ、上海、北京、ジュネーブなどでも活動の拠点を広げているデザイナー、クラウディオ・コルッチ (Claudio Colucci) の個展「COLOURISTIC !」が3月5日より代官山ヒルサイドテラスにて開催。

 パリ、上海に引き続き、日本国内では過去最大規模の展覧会。

会場入口付近はデザインの始まりであるドローイングの線をイメージして構成してある。

 "POYO POYO -frost glass vase" を10種類使った「光×色×音」の幻想的なインスタレーション。「豊かに生きることは、豊かな色を個々がもつこと」というコルッチさんのメッセージをかたちにした空間。


 "Colouristic!なライフ" と題したエリア。家具作品を中心に住空間やカフェをイメージしてスタイリングされている。

 "FRAME (vertical 1)"。コーリアンとウール生地という異素材を融合したディスプレイ棚。手前は "MUTANT CHAIR" と" MUTANT TABLE"。

"PENTAGONE" 五角形のパネルで構成した正12面体のランプシェード。

 アクリルやコーリアンでできた家具シリーズ。奥の壁に掛けてあるのは "BENTO CLOCK"。仕切りごとに秒針、分針、時針がついている。

 会場にはエキシビション ショップも用意されており、コルッチさんのグラフィックやマグカップ、作品集などを購入することが出来る。

 お土産はカランダッシュの色鉛筆!

クラウディオ・コルッチさん。「この展示は巡回していて次は北京で開催しますが、それぞれの会場で少しずつディスプレイの仕方などを変えているんです。事務所としては、中国、フランスなどでもプロジェクトが進行中です。エコロジーに関連したデザインなど、新しい領域にもチャレンジしていますので楽しみにしていてください。」

【クラウディオ・コルッチ展  COLOURISTIC !】
会期:3月5日(火) 〜 3月10日(日)
場所:代官山・ヒルサイドフォーラム & ギャラリー


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直井建築設計による世田谷の住宅「SPIRAL HOUSE」

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直井建築設計事務所 (Katsutoshi + Noriko Naoi / Naoi Architecture & Design Officeによる世田谷区の住宅「SPIRAL HOUSE」のオープンハウスに行ってきました。

敷地面積132m2、建築面積78m2、延床面積192m2。木造3階建て。

スパイラルハウスとは外構に見える植栽に始まり、庭、2階、3階のデッキへと外部スペースが反時計回りにぐるぐると配置されていることからきている。

引戸の門扉を備えた玄関ポーチには自転車なども置ける。

玄関からはモルタル調のタイルが連続するように敷き詰められている。

玄関の直ぐ左は納戸。階段室の裏から2つの寝室へ。正面奥は水回り。

1階の水回りは洗面室と、シャワー室。 

スパイラルを内部にも表現したカーブが階段室に。

将来の子供室。目の前に見えるのは75mm角の無垢の鉄柱で2階と3階の床を支える。

主寝室。正面の庭は、上の(2階)デッキへ連続する。

象徴的な階段は側面が壁に接しないように設えてあるうえに、手摺子を水平にしたため剛性確保の検討を重ねた。 


2階LDK。手前は約8帖のダイニング。ペンダントライトはまだ高さ調整前とのこと。

リビング側にもスパイラルを強調するカーブが。右上は3階の和室。

階段の手摺子が水平なのは、外に見えるデッキの手摺子に合わせてあるからだ。


6m近くある長大なキッチン。

キッチンからは書斎に連続する。床のタイルは1階と同じもの。 

3階へ。和室は四面に開口があり開放的だ。客間としても使うので、開口にはすだれが取り付けられる予定。

和室の引戸を開けるとキャットウォークが。2階を12mのワンルーム空間にするため剛性確保の梁を通すことで現れたスペースだ。

和室の反対側はもう一つの水回り。こちらの浴室には浴槽がある。


プライバシーやセキュリティーを確保しながらも、閉鎖的にならないようにデッキを効果的に配置。また斜線規制によって必要な3階のセットバックにも大きなデッキを設え、植物好きな施主に多くの庭スペースを提供している。 

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「平田晃久展 からまること/集まること」レポート

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3月11日よりLIXIL: GINZAにて始まった「平田晃久展 からまること/集まること」に行ってきました。

冒頭このような文言からはじまる。「この国の、若い建築家のキャリアは通常小さいプライベートな仕事から始まらざるをえない。しかし、だからといって建築に向かう意識まで小さく閉鎖的であるわけではない。むしろ小さなプロジェクトの中にこそ、これからの建築の根源を問うような種を内包させたいと思ってきた。しかし、一人の当事者として、そういう宣言だけで済まされる年齢ではなくなってきた。」

平田さんの最近3年ほどのプロジェクトが大きく3つのエリアに分かれ展示されている。
最初のエリアのテーマは「からまりしろ 生きている世界に接続する建築」。震災前の東京で比較的小規模なプロジェクト。

 "coil"。「からまりしろ」は「からまりが発生する余地」という意味の造語で、その世界観を具現化した住宅。人間を一つのいきものとして考え、建物とからまることで生まれる豊かな世界。

 "tree-ness house"。からまりに植物が加わりより複雑にからむ。

 二番目のエリアのテーマは「都市を発酵させる」。より都市的レベルで展開された海外(台湾)でのプロジェクト。

 "Foam Form"。台湾のコンペで次点に選ばれた。

高雄市を流れる川の、幅1Km以上とその沿岸を含めた巨大プロジェクトで泡をモチーフにした。

 "Hotel J"。ヴィラタイプの宿泊施設を備えた温泉リゾート。渓谷のようなデザインだ。
「からまりしろ」の発想は台湾で自然に受け入れられたという。それはヨーロッパでは感じなかったことで、東アジアのある種ローカル的な身体感覚がそうさせるのではないかと最近考えているそうだ。

 "Taipei Complex"。細かく分割されているように見えて内部は一つの大きな空間になっている。
これとHotel Jは高雄のコンペを見ての依頼だそうだ。


 奥のエリアのテーマは「集まること=建築のはじまり」。一番最近の、被災地釜石市での復興プロジェクトになっている。

 コンペで最優秀に選ばれたプロジェクトで、市営住宅と保育園が併設されている。
被災しゼロになった地、ひとが集まることでそこに建築がはじまる。


 敷地周辺、敷地に、さらには4階建ての集住でありながら住居の前にも道を効果的に配し、その道に沿ってからまるように全体が計画されている。

 住宅は40戸からなる。今後釜石市では千数百戸分供給する予定で、その第一弾だ。

 最終案。切妻屋根の下は共用部分。建物としてはこの屋根は無くても良いが、人が集まり繋がる場にするためには必要不可欠な存在だ。

 一見複雑に見える計画だが実はユニットを組み合わせ、コストに見合い、かつ迅速に建てられるように設計されている。

 住居は1LDKか2LDK。セットバックし道を作りながら上層に上がっていく。

 アラップに依頼し敷地や建物の空気の流れをシミュレートし、寒暖の激しい東北で快適さも追求している。

切妻屋根の有る無しで検証した図も。


平田晃久さん。「東日本大震災後、建築が本当に役に立ち、未来を指し示すことができるのか、ますます鋭く問われつつあると思います。」

【第118回建築家フォーラム 平田晃久展 からまること/集まること】
会期:3月11日(月) 〜 3月19日(火)
場所:LIXIL GINZA 7F
講演会:3月19日(火) 要予約
詳細:http://www.kentikuka-forum.net

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伊東豊雄プリツカー賞受賞

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2013年のプリツカー賞 (The Pritzker Architecture Prize) 受賞者に伊東豊雄さん (Toyo Ito) が選ばれた。
日本人の受賞は1987年丹下健三、1993年槇文彦、1995年安藤忠雄、2010年妹島和世・西沢立衛に続く5回目。
>> http://www.pritzkerprize.com


隈研吾によるインテリアデザイン、JPタワー「KITTE」

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昨年5月に竣工したJPタワー。その商業施設「KITTE」のインテリアデザインを隈研吾さん (Kengo Kuma & Associatesが手掛けた。3月21日のグランドオープンに先駆け開催されたプレス内覧会に行ってきました。

 1931年竣工の歴史的建造物である東京中央郵便局を部分的に残しながら、右後ろのJPタワーを建設。右側時計のある側は従来通り、郵便局・ゆうちょ銀行が入っている。 

 1階エントランス。

 東京駅から直接アプローチできる地下のエントランス。開業するとこちらがメインになるのかも知れない。

 反対側に回ると旧建物と新しいJPタワーのコントラストが見える。

1階は三角形をした5階まで吹き抜けのアトリウム。

 オープニングに向け吊されている巨大な桜の画は日本画家千住博さんプロデュースによる。後日ハガキサイズに裁断されその後のプロジェクトに使われる。
http://jptower-kitte.jp/sakura

 トップライトのガラスにはソーラーパネルが備えてあり、同時に強い直射日光も和らげる。

 店舗は地下1階から地上6階まで9,400m2に98店が入る。初出店や東京初進出も多くある。


アトリウムの床を見ると八角形の模様がある。これは旧建物にあった柱の面影を残したもの。

 天井からは微細なチェーンによって八角形の柱が表現されている。

 よく見ると2種類のチェーンが吊り下げられている。

 郵便局ではオリジナルの柱を見ることができる。KITTEオープン記念切手がないのが残念だ。

今回のインテリアデザインのテーマは「Feel Japan」 各階に日本古来の素材が仕上げに使われている。こちらは1階。

 2階。

 3階。

 4階。

5階。

 6階。

 トイレ。木目調のタイルが敷かれている。


 当日は曇りだったが一瞬日が差し、美しい陰影を見ることができた。


隈さんのデザインではないが、KITTEの目玉施設の一つである「インターメディアテク」。 

 JPと東京大学の産学協働プロジェクトで、東大で所蔵する膨大な学術サンプルを無料で一般に公開するミュージアムだ。

 空間は旧建物を修復し、展示ケースや陳列棚などはそのまま東大からやってきたそうだ。奥にキリンやマッコウクジラの骨格見本が見える。

 今回JPでは旧建物を遺産として修復や保存したり、この歴史的建造物を後生に伝えることに力を入れている。(当初は取り壊される計画であった)
ミュージアムでは照明や屋外に取り付けてあった時計の針、八角形の柱のカバー。建設当時や解体・修復時などの写真も展示している。
http://www.intermediatheque.jp

4階には旧東京中央郵便局長室が公開されている。ベンチに腰掛けこちらも修復されたばかりの東京駅を眺めながら休憩できる。

 その他いくつもの店舗からこのような景色が見える。

 6階はレストランと屋上庭園。

 一方には寒椿が一面に植えてある。

屋上からは東京駅に一番近い建物ならではの景色を眺めることができる。

【JPタワー「KITTE」】

2013年3月21日オープン。
http://jptower-kitte.jp

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長坂常によるインテリアデザイン「Floyd KITTE Marunouchi」

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長坂常/スキーマ建築計画 (Jo Nagasaka / Schemata Architects) による「Floyd KITTE Marunouchi」。21日にオープンするJPタワー内商業施設「KITTE」のテナント。

Floydは静岡県沼津を拠点にする雑貨店で、今回東京に初進出。

KITTEの3階にあり、エスカレーターで上がってくるとまずこのギラギラの天井が見え、徐々にゴツゴツした四角い箱が目に入る。思わず「何の店だ?」と近づきたくなる仕掛だ。

 間仕切りや棚はアクリル板を使い商品が見やすくなるように。またアクリル板裏側の端面に塗装してあり、表側の端面に美しいグラデーションが現れる。視線の動きに合わせてグラデーションが動く様子は実際にお試しください。

 商品棚はラワンのベニヤでありながら、非常に丁寧な仕事で滑らかに仕上げてある。沼津を拠点にする家具メーカーO.F.Cによる製作。
またレジカウンター後ろの棚は藤城成貴さんによるデザイン。

 長坂さんのお気に入りはこの辺りのものたち。

長坂常さん。「倉庫や荷さばき所のようなイメージしました。新築の商業施設とのギャップ。お客さんの視覚を想像しながらデザインしました。」

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中村竜治による会場デザイン「カリフォルニア・デザイン 1930-1965」展@国立新美術館

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国立新美術館で3月20日より開催している「カリフォルニア・デザイン 1930-1965 -モダン・リヴィングの起源-」展の内覧会に行ってきました。

 本展は、20 世紀半ば、ミッド・センチュリーと呼ばれた時代に、カリフォルニアで展開したモダン・デザインをテーマとした大規模な展覧会。20 世紀デザイン史において重要な役割を果たしたにもかかわらず、これまで十分に紹介されてこなかった"カリフォルニア・モダン"の全貌を、家具やファッション、陶芸、建築写真など、約250 点の作品を通じて紹介するというもの(展覧会案内より)

 会場デザインを担当したのは中村竜治さん。可動壁23枚をリング状に配列して、外側をぐるりと周りながら最後に内に入っていくという動線になっている。


 可動壁は制約があって上手くつながらない所があるが、それをそのまま残すことで隙間から向こう側の空間が所々見えるようになっている。「日本庭園の借景のようなイメージです」と中村さん。


 会場は「カリフォルニア・モダンの誕生」「カリフォルニア・モダンの形成」「カリフォルニア・モダンの生活」「カリフォルニア・モダンの普及」の4つの章で構成されており、それぞれの章の始まりと終わりはシンプルなカラーの切れ目で分かるようになっている。

 ハーウェル・ハミルトン・ハリス、リチャード・ノイトラ、フランク・ロイド・ライトらの建築写真も展示。

中央でひと際目立つ「カリフォルニア・モダン普及」の展示物。

映像資料を見る椅子も勿論ミッドセンチュリーのチェア。

 中村竜治さん。「カリフォルニアのおおらかな空気感を会場に表現することを考えました。国立新美術館側には『会場全体を使う構成が新鮮』と言っていただきました。」
※国立新美術館では会場デザインに建築家を起用したのは初めてとのこと。

【カリフォルニア・デザイン 1930-1965 -モダン・リヴィングの起源-】

会期:2013年3月20日~ 6月3日(月)
場所:国立新美術館 企画展示室1E
詳細:http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/california/index.html

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藤村龍至建築設計による住宅「家の家」-House of House

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藤村龍至建築設計事務所 (Ryuji Fujimura Architects) による「家の家」の内覧会に行ってきました。(2012年11月)

敷地面積108m2、建築面積49m2、延床面積84m2。木造2階建て。左右 (北南) のヴォリュームの幅はそれぞれ6mずつに分けられている。

建物の南端は設備室。通常給湯器やエアコンの室外機、メーター類は建築とは切り離して考えられるが、藤村事務所ではしばしば建築の一部として取り込まれている。

玄関扉とほぼ同サイズの2階の窓が目を引く。

玄関を入ると正面にリビング、左右は水回りで配管が一直線に設備室へ繋がる構成。

リビングは建物の中心に大黒柱がシンボリックに立ち2階天井まで貫く。

玄関方向を振り返る。柱は60角の鉄の無垢材。左の小さな開口はキッチン。

北側の窓は高めの位置に。

北側と同じサイズの窓を南側では低めに。窓の向こうに低い方のヴォリュームが見える。

水回りは低めに設計されていおり、リビングとのシーンの切り替えを演出。

浴室から、洗面室、パントリー、キッチン、玄関、トイレまで見通せる。

さらに浴室から外を見ると、隣家の庭が同じように設けてあるため4軒先まで見通せる。

北側のヴォリュームの平面は縦横6m。2階の窓が軒ぎりぎりに開口しているのにお気付きだろうか。

2階へ。

2階には個室3つと、左にトイレ。2段上がった側は屋根が切り妻から寄せ棟に切り替わり、天井を低くしている。

2段上がって振り返る。左が子供室、正面は玄関上の窓でスパッと切り抜かれたようなデザインだ。

子供室の上部は抜けている。


窓が軒ぎりぎりな様子。窓上部の梁に太い木材ではなく、細いアングル材を使用し軽快感をだしている。

主寝室。

中心を抜くことで排熱と、2階空間の一体感が生まれる。


藤村龍至さん。「施主はヨーロッパ生活を経験しているためか日本の定尺的な空間は望まれず、必要な物を必要なところに理屈に沿って設えるお考えでした。私からは様々に切り替わるシーンを軽快ながらも緊張感のあるバランスで表現しました。」

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OMAの重松象平による「コーチ表参道」

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4月4日より開業するオーク表参道。その角にオープンするCOACHの新たな旗艦店「コーチ表参道」を取材。設計は重松象平さん率いるOMAニューヨーク・オフィス (Shohei Shigematsu / OMA New York) が手掛けた。

オーク表参道はハナエ・モリビルの跡地で、建築設計は大林組、旧ビルを手掛けた丹下都市建築設計はファサードデザインを担当、旧ビルの面影が残る

半透明のガラスキューブをヘリンボーン状に組み合わせたファサードが特徴的。



 
「伊東豊雄事務所でインターンをしたことがあり、その伊東さん設計のTOD'Sの横に並ぶことができ光栄です。」と重松さん。

 昼は反射してけやきが映りこむ。夜はランタンのように光る。

 表参道はブランドショップが軒を連ねているが、外観は建築家が手掛けても中は別のデザイナーが担当するケースが多い。今回はファサード以外にインテリアである階段周りも手掛けることができたので、ファサード、棚、ディスプレーを一体化させる狙いでキューブを210個積み上げデザインした。キューブに商品を置けるようにしフロアの自由度をアップさせた。

店内中央の階段は、発光するディスプレーユニットFloating Towerが囲んでいる。

 階段と一緒に浮いたように見えるディスプレー。



 2階へ。1階の天井高は4.6m。そこからさらに上の2階までエレベーター無しで行けるようにするための工夫も見られる。

 階段を上る間もマネキンや商品棚が見える。ショッピングの高揚感が途切れず "階段を上っている時も階段を意識させない"という仕掛け。

 Floating Towerの裏側。階段はスラブから切り離されているのが分かる。

 階段室にももっと棚を設けたかったが構造に及んでしまうので叶わなかった。

 2階メンズフロア。

 階段周りの棚に合わせ壁面の棚もデザインを踏襲している。

光るディスプレーユニットはアクリル製。

 光る仕掛はこちら。棚の上下後端に溝が切られLEDが埋め込まれている。アクリルの厚みは約20mm。


 角ではガラスキューブの複雑な納まりが見える。

 ガラスキューブは実は、10個がセットになった2.4m×3.6mのユニットになっておりスチールフレームで構成されている。

 「ファッションブランドと接していて感銘を受けることは "日々変化すること"。ショップはショッピングに集中できるよう内向きになりがちですが、表参道の立地をダイレクトに取り込むよう透明性を重視した。」と重松さん

 COACH表参道限定、アリゲーターの本革iPadケース。他にもちろんバッグやジュエリーなどの限定品がある。

ライブラリーがコンセプト。棚というユニットを介して整理しながら作って行くのは拡張するコーチのブランドイメージに最適でした。」
大学を出て日本で社会人をせずにオランダに渡ったという重松さん。今回初めて日本でプロジェクトを手掛けることが出来た意義はとても大きいと話す。「いつか日本で何かしたいというのはコンプレックスのように在りました。今回15年越しの夢が叶いました。今後も機会があれば日本のプロジェクトをやってみたいです。」
>>OMAニューヨークのスタジオ訪問記事もあります。

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京都大学高松伸研究室建築作品展「ORIGIN」

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京都大学高松伸研究室建築作品展「ORIGIN」展の内覧会へ行ってきました。

京都大学高松伸研究室建築作品展は、毎年学生の手によって社会に投げかける機会として開催しています。展示は、卒業設計や学部生の作品、国際設計競技参加作品に加え、昨年より卒業生も展示に参加。今回の展示では、16年間京都大学の建築学科の教授を務めた高松教授が京都大学高松門下生の全てに向けて問い続けた「建築のORIGIN(起源)」をテーマに、京都大学高松伸研究室の卒業生(1期生〜14期生)がそれぞれの視点からこの問いに応えます。


学部生設計演習作品
「建築ドローイング」2年生に与えられる課題。建築家・高松伸氏の鉛筆ドローイングを学ぶ。3回生の設計演習では、建築のアイディアをどのように展開し、形にしていくかを学びます。

卒業設計作品

卒業設計作品
「EARTHTECTURE tokyo water passage」吉田絢子

卒業設計作品
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」渡辺郁 

卒業設計作品
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」渡辺郁 

卒業生作品展示風景
開催場所は京都文化博物館。


卒業生作品
左から、荻原雅史、川上聡、中西ひろむ、藤田慶
卒業生の中には、既に建築家として活動し、実施作品を手がけている方も。「建築とは〇〇である」または「建築と〇〇」として「建築のORIGIN(起源)」をテーマに回答するように展示されていました。

卒業生作品
まだ卒業して間もない卒業生は、学生時代に高松教授と手がけたプロジェクトを展示。

卒業生作品
海外に移住し、活動をする卒業生も。




現在、ドイツのハンブルグで KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTSの代表を務め、昨年にはドイツの雑誌社Bauweltが主催する新人賞を受賞した高松伸研究室第6期生の川原達也氏にお話を伺いました。右はパートナーのEllen KRAUSE氏。


「高松教授に学んだことは?」という問いには、「参考図書がつねに建築とは無縁な文学ばかりでしたが、それらを通して、ことばによって紡ぎだされた空間のリアリティーを学んだように思います。そして、ことばで構想した空間を捕まえるために、不断に手を動かしながら建築を構想していくことの大切さを学びました。」川原達也氏の作品のテーマである『建築とはナラティブである』は、文法を開発するように独自の建築を表現する方法の開発をしているようでした。



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oak omotesando (オーク表参道) + 杉本博司による空間デザイン

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4月4日、ハナエ・モリビルの跡地にoak omotesando(オーク表参道)が開業。建築設計を大林組、ファサードデザインを丹下都市建築設計が担当した。
テナントは先に紹介したコーチの他に、エンポリオ アルマーニ、ネスプレッソブティック、スリードッツ、茶洒 金田中、ケイ・ウノ、三菱東京UFJ銀行が入っている。

 地下2階、地上9階建て。S造+SRC造。建築面積2,078m2、延床面積13,926m2。
設計にあたって、かつてのハナエ・モリビルの印象を残そうと丹下事務所と共同でファサードのデザインを行ったそうだ。携わった人々の情熱と叡智を今も変わらず受け継いでいるという想いを込めて、プロジェクトのコンセプトを"時感(じかん)"とし、伝統を大切にしながらも飛躍をする表参道の新たなランドマークを目指した。


 照明デザインは豊久将三さんによる。

 パサージュ。旧ハナエ・モリビルを思い起こさせるデザインだ。日本の伝統色を意識した精妙な光のグラデーションが彩る。

 建物の左側、2階エントランスホールは杉本博司さんによる古代の石室をイメージしたアート空間「究竟頂 (くっきょうちょう) 」。
杉本さんはアート作品とそれを置くこの空間、さらに2階の和カフェ「茶洒金田中」までを一体的な作品としてデザインを手掛けた。


 中国の青島から200km離れた採石場から運ばれた石は厚さ約25cm。大きいもので2tあり、総重量500tにのぼる。


 天井からは数理模型をモチーフにした「Marhematical Model 013」が。神殿的空間における招待の役割をはたしているそう。全長6m、最も細い部分は細さ5mmで、地上へ伸びてそしてどこまでも続いていく(ブラジルで0になる)"無限をここで見よう"という試み。

2階「茶洒金田中」。日本有数の料亭「金田中」がプロデュース・運営する和カフェ。

 個室から「究竟頂」を臨むことができる。

 苔庭。杉本さん自ら石を選び配置した。

 杉本博司さん。「これは今まで作った一番大きい数理模型で吊るのが大変でした。この個室の開口部から見るのがお薦めです。」

 もう一店舗紹介は「ネスプレッソブティック 表参道店」。東京初の路面店で日本の旗艦店となる。



2階には会員制のセミナー施設「ネスプレッソ コーヒーエクスペリエンスセンター」がある。

 日本を感じさせる竹をイメージデザインも今回取り入れられた。


【oak omotesando】


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横河健+佐藤淳による膜構造プロジェクト「¿-cube」展

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横河健 + 佐藤淳 + 日大横河研究室による膜構造プロジェクト「¿-cube(アイ・キューブ)」展に行ってきました。

 能村膜構造・技術振興財団の助成対象に選ばれて取り組んだプロジェクトで、硬くもなり、柔らかくもなる、新しい膜構造を目指した。
ちなみに「¿-cube」の "¿" は疑問符で終わる文章の最初に付く逆疑問符。
プロジェクト概要はコチラ

横河さんはかねてより、鎖帷子(くさりかたびら)のようなものを自然に床に置いたとき、崩れずに塊を成すのはなぜかと疑問に思っていたという。
そこには実は何か法則があり、それを解き明かしたら建築にも応用できる新しい膜構造が生まれるのではと。 

 60mm角の木製キューブの角を小さなヒートンで結合しているのが基本だ。
右の立体を成しているのキューブは、4個や6個では容易に構造体になるが、10個の場合試行錯誤を繰り返しこのような形状でカチッと塊になった。
そしてよく見るとそれぞれの接点を結ぶと三角形のトラス構造であることが分かる。


 約7,000個のキューブが支えなしで自立し屋根を支えている。

 屋根の膜を掛ける際何度か破断したそうだ。無理な力が掛かっている箇所を検証しながら修正を加えていった。

 中へ潜ってみると "建築物" としての様子を伺うことが出来る。


 右、横河健さん。左は構造を担当した佐藤淳さん。
佐藤さんに60mmキューブ大きさはなぜ?と伺うと「時間内に1人当たりヒートンを取付・組み立てられるのは何個かを割り出すと全部で6,000個作れる。そして目標の構造物の大きさを構成するためには、ひとつ60mmの大きさが必要だった。」とのこと。実際には7,000個以上作った。


横河研究室の学生一同と。今朝の組み立てでも失敗したそうで、お披露目の際には無事成功し皆笑顔だった。プロジェクト自体は昨年の1月からスタートし、部材の制作・組み立てに一月近くを要した。

【¿-cube】展
会期:2013年4月14日~ 5月14日(10時〜20時頃)
場所:日本大学理工学部駿河台キャンパス5号館ピロティ
詳細:http://kyl-2013-maku.jimdo.com


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黒崎敏/APOLLOによる住宅「LATTICE」

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黒崎敏/APOLLO一級建築士事務所 (Satoshi Kurosaki / Apollo Architects & Associatesによる台東区の住宅「LATTICE」を見学してきました。台東区入谷の下町で昔ながらの街並みが残るところ。

 敷地面積45m2、建築面積34m2、延床面積101m2。RC造3階建て。敷地の間口は4mだ。

 ファサードは高さ7.3m、全面黒に塗装されたベイマツ材のルーバーで覆われている。手前に2m程キャンティレバーで支持されたガレージの奥に玄関。

 玄関を入ると左一面に鏡。奥に個室。

 個室から振り返る。 建具や家具はローズウッド材、床はアッシュ材にブラックオイルを塗布したもの。

 ハロゲンのスポットライトを使い階段室を演出している。

 2階。階段を上がって右に水廻り、左(写真奥)にウォークインクローゼットと主寝室。

 主寝室。ルーバーのピッチは狭めなのでブラインド越しに見ているようだ。


 ファサードのルーバーと同じピッチで仕上げた収納の引戸。

 洗面。浴室はシティホテルの雰囲気。

 3階。階段室を挟んでDKとリビング。

 奥行きのある敷地のため、階段室をセンターに設けペントハウスから光を落としている。

 リビング。シンプルな面と線の構成。

 ルーバーは夏場の西日を和らげ、外部からの視線を遮るためだ。 

 リビングを振り返ると階段室を介して光が注ぐ様子がよく分かる。

 ダイニング・キッチン。

 DKの上はロフトスペース。

 ロフトスペースはにじり口をくぐって和室になっている。

 ダークな畳を敷き、モノトーン空間を和室にも踏襲。 

 和室の壁や天井はポーターズペイントによる仕上げ。

ペントハウスと屋上。
「施主は単身の男性であることから徹底して大人の "格好いい" 空間を望まれたので、男っぽさが漂うシンプルでハードな住宅に仕上げました。」と黒崎さん。

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