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平沼孝啓による「木の歯科」

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平沼孝啓による「木の歯科」の内覧会へ行ってきました。
大阪の北部・箕面(みのお)に佇む2階建て木構造の歯科医院です。


この辺りは大正時代に「住宅改造博覧会」が開催された地区であり、桜並木が印象的な街並となっている。
外壁に使われているのは、白石灰モルタルと板張り。特徴となっている屋根は、隣接する建物の切妻建築の立面とモダニズムを思わせる屋根をつないでおり、住宅地でよく見る形でありながら、そのどれでもない現代建築だ。


駐車スペースよりエントランスを見る


エントランス
1階の受付と待合室となる導入部分を透明なガラスにすることで、構造となっている内部の木質が街に溶け込み、建築が街に暖かみを与えていた。


待合室上部に広がる吹き抜け
2階に見えるのは院長室。
入ってすぐ左には受付カウンター
正面ガラス部分を支える4本の細い柱がほぼ姿を消し、内と外が一体となる。


階段を登ると景色ががらっと変わり、屋根を支える構造が目を惹く。1階の受付・待合室の様子や2階の院長室(奥)を一目で見渡すことが出来る。
驚いたのは、木構造でありながらも明るく軽やかな空間であること。5メートル以上になるスパンを空間内に柱を置かず、木構造を使ってRCのような構造を考えたという。


構造家には東京大学大学院で木質を研究する、稲山正弘氏が携わる。徐々に陸屋根から切妻に形を変えていく屋根に対応して、その形状を輪切りにして台形にトラスを組むような構造を考えられた。


構造模型
目に見えている部分は杉、床などの構造部分にはひのきを採用。


形を変えていく屋根構造の図面


2階テラス
屋根を支える木構造から伸びる軒と外壁の接合部にも宮大工の技が見られる。

テキスタイルデザイナーの須藤玲子氏が手がけた、立体 テキスタイル ブラインダーは、平沼氏と試行錯誤して制作されたもの。
須藤玲子氏の作品は国内外でも評価が高く、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ビクトリア&アルバート美術館、東京国立近代美術館工芸館等に永久保存されている。


院長室から見る2階。右奥は従業員の部屋。


スタディー模型 x 20

「この地区に辛うじて残る閑静な住宅地としての品格を保守しながら、現代の生活者にも親しみが根付くような医院となってほしい。これからの将来を十数年単位で見たときに、この場所からその歴史が伺えるような発展性をもった、環境のリノベーションとなる建築の実現化を試みた。」建築家・平沼孝啓氏

建築家:平沼孝啓 (平沼孝啓建築研究所)
構造家:稲山正弘 (ホルツストラ)
電気設備:河添成夫 (河添環境設計) 
機械設備:見並弘一 (見並設備設計)
施工:西村建築工房
*Photo © Satoshi Shigeta


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中村竜治による会場構成で伊東豊雄ら出展の「本・ことば・デザイン展」

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8月29日から始まる六本木の東京ミッドタウン内、DESIGN HUBで開催の「本・ことば・デザイン展」に行ってきました。

 ブックディレクターの幅允孝氏が企画した展覧会で、各界で活躍する10人によって選ばれた「デザインを感じる本」と、その本の中で「最も印象的な言葉」が、空間性を伴ったインスタレーションによって表現されている。


 会場デザインを手掛けたのは中村竜治(中村竜治建築設計事務所)。床、壁、天井、窓などを使い、それぞれの言葉ごとに異なった紙の工作をつくり、その上に言葉を載せることで、観覧者の体験を伴った展示としている。


 服部一成(グラフィックデザイナー)


 平松洋子(エッセイスト)


 渡邉良重(グラフィックデザイナー)


 福田里香(お菓子研究家)


 伊東豊雄(建築家)


 伊東さんが選んだ本は武満徹の『音、沈黙と測りあえるほどに』。
そのほか誰が何の本のどの言葉を選んだのかは会場でのお楽しみ。

 森永邦彦(デザイナー)


 幅允孝(ブックディレクター)


 柴田元幸(翻訳家)


 穂村弘(歌人)


 葛西薫(アートディレクター)


 来場者は、選ばれた本を手に取って読むことができる。


中村竜治さん。「"ことばを血肉化する"という展示のテーマを意識しながら、抽出した言葉をどのように空間に視覚化するかを考えました。見上げたり、ぐるぐる回ったり、一瞬では読めないようになっています。それらの行為を通じ、情報だけでなく体験として記憶に残して帰ってもらえるのではないかと思います。」

【本・ことば・デザイン展】
会期:2014年8月29日〜9月28日
場所:東京ミッドタウン・デザインハブ
詳細:http://designhub.jp/exhibitions/1219/


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「ザハ・ハディド」展の概要公開/東京オペラシティ

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10月18日(土)より東京オペラシティ アートギャラリーではじまる「ザハ・ハディド」展の概要が公開されました。
※以下全てリリースより
日本初の大規模個展となる本展では、ザハ・ハディドのこれまでの作品と現在の仕事を紹介し、その思想を 総合的にご覧いただきます。アンビルトの時代に膨大なリサーチにもとづいて描かれたドローイングから、 世界各地で建てられるようになった実作の設計、スケールを横断する例であるプロダクト・デザインを含め、 展示空間全体を使ったダイナミックなインスタレーションで紹介します。

[photo: Brigitte Lacombe © Zaha Hadid Architects]
ザハ・ハディド(1950-)は、現代の建築界を牽引する巨匠であり、世界を 席巻する建築家です。1980 年に自身の事務所を設立。

[© Zaha Hadid Architects]
83 年には〈ザ・ピーク〉の国際コンペティションで 勝利し、そのコンセプトとともにザハの名は一躍世界に知られることになりました。しかしこのプロジェクトをはじめ、ザハの設計は当時の施工技術や建築思考に収まらない前衛的な内容だったため、独立後10年以上にわたって実際に建てられることはなく、長らく「アンビルトの女王」の異名を与えられていました。

[photo:Christian Richters © Zaha Hadid Architects]
1993 年〈ヴィトラ社消防所〉が初めての実現プロジェクトとなってからは大規模なコンペティションで次々に勝利を重ね、かつ実際に建てられるようになりました。

[© Zaha Hadid Architects]
そしてこのたび〈新国立競技場〉国際デザイン・コンクール最優秀賞選出により、日本でも実作の建設が決定しました。

【ザハ・ハディド展】
会期:2014年10月18日〜12月23日
場所:東京オペラシティ アートギャラリー
詳細:http://www.operacity.jp/ag/exh169/

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成瀬・猪熊建築設計より「りくカフェ」リニューアルオープンとクラウドファンディングについて

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成瀬・猪熊建築設計事務所 (Naruse Inokuma Architects) が2011年から関わっている陸前高田市「りくカフェ」が、10月5日にリニューアルオープンを迎えることになった。
りくカフェは東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市で地域住民が運営しているコミュニティカフェ。http://rikucafe.jp/

 2012年1月に仮設の建物で運営を開始したが、使用期限があることや、狭くトイレやコンロがないなどの問題があった。


その後クラウドファンディングや支援などにより恒久建物への建て替えができるようになり、間もなくリニューアルオープンする。 


 こちらが建設中の新しいりくカフェ(8月の様子)。
面積は2倍となり厨房設備やトイレも整い、地元のお母さん達の美味しいご飯で訪れる方の身も心も癒す場を目指し、福祉事業も展開して行く予定で、ますます地域に貢献できる場として育てていくそうだ。

しかし被災地での凄まじい建設費高騰のため、建物の建設だけで資金が尽きてしまい、食器や家具を揃える資金が不足してしてしまった。
そのため今一度クラウドファンディングへの協力をお願いしている。

【りくカフェ リニューアルオープン】
日程 : 2014年10月5日
場所 : 岩手県陸前高田市高田町字鳴石22-9
詳細 : www.facebook.com/naruseinokuma
HP : http://rikucafe.jp/

【りくカフェ クラウドファンディング】
詳細:http://camp-fire.jp/projects/view/1177

(Photos: 成瀬・猪熊建築設計事務所)


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前田紀貞による住宅「ORANGE」

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前田紀貞+白石隆治/前田紀貞アトリエ (N MAEDA ATELIER) による東京・目黒区の住宅「ORANGE」のオープンハウスに行ってきました。

 敷地面積72m2、建築面積43m2、延床面積128m2。S造3階建て。テーマは「子供の家」、子供のワクワク、キラキラを表現した建築と聞いて伺った。


白く四角い箱にざっくりと切り込みを入れたような外観。ファサードは超高弾性吹き付けタイルを平滑に仕上げたもの。

 玄関を入ると真っ白な洞窟のようになっていた。


 見上げるとちびっこと目が合った。


 1階はまず、4段分ほど掘り下げられたスタディールームになってるが、床にはかなりの凹凸がある。「地面や道にはでこぼこがあるのに家は平らでなければいけないの?」という子供のキラキラを表現。


 とは言え平らでないとベッド置けないので必要な箇所は平らに。こちらは子供の寝室(就寝のみ)。 


 2階LDK。事前に完成前の写真を見ていたが、実際に訪れると住宅としては見たこともない空間が待っていた。


 ガラスを支持しているH鋼はそのまま建物の構造でもある。中央奥はご主人のホビールーム。 


 何も説明を受けないと、一体どんな空間なのか分からない。


 こちらがイメージモデル。発泡スチレンのブロックをヒートカッターで捻りながら切った時に、偶然生まれた形状をそのまま空間として表現したそうだ。


 2階には平らな壁がほとんど無く通常のエアコンが取り付けられない為、ダクトを介した吹き出し型を採用。このカットを見るとまるでカフェのようだ。


 「一体どうやって施工したのか?」と質問が相次いでいた。スチールの躯体とは別に、細かい木材を継ぎながら壁の骨組みを作り、さらに細かく刻んだ合板を無数に貼り合わせ曲面を作る。その上にスチールネットを掛けモルタルを塗り込んでいく。最後に仕上げ材で、ということだが「ウチではこれ以上できない」と大工さんは4回替わったそうだ!


 キッチン奥の階段下はパントリーに。



 2階を見下ろしながら3階へ。「床と壁と天井が直角って大人の都合で決めたんでしょ?ヨレヨレはだめなの?」という子供のワクワクを表現。


 階段もフロアの一部として子供が遊べるように。踏面が広く転倒しても転げ落ちないようになっている。
トルコの世界遺産パムッカレの石灰棚を思い出した。

 階段頭上には正にスチレンブロックを切り出したようにトップライトが覗く。
非常に複雑な曲面に3階フロアの開口。こうなると図面での指示はできないのでほとんどが現場合わせだったそうだ。

 足元を見ると、とても手の込んだ仕上げが成されており不思議な材質感が生まれている。


 3階は白に溶けこむような空間。左側に水回り、右側に主寝室。


見返すとこのように。(レンズの歪みではない)


 水回り。バルコニー左の壁は、前出の階段室上部の壁裏なので大きく傾斜している。


 主寝室。最後にこの部屋を見ると、直角水平の空間が逆に不自然に感じられた。 



 当日インテリアに置かれていた小物はほとんどが前田さんの私物だそうだ。



 前田紀貞さん。「お施主さんからは "子供が楽しめる家"というのが一番の要望でした。子供は自由です、建築にも自律と他律の良さを取り入れながら自由な発想を大切にしました。体験して頂ければ一見したデザイン志向だけではないことが理解して頂けると思います。しかし施工に関しては今までで一番大変でした(笑)」



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エマニュエル・ムホー展「100 colors no.2」@新宿クリエーターズフェスタ2014

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新宿クリエイターズフェスタ2014のアーティスト展に、エマニュエル・ムホーが「100 colors 」の屋外版を「no.2」として出展しているので見に行ってきました。場所は新宿中央公園・水の広場。
9月11日まで!

 緑溢れる新宿中央公園にカラフルなインスタレーションが遠くからも映える。


 昨年の「100 colors」は新宿三井ビル内で紙を用いて行ったが、今回は屋外ということから布を使っている。



 スカイスクレーパーとのコントラスト。




 2,000枚近くの布を100色に染め上げた。



会場では是非色の中を歩いて頂きたい 

【100 colors no.2】
会期:2014年9月4日〜9月11日
場所:新宿中央公園・水の広場
詳細:www.scf-web.net/emmanuellemoureaux


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「SDレビュー2014 入選展」レポート

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9月10日から始まる「SDレビュー2014 – 第33回 建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展」に行ってきました。会場は代官山ヒルサイドテラスF棟。
SDレビューは、実現見込みのないイメージやアイデアではなく、実際に「建てる」という厳しい現実の中で設計者がひとつの明確なコンセプトを導き出す、思考の過程を、ドローイングと模型によって示そうというもの。
[The 33rd Exhibition of Winning Architectural Drawings and Models]

 入選した15作品を紹介します。


 ■Steel Wall gallery/平瀬有人+平瀬祐子+森部康司


 佐賀県鹿島市の酒蔵で精米所としてとして建てられた後、倉庫になっていた建物を鉄板で構造補強し、観光用に試飲やギャラリーとして使えるように改修。


 ■綾瀬の基板工場/浜田晶則+斎藤遼


 神奈川県綾瀬市の基板工場の増床計画。汎用性が高く将来的に可変性を持たせた計画で、平日は工場の食堂やショールーム、休日には地域に開放される場として活用する。 


 ■演劇を愛する学生のための芝居小屋 '早稲田小劇場どらま館’/茶谷明男+大石卓人+松浦勇一+藤晴香+伊藤周平


 東京都新宿区、早稲田大学で総勢800名が在籍する演劇サークルが、週替わりで準備と講演を繰り返せるように計画された70席ほどの小さな芝居小屋。 


 ■HC3 (Harare Child Care Center)/神谷勇机+石川翔一 
ジンバブエ、ハラレの孤児のためのケアセンター。建設資金がなく、多くの個人から少額の寄付によって、住民自身が建設・メンテナンスも行えるようにするプログラム。


 ■生きる自然は地域を育む/陶器浩一+永井拓生+滋賀県立大学陶器・永井研究室


 滋賀県湖南市の放置され荒廃が進む竹林を地域で手入れし活性化させながら、地域住民相互の共助文化を育むプログラム。 


 ■公園墓地の管理棟/浦 俊弥+渡部良平


 埼玉県所沢市の所沢聖地霊園管理棟の建て替え。出来るだけ平屋にし墓参者へのバリアフリーに対応し、公園墓地の風景と調和する地形のような建築。


 ■Wood palace/米花智紀+米花真弓
北海道小樽市の住宅。カーブする坂の上に建つ住宅に、そのまま坂を連続させたような螺旋の構成で、螺旋を回りながら敷地や小樽の風景を切り取ることができる。


 ■裏錦・空錦・小錦/宗本晋作+菊池達哉


 京都府京都市の錦市場に並ぶ店舗裏側の未利用地を活用し、観光客の多様なニーズに応えられるよう次世代の錦市場を住民と共に提案する。


 ■小さな部屋がたくさんある家/久野浩志 
北海道札幌市の住宅。4部屋ずつ4層に小さな部屋が積み重なり、それぞれ個性のある部屋はいつも全てが快適ではないが、いつもどこかに快適な部屋がある。


 ■「つくる」と「生まれる」の間/米澤隆


 愛知県名古屋市の事務所兼住宅(米澤氏自邸)。築70年以上の町家のリノベーション。既存と新築が分からないような状態の中で、様々なふるまいが間との関係性から、新たな町家の形式を生みだす。


 ■CONSTANT APARTMENT (大正の小さな集合住宅)/山口陽登+白須寛規


 大阪市大正区のワンルームマンション。従来のワンルームマンションの作り方「住戸間の壁の位置」を変数として扱い、「設備配管の位置」と「間取りのバリエーション」で新しい形式を試みる。


 ■雄勝桑浜小再生プロジェクト/西田司+岩崎修+勝邦義


 宮城県石巻市の廃校になり放置されていた木造小学校が東日本大震災によって半壊(半開)したが、出来るだけ既存状態を残しながら地元の産業を生かした自然体験学校として寄付金によって再生させる。


 ■村の賃貸住宅 'Philippines Bohole island 復興住宅計画’/赤池一仁+石井義章+齊藤彰吾+弘中敏之+LAPULAPU 


 2013年、フィリピンのボホール島をM7.2の地震が襲いTungod村は絶望的な状態となった。現地での対話、設計過程・復興デザインのプロセスを村人に認識・共有しながら、村人が作る復興賃貸住宅。


 ■柏の平屋 ねじれ屋根のせ/千田藍+千田友己


 千葉県柏市の住宅の建て替え。築後30年、家族構成が変わりこれから老後30年を見据えて、エネルギーや温熱環境のマネージメント、さらに土地の分筆までも考慮した。


 ■自作 自演 自力建設 『54帖の中庭』/髙原次郎兵衛正伸+ヒマコ 


 岡山県玉野市の住宅(髙原氏自邸)。家を建てるプロセスにお金と消費という要素を外し、流通に乗らなくなった資材を貰い集め、自力で自作自演的に建設を進めている。 





【SDレビュー2013 – 第32回 建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展】
東京展
 会期:9月10日〜9月21日
 会場:代官山ヒルサイドテラスF棟、ヒルサイドフォーラム

京都展
 会期:9月27日〜10月13日
 会場:京都工芸繊維大学 美術工芸資料館


詳細:www.kajima-publishing.co.jp/sd2014/index.html


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35歳以下の新人建築家7組による建築の展覧会 2014

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2010年に始まった U-30展(Under 30 Architects exhibition)は、今年で5年目を迎えた。今年から年齢を5歳引き上げ、『35歳以下の新人建築家7組による建築の展覧会2014』が9月4日から開催された。これからの活躍が期待されるであろう若手建築家たちの視点から、これからの建築の可能性を伺える展示となっている。

【Under 35 Architects exhibition 2014】



出展者は、建築家・石上純也氏が一般公募の中から以下7組を選抜。(五十音順)

伊藤友紀 Yuki Ito
+岩田知洋 Tomohiro Iwata +山上弘 Hiroshi Yamagami
植村遥 Haruka Uemura
魚谷剛紀 Takenori Uotani
高栄智史 Satoshi Takae
長谷川欣則 Yoshinori Hasegawa
細海拓也 Takuya Hosokai

模型:会場構成



■ 長谷川欣則 Yoshinori Hasegawa
『思考のつづき』
展示されている模型は、中止になったプロジェクトも、進行中のプロジェクトも平行して並んでいる。ぐるぐると円を描きながらひとつひとつのプロジェクトを観て廻るように設計された設営方法は、まるで長谷川氏の思考回路を観ているようで、思考がループのように続いていくようだ。
長谷川氏のプロジェクトの一つである「部分の小屋」は、小さな建物を作るワークショップで作られた小屋。子供から大人までが実際に手を動かしてつくる建築を、施工の精度が高くなくても、空間の質を失わないように考慮して設計された。敷地であるビルの谷間にある路地にヒントを得て、狭さを心地の良さに変えるような空間を目指した。2つある小屋は現在は本屋とギャラリーとして人々に親しまれて使われている。
建築家が一人で考えるのではなく、そこに関わる人たちの意見を聞きながらみんなで参加できる建築を提示している。


 



■ 細海拓也 Takuya Hosokai
『リアル』
建築は記憶の断片の組み合わせで造られる。脳に読み込まれた記憶や気になった建築や都市の空間を写真に残し、床に全てをフラットに置いている。これは、何かが特別なのではなく、対等なものとして扱っており、曖昧で不確かな「現実」を展示している。



 



■ 植村遥 Haruka Uemura
『記憶の中の空間』
記憶の中にある各々のストーリーからつくり出された作品を展示。色やにおいを可視化するとどうなるのか。海の色、昔の写真の色がどのようにその風景を変えるのか。ミクロとマクロの視点で見る-自然と共に生きて行く生き物から学び、そこから建築に繋げていけないか。植村氏は、これらを組み合わせて、仮設住宅や都市、テクノロジーなどを作っていけるのではないかとマテリアルの持つ本質を活かしたものづくりを模索している。










■ 魚谷剛紀 Takenori Uotani
『V / K house』
V house は、環境との向き合い方を考え、建築をvolumeとしてではなくvoidとして捉えることで、そこから導かれる壁を仕切るものではなく、繋げるものとして考えた建築。K houseは、敷地周辺のオープンスペースを階層的に取込み、機能を考えることで、領域のグラデーションや立体的な開放感を示す建築。展示では、二つのプロジェクトを様々なスケールを連続させて置き、そこに生まれる新たな視点、余白、距離感などから建築の拡張性を探したいと考えている。




 



■ 伊藤友紀 Yuki Ito
『けんちくのうまれかた』
私たちの周りにある様々な出来事から建築のうまれかたを考える展示。伊藤氏のドローイングからアニメーション化された「ひとりのおばあちゃんの行為からできる建築」は、おばあちゃんが何かをする度にその周りの空間ができ、無限に広がっていく建築の思想が現れている。その他、移動式の個室「最低限個室カタツムリハウス」、住宅が都市のようであり、うるさいくらい自然が近い家「赤いレンガの家」、伊藤氏が建築を考える根本となった「Hole school / 行為と用途の穴からできる建築」が展示されている。





■ 高栄智史 Satoshi Takae
『a-hum』
a = architect, hum = humanity 「建築の価値は設計者によって決まるものではない。」
現在進行中の住宅プロジェクトの経過模型と両端に言葉、移動する空間を360° 体感出来るボックスが展示されている。この住宅では、建築家の理想に近づけ価値付けしていくものではなく、高栄氏が施主と設計に携わるものとの対話で何度も修正を加えながら、豊かな建築をつくる手がかりを探っていた様子が伺える。

 



■ +岩田知洋 Tomohiro Iwata +山上弘 Hiroshi Yamagami
『領域が変化する壁』
ある一点に立つと全ての小口が見えるが、ある一点に立つと壁のように見えるパーティションが展示空間に設置されている。これは、岩田氏と山上氏が「人が動くことで領域が変化する壁」という人が関わることで変わる空間の機能に興味を持ち、設計された。今回の展示では、このコンセプトから2つの住宅プロジェクトを紹介している。一つ目は、密度の違う木材の配置で見える景色や風の通りが変わる住宅と、もうひとつは、混ざり合う空間によって領域が変化する住宅。どちらも建築家が領域を決めるのではなく、住み手が領域を決めるように設計されている。建築家は壁や屋根や窓をつることで空間領域を決めるのではなく、人の行為で領域が変わっていく建築を目指している。























【Under 35 Architects exhibition 2014】

会期期間:2014年9月4日(木)~10月4日(土) 10:00~18:00
日曜・祝日休館 ※ 9月6日(土)、9月13日(土)のみ20:30まで開場
入場:¥1,000
展覧会場:大阪・南港 ATC   ODPギャラリー
〒559-0034 大阪市住之江区南港北2-1-10
アジア太平洋トレードセンター(ATC)ITM棟10階 ODP(大阪デザイン振興プラザ)※ 大阪市営地下鉄・ニュートラム線 「トレードセンター前」  直結
出展建築家:伊藤友紀、岩田知洋・山上弘、植村遥、魚谷剛紀、
高栄智史、長谷川欣則、 細海拓也 (新人建築家7組)



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西久保毅人/ニコ設計室による「中島さんの家」

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西久保毅人/ニコ設計室による杉並区荻窪の住宅「中島さんの家」のオープンハウスに行ってきました。

 敷地面積70m2、建築面積31m2、延床面積64m2。木造2階建て。
静かで道幅もある住宅地、見晴らしの良い角地のため視界は広いのだが、外部からの視線も気になる場所。

 そこで西側を広く外に向かって開口しながらも、敷地の形状を利用した外壁を立て視線を適度にカット。


 壁の内側には常緑のヤマボウシを植え、緩く仕切りながらも近所の友達が気軽に縁側(テラス)に寄って来られる、風通しの良さも持たせた。


 玄関は東側に。


 入るとピンクの壁が正面に。左は土間のままキッチンへ。玄関からフロアは小さな子では上がりにくい40cmほどの高さにしてあるが理由は後ほど。


 1Fリビングダイニング。奥には縁側が見える。床・壁は着色した杉材、天井はラーチ合板、左の壁は黒板塗料でしっとりとした黒。「白」あるいは「白っぽい」部分がない(筆者にとって)久しぶりの住宅だ。


 見上げると2階上のロフトまで吹き抜けに、そしてピンクの壁がそびえ立つ。このピンクは施主が選んだそうだ。


 中央はダイニングテーブルで、床にそのまま腰掛けて使えるようにフロアを持ち上げていたのだ。
左の窓は外部に大きく開口しているものの、一番視線が気になる部分を木の引戸にしてある。

 キッチンから見るとこのように。お母さんは買い物から帰ってそのままキッチンに入り、料理をして、靴を履いたままでも晩ご飯を食べることができてしまう。(実際は靴を脱ぐでしょう)


 水回り。


 左の黒い壁の左には冷蔵庫が納まる。その黒い壁は鉄粉入り塗料のため、白いマグネットが張り付いている。冷蔵庫に色々張り紙するよりスマートだ。


 2階に上がると足元はすのこ状に透けた廊下。そして子どもたちのスタディーコーナーが設けてある。


 座るとこのように。


 主寝室。アクセントのピンクはここにも現れる。 窓の外は物干しのバルコニー。


 子ども室。急なステップでロフトへ上がれる。左の小窓からは吹き抜け。


 小窓からの眺め。廊下にもう一つの子ども室が面している。二つの子ども室には扉がなく、吹き抜けを介して家のどこからでも気配を感じることが出来る。


 ロフト。子ども室にもできるよう考慮されている。


 ロフトから見下ろす。吹き抜けを中心に、各スペースや外とも繋がったレイアウトがよく分かる。



 ニコ設計室のオープンハウスはいつも子どもが多く、そして皆楽しそうにしている。あるお父さんが「そろそろ帰ろうか?」と聞くと「やだ〜!」といったやり取りも。




西久保毅人さん。「外部からの視線をコントロールし、といって閉じすぎないように、タイトな中でもちょっとした工夫で解決できます。また角地を利用した二方向から動線も取り入れ、光・空気・ひとが通り抜ける、そんな子どもたちの家を計画しました。」


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新関謙一郎による世田谷の住宅「WKB」

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新関謙一郎/NIIZEKI STUDIOによる世田谷の事務所兼住宅「WKB」の内覧会に行ってきました。

 敷地面積84m2、建築面積58m2、延床面積166m2。RC造、4階建て。


 敷地の北側には緑道が通っており、建物の植栽と混じり合っている。 


 "コの字”型、或いは”L字”型の外壁がいくつも勘合し、その隙間が様々に開口している。

 
エントランスポーチ。左の階段を上がると住居。右の扉から事務所スペースへ。


 1階にある事務所スペースは1m程掘り下げてある。トップライトは北側に開口しており、作業をするには丁度良い光量だ。


 事務所スペースの玄関は緑道側にも。


 2階住居部へ。


 階段を登ると、外から見えた植栽が壁上部に造作されたプランターに植えてあることが分かった。


 階段から右を見る。ガラス引戸を全開にするとバルコニーとリビング・ダイニングや玄関が一つの空間のように連続する。


 南側は隣家が迫るので一文字の低めの開口。


 北側は緑道の桜に手が届くほど近いので大きく開放。花壇の植栽と借景が繋がって見える。


 薄く見えるよう面取りしたコンクリートのキッチンカウンターはキャンティレバー。コンセントが底面右に付いている。
上面の半ツヤは細目のサンドペーパーで仕上げて出したそうだ。 

 階段の仕上げ。踏面はエントランスポーチ、外階段、2階バルコニー、玄関から一続きで黒い玉砂利をコテで塗り固めた。蹴込みは黒モルタルの左官仕上げ。



 3階子供室。子どもたち3人で一緒に使うそうだ。手前は作り付けの勉強机。


 登ってきた階段を見返す。階段は広めで、途中に腰掛けて緑道の桜を眺められる。正面は水回りへ。 


 子供室奥から。左奥の扉からもう一つの外階段に出られ、4階の屋上テラスに通じている。


 水回りは全体的にダークな色調で、浴室は真っ黒だ。
左は洗面から浴槽まで面一で連続している。天井の円いのはトップライト。 


 4階への階段は子供室を対角に横切らないと使えない。動線により自然に家族が接触出来る機会が増える。


 4階主寝室。4階建てで高さ制限に収めるよう、1階を掘り下げ、4階を低め(2.1m)に計画した。右の扉とその奥は収納。


 屋上テラス。テラスを囲う壁の上にも造作プランターがある。


NIIZEKI STUDIOのコメント。「緑道の木々はとても力強い存在で、その木々と同じように彫りが深く力強い建物を目指しました。建物にもプランターを造り付け多くの植物を植え、周囲と馴染むことで既にそこに在ったかのような雰囲気です。またお施主さんのご家族はとても仲が良く大らかで、その様なご家族の生活を包み込めるように大らかな空間を心掛けました。」


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レベルアーキテクツによる「上用賀の住宅」

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出原賢一+中村和基/レベルアーキテクツ (Kenichi Izuhara Kazuki Nakamura / LEVEL Architectsによる世田谷区「上用賀の住宅」のオープンハウスに行ってきました。
※敷地周辺の状況により残念ながら外観が撮影できなかったため割愛します。

 敷地面積91m2、建築面積40m2、延床面積89m2。木造3階建て。
玄関を入るとカーブする両側に壁面が現れた。

 玄関には段差がなくそのまま一続きのタイル張りで、玄関ホールのような雰囲気を作り、二つの居室と水回りが配されている。


 奥から振り返るとカーブさせたのは動線を確保するための大きな角Rだということが分かった。


 開けてみると中にはトイレ。そして左の引戸も開けると何ともう一つトイレ!


 水回り。


 居室内のR部分には棚を作り付けた。


 2階へ。


 2階LDK。隣地の緑を借景としてふんだんに取り込んだ。


 3階まで吹き抜けで、シンプルな構成に階段がアクセントになるようデザイン。


奥には小上がりで2畳程の畳スペースを設けた。


 小上がりはダイニングの腰掛けとしても活用し、視線の向こうには緑が望める。
畳は和紙畳。上げると下は収納になっている。


 ダイニング上のハイサイドライト外側はプランターが置ける小さなバルコニーなっており、更に緑を追加する予定。


 中央の大黒柱のみ鉄骨。奥から延びる大きな梁を支えている。


 3階主寝室。


 北側はパルコニー。ダイニングから見えたプランター置き場は、このバルコニーからハシゴで降りた位置にある。 


右から出原賢一さん、担当の小山麻美さん、中村和基さん。
「隣の緑を借景にしてどのように開くかがまずポイントでした。そして大きく出る北側斜線からの形状と空間のバランス、アクセントとなる階段の角度、広がりを感じられるよう視線の抜けを大切に計画しました。」

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槇文彦、内藤廣らが登壇 シンポジウム「新国立競技場の議論から東京を考える」レポート

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10月1日、日本建築学会 (AIJ) 主催「建築文化週間2014」のイベントして、シンポジウム『新国立競技場の議論から東京を考える』が田町の建築会館ホールにて開催された。

 槇文彦、内藤廣、青井哲人、浅子佳英、五十嵐太郎の各氏がそれぞれの意見をプレゼンテーションし、その後ディスカッションや、会場からの意見交換などが行われた。


 冒頭、モデレーターの松田達氏から6つのポイントで問題提起された。
1. 作者の問題、2. プログラムの問題、3. 費用の問題、4. 都市計画の問題、5. コミュニケーションの問題、6. 政治的な問題

 槇文彦 + 槇TEAMからは、『新国立競技場案 (2014.5.28) の何が問題か?』と題してプレゼンテーション。 

以下は槇氏のプレゼンテーションを要約し書き起こしたものだ。
 『誰の作品?』

「当初案は3,000億円と試算され、5月現在案は日本の設計チームが加わって1,685億円と試算。さらに10月末大手ゼネコン7社よりプロポーザルの回答がでる予定。その後ゼネコンの設計チームが加わるかも知れない、そうするとこの建築はもはや誰の作品か分からなくなる。」

 『巨大な開閉膜屋根は可能か?』

槇チームでも考えてみたがどうにもうまくいきそうにない。ゼネコンに投げられたのは実はこの部分の解決策が見つからないため。」

1万数千m2の幕屋根の開閉は技術的に可能だろうか。実際に原寸モックアップで検証する必要があると思うが、そこで無理だと分かったときはどうするのか。」

この巨大で、相当な重量になる幕を高所で張り替える作業は可能だろうか。」


 『芝の育成はできるのか?』

「実際、開閉式屋根を持つ大分銀行ドームは、新国より大きな開口面積だが、芝育成のため十分な日照を得られない。」

「2001年のオープン以来10回の事故。2011年から屋根は開放したまま放置されている

「こういった失敗例からなぜ学ばないのか。」

 『高温多湿』 

 「オリンピック開催時期、高温多湿な真夏の東京。こんなにクローズな競技場で本当に競技者のための絶好の競技環境が提供されるのか。観客は快適に観戦できるのか。」

「IOCへのもてなしなどは非常に次元の低い話。」

「そもそも8万人が入るのは開会式の時だけでないだろうか。」

 『日よけ』 

「芝育成のために一部(10,000m2程)がガラス屋根になるようだが、その下の観客は暑い。そのため可動式の日よけスクリーンを設置する必要がある。以前バーゼルでフランク・ゲーリーのガラスの建築で可動式のスクリーンを見たが、モーターやワイヤーを使い複雑な(メンテナンスも掛かる)仕組みが必要になっていた。」

「こういった設備の問題は山のようにあり、ここで紹介したのは一部でしかない。」

 『イベントホールとして成り立つか?』 

「恐らく開閉部分はC種膜による屋根になると思うが、残響時間は8秒もあり、遮音性はほとんどない。観客のジャンピング対策(=近隣への振動)はどうするのだろうか。ならばジャンピングは禁止にすればいい?そんなイベントホールは楽しいだろうか?十分な収益が上げられるだろうか?」

『コスト分析1』 
「5月現在建設費は1,625億円と算出されているが、物価上昇や屋根・免震等の諸問題を加味すると最終的には2,500億円と予想される。
長期修繕には国の施設の場合、毎年建設費の0.8%掛かると試算されるので、50年で40%である650億円が見込まれているが、これが2,500億円の建設費になった場合、修繕のレベルにもよるが最小でも50年1,250億円、最大で3,750億円がが予想される。」
「このように現状の見込み650億円と非常にかけ離れた数字になり、我々の税金で何とかすればいいという姿勢がはっきり分かる。」

 『コスト分析2』 

「年間の収支についてJSCは、収益を50億と想定していたが、そんなに儲からないだろうと周囲から言われ、38億に下方修正。しかし支出で46億の想定のままでは大幅な赤字になる。そこで特に修繕費の部分を半分に見積り、支出を33億にし収益が出るように見せるという、数字遊びでごまかしている。

簡単に修繕費を半分に落とすなどという欺瞞に満ちた数字を出すところを本当に信用できるのか、そういったところも議論する必要がある。」

 『無蓋案はどうか?』 

「(300m近い)クイーンエリザベス号と比較してもこのような大きさになる。」

「天井をなくし、50,000人規模の常設客席にし、不足分は仮設で補う。屋根が必要とIOCが言うならなら仮設テントを張ることもできる。そして新国際子供スポーツセンターを併設。」

 「屋根を支えるアーチの断面はどの位巨大かというと、80m2のアパートが入る位の大きさ。」


 『もう一つのオプション』 

「穏やかさのある東京。そして大人も子供も年間を通して楽しめるスポーツ施設。季節を彩る木々を植える。それは平成の都民からみらいの子どもたちへの贈り物になるのではないか。」

「しかしここまでしてもこの建物が廃墟になる可能性がある。2050年の日本は、人口が1億人くらいになり、生産年齢人口も減り、GDPは世界14位まで下がると予測されているからだ。そのために益々規模を小さくしていけるようなことを考える必要があるかもしれない。」 

 最後に内藤氏のプレゼンテーション。
「敵役で出てきました (笑)。」
「槇先生がいらっしゃるので、本来ここで話すのは審査委員長である安藤忠雄さんが良いと思うが、出ないとのことなので私が多少なりとも事情を話せたらと思う。」と前置きしながら、
「審査した者として結果には責任がある。」
「槇先生をはじめ中村勉さんが指摘された件は、解決し乗り越えなければならない問題。」
「審査のあり方については拙速であったと思う。時間がないなかで急がされ、私たちの意見も取り入れられないことも多々あり、こんな状態でやるべきではないと思いながらも巻き込まれたことは自分に責任がある。」
「応募資格についてはJIAの新人賞受賞者、建築学会の作品選受賞者くらいまでは広げるべきではと主張したが取り入れられなかった。」
「情報公開の仕方について、審査・設計のプロセスも公開するようにと安藤委員長も求めたがそうはならず、多くの誤解を招いた。しかるべきタイミングで公開可能な情報を提供し、市民の意見を取り入れていくことがもっとあっても良かった。(7月に行われた)建築団体とのコミュニケーションも遅きに失した。」

「このプロジェクトはまだ港に居て船出していない。それをJSC (日本スポーツ振興センター) が受け止められるだろうか。」

「今日申し上げたいのは、本当にもう時間がないのにまだ港にいる。今日ここには設計者がたくさんいらしてお分かりかと思うが、この時間次第で出来上がるものの密度であったり、建築として成り立つかどうか、施工において納得のいくクオリティになるか、皆さんが懸念されている問題を解決できるのか、それが決まる。建築の質にまつわる問題を誰も議論してこなかった...本当はこれが一番大事なのではと思う。」

「完全にこれを造るのを止めよう、というのならそれはありかも知れない。しかし造るのであれば、こんなに時間のない中で沢山の問題を解決し、未来の国民に対して落とし前を付けられるものを作り上げるのは至難の業。」

「私も全貌を把握しているわけではないので、設計についてはザハ事務所或いはJSCが説明するのが良いが、私がざっと見ただけでもハードルは極めて高い。」

「どういうことかと言うと、私の解釈は槇先生とはちょっと違って、挑戦的であることからくる問題だと思っている。それは構造の問題、開閉幕の問題、やるとなると世界初というようなことが幾つも出てくる。他に当然コストの問題、メンテナンスの問題もクリアしていかなければならない。」

「私は今まで少し傍観していたところがある。(安藤)委員長が前面に出るべきだと思っていた。しかし最近の様子を見て思うのは巨大な二流の建物はいらないと思う。これが最大の無駄遣い。やるのであれば世界に誇れるものにすべき。」

「そのためにきちんとした建築的クオリティを与え、コストも収め、性能も収めてというプロセスをこれから辿ると、非常に時間がない。」


 その後のディスカッション。


 槇氏「先ほどの内藤さんのお話は全面的に反対です。最後に、色々な問題があるが、時間のないことだから後は担当者が一生懸命汗を流して、その結果立派なもの、誇れるものを造るのが大事なのではと仰った、そのように解釈したがよいでしょうか?」

内藤氏「はい、大丈夫です。」

槇氏「私はこういうものを造って喜ぶ人は絶対世界にいないと思う。なぜなら、審査委員の責任ではないが、あの狭いところに理想的な競技場でもない、理想的なサッカー場でもラグビー場でもない、理想的なホールでもない、それを一緒にした複合施設をコストも合わないのに造っても羨ましがる人は絶対いない。むしろこんなプログラムでこんなものを造ったのかと世界から冷笑される、恥ずかしいものができると思う。」

「私も世界中でコンペの審査員をしたが、中には何でこんなひどいものものを造ったのかというものもある。その場合それは審査員の責任はそんなにはないと思う (笑)。今回審査員をされた内藤さんも、こんな事になるだろうとは思ってなかったということは十分に理解できる。プログラムがひどい、その結果建築家につけが回ってきている、この場合建築家はザハや日建たちなのかも知れない。しかしここで潔くこんなものはできません、こんなものにお金を掛けては恥ずかしい、決して高い志を持ったものは出来ませんと早めに声を上げた方がいい。」

「内藤さんはもう時間がないと仰ったが、東京に相応しいものを造るんだということを日建も含め、日本の設計者なら今からでもアイデアを出せるはず。」

 内藤氏「いや、そうかもしれません。現状 “離婚調停” は厳しい。」

「一年前であればそういうこともあった(できた)かもしれない...」

槇氏「今でもできるのではないですか。」

内藤氏「出来るかも知れないで離婚するわけにはいかないので...」

槇氏「私が言いたいのは、今決心すれば日本チームの設計で、世界に誇れる...かどうか分かりませんが (笑) 、”普通の” 競技場が出来て、それが一番都民や国民にとって幸せなことではないかということ。」

最後に本件で建築学会の役割について、
 「本プロジェクトをいかにつぶすかというデータばかりが出ている。建築学会の役割としてはニュートラルな立ち位置で何かあったら学会に、と思われるようになれればいい。」


 「技術的なことがうまくいくか、芝の育成がうまくいくかとかゼネコンのプロポーザルで結果を待つ、ということは間違っている。本来であれば第三者である建築学会の有識者で徹底的にチェックすることができる。」

「ゼネコンにプロポーザルさせてしまえば何とかなるという意識が我々にもある。その考えを直す文化を作っていくことが必要で、私も今回とても学ばせてもらった。」

「しかし私としては何としても、どうやったらこの案を阻止できるかが大切なこと (笑) 」
と締めくくった。

ギャラリーでは「東京オリンピック2020から東京を考える」展が開催されている。

【建築文化週間2014】
建築夜楽校2014 「東京オリンピック2020から東京を考える」
・第一夜:新国立競技場の議論から東京を考える
 日時:10月1日 →本記事
・第二夜:オリンピック以後の東京
 日時:10月9日 18時〜
・東京オリンピック2020から東京を考える展
 会期:10月1日〜13日 
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山縣洋 + 浜崎一伸 共同設計による住宅「TY」

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山縣洋と浜崎一伸の共同設計による世田谷区の住宅「TY」のオープンハウスに行ってきました。
[Yo Yamagata Architects + Kazunobu Hamazaki / And Associates]

 敷地面積211m2、建築面積84m2、延床面積157m2。二方向に傾斜した敷地で元は擁壁で囲まれていた。周囲への圧迫を抑えるため片面を斜めにし、建物も1階を半地下状に埋め、建物の高さも抑えている。


 風致地区のため、ここでは建物を接道から2mセットバックさせなければならない。


 セットバックさせた部分を庭にして、おかめ笹を一面に植えた。


 2階のボリュームをキャンティレバーにし、下を玄関ポーチに。


 玄関を入って左を向くと一直線の動線。左にウォークインクローゼット、収納、書斎、来客用寝室へと続く。


 ウォークインクローゼットからは主寝室へ。


 主寝室。右奥に書斎を挟んで、来客用の寝室へ。


 テラスには寝室のキャビネットから連続するように鉢台が備わる。上部バルコニーはFRPグレーチングで光が注ぐ。おかめ笹はもう少し背が伸びるので、周囲からの寝室への視線を遮ってくれる。


 2階へ。階段の踏面は奥行きがありゆったりと上れる。右の壁はジョリパットの上から凹凸のあるローラーでテクスチャーを付けてある。


 階段を上がるとパントリー兼ユーティリティーへ真っ直ぐ通じる廊下が設けてあり、壁を挟んでLDKが広がる。


 振り返ると水回り。


 LDK。純白のEilersen(アイラーセン)のソファ。


 反対側は大きく開口しバルコニーへ連続する。


 奥のダイニング・キッチンは、控えめながら3種類の異なる開口から光が差し込む。 


 キッチン。奥は廊下に繋がるパントリー兼ユーティリティー。IHコンロには昇降式のレンジフードを採用しているので天井はすっきりだ。(キッチンコーディネートはマードレ)


 バルコニーはリビングの延長、アウターリビング。日光浴が大好きな施主の為に周囲からの視線を絶妙に避けなが設計されており、視線の抜ける方向が一番下がっているというわけだ。角には下から延びるソヨゴが顔を出している。


 FRPグレーチングはダイクレ製。1.5m程のスパンで渡してあるが、ハシゴ状のフレームなしで持っている。そのため前出のテラスの写真で分かるように下からは非常にすっきり見える。


 左のガラス張りは浴室。


 中からはこのように。電柱が残念だ。




山縣洋さん(右)と浜崎一伸さん(左)は竹中工務店時代の先輩後輩関係。共通の知人からの設計依頼で、どちらかがということだったが共同で請け負い設計を進めたそうだ。
「子育てを終えたご夫婦の為の建て替え住宅です。1階は少し閉じ気味に寝室や書斎、大収納のクローゼットを配し、2階に上がって天井高を抑えた廊下から一歩リビングへ入ると、明るく大きなワンルーム空間が広がるようシーンの切り替えができます。」

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「伊東豊雄展 台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡 2005-2014」レポート

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10月17日からTOTOギャラリー・間ではじまる「伊東豊雄展 台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡 2005-2014」のプレス内覧会に行ってきました。
[Toyo Ito Exhibition- The Making of the Taichung Metropolitan Opera House 2005 - 2014]

 ギャラリー・間150回目の展覧会で、伊東さんの個展としては1986年「風の街の建築たち」展以来の開催。


 プレスカンファレンスでは様々な話を聞くことができた。
左から郷野正広(伊東事務所)、東建男(伊東事務所)、伊東豊雄、金田充弘(Arup)の各氏。

 「1年以上前に展覧会のお話を頂いた時から台中メトロポリタンオペラハウスだけの展示をしたいと決めていた。」
「なぜ我々がこの建物だけに注目したかというと、それは通常現代建築・現代社会、特に日本でははっきりとしたスケジュールと予算の中で、変更無く建築が作られていくことがテーマになっているが、このプロジェクトはその真逆で、いつ完成するのか、どういうものが最終的に出来上がるのかすら予測がつかない、何も見えない雲の中で毎日その場その場で出来る事を延々と続けた。そんな現代社会の中で殆どありえないものを作り続け、他の建物の設計・施工管理とは全く異質なものを作っているという印象を持っていて、そのプロセスを今回できるだけありのままに再現したいなと思った。」
「今年の夏、足場がようやく外れ雲の中から今までCGでしか描けなかった建築が一気に姿を見せてくれた。我々にとって感動は言葉に表しがたいものがある。」

 台中メトロポリタンオペラハウス(現地名:台中国家歌劇院)は2005年に行われたコンペにて伊東豊雄建築設計事務所が勝利し、2006年から設計が始まり、2015年11月こけら落としが予定されている。


 ギャラリーには、初期のスタディ模型から、大型の最終模型まで所狭しと並ぶ。

模型をいくつか紹介。
 劇場空間の収まりを確認 (2006)


 3Dデータよりスタイロを切削し躯体の形状や厚みを表現(2006)

 大劇場のためのスタディ模型。
グランドシアター(大劇場)の席数は2014ある。市長の要望で当初2010年完成予定時には2010席だったが、その後毎年一席ずつ増えてきたので、来年完成時は2015席なるのではないかとのこと。

 現場確認用模型。現場事務所にて施工時の各部収まりの検討に使われた最終模型。(2009) 


 現地の建築会社は施工図も足場の設計図も描かないため、全て伊東事務所で用意した。文化や技術の違いで非常に苦労したそうだ。


 「劇場には特殊な機能や設備が必要になるが、それらとカテノイド形状を実現させるための複雑な工法が融合した、実験的な要素がある建築。」と東建男さん


 壁面には「一般的には普通お見せしないような、我々の戸惑いのスケッチや、試行錯誤の課程を説明して展示してあります。」と郷野正広さん。


 一次コンペで用いられた光造形で作られたと思われる構造模型。(2005)


 ゲント市文化フォーラム応募案のスタディ模型。(2004)


 webカメラで現地の様子がライブで見ることができる。このときは屋上緑化の作業の様子が見えた。


 中庭には実物大の構造モックアップが展示されている。凄まじい配筋だが上の方を見ると基本はトラス構造だと分かる。
鉄骨以外台湾から持ち込んだ資材で、現場監督も来日し指揮をとってもらいながら制作された “本物” だそうだ。

 複雑な曲面を出すためにコンクリート型枠は目の細かいメッシュシートを使い、メッシュを剥離後左官で仕上げる。
「作り方というのが正に構造のあり様そのもの。」
「当初の構造計算では、壁厚は80cmあったが検討を重ね40cmまで抑えることが出来た。今まで建てられたどのような建築とも違い、これを作るために指針となるような基準は世界中どこにもないため、Arupとしても確信を持つのに容易ではなかった。」と金田充弘さん。

 上階は映像と写真。


 現場の様子を3Dゴーグルでバーチャル体験できる。首を動かすと360°全天球方向が動画(!)で見ることができる。


 覗くとこのように。是非会場で試していただきたい。


 壁面にはイワン・バーン (Iwan Baan) が撮り下ろした初公開の写真が並び、映像はプロジェクトに深く関わった関係者へのインタビューや配筋工場の様子が流れる。
レム・コールハース (Rem Koolhaas) は「今までに見たこともない建築。建築の未来を示し、それを実現してみせた。これからの建築はリスクを冒さなければならないが、そのリスクを見事に克服した。」などと絶賛。

 現場責任者の方。「足場が取れて姿が見えたとき思わず涙がこぼれた。その後妻を連れて見せたら妻も泣き始めた。私が毎日なぜ夜遅く帰ってきたのかをその時分かったと言ってくれた。」


 夕方からの内覧会では多くの方が伊東さんの説明に耳を傾けた。居並ぶ建築家たちから「凄い!」の言葉が至るところで上がっていた。



伊東豊雄さん「建築が持っている力を観て貰いたい。本当に手作りで、二度とこんなことはありえないだろうと思うようなことを9年間続けて来た。完成しないうちに我々の気持ちをここで展示させていただきます。」

※本展覧会に合わせて「伊東豊雄の建築2 2002 - 2014」がTOTO出版より刊行された。

【伊東豊雄展 台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡 2005-2014】
会期:2014年10月17日〜12月20日
場所:TOTOギャラリー・間
詳細:www.toto.co.jp/gallerma/ex141017/index.htm



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7組の建築家による「MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展」レポート

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10月17日より始まった「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」関連イベント「MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展」を見に行ってきました。場所はTokyo Midtownコートヤード。

 コートヤードには特設のドームが現れた。

《以下展示概要より抜粋》
「 "耐震構法SE構法” を展開する(株)エヌ・シー・エヌの依頼を受けた気鋭の建築家7組が、”パーツ化"をキーワードにこれからの住宅を提案をするという企画・・

 規格、寸法の考え方から、今後の住宅ビジネスの仕組みまで、多彩なアイデアをもとに住宅を設計。それはまるで、新しい住宅づくりの "レシピ"のよう・・


 建築家の提案から少なくとも1点以上が選ばれ、実際に建設し、販売まで行うことも同時に企画中」とのこと。


 ドームに入ると、集成材とSE金物の “SE工法” で組まれた架構になっており、各建築家のブースが7つ並んでいる。


 レセプションでは本展企画の岡田栄造さん進行により、 


 7組の建築家からプレゼンテーションが行われた。
左から、吉村靖孝、藤原徹平、藤村龍至、中山英之、長坂常、谷尻誠、禿真哉、鈴野浩一の各氏。

これだけ個性溢れる建築家たちが、同じお題に対してどのような答えを出すか非常に興味がある。
まずは7作品をご覧いただき、どの作品がどの建築家のものか考えてみて下さい。 
 A


 B


 C


 D


 E


 F


 G

以下答えです。



 A: 「内と外の家」藤原徹平(フジワラボ)
二重線のグリッドで光や風の通り道をつくる。 自然を無理なく内部に取り込む家。

 B: 「アプリの家」吉村靖孝(吉村靖孝建築設計事務所)
自分で設計できる。すぐに値段が分かる。住み手が家づくりに参加できる新しい仕組み。

 C: 「 大中小の家 」中山英之(中山英之建築設計事務所)
巨大なテーブル、大きなテーブル、ふつうのテーブル。大きな屋根の下で家具を並べるように生活の場をつくる。


 D: 「開かれた家」鈴野浩一+禿真哉(トラフ建築設計事務所)
生活の変化に合わせて部屋を増やせる、減らせる。 多様なライフスタイルを許容する骨格と、家具のようにつくれる部屋。

 E: 「高床の低い家」谷尻誠(サポーズデザインオフィス) 
斜面にも水上にも、高床だから様々な敷地に建てられる 。天井高を抑えてエネルギー効率を高め、コンパクトで豊かな空間を安価に。


 F: 「つくる家」長坂常(スキーマ建築計画一級建築士事務所) 
シンプルな躯体を買ったらあとは作りながら住む。DIYが好きな人たちのための、自分で作れる家とそれを助けるパーツです。 


G:  「柱と梁の家」藤村龍至(藤村龍至建築設計事務所)
SE構法の原点に戻り、必要なパーツを見直し柱と梁の2種類に。室内に現れる大黒柱が、新しい暮らしのよりどころになります。

作品の詳細は是非会場でご覧下さい。

 会場には建築家たちの似顔絵スタンプが置いてある。


数量限定トートバッグに自由にデザインしながらスタンプを押す姿が。

【MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展】
会期:10月17日〜10月26日
会場:Tokyo Midtown コートヤード
詳細:www.ncn-se.co.jp/makehouse/


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「ザハ・ハディド」展レポート/東京オペラシティアートギャラリー

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東京オペラシティ アートギャラリーにて10月18日より開催されるザハ・ハディド展の内覧会に行って来ました。
[Zaha Hadid Exhibition, Tokyo Opera City Art Gallery]

 ザハの日本初の大規模個展となる本展では、アンビルトの時代のドローイングや模型、世界各地で建てられた実作、家具やアクセサリーなど、展示空間全体を使ったダイナミックなインスタレーションと共に紹介している。


 本展を初期から担当していたZaha Hadid Architectsのスタッフ3名。左からManon Jenssens氏(ヘッド・オブ・エキシビション)、内山美之氏(アソシエイト/新国立競技場を担当)、Woody Yao氏(アソシエイトディレクター)。
「この展覧会を見て頂けると、ザハの事務所が色々なタイプの作品を手掛けており、時間が経つにつれて変化も見られること、大きなプロジェクトを実際にかたちにする力を持っている建築家であることがよく分かってもらえると思う。」
ザハ本人も展覧会の為に来日したかったが、日程の調整がどうしてもつかなかった。

 エントランスホールには、83年香港の国際コンペで勝利し、ザハの名を世に知らしめるきっかけとなった〈ザ・ピーク〉のドローイングや模型。


 しかし〈ザ・ピーク〉は実際に建てられることはなく、他の作品も当時の施工技術や建築思考に収まらない前衛的な内容だったため、この後長らく続く「アンビルト時代」に。

ギャラリー1「アンビルトの時代/日本との関わり」
 展覧会の冒頭では日本との深い関わりを示す3つの作品を紹介。


 内装を手掛けた札幌のレストラン〈ムーンスーン〉(1990年)。ザハのキャリア初の実現プロジェクトである。1階のメインダイニングは氷のイメージ、2階のダイニングラウンジは炎をイメージしたデザインで、家具もデザインした。
残念ながら札幌の建物は既に無いので、家具は展覧会の為に再現された。

 アンビルトの〈麻布十番のビル〉(1987)


 アンビルトの〈富ヶ谷のビル〉(1986)


 〈富ヶ谷のビル〉のドローイング。

ギャラリー1後半の「三次元を操る/形にこめられた意志」
 1993年遂に竣工した建築〈ヴィトラ社消防署〉。
この後デザイン実現のための三次元解析・施工技術が進歩し次々にプロジェクト実現に恵まれていく。
そのほか代表作の模型や映像、高層建築のスタディ模型が展示されている。

 〈フェーノ科学センター〉 (ヴォルフスブルグ/2005)


 〈ベルクイーゼル・スキージャンプ台〉(インスブルック/2002)や、ブリュッセルやドバイでの施工中のプロジェクトが並ぶ。 


 〈BMW中央ビル〉(ライプツィヒ/2005)


 キャンティレバーのインスタレーションに並ぶのは北京商業中心区コア・エリアのリサーチ。とんでもないクオリティのスタディー模型が50個近く並ぶ。


 左の6つが最終的に残った案。
現在研究しているパラメトリックデザインの実践を示すものだ。


 ギャラリー2「シームレスな思考/プロダクトから都市計画まで」


 本邦初公開。ある建築のルーフスケープ・リサーチ〈フィールド・オブ・シェルズ〉は1週間前に完成した。


 頭上には鏡があり、上から見た形態を把握することが出来る。
この様々なエレメントの集りは、今後新たなザハ・ハディドの大規模な建築となっていくそうだ。


 内側を見たところ。


 ダイナミックで流動的なインスタレーションが目を引く。
黒い「リボン」は、都市計画からプロダクトまでシームレスに設計を行うザハの仕事を表現すべく、様々な作品を分け隔てなく繋げて見せてくれている。手前の照明デザインが吊されている辺りは「スカイライン」、中程の家具が並べられているエリアは「ランドスケープ」として構成され、一番奥では3D映像を観る空間を生みだし、アクセサリーや靴などをディスプレイするスタンドへと変化していく。


 SLUMP社の照明〈アリア&アヴィア・ランプ〉と、David Gillギャラリーに出展したガラスのテーブルのプロトタイプ〈リキッド・グレイシャル・テーブル〉


 黒い「リボン」は、グラスゴーにある〈リバーサイドミュージアム〉のファサードデザインにも通じる。


 幅28mあるプロジェクションに最新のプロジェクトが紹介されている。リボンの一部はベンチとして座って観ることが出来る。


 〈ギャラクシーSOHO〉(北京/2012)の3DCG。眼鏡についたポインターを赤外線が感知し、人の立ち位置や向きに合わせて映像が動く。


 アレッシィや、ラコステ、アトリエスワロフスキーなどのためのプロダクト。



コリドール「〈新国立競技場〉で目指すもの」 
 展覧会の最後は新国立競技場のエリア。初公開と思われる展示物も並んでいる。


 競技場の巨大な断面図。アーチの断面部分に構造も見られる。


 現競技場との比較。



「設計が正に進行中なので情報もある程度限られている中での展示です。現在言えるのは、"着々と進行していますのでご心配なく"ということでしょうか。」と新国立競技場担当の内山美之さん。

【ザハ・ハディド】
会期:10月18日〜12月23日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー


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吉岡徳仁による「SPARKLE LOUNGE」

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10月17日より始まったTokyo Midtown DESIGN TOUCH関連イベントSalone in Roppongi。今年は吉岡徳仁による「SPARKLE LOUNGE」が開催。場所はTokyo Midtownアトリウム。

 Salone in Roppongiは世界最大の国際家具見本市・ミラノサローネで活躍する日本人デザイナーや企業に焦点を当て紹介するイベント。

 今回は吉岡徳仁がイタリアの家具メーカーKartellのためにデザインした「SPARKLE」をフィーチャー。

 クリスタルの塊のようなスツールとテーブルが80個程がランダムに置かれている。

 ガラス製に見えるがアクリル製だ。


背後の開口は通常透明で、外の景色が見えるが今回は半透明のフィルムで覆い、淡い光と白い世界を演出している。
ちなみにすぐ外では「MAKE HOUSE展」が開催されているので合わせて見に行きたい。

【SPARKLE LOUNGE】

会期:10月17日〜10月26日
会場:Tokyo Midtown アトリウム
詳細:www.tokyo-midtown.com/jp/designtouch/2014/event/event005.html


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「建築模型とその提案書展」レポート/ TOKYO DESIGNERS WEEK 2014

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“天才万博” と銘打ったTOKYO DESIGNERS WEEK 2014。その中の企画展のひとつ「建築模型とその提案書展」に行ってきました。
企画趣旨は「13組の建築家の模型作品と提案書を集めた特別企画展。トップの建築家が考えたアイディアが集約された「提案書」と具現化された「建築模型」を同時に展示することで、立体的に建築プレゼンテーションを紹介。個性あふれる模型作品や様々なアイディアが詰まった提案書は、来場者の感性を刺激するとともに、若手の建築家や 建築を学ぶ学生にエールを送るコンテンツ。」
[Architectural Model and Project Proposal" by 13 "Genius” Architects]

 TDWのHPでも目立っている13組の建築家が一堂に会した “不思議な” 写真。さすがに合成したそうだが実にリアル。


 各展示台にプロジェクトの提案書とその模型が並ぶ。


 実現したもの、計画中のもの、コンペ提案のものなど様々。


 壁には建築家が撮影で着ていた衣装(江幡晃四郎のデザイン)が並ぶ。イメージは「コンクリートの服」で、実際にはコーキング剤を塗り込んで表現してあるので柔軟性がある。


 藤本照信 (Terunobu Fujimoto)
奥から〈低過庵〉〈空飛ぶ住宅〉〈ワッフルハウス〉 

 藤本さんの提案書は原稿用紙に文章のみ。 例えば〈空飛ぶ住宅〉では「今回、世界初の空飛ぶ建築の計画に取り組むのは、二つの条件による。まずひとつは、”この世とは別世界のような環境と建築が欲しい” という施主の夢・・・」


 小嶋一浩 + 赤松佳珠子 (Kazuhiro Kojima + Kazuko Akamatsu)
〈木島平ヴィレッジセンター〉

 役所、ホール、ギャラリー、図書館等が一体となった複合施設。中央のホールを各施設が囲み、様々な活動が行われる。


 隈研吾 (Kengo Kuma)
中国美術学院博物館

 杭州郊外、茶畑の山と建築を一体化した、新しいタイプのユニバーシティーミュージアムを計画。斜面を出来るだけ利用した建築をスタディすると菱形のパターンが等高線の中に現れた。 


 山本理顕 (Riken Yamamoto)
〈ザ・サークル_チューリッヒ国際空港〉

 延床面積27万m2の7つのモジュールからなる複合施設。空間が様々に変化する路地と広場を持ち、イベントスペース、ショップ、ホテルエントランスなどが面する。 


 大西麻貴 + 百田有希 (Maki Onishi + Yuki Hyakuda)
〈ひがしねのね〉〈Good Job! センター〉〈目黒区の住宅〉〈千ヶ滝の別荘〉〈東松島 こどものみんなの家〉

 〈ひがしねのね〉山形県東根市の図書館、美術館の複合施設のPFI事業(建設・運営までを民間の提案者が担う)コンペ案 

 妹島和世 (Kazuyo Sejima)
〈小平市立仲町公民館・仲町図書館〉

 住宅地にあり古くなった公民館と図書館を合わせて立て替えるプロジェクト。周辺の住宅のスケールに合わせ、いくつかの小さな建物が寄り添って一つになるような建物。



 藤本壮介 (Sou Fujimoto)
〈Serpentine Gallery Pavilion 2013〉

 ギャラリーの前庭に設置される夏のパビリオン。雲のような建築的ランドスケープ、或いは透明な空間的地形。美しい自然と人工的な幾何学が相互に編み込まれたような新しい環境をつくり出した。 


 展示台の手前(上の写真)では大きな構成をスタディした模型群。奥側には構成が決まった後の形態のスタディ模型群。


 谷尻誠 + 吉田愛 (Makoto Tanijiri + Ai Yoshida)
〈くるりの森〉

 浜松市の商業施設に設置された、ネットを掛ければ遊具に、家を足せばツリーハウスになり建築と呼ばれるようになる。建築でありながら完成を繰り返していく、森の概念を持つ建築。 
複雑に見えるが、実は単純なパーツの繰り返しで出来ている。

 伊藤豊雄 (Toyo Ito)
〈(仮称) 新青森県総合運動公園陸上競技場〉

 20,000人を収容できる競技場。周辺のランドスケープと建築が一体となって、森に続く樹林を思わせるメインスタンドの大屋根をもつ。


 名和晃平 (※キャプションは後ほど)
ヘッドマウントディスプレイを覗くと、名和さんの作品がバーチャル空間に現れる。

 平田晃久 (Akihisa Hirata)
〈ツリーハウス〉〈ギャラリー エス〉〈コイル〉

 それぞれのプロジェクトの提案書はめくって閲覧できる。


 膨大な量のサムネイル模型が並ぶ。大きさはまさに親指ほど。


 原田真宏 + 原田麻魚 (Masahiro Harada + MAO)


 左から〈鉄のログハウス〉〈益子町地域振興拠点施設 (仮)〉〈XXXX〉


 石上純也 (Junya Ishigami)
〈House & Restaurant〉

 レストランオーナーの店舗兼住宅として岩のような建築の構想。


地面に竪穴を掘り、そこにコンクリートを流し込む。コンクリートが固まったら土を掘り出す。そうして現れたコンクリートでできた岩のような塊にガラスや建具をはめ込むと建築になる。これでおしまい。 

【建築模型とその提案書展/TOKYO DESIGNERS WEEK 2014】
会期:2014年10月25日〜11月3日
場所:明治神宮外苑絵画館前
詳細:www.tdwa.com/2014/join/architecturemodel_ex.html



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SUEP. による「都市型コンパクトライフのススメ展」レポート

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リビングデザインセンターOZONEにて10月16日より開催の「都市型コンパクトライフのススメ展」に行ってきました。
開催概要は、「本格的な少子高齢時代に向けて、現在40歳代からの大人世代が将来をどのように暮らしていくか。大人ふたりが暮らす住宅のあり方について、ケーススタディ、住宅、インテリア等のオピニオンリーダーの考えを提示。およそ50m2の住空間の可能性とコンパクトな暮らしをハード、ソフト、コミュニティの視点で考える。」
[Compact Life- Good Over 50's Exhibition by SUEP.]

幾つか企画展示があるがその中でも末光弘和+末光陽子/SUEP. による提案「リアルサイズ:二人暮らしの50m2」をレポート。


従来型の、1住戸65m2が90住戸程度収まる比較的大きな集合住宅を建てようとした場合、周辺への負荷がが多く歓迎されないが、模型のように30住戸程度の比較的低層の建物を3つに分散させて建て周辺への負荷を減らす。また豪華なエントランスホールなど造らずにその予算で地域に緑道を提供してはどうか、という提案にはじまり。


1住戸65m2のところ、それぞれ10m2を供出すようなかたちで、共有部を広く持たせることでコミュニティの生まれやすい〈ネットワーク型集合住宅〉に。
会場のパネルでは、事業者側と居住者側の費用負担などもシミュレーションされている。

共有部はシェアダイニングや、バーベキューテラス、菜園などを。さらに建物の外周にらせん状のテラスを設け、テラス沿いのアクティビティを誘発させる。


共有部に面しながら、ユニット化した様々な間取りが考えられる。


というアイデアを実物大にしたらどうなるか、というのがこちら。OZONEの展示としては過去最大規模になるそうだ。


住戸の周囲には共有部である回遊テラス。
燃料電池によるエネルギーのシェアや、雨水の循環システムも考慮されている。
(手前のテーブルは空間外の参考用ディスプレー)

回遊テラスからダイレクトに入れる土間のようなダイニングキッチンは玄関を兼ねる。


カフェのように、住人がふらりと立ち寄れるコミュニティの場としても使える。
インテリアコーディネートは荒井詩万さんによる。今回インテリアのキーワードを「上質感」、「自分らしさの表現」とした。


DKからは数段上がってリビングで、寝室、水回りへと繋がる。


リビングからも回遊テラスに通じ、所々菜園があったりする。


ベッドルームと水回りは隣接させコンパクトな動線に。収納もコンパクトで日常使い以外は戸外のシェアロッカールームを想定。
インテリアはパッチワークの壁で自分らしさを表現するのがポイント。


水回りには浴槽を廃し、建物内にある大浴場やジムの大浴槽を利用するが、浴槽付きを選択も出来る。


洗面にはミラー型ディスプレーが備わる。ミラーの隅に建物全体・住戸のエネルギー管理、天気予報、健康管理情報などが表示される。






末光弘和さん。「 “50m2、50代以降の二人の為の集合住宅” というお題ではありましたが、その住戸だけを考え完結しては今までと同じです。コンパクトでありながら豊かな生活は?と考えた場合、地域に開かれた集合住宅というものを提案しました。山本理顕さん達と研究している “地域社会圏主義” での考えを合わせたようなアイデアで、地域・社会と繋がりシェアし合うということが特徴です。」

 【都市型コンパクトライフのススメ展 - 二人暮らしの50m2】
会期:2014年10月16日〜11月11日
場所:リビングデザインセンターOZONE(3F OZONEプラザ)
詳細:www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/1736.html


連動シンポジウム【大人世代のコンパクトライフを考える】
日時:2014年11月3日、15:30〜18:40
場所:3F パークタワーホール
詳細:www.ozone.co.jp/event_seminar/seminar/seminar_c/detail/1744.html

《関連記事》
「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」



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磯崎新による意見書「ザハ・ハディド案の取り扱いについて」全文

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磯崎新より報道各報道機関宛に配信された意見書「ザハ・ハディド案の取り扱いについて」が届きましたので、その全文をお伝えいたします。
先に報道された一部メディアでは、磯崎さんの本意と違うかたちで報道されていることを憂慮されおり、「是非全文を読んで頂ければ幸いです」とメッセージをいただいております。
[Rethinking the New National Stadium of Japan by Zaha Hadid / Arata Isozaki]

コンペで当選した当初案


その後の修正案


オペラシティアートギャラリーで展示されている最新の模型


オペラシティアートギャラリーで展示されている壁面を覆うスケッチ

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新国立競技場 ザハ・ハディド案の取り扱いについて  磯崎 新

 一昨年、国際コンペによって選ばれたザハ・ハディド案は、21世紀の都市的施設として、運動競技のスピード感を呼び起こす、優れたイメージをあらわすデザインであると感じ、東京都民のひとりとして支持してまいりました。

ところが、先日から開催されている「ザハ・ハディド」展(東京オペラシティアートギャラリー)で詳細にわたり発表されている修正案を拝見し、当初のダイナミズムが失せ、まるで列島の水没を待つ亀のような鈍重な姿に、いたく失望いたしました。このままで実現したりすれば、将来の東京は巨大な「粗大ゴミ」を抱え込むこと間違いなく、暗澹たる気分になっております。

コンペの選考発表以後、さまざまな立場からの意見が発表され、さらに実現のためのアセスメント、プログラムや予算の見直しなどがなされたあげくに、この修正案が作成されたと伝え聞いております。環境への配慮、過重なプログラムの再編、適切な予算への整合など、重要な施設がつくりだされる過程でいかなる場合でもたどらねばならない道筋です。とりわけプロフェッショナルな建築家であれば当然の仕事です。にもかかわらず、修正案は当初案への賛否いずれの側の人達もが満足できない結果になりつつある。すべての関係者がオリンピックの歴史に誇れるようなデザインを求めてきたことを私は疑っていません。ところが間違ってしまった。

捻れが起こってしまったのです。

私は建築家としてこれまで多くの国際コンペに審査員や応募者として関わってきました。1992年第25回夏季オリンピック(バルセロナ)の「パラウ・サン・ジョルディ」、2006年第20回冬季オリンピック(トリノ)の「パラスポーツ・オリンピコ(パライソザキ)」などの主要競技施設の設計者に国際コンペを通じて選ばれ、その建設過程を経験した建築家として、現在の新国立競技場デザインの取り扱われ方を憂慮しているひとりです。

巷には、さまざまな意見が流れております。

一、国際コンペの正統な手続きによってザハ・ハディド案が選ばれたことをあくまで尊重して下さい。

二、その当初案が神宮外苑の環境に適合しないという有識者、建築家、市民の批判を正当な見解として承認して下さい。

三、国際コンペの与件としてのプログラムが過重であったためにさまざまな期待がふくれあがり、適切な予算をはるかに超えるデザインになった事態を冷静に反省して下さい。

四、新国立競技場をオリンピック誘致の「目玉」に位置づけたキャンペーンがなされましたが、このイメージに国際コンペの手続きとともにメディア上では国際公約の役割をさせていた事実を消し去らないで下さい。
ここに述べた事態は私見ではなく、メディアに流れている見解を整理したに過ぎません。相互に矛盾しています。だが現在のまま進行してしまうと、この議論において指導的な役割をしている人々全員が後世に恥をさらすことになります。国際的に類似の事例を経験してきた建築家のひとりとして、次のように考えます。

A、サスティナブルな競技場として現在地で更新するが、一過性のイヴェントであるオリンピック開会式にはつかわない。オリンピック競技場の基準にそったフィールドに整備すると同時にポスト・オリンピックに運用されると思われる諸施設を組み込む。群衆の流れなど周辺環境に配慮し、景観形成に細心の注意をはらう。

B、主競技用のフィールドで開会式を打ちあげた、かつてヒットラーの演出したベルリン大会以来のフォーマットを超えるメディアの時代のライブ性(10万人程度でなく、同時に10億人がテレビやインターネットを見る)をいかす舞台として、二重橋前広場で2020年の東京オリンピック開会式を挙行する。
江戸城の堀、石垣、櫓を背景にして、競技場フィールドより広い舞台を前に立体的な桟敷を設ける。約12万人収容可能。50に分解できる。終了後、全国各県にオリンピック記念公園(競技場)をつくり分散移設。空中を飛翔するカメラをはじめ、あらゆる角度からの映像を全世界に流す。

C、国際コンペの審査結果を尊重する。この段階の決定には一般的に二つの解釈がある。①、「案」を選ぶ。そのままの姿で実施する。(建築家は無名で、案の物理的な姿を評価する)②、その案を作成した「建築家」を選ぶ。プログラムに変更があるとき、その建築家が条件に適合する新しい案の作成者になる。(建築家の潜在的能力が評価される)

新国立競技場案が迷走している理由は、①、「案」をえらぶ、ことに固執してしまって、自縄自縛に陥ったためだと思われます。諸条件が②であるべきなのは当然の流れなのに、何故かザハ・ハディドという署名入りの案を選んだと関係者が思い込んでしまった。国際コンペの通念に無知、無理解、無責任な判定が、すべての流れを捻らせたのです。

私のかかわったオリンピック施設の場合は常に②のケースでした。私は新しい条件に対応して、更に新しいアイディアを加えて、実施設計から管理までつき合うことができました。プロフェッショナルな建築家であれば、状況の変化に柔軟に対応できねばなりません。今回の当選者ザハ・ハディドは、30年前に私はその才能を発見して、その後いくつかの共同の仕事をやった建築家で、彼女のプロフェッショナルな能力は抜きんでており、どんな困難な時でも自ら主体的に参画していれば、自らの署名をそのデザインに残しうる人です。修正案にはその片鱗もみえない。歴史的な誤謬がおかされた、と言わざるを得ません。

今からでも遅くない。当選決定(国際公約です)の時点に立ち戻り、二年間の賛否両論はプログラムの検討スタディだったと考え、ザハ・ハディドにその条件を受けてあらためてデザインを依頼する。彼女はそのような対応のできる建築家です。

そのうえで、最終選考の際、対抗案として比較されたと伝えられる、SANAA案の作成者妹島和世にプログラムに含意されていたオリンピック開会式場のデザインを依頼する。今後の開会式場の扱いは、2020年東京大会をプロモーションしてきた方々の責任です。

アリーナ型の昔ながらのサイズに閉じ込めるのではなく、東京を超えて日本の中心である光景を背景に世界に向けてイヴェントを発信する、21世紀型オリンピックの新しいフォーマットを、ここ東京でつくりあげることになります。

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【関連記事】


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Rethinking the New National Stadium of Japan by Zaha Hadid  Arata Isozaki

Two years ago, I felt that the Zaha Hadid proposal chosen through an international competition was a design that presented an excellent image of a 21st century urban architecture, calling to mind the sense of speed of sports competitions. As a resident of Tokyo, I supported the proposal.
However, when I saw the revised proposal that has been presented in detail at the Zaha Hadid exhibition (Tokyo Opera City Art Gallery), I was shocked to see that the dynamism present in the original had gone. What remains is a dull, slow form, like a turtle waiting for Japan to sink so that it can swim away. The sight left me in despair. If the stadium gets built the way it is, Tokyo will surely be burdened with a gigantic white elephant.
I have heard that this revised proposal was made by incorporating the various opinions voiced by different parties after the competition selection was announced, as well as the results of the assessment for constructability, program and budget reviews, and so on. It is quite normal for a project to handle environmental concerns, restructuring of overloaded programs, compliance with an appropriate budget and many other issues. Such steps have to be taken during the process of creating any important public facility. These are just an ordinary part of the job for a professional architect. In spite of this, the revised proposal seems to be turning the stadium into something that will not satisfy people on either side of the discussion about the original proposal. At first, I had no doubt that all the parties concerned were seeking for a design that we can all be proud of in the history of the Olympics. But I was wrong.
The process has been distorted.
As an architect, I have been involved in numerous international competitions as a judge and as a competitor. I have been chosen through international competitions as the designer of major sports facilities such as the Palau Sant Jordi for the 1992 25th Summer Olympics (Barcelona), and the Palasport Olimpico (Palaisozaki) for the 2006 20th Winter Olympics (Turin), and I have experienced the subsequent construction process. From that position, I am particularly concerned with the way the New National Stadium design is being handled at present.
Various opinions as to what to do next are being aired in public. Let me summarize the main points here.
1. Respect the fact that the Zaha Hadid proposal was chosen through the legitimate process of an international competition.
2. Acknowledge as reasonable the criticism by experts, architects, and the public that the original proposal is unsuitable to the environment of Jingu Gaien.
3. Accept that expectations were overblown and that the resulting design greatly exceeded the appropriate budget because the conditions given to the architects in the international competition included an overloaded program.
4. Do not renege on the international commitment implied by the use of the image of the New National Stadium as the centerpiece of the Olympic bid in both the international competition proceedings and in the media.
These points are not my personal opinion. They simply represent views aired in the media, and they contradict each other. If this situation proceeds unchecked, the people playing a leading role in this debate will all share the responsibility for a result that will remain a disgrace to future generations. As an architect who has experienced similar circumstances internationally, I would like to give my suggestions for how the situation could be handled.
A. Do not use the stadium for the Olympic opening ceremony, which is only a temporary event. Instead, concentrate on creating a sustainable stadium at the present location. Construct a sports field that meets the standards for an Olympic stadium, and also incorporate facilities designed for its continued use after the Olympics and Paralympics. Pay close attention to forming the landscape while taking into consideration the surrounding environment, including the flow of large numbers of visitors.
B. Hold the 2020 Tokyo Olympic opening ceremony at a purpose-built venue outside the Imperial Palace moat in front of the Nijubashi Bridge. This is an opportunity to surpass the format of a opening ceremony on the main athletic field that has been standard ever since the 1936 Berlin Olympics. Such a stage could capitalize on being live for the media age, addressing the 1 billion people watching on TV or online, not just the 100,000 or so people at the venue.
At that location, there is room to erect a three-dimensional grandstand facing a spacious stage larger than an athletic field against the backdrop of the Edo Castle moat, stone walls, and keep. The grandstand could accommodate around 120,000 people. Afterwards, it could be dismantled into 50 parts for relocation to each of Japan’s prefectures, contributing to the creation of parks or stadiums throughout Japan to commemorate the Olympics. Images of the opening ceremony from cameras soaring through the sky and from every other angle can be broadcast to the entire world.
C. Respect the result of the international competition. There are two main ways to interpret a competition decision: The first is to select the proposal. Implement the proposal as-is in its original form. (Judges evaluate the physical form of the proposal, with the architect unknown.) The second way is to select the architect, who created the proposal. (Judges evaluate the potential of the architect.) In the second case, when there are changes to the program, the architect will be the creator of a new proposal conforming to the conditions.
The reason that the New National Stadium proposal is straying off course is because of the insistence on selecting the proposal. This leaves the organizers falling into a trap of their own making. Considering the type of project, the competition should have been selecting the architect as a matter of course. The concerned parties somehow believe that it was only the proposal that was selected, despite its clear Zaha Hadid signature. Ignorance of the conventions of international competitions, lack of understanding, and irresponsible decisions have consequently distorted the subsequent process.
In the Olympic facilities that I have been involved in, it has always been the architect that was selected. When new conditions arose, I dealt with them while further adding on new ideas, and was able to engage with the project from the final design to the management stage. A professional architect should be able to flexibly respond to changing situations. The current winner, Zaha Hadid, is an architect whose talent I discovered 30 years ago and who I have worked with several times thereafter. Her professional skills are outstanding. No matter how difficult the situation, with personal, active participation she is capable of leaving her signature on the design. However, not even a glimpse of that can be seen in the current revised proposal. I have to say that a monumental mistake has been committed.
It is not too late. Return to the winning decision (an international commitment) and consider the two years of discussions for and against it as a review study of the program. Commission Zaha Hadid to re-design the New National Stadium under these new conditions. She is an architect who is eminently capable of responding in such a manner.
In addition, commission the design of an Olympic opening ceremony venue appropriate for the program to Kazuyo Sejima, the creator of the SANAA proposal that remained in contention through to the end of the competition. The handling of the opening ceremony venue should be the responsibility of the promoters of the 2020 Tokyo Olympics.
By taking this route, we can present an event to the rest of the world that is unconstrained by the traditional size of an arena, against a backdrop of scenery that represents the heart of Japan, not just Tokyo. By doing so, we can create a new format for the Olympics of the 21st century, here in Tokyo.

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